出口利定 学長 The Deguchi Times

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2017.11.6

国立大学協会総会が今年は広島大学を当番校に開催されました。ほぼ全国の国立大学長が集まり、今後導入される新しい大学入試、国立大学への運営費交付金、文部科学省の高等教育政策について活発で熱い議論が交わされました。どこの国立大学も大学運営のための財政状況が逼迫しており、それぞれの地域において様々な方法で資金獲得に奔走している現状が報告されました。
総会の後は情報交換会。時によっては凝らした催し物があり、今回は越智光夫・広島大学長の友人ということで、ギタリストのクロード・チアリ氏の軽妙なトークと演奏が披露されました。大方の学長が昭和40年代に学生時代を過ごされており、皆さん、その頃に流行ったクロード・チアリ氏の曲を聴きながら、楽しい、辛い、苦い、切ない、希望、挫折・・・・の日々を回想されているようでした。演奏曲目は、「群衆」「花祭り」「夜霧のしのび逢い」「オリーブの首飾り(どういう訳かマジック・ショーのBGMに使われる)」。いずれも大ヒットした曲でした。
3日は附属小金井小学校にて、ノーベル賞を受賞された大隅良典先生のご講演があり、午前中は小学生向け、午後は中学生向けの内容で、受賞に結びついた研究、学者生活、生い立ちなどをお話し頂きました。大隅先生と本学・名誉教授の飯田秀利先生(元・附属小金井小学校長)が長年の共同研究者というご縁で実現した講演会でした。

2017.10.30

10月も終わり、はや11月。東京地方は30日に「木枯らし1号」の発表がありました。魚が美味しい頃となりましたが、今の時期は鯖、ほっけ、イシモチ、秋刀魚・・食欲をそそる多種の魚が出回ります。先週には、岩手県・宮古市にすむ卒業生から秋刀魚と鮭を送ってきました。美味しい!・・の一言。近々、学内の釣り仲間とイシモチ釣りに行く話しがあり、数年ぶりに参加できそうです。今までは他人の釣り道具を借りていましたが、今回からは自前ものでと、本学・釣り名人・K氏に一式選んで頂きました。釣果については、大漁であれば報告します。
先日、小学校3,4年生を過ごした小学校の同期の方々と約半世紀振りに会いました。その小学校も来春で閉校です。陽成(ようぜい)小学校という気品と由緒ある名前で、当時は1学年2クラスあり、山間部の小学校でしたがそれなりの賑わいのある町中にあって、実に楽しく過ごしました。近くには温泉もあり、父方の祖父母が農閑期には骨休めで暫く逗留し、お小遣いをもらうため訪ねて行ったことなど懐かしく思い出しました。

2017.10.23

第10回日韓教育大学学長懇談会に出席のため、韓国・大邱(テグ)を訪問。大邱教育大学を主幹校として、韓国から12大学、日本から11大学の学長が集まり、「第4次産業革命と教育課程の変化」と「国立教員養成大学を巡る近年の状況」を主題に、日韓の現状について活発な意見交換がありました。日本、韓国の教育を取り巻く課題や問題点などはかなり似ており、その対応についてはそれぞれの国にとって非常に参考になるものでした。
東京学芸大学との学術交流や留学生の相互派遣の促進のため、韓国教育大学(Korea National University)、忠北大学(Chungbuk National University)、京仁教育大学(Gyongin National University)の学長とは個別に懇談し、今後の具体的な方針について話し合いました。それぞれの大学に招待されましたが、広大なキャンパスとICT化された近代的な高層の講義棟、教育博物館の充実などを見学し、日本の大学の立ち後れを感じました。
週末には、私が本学に着任した年に学部1年生であった卒業生が各地から大学に集まり、すっかり変わった学内の風景を見学。大学のためにと、多大な寄付金を頂きました。彼らとは年齢的には丁度一回り違い、お孫さんがいる方も。つらつらと自らの年齢を再認識しました。

2017.10.16

15日は秋雨前線の停滞で朝から冷たい雨でした。気温は15度未満で、10月中旬としては1971年以来、46年ぶりの記録だそうです。我が家でも今年初めて暖房にスイッチONでした。プロ野球セ・リーグCS第一ステージの第2戦(阪神:横浜)は雨の甲子園球場での開催でしたが、まさに泥試合でしたね。選手が気の毒でした。条件は同じとはいえ、運・不運も大きく影響したのではないでしょうか。これまでにプロ、アマを問わず多くの野球試合を観戦しましたが、今回のようなグラウンド・コンディションでの試合は初めて観ました。阪神の鳥谷選手が東京六大学(早稲田大)で活躍していた頃、試合前にことばを交わしたことがありました。多くのプロ野球選手が足首が隠れるほどのユニフォームを着用しているなか、膝下ぎりぎりまでの長いストッキングを履き、内野手として動き回っている姿は学生の頃そのままです。足元おぼつかない不安定な状態でも、横浜・筒香選手の豪快なバッティングは素晴らしい。

2017.10.9

体育の日。おせち料理の折り込み広告のチラシが、日を増す毎に多くなってきます。どれも美味しそうです・・・14,5年前だったか、家人が留守で子ども達と正月を過ごし、これ幸いにと念願であった大手デパートの通販のおせち料理を取り寄せました。一流シェフによる豪華な品々に、ヨーイ・ドンで分捕り合戦が始まるかと思いましたが、日頃の舌の鍛え方が不十分だったのか、上品な味に馴染めず皆さん箸がなかなか進みませんでした。染み込んだ味の記憶は簡単には覆らない。頑健です。
今年の中秋の名月は10月4日。満月は6日でしたが、やはり4日の月が美しい。雲の間から見え隠れする月を眺めつつ、今年は団子の代わりに裾野市から届いた新米のお握りを頂きました。

2017.10.2

日本の国立大学の財政が厳しい状況については、皆様ご承知のことと思います。各大学は智恵を絞って基金獲得に努力していますが、その一環として、本学では大学オリジナルのクレジットカード(VISA)を発行することにしました。広く多くの方々に活用していただくことで、利用額の一部が「東京学芸大学基金」に還元され、各個人のご負担をかけずに、東京学芸大学への支援が可能となる仕組みになっています。教職員に限らず、卒業生・修了生、学生等のご家族、ご退職された教職員、東京学芸大学を応援していただける方には是非お持ち頂けますよう、よろしくお願いいたします。申し込み方法等の詳細につきましては、本学ホームページをご覧下さい。

2017.9.25

26日(火)に博士学位授与式(1名)、29日(金)に学部(10名)・大学院修士課程(7名)の9月卒業式、修了式を行いました。グローバル化が急速に進む今日、留学をはじめ様々な理由で大学を休学し、海外での生活を体験する学生が増えてきました。そのため、卒業を延期せざるを得ず、春3月ではなく秋に行うものです。留学しても卒業が延期されない制度設計を考えねばなりません。本学のような教員養成単科大学では、教育実習期間の設定との関係で難しい問題がありますが、是非、解決したいと思います。
官民協働海外留学支援制度で、「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」というものがあります。現在、第8期生を募集していますが、この第6期および第7期派遣留学生に本学学生6名が選ばれました。これについては本学webサイトでも紹介していますが、このような制度へ積極的に応募できるよう、大学としても支援策を考えます。

2017.9.18

ちょっとした、でも気に掛かる出来事が立て続けに身辺で起き、気分転換に世田谷パブリックシアターへ。演目は現代フランスを代表する劇作家・エリック=エマニュエル・シュミットの戯曲「謎の変奏曲」。橋爪功、井上芳雄二人だけによるセリフ劇(科白劇)で、会話の面白さ、サスペンスとコメディーが入り混じった不思議な筋書き、心理ゲームに久し振りに酔いました。機会がありましたら是非ご覧下さい。お勧めします。
24日(日)は“2017「青少年のための科学の祭典」東京大会in小金井”を、本学キャンパスにて開催しました。日常生活の様々な出来事、場面を教材にして、科学的視点から分かりやすく解説するもので、幼児から大人までもが楽しめる内容です。98のブースにおいて、大学近隣の研究所、他大学、警察署、消防署、高校や中学の理科クラブ、サイエンスインストラクターなどから、来場者参加型の楽しく趣向を凝らしたレベルの高い実験が行われました。入場者数は10,345人で、昨年より約2,000人の増でした。

2017.9.11

 このたび、本学の大学教員が、平成26年3月から同年10月までの間、指導学生及び研究室OBに対し、不適切ないし悪質な言動を繰り返し、当該学生らの尊厳ないしこれに関わる人格権を侵害し、また、複数の学生がこれらの一連の行為を起因とする精神疾患を発症し、卒業後の就労にも多大な支障が生じた、アカデミック・ハラスメントまたはこれに類する人権侵害に該当する行為を行っていたことが判明しました。
 このことを受け、役員会で事実確認を行い、平成29年8月30日付けで当該大学教員を懲戒処分として諭旨解雇といたしました。
 また、本件に関わる管理監督責任者である当時の学系長に対し、文書による厳重注意の処分を行いました。

 教育に携わる本学の大学教員がこのような行為をしたことは誠に遺憾であり、関係者の皆様には心よりお詫び申し上げます。
 今後、このような行為が再び繰り返されることのないよう、服務規律の一層の徹底を図り、再発防止と信頼の回復に努めて参る所存です。

平成29年9月12日
国立大学法人東京学芸大学長
出 口  利 定

2017.9.4

6日、本学附属世田谷中学校の創立70周年記念式典に出席。1947(昭和22)年4月、「東京第一師範学校男子部附属中学校」として開校。その後、校名の変更はありましたが、現在の校名「東京学芸大学附属世田谷中学校」となったのは国立大学が法人化された2004(平成16)年4月です。
当日、北里大学特別栄誉教授で2015年ノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智先生の記念講演「私が歩んできた道」を、在校生、保護者、同窓会の方々と一緒に拝聴しました。先生の娘さんが同校のご出身という縁で、講演が実現した次第です。研究の原点となった都立の夜間高校教員時代、自然豊かな山梨県韮崎での生活、高校3年生から大学4年までスキー競技で5年連続優勝し国体に出場したこと、奥様との出会い、そしてノーベル賞受賞の対象となった天然有機化合物の研究の話しなど、多くの写真と分かりやすい図で講演して頂きました。
一方、先生は韮崎大村美術館を開館され、ご自身で収集された絵画、陶磁器など多くの作品を寄贈されています。夕食を挟んでの先生との歓談から、当美術館には鈴木信太郎の作品が多くあり、常設の展示コーナーもあることを初めて知りました。鈴木信太郎の絵画は私も好きで、幾つかの作品について楽しく語り合いました。
教員養成、学生指導についても言及されました。数多くの優秀な研究者を輩出した大村研究室ですが、卒業生からは「大村先生からは何も教わらなかった、といつも言われるんですよ。教え込んではだめで、自分で考え、他者とは異なる方法を選ぶことを常に言い続けてきました」と言われたことが、とても印象に残りました。

2017.8.28

NHK解説主幹の早川信夫さんが8月29日、ご逝去されました(享年63歳)。早川さんには本学の経営協議会の委員として、大学改革のさまざまな点において貴重なご意見・助言を頂き、また時にはかなり厳しいご批判も頂きました。特に私が印象に残っているのは、学長選考における意向投票において、大学教員のみならず常勤の事務系職員、附属学校教員も投票者に加えることに積極的なご意見を述べられたことです。
テレビ放送では「週刊こどもニュース」「ニュース解説:時論公論」等を担当され、その柔らかい口調と分かりやすい解説は大変人気がありました。折々の教育・文化問題をご自身のブログで詳細に分析・解説され、私にとってはとても参考になった内容でした。心よりご冥福をお祈りします。

2017.8.21

22日は作家・向田邦子の命日。1981年(昭和56年)8月22日、台湾で飛行機事故にて死去。享年五十一歳。彼女の飛行機嫌いについては随筆等で語られているので、ご存じの方も多いか思います。森繁久弥との対談では、「向田:例えば、私、一緒に飛行機に乗りたいっていう人があるわけです。飛行機って信用してないんですけれど、この人と一緒なら落ちないんじゃないかという人が、何人かいるわけなんです。森繁さんはそういう人なんです・・・」(向田邦子著、お茶をどうぞ -対談 向田邦子と16人-、河出書房新社)と。熱烈な向田信奉者としては、森繁久弥と一緒に乗っていたら・・とつくづく思う。お墓は、以前本欄で「唱歌・我は海の子」の作詞者として紹介した宮原晃一郎と同じ多磨霊園にあります。多磨霊園は本学から近い所にあり、お二人とも鹿児島に縁があることから散策がてらお参りしています。
家人が鼻水をかんだ後のティッシュを畳んで乾燥?させ、再度使用することについて厳しく注意していましたが、向田邦子も同様のことをしていることを知った瞬間から、全く気にならなくなりました。不思議なものです。

2017.8.14

14日~16日まで本学は夏季一斉休業。ほぼ全ての国立大学がこの期間に一斉休業を設定しているようです。しかし今年の東京の夏は日照時間が短くて雨模様の日が続き、まるで梅雨期のようです。本欄も暫し小休止。

2017.8.7

立秋です。この日を境に「暑中お見舞い」から「残暑お見舞い」へ。といっても暑さはこれからが本番。ここ数日、毎朝のように大学北門に観光バスが停車しています。体育会系サークルやゼミなど、各種団体が都外での合宿のために借り切ったバスということでした。合宿では事故のないよう、充実した時間を過ごして下さい。
学内では連日、免許状更新講習が開かれており、都内、近県から多くの教員の方々が終日講義や演習を受けています。免許状更新講習は、平成19年に改正教育職員免許法の成立により、平成21年4月1日から教員免許更新制が導入されたことにより始まった講習です。講習の目的は、その時々で教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すものです(文科省HP)。教員の普通免許状または特別免許状の有効期間は、所要資格を得てから10年後の年度末までであり、有効期間が切れる前に更新のための講習を受けることになっています。

2017.7.31

22日、オープンキャンパスを開催。来場者数は7,156人でした(資料配付部数からの推計であり、もっと多い)。炎天下、多くの方にお出で頂きありがとうございました。本学に関心のある高校生のみならず、進路指導の先生、保護者の姿も多くみられました。同じ国立大学の学長さんたちとの懇談のなかで、ある大学では、高校生向けの説明会場と保護者向けの説明会場は別々に設けていることを知りました。なるほど良いアイデアです・・本学でも検討してみます。受験生が進路を決める際に相談する相手として、10年ほど前と現在とでは保護者の割合が大きく伸びており、2,3年後あたりから18歳人口が急激に減少する時代、大学としてもそれなりの戦略を考える時期かと思います。

2017.7.24

今年の夏の土用丑の日は7月25日と8月6日の2回あり、少し得したようでバテた体には有り難い。今週あたりから8月中旬まで日本各地で花火大会が催され、東京名物の隅田川花火大会も今週土曜日です。過去に1回ほど見物に出かけましたが人波にのまれた経験から、もう十分。
大相撲7月場所(名古屋場所)はさまざまな新記録をうち立てた白鵬の圧倒的な強さ・優勝で幕。元大関魁皇がもつ歴代1位の通算1047勝を超えましたが、一体どこまで記録をのばすのでしょうかね。魁皇が1000勝に達した取り組み(2010年夏場所・千秋楽。相手は琴欧洲)は国技館で孫と観戦していました。その時は、1000勝以上の力士は今後暫くでないだろうと思っていましたが。
この時期、相撲部屋から「粗布」と書かれたのし紙に包まれた浴衣地の反物が毎年送られて来ます。それぞれの部屋が工夫を凝らしたデザインで、これで作った浴衣を着ると相撲取りになった爽快な気分が味わえると思いますが、まだ一着も・・・です。孫のデカパンツ、貫頭衣?布巾に化けています。どうせ着ない、似合わない等の理由で浴衣は却下ですが、言われてみると確かにそう思います。浴衣には巨体と鬢付油(びんつけあぶら)の匂いが最もふさわしい。

2017.7.17

17日は「海の日」。附属小金井中学校では創立70周年記念式典を挙行。梅雨明けのような天気が続き、ややバテ気味・・
「親死に子死に孫死ぬ」とは、あの一休和尚のことばです(と言われている)。一般的には、この順番通りにいくことのめでたさを言い、今を精一杯生き抜いて欲しいと願ってのことばと解釈されていますが、考え方は人それぞれだと思います。しかし、この順番が変わることはやはり悲しいことです。先日、身内にそのような事態が生じました。通夜、葬儀に参列しましたが、深い悲しみに包まれた涙のお別れでした。斎場の周りの林からは蝉の鳴き声が響き南国特有のぎらついた日差しのなか、幼い頃の故人と遊んだことがいろいろと想い出されました。丁度その日、当地は梅雨明けが宣言されました。

2017.7.10

七夕、朝顔市、ほおづき市、四万六千日・・と、夏の楽しい行事が続きます。一方、梅雨も終盤に近づくと、各地で雨による災害が生起きています。この度の九州北部の記録的大雨により被害を受けられた方々には、心よりお見舞い申し上げます。まだ被災の全容は明らかになっておらず二次災害の危険性もあるなか、これ以上の被害が広がらないことを祈っています。

2017.7.3

関東は暑い日が続いています。この時期、私にとって扇子は必需品。うちわは中国から渡ってきましたが、扇子は日本で発明されたものと言われています。折り畳ができる扇子を考案した人に感謝し、京扇子、江戸扇子など芸術品の域にまで高めた職人を尊敬します。しかし、毎年必ずといってもいい位紛失します。置き忘れ、ポケットからのずり落ちなど原因はさまざま。今年はまだ2本目を使用中ですが、そろそろ・・。色柄もよく、品のある扇子を拾われたら多分、それは私のものです。大事に使って下さい。

2017.6.26

夏至も過ぎ、はや1年の半分を過ぎようとしています。地場産のサクランボが送られて来ましたが、やはり美味しい。感謝しつつ来年も宜しく・・と期待を込めて、お礼のメールを送信。先週末は日帰りで信州大学(長野)へ。新幹線から眺める途中の田園風景が実に美しい。
7月1日(土)、「PISA2015から見えるこれからの学び -科学的リテラシーと主体的・対話的で深い学び- 」をテーマに、第19回OECD/Japanセミナーが文部科学省で開催されました。本学・次世代教育研究推進機構(NGE)とOECDとの協働による指導/学習モデルの提案、それらの実際場面の動画配信システムの紹介コーナーも会場に設けられ、OECDの教育・スキル局長のアンドレ・シュライヒャー氏も熱心に本学教員の解説に耳を傾けていました。シンポジウムでは多くのシンポジストから本学の取り組みをご紹介いただき、これからの日本の教育はもとより、世界の教育の現状と課題、今後の方向性について議論が交わされました。

2017.6.19

「教師失格 夏目漱石教育論」。今年4月に東京学芸大学出版会から発行された書籍のタイトルです。編者は本学の大井田義彰教授。やや刺激的なタイトルとセンスのよい装幀に惹かれ、早速購入しました。大井田先生が言われるように、作家としての夏目漱石は比較的よく知られていますが、教師としての漱石はこれまで案外顧みられていません。本書はその彼の、これまでさほど日の目をみることが多くはなかった教育関連の文章や講演・談話など十編と若干の関連文書を集めた文集で、専門の英語教育論を中心に、教育に関するさまざまな意見や提言が詰め込まれています(本文より)。
明治時代の教育に関する漱石の意見・提言ですが、現代の教育のあり方にも通じるところが随所にあり、漱石の洞察力に感動します。特に私が思ったのは、「語学養成法」の章です。なかでも教員養成と教科書に関する言及は、そのまま現代に適用できると思います。本学のような教員養成大学で学ぶ学生、そして教職員にもご一読を勧めます。
メインタイトルである「教師失格」について、編者は「教師失格とはもちろん、漱石の自己認識を踏まえて付けたもので、漱石への評言ではない。・・・あえて本書にこの言葉を冠したのは、加えて、逆に自ら「失格」と思っていない「教師」について、少し思いを巡らせてほしいと思ったからである」。私にぴったりです。

2017.6.12

13日~15日、韓国・ソウル教育大学で第12回東アジア教員養成国際シンポジウムが開催され出席。丁度この間、日本では国立教育系大学長会議、国立大学法人学長・大学共同利用機関法人機構長会議、国立大学人文・社会科学系学長会議、といずれも年1回の重要な会議が開催。そのためソウルの会議には日本の大学からは副学長が出席し、学長は私のみでした。日本から学長が出席しないのは問題ではないかということで、誰が出席するかで少々議論になりましたが、大体このような場合、まず目を付けられる運命にあります。
シンポジウムのテーマは、” The Direction of Teacher Education in the 4th Industrial Revolution Era” 。人工知能(AI)は想像を超えた速さで進化しており、東京学芸大学でも、AIと教育の共生を探るために去る5月14日に「人工知能(AI)社会における生きる力とは何か?」というテーマでシンポジウムを開催しました。ソウルではこのシンポジウムの概要や、AI研究を進めるIBM、マイクロソフト、リクルートなどの企業と学芸大学との共同研究について基調講演を行いました。タイトルは”Challenge for the Next-Generation Education at Tokyo Gakugei University: As Examples of CAMPUS Asia and AI”と、教育系大学ではやや珍しい内容でした。

2017.6.5

8日、野依良治(のより りょうじ)先生が講演のため、本学附属国際中等教育学校へ来られました。野依先生については、改めてご紹介するまでもないと思います。この企画は「さくらサイエンスプラン」によるものです。さくらサイエンスプランとは、アジアの国と地域の青少年を日本政府が招へいするもので、我が国の最先端の科学技術にふれ、また、我が国の青少年との交流をとおして、生涯かけがえのない友人関係を築くことで、ひいては我が国のグローバル化促進の一助となるべく科学技術振興機構(JST)が2014年に開始した事業です。
当日は、ラオス人民民主共和国、ミャンマー連邦共和国、インド共和国から総勢68名の生徒が交流で附属国際中等教育学校を訪問しており、附属生徒と一緒に野依先生の講演を聴きました。野依先生の講演言語は英語であり、講演後の生徒との質疑応答も全て英語によるものでした。講演は、先生の専門分野である化学につい、この道に進むきっかけ、生徒たちへの期待など、多岐にわたる内容でした。
ノーベル賞受賞科学者ということで私も少々緊張しましたが、実に気さくなお人柄で、打ち解けた雰囲気での懇談は瞬く間に時間が過ぎました。今のままでの日本の教育、特に高等教育への危機感を切実に語られ、グローバル化、若い研究者の育成と環境整備、そして初等・中等教育の重要性についても強調されていました。
このような素晴らしい機会を頂いた科学技術振興機構(JST)には、心から感謝申し上げます。当機構とは上智大学と共に本学とテニスの親善交流を定期的に行っており、今後は附属学校を含めた海外との交流について連携を深めてまいります。

2017.5.29

“うんこの力、おそるべし”。唐突にすみません。今、マスコミで話題になっている「うんこ漢字ドリル」(文響社)、略して「うん漢」のことです。
“漢字ドリルの例文に必ず「うんこ」を使ったところ、子どもが大喜びで勉強しているのだ。大ヒットだという。たとえば小学校四年生のドリルの例文だと、「総理大臣のうんこを取(ざい)しに行こう」だって。思わずニヤニヤしてしまった。”(作家・林真理子氏のコラムから)。電車の「うん漢」広告にある例文を読むと、なかなか工夫されていて面白い(括弧内の平仮名を漢字で書きます)。
小学2年生 【友】、【親】
うんこで むすばれた(ゆう)じょう。(おや)子のうんこは よくにている。
小学3年生 【感】、【動】
ずっと前から うんこがもれる予(かん)がしていた。今、たしかにうんこが(うご)いた。
小学6年生 【誠】
あやまりながらうんこをするから、(せい)意が伝わらないんだ。
小学生の漢字学習には教育現場も色々と考えているようで、昨年7月の本欄でも、ある出版社から刊行されている漢字ドリルの例文の幾つかを紹介しました。小学5年生の例文では「武力を使う圧政に対して、再び非暴力で立ち向かった」、小学6年生の例文では「聖域なき改革で民衆に激痛が走ることに異論がある」等々。「うんこ」に比べると、遙かに格調高く優等生という印象です。でも「うんこ」版の方が小学生には人気があるのですね。
私が小学生の頃の漢字学習法は、百字練習帳というノートの1頁に100のマス目があり、1つの漢字を100回書いてマス目をせっせと埋める作業をして覚えることでした。単調な作業なので、自分なりに色々と工夫して楽しみました。漢字の偏(へん・氵など)あるいは旁(つくり・刂など)だけを先に書いたり、埋めたマス目で模様(十字型、X型・・)や今風のデジタル文字、数字などをデザインして友達と見せ合ったりして、言われているほどの苦痛はそれほど感じませんでした。

2017.5.22

5月23日は何の日でしょうか?語呂合わせで恋文・ラブレターの日です。また、日本映画で初めてkiss scene が登場した「はたちの青春」の初公開日(昭和21年、1946年)でもあったため「kissの日」でもあります。「ラブレターの日」と「kiss の日」が同じ日とは、せっかちな気もしますが、よくできていますね・・と思いませんか?
この時期、旬の魚といえば「鱚・きす」。小学校低学年の頃、父親に連れられて「きす」釣りにはよく行きました。天ぷら、刺身、鮨、酢味噌和え・・淡泊で美味しい。小骨が喉に刺さって不快な気分の時も多くありましたが。新鮮なキスの天ぷらとビール・・・幸せです。

2017.5.15

大学院説明会を開催。昨今の日本の大学院の一般的傾向ですが、文系・理系を問わず大学院修士課程、博士課程への進学者が減少の傾向にあります。国立大学協会としても危機感があり、その対策を練っています。
教員養成系大学・学部に課せられた課題として、学校教員の質の向上と高度な専門性をもった教員の養成が強く求められています。学校現場においては、児童・生徒がもつ多様な教育課題が山積しており、また教員集団のあり方もその質が大きく変化してきました。このような状況にあればこそ、地域、家庭における社会資源、文化資源を知り、それらを大いに活用し共同して問題にあたることができる教員が求められています。学校教育が教員のみによって運営できる時代ではなくなりつつあり、これからは「チーム学校」という概念のもと、様々な専門家との協働で学校が成り立っていく時代です。東京学芸大学では、多様な教育者の養成を行っています。学部を卒業し教員を目指しておられる方、あるいは現職の教員の方で大学院進学を考えておられたら、是非、本学への進学も視野にいれて下さい。

2017.5.8

ゴールデンウィークも終わり、本格的に新学期が始まる感じです。今年のゴールデンウィークは天候に恵まれ、存分に爽やかな空気・風を楽しまれたかと思います。
恒例の「学内の野草を食べる会」が10日(水)、環境教育センターの教職員のご協力により開催されました。身近にありながら食べられるとは知らずに見過ごしていた学内の様々な野草、木の葉の天ぷら、煮物など、差し入れの筍ご飯と一緒に味わいました。九州・鹿児島では野草を食べる習慣やセレモニーへの関心は薄く、これは春を待ちわびる東日本・東北・北海道の、この季節ならではの自然への感謝祭ではないかと思います。
筍は私の大好物であることをご存じの鷲山・元学長をはじめ、自然科学系のT先生、附属学校のK先生、職員のYさんには、その日の朝に自宅で採れた筍を届けて頂きました。例年のことながら感謝!来年も宜しくお願いします。

2017.5.1

タイ・バンコクの日本人学校およびタイ教育省を訪問。バンコク日本人学校については、昨年5月2日に訪問した際の様子を書いていますので省略します。今回は、松野・文部科学大臣がバンコク日本人学校を視察されるのを機に、東京学芸大学とバンコク日本人学校とのこれまでの連携協力関係について、および今後の計画について説明を求められたために伺ったものです。当日午前中にバンコク日本人学校の理事の方々と、大臣はじめ文部科学省国際課の方々との間で、海外日本人学校の諸課題・問題点等についての意見交換も行いました。
午後はタイ教育省でテイラキアット教育大臣と松野大臣との会談があり、私は冒頭15分程度で「日本型教育の海外展開」について、タイとの取り組み内容や今後のことを説明しました。タイと日本とは古くから教育に関して交流があり、さらなる発展を目指すことで合意しました。
本学附属高校では1975年からタイ政府派遣奨学生を受け入れています。タイの中学校を卒業して来日し、附属高校での三年間を留学生として過ごし、日本の大学・大学院を卒業して帰国、その多くが政府や大学の研究機関など第一線で活躍しています。これまでに134名が卒業しましたが、主な大学進学先は東京大学(30名)、東京工業大学(14名)、一橋大学、京都大学(各11名)、神戸大学(10名)、横浜国立大学(9名)、大阪大学(8名)、名古屋大学(7名)、筑波大、千葉大(各6名)九州大学、電気通信大学(各5名)、その他、北海道大学、東北大学、埼玉大学、東京医科歯科大学、東京海洋大学、東京農工大学、慶応大学です。来日するまで日本語は全く知らなかった子ども達が、日本語を学びつつ日本の高等学校の教育課程を終え、日本の大学へ進学することは並大抵ではありません。その努力には感心するばかりですが、附属高校教員の多大な支援もありました。あの東日本大震災後、派遣奨学生はかなり減りましたが、この件についてもテイラキアット教育大臣にご説明し、どうぞ安心して留学生を派遣されることを要請しました。

2017.4.24

ここ二日間のあいだに、本学教員、卒業生の著書を4冊ほど紹介して頂きました。直接著者ご自身からと東京学芸大学出版会のPRESS NEWS( 2017/14 No.20)の新刊・既刊紹介コーナーからです。
『Essential Mathematics for the Next Generation』は、算数数学教育について次世代型教育とそれを行う教員の育成について、東京学芸大学「国際算数数学授業研究プロジェクト(IMPULS)」が2011年から開始した研究の成果をまとめた論文集(英文)です。日本の初等中等教育おける理数教育のレベルの高さは世界が認めるところです。現在、我が国の外交政策上の課題でもある日本型教育システムの輸出については、国立大学総体として積極的に対応することになっており、今後訪問する予定の海外の大学、教育担当省、教育現場に積極的に本書を配布する予定です。
岩谷美苗・『街の木ウオッチング』は、街中で観察される樹木と環境・人との共生とでも言うべき、大変珍しい写真が多く掲載されています。樹木のしたたかな生き様を感じます。
斎藤一久・『高校生のための憲法入門』。私自身の高校時代にこのような著書があったら、世の中の見方がかなり違っていたでしょう。現代の多くの人にとって関心のある社会事象について、興味深く解説されています。私は、第1章人権の「18・逮捕されたら、どうする?」をまず読みました。刑事ドラマでの取調室をイメージしながら。逮捕されたときに備え、最低3つの頭に入れておくべきことが挙げられていますが、私が4つ目に挙げたいことは、まず斎藤先生に連絡する、ことです。その時は宜しくお願いいたします。
大井田義彰編・『教師失格 夏目漱石教育論集』。装幀が実にいい。4月25日発行ですが生協書店になかったため、連休中に読む予定です。

2017.4.17

ある私的な会合に出席するため、時間どおりに会場のロビーに到着したが見渡してもそれらしき人がいないので、幹事さんに電話連絡したところ、その会合は明日開催ですよ、との返事。数ヶ月前から予定されていた大変重要な会合であり、準備万端、やや気分も高揚して臨みました。一瞬、何が起きたのか?頭は真っ白。スケジュール表を見ましたが、その日の予定欄にしっかりと記入されていました。誤記入です。暫く考え込んでしまいました。ついに私にも来るべき時が来たか。認知症の初期段階では、日時、曜日など時間・時制の間違いがまず起きる、ということを何かの本で読んだことが思い出されました。笑い事ではありません。
認知症への不安感、不甲斐ない自分に呆れながら、気を取り直すためコンビニでお茶を買い求める際にふと本棚に目を移すと、「おにぎり男子」軍三郎、宝島社、と背表紙に書かれた本を発見。昨年(2016)9月に第1刷発行。中身は読まずに早速買いました。「おにぎり男子」というタイトルに興味をもったからです。かつて私も「おにぎり男子」というフレーズを使ったような気がして、本欄の昨年春~夏にかけて読み直してみたところ、6月に自分自身を「おにぎり男子」と称していることについて書いていました。著者の軍三郎(ぐん さぶろう)さんより3ヶ月ほど先に「おにぎり男子」を使用していたことになります。先に使用していたということで、幾分鬱々とした気分も晴れ元気もでましたが、このような、どうでもいいこと、些細なことに優越感をもつのは、やはり認知症の初期段階か・・

2017.4.10

10日(月)は附属竹早中学校、11日(火)は附属特別支援学校の入学式があり祝辞を述べました。本学に11ある附属学校園全ての入学・入園式に出席したいのですが、なかなか都合つきません。新入生の、やや大きめの制服姿は実にいいものです。これからの学校・園での生活を存分に楽しみ、多くの様々な経験を積んでもらいたいものです。
3月はお別れのシーズンでしたが、平成28年度をもって11名の教員、4名の職員の方々が本学を定年退職されました。在学中に授業等で縁のあった先生、履修指導やキャリア支援、生活相談などでお世話になった職員もおられるのではないかと思いご紹介します(敬称略)。
生野晴美(生活科学講座)、池田榮一(外国語・外国文化研究講座)、坂井俊樹(人文科学講座)、森田数実(社会科学講座)、藤井斉亮(数学講座)、山田陽(数学講座)、吉野正巳(広域自然科学講座)、松田佳久(広域自然科学講座)、新藤茂(教育実践研究支援センター)、石井彰(保健管理センター)、成田喜一郎(教育実践創成専攻)、佐藤節夫(学務部長)、小宮利宏(学務部副部長、兼学生課長)、井澤英利(学務課副課長、兼大学院室長)高田正巳(学係支援課・研究センター係長)
本学に勤務された年月はそれぞれですが、長年にわたり教育、研究、大学運営においてご尽力頂きました。心より感謝申し上げます。有り難うございました。

2017.4.3

4月4日(火)、平成29年度入学式を挙行。教育学部生1,081名、特別支援教育特別専攻科生29名、大学院教育学研究科・教職大学院の課程生50名、大学院教育学研究科修士課程生342名、あわせて1,502名の新入生です。6日(木)は大学院博士課程の入学式で、32名が入学しました。あらためて入学のお祝いを申し上げます。
また、3日(月)には新しく東京学芸大学に着任された教職員の方々への研修会を開催し、大学及び附属学校園の概要について私及び理事・副学長から説明しました。
7日(土)は、日頃学生達がお世話になっている近隣住民や市長さん、教育長さんとの花見の会。構内の桜が丁度満開で、楽しい懇談の時間を過ごすことができました。同日は恒例の上智大学、科学技術振興機構(JST)、学芸大学との3団体による観桜テニス大会も本学で開催し、両方掛け持ちで忙しい一日でした。3月に上智大学長をご退任された早下先生を慰労するテニス大会であり、親善試合ということで特に勝率による順位付けはしていませんが、学芸大学の快進撃は止まらず・・大会の趣旨を考えれば今回は花を持たせても良かったのでは、と反省も。学芸大チームはKYな、勝ちにこだわる幼い集団とみられたか?恒例の学長対決のダブルス試合もあり、今回も前回同様にKYチームの勝利でした。終了間際のストロークを打った瞬間に右ふくらはぎに激痛が走り、以後の試合は痛みのため欠場。診断はNIKUBANARE。

2017.3.27

前号で神田・神保町界隈での会議開催が多いことを書きましたが、週末の会議で遅い時間に終わった時は、運動不足解消も兼ねて古書店街をぶらついてます。先日、店頭の書架のなかに阿刀田高(あとうだ たかし)著・「ものがたり風土記」集英社、をみつけ早速買い求めました。阿刀田作品はどれも楽しくおもしろい。定価1800円+税が200円ポッキリ。得したような、申し訳ないような・・帰りの電車の中で一気に読みました。
「第六章 ヒーローたちの走路」に、近世の薩摩を代表する戯作文学であり、郷土文学の古典とも言われる「大石兵六夢物語」にまつわる話しがでてきます。「大石兵六夢物語」の作者は、毛利正直(もうり まさなお)という下級武士で、西郷隆盛や大久保利通などが住んでいた鹿児島城下加治屋町に生まれました。鹿児島名物に兵六餅(ひょうろくもち)という、抹茶の香りのするキャラメルのような餅がありますが、名前の由来はこの物語にあります。
「ものがたり風土記」には、大石兵六が化物退治に出かけた道筋に沿って現在の地理との対比が様々な空想を交えながら描かれていますが、何とそのなかに我が母校・玉龍高校についての詳細な記述があるのを発見。大石兵六と阿刀田さんが玉龍高校付近を出発し終着の吉野町(私の実家の所在地)に辿り着くまでの風景描写がなつかしい。実家のすぐ近くに今でも「大石様河」という名前のバス停留所がありますが、この地名も夢物語との縁によるものではないかと、今回風土記を読んで初めて思いました。残念ながら大石様河の記述が風土記にはありません。推測するに、阿刀田さんはバス停の手前を右に曲がって大明ヶ丘方面へ進まれ(ローカルな話!)、大石様河バス停前を通っていない・・・。文中、看護学校という記載がありますが、多分、養護学校の間違いではないかな?。「第六章 ヒーローたちの走路」の最後の一行にゾクッとします。

2017.3.20

春分の日。年度末になると各種のシンポジウムや会議が多くなり、学士会館や学術総合センターなど神田・神保町界隈の会議場へ出向くことが多くなります。午前中の会議が終わり、午後の別の会議開始までのやや中途半端な時間の過ごし方は日によって様々ですが、先日は近くの東京国立近代美術館へ。「茶碗の中の宇宙 ~樂家一子相伝の芸術~」展が開催中です(5月21日まで)。樂家初代の長次郎(ちょうじろう)から十五代の樂吉左衛門(らくきちざえもん)までの作品がそろっており、特に長次郎の黒樂茶碗「大黒」は、一度はみておきたい作品でした。「私が生きている間に、これほどの展覧会は二度とできない」とは、十五代樂吉左衛門。以下は展覧会の案内からの引用です。

今から450年前、長次郎という人物によって創造された樂茶碗は、一子相伝という形態で現在まで続いています。一子相伝とは、技芸や学問などの秘伝や奥義を、自分の子の一人だけに伝えて、他には秘密にして漏らさないことであり、一子は、文字通り実子でなくても代を継ぐ一人の子であり、相伝とは代々伝えることです。この様な考え方で、長年制作が続けられている樂焼は、長い伝統を有していますが、しかし、それらは伝統という言葉では片付けられない不連続の連続であるといえます。長次郎からはじまり15代を数える各々の代では、当代が「現代」という中で試行錯誤し創作が続いています。

絵画はじめ美術作品等にはそれ程の興味はなかったのですが、いつの頃からか・・・・加齢による現象か?

2017.3.13

先週11日(土)東京学芸大学・次世代教育研究推進機構の主催で「21世紀のコンピテンシーを育成するための指導・学習のあり方とは?-OECDとの協働による指導/学習モデルの提案-」と題して、シンポジウムを東京国際フォーラムで開催しました。本学の「日本における次世代対応型教育モデルの研究開発」プロジェクトでは、OECDが注目する知識、汎用スキルと態度、価値の3つの力を、小中学校でどのように育成するかの指導、学習モデルの開発を進めており、シンポジウムではこれまでの成果の紹介と今後の展開について、熱い討論がなされました。鈴木寬・文部科学大臣補佐官、白井俊・OECD教育・スキル局アナリストの講演に続き、成果報告、ディスカッションがおこなわれ、多くの参加者から有意義なシンポジウムであったとの評価を頂きました。
17日(金)、学位記及び修了証書授与式を挙行。教育系739名、教養系380名、あわせて1,119名の教育学部の卒業生、特別支援教育特別専攻科29名、そして大学院教育学研究科314名の修了生に学位記、修了証書をお渡ししました。卒業生、修了生の皆さんおめでとうございます。また、この1年間に国内、国外の学術、芸術、スポーツなど様々な分野、活動において優秀な成績を納めた24名の学生の表彰、および4年間をとおして特に学業成績が優秀な卒業生43名の表彰を行いました。

2017.3.6

上智大学・早下隆士学長は、この3月をもって学長職をご退任されます。昨年春の桜の季節に花見を兼ねてテニス対抗戦を開催しましたが、今年はご退任のお祝いとして先週末に開催しました。四谷にある上智大学コートを3面お借りし、昨年同様、上智大学、国立研究開発法人・科学技術振興機構(略称JST)、東京学芸大学の3チームで熾烈な闘いが繰り広げられました。コートは地下鉄・丸ノ内線の四谷駅ホームから見下ろせる場所(真田堀コート)にあり、電車待ちの大勢の人が熱心に観戦?テニス技術・試合レベルの高さに、全日本選手権の試合かと思われたかも・・・終了後は早下学長の労をねぎらい、試合でのお互いの健闘を称え、そして東京学芸大学の2期連続優勝!を祝して、近くのレストランを借り切って懇親会。メンバーはお互いに顔馴染みなので、実に楽しい懇親会でした。

2017.2.27

3月3日・雛祭り。当日の朝刊に第68回日本放送協会放送文化賞の受賞者6名のお名前が掲載されていました。この賞は放送事業の発展や放送文化の向上に功績のあった方に贈られるもので、受賞者は次の通りです。阿部勝征=故人(東京大名誉教授)、安藤真(東京工業大理事・副学長)、加古隆(作曲家)、タモリ(タレント)、三田佳子(俳優)、矢島稔(群馬県立ぐんま昆虫の森名誉園長)。
さて皆さん、矢島稔さんをご存じでしょうか?1984年より放送されている人気番組「夏休み子ども科学電話相談(NHKラジオ第1放送)」で昆虫分野の回答を担当されている、あの矢島先生です。独特の言い回しで、小学校低学年の子どもの素朴な質問にも実に分かりやすい解説をされ、大人も十分に楽しめる番組です。聴いたことがある方は多いと思います。
矢島先生は、1957年に東京学芸大学生物学科を卒業された後、豊島園昆虫館を創設し、上野動物園水族館館長、多摩動物公園園長、財団法人東京動物園協会理事長を歴任され、1999年から群馬県立ぐんま昆虫の森園長に就任、2013年ぐんま昆虫の森名誉園長になられました。1980年に棚橋賞、1991年に文部大臣表彰、2013年には日本動物学教育賞を受賞されています。つい先週、本学元学長の鷲山恭彦先生とお話しする機会があり、その折に矢島先生のことが話題になったばかりでした。

2017.2.20

自宅から徒歩15分のところに牧野記念庭園があります。「本園は我が国が生んだ世界的植物学者、牧野富太郎博士が大正15年から昭和32年に逝去されるまで30年間居宅した跡地です。(中略)本園には300種類以上の草木類が植栽されており、博士が生前日本国内はもとより国外にまで自ら探しもとめられたもので、スエコザサ、センダイヤ、ヘラノキなど珍しい種類のものも数多くあり、学問的にも貴重なものと評されています。」(牧野庭園パンフレットより)
散歩がてらこの庭園にはよく立ち寄り(入園無料)、先日も開催中の企画展「桜花図譜と牧野富太郎」を楽しみました。園内の草花、樹木およびそれらの図版の鑑賞は元より、書斎、書庫、研究に使った道具や日用品など、型破りの天才、巨人ともいえる研究者の息吹を感じます。庭園入り口の真正面にある碑には以下の文言(縦書き)が刻まれ、約1億円ともいわれている借金生活を陰で支えた壽衛子(すえこ)夫人への博士の感謝と愛情が伺えます。

家守りし妻の恵や我が学び  世の中のあらむかぎりやすゑ子笹
寿衛子夫人は、借金だらけの生活苦に耐えながら、好きなことひとつせず、常に牧野博士の研究を第一に考え尽くしてきました。博士の偉業は夫人の内助の功の賜物と言われています。博士は昭和二年に発見した笹の新種に「スエ子笹」の和名と、Sasa Sueko ana Makino
の学名を付け夫人の名を永久に世界にのこしました。翌年、病名不明のまま他界した夫人のために上の二句を詠んでいます。
谷中の墓地には、スエ子笹と共にこの二句を刻んだ墓碑が建っています。

2017.2.13

先日の朝刊に「犬と人間」、「目と目で通じあう特別な絆」という見出しで、興味ある記事が載っていました。その中の一文、「ドイツのマックス・プランク研究所の研究で、犬は人が指をさしたり、視線を向けたりしたカップにエサがあることを理解できることがわかっている。チンパンジーですら持たない、犬特有の能力だ。また、犬は飼い主と視線をあわせる」。天下のマックス・プランク研究所の研究結果に“けち”を付ける気はありませんが、指差しや視線の本来の意味を犬は本当に獲得できるのか?
かつて我が家で飼っていた犬(名はピノコ)の能力を幼児期から見いだしていた私は、指差しと視線の意味の獲得を目指して様々な指導を長期に渡り試みました。結果、人差し指をどの方向に向けても即座に床上のエサを探しまわり(指の方向は関係ない)、指先の延長線つまり指先の方向へ顔や視線を向けることはなく私の人差し指をぺろぺろ舐めたり、また見つめ合っている時に視線を遮る物(例えば物差しなど)を空間に置いても、それを避けて再び見つめ合うことはなく、同じ姿勢でじっと座ったままでした。ヒトの乳幼児なら顔をずらすか、遮蔽物を手で払いのけて見つめ合いの視線を保とうとします。これほど賢い犬でも、指差しと視線、見つめ合いの意味の獲得は不可能である、というのが私の研究結果です。私の指導方法が間違っていたとか、元々ピノコは賢くなく並(以下)の能力であったといわれましたが、それはあり得ません。犬はウソをつけるか?についても研究しましたが、その驚くべき結果は次の機会に。

2017.2.6

一般社団法人・大学出版部協会の刊行物、「大学出版」No.108、2016.10の特集は“装幀を考える”です。装幀家、書店員、大学出版局員の方々が、それぞれの立場、思いから装幀について述べており、改めて装幀の奥深さを知りました。特集は学術書の装幀というジャンルでくくられていますが、学術書の装幀については今まで気にすることはほとんどありませんでした。今、手元にある学術書の装幀をつらつらと眺めています。
といって、装幀にまったく興味がなかったわけではありません。装幀のデザインの好みで本を買うことは度々です。特に、装幀家であり、挿絵画家、舞台美術家、日本画家でもある小村雪岱(こむら せったい)による装幀本は好きで、学外での会議が神田の古書店街近くで開催された日は、帰りに小村雪岱関連ものを物色しています。書架に並んでいる版画集も欲しいのですが・・高価で・・・その存在だけを確認し安心しています。

2017.1.30

今週水曜日から2月。3日(金)は節分で、この日を境に冬から春へと季節が移る。4日は立春。気の所為(せい)か、最近、少し日差しが強くなったような・・・。知人から、浅草寺の豆が届く。解説によると浅草寺では観音様の前に鬼はいないということから、「千秋万歳(せんしゅうばんぜい)福は内」と唱えるそうです。何かと争い事が絶えない世にあって、平和を願うよい掛け声です。
3日、ソウル大学校師範大学の学部長先生はじめ、5名の教員が本学を訪問されました。ソウル大学校は師範大学を含め、人文大学、社会大学、自然科学大学、医科大学、美術大学など16の単科大学からなり、韓国最高峰の国立大学として、世界的な研究大学としての地位を確立しています。お土産に、節分に関する由来や各地の風習などについての解説文(英)付きの豆をお渡ししました。

2017.1.23

平成29年初場所は、大関・稀勢の里(田子の浦部屋)が優勝。横綱昇進も決定しました。ここ2~3年、実に柔和で余裕のある表情が多くなってきたと感じていましたが、メンタル面での成長の表れか。小結の頃(だったと思う)、国技館でほんの立ち話し的に言葉を交わしたことがありましたが、生真面目で優しいという印象が強く残っています。来場所からが楽しみです。
季節は大寒。二十四節気の締めくくりで、次は立春です。そろそろ東京地方にも大雪が降る頃。南国育ちの私は雪景色を見るとやたら興奮し、早朝のまだ踏み固まっていない新雪の中を、ひたすら歩き回るのが好きです。昔、盲目の按摩さんは笛を吹きながら町中を歩いていましたが、雪が積もった日は道に迷ったらしい。雪は自然の吸音材で、音をよく吸収します。笛の音の反響で自分の位置を確かめていた按摩さんにとって、反響が少ない雪の日は緊張する日だったのではないかと思います。

2017.1.16

毎年1月は人間ドック月間と決めており、先日行ってきました。人並みに加齢に伴う病気等はフル装備で、これは仕方ないことです。「そろそろ脳ドックも受診したら」と、家人の勧めもありますが、こういう言い方がストレスとなってボディーブローのように身体に効いてくる・・。心配を装った巧妙な作戦か?
週末に、別府市で開催された辟雍会(へきようかい)大分県支部新年会に出席。辟雍会とは、本学同窓会の名称です。小、中、高、特別支援の先生、教育委員会の方々が多くご出席され、主な話題は、教員就職についての情報交換でした。関東圏以外から本学への入学者が減少傾向にある現状(関東圏の大学は同じ状況)について、その改善策を多くの出席の方から頂きました。今後のキャリア支援活動に是非生かしていきます。

2017.1.9

成人の日。当初は1月15日が成人の日でしたが、2000年より1月の第2月曜日に。成人の日といえば、かつては日本ラグビーフットボール選手権大会が1月15日に開催され、大学選手権の優勝チームと全国社会人大会の優勝チームが、日本一を争って闘った日でもありました。日本ラグビー界のスター達の華麗なプレー観戦のため、何回かスタンドへ足を運びました。平尾誠二、松尾雄治、林敏之、宿澤広朗、大八木淳史、今泉清・・・懐かしい。成人式を終えた振袖姿のお嬢さん達との応援は楽しいものでした。
1月14日(土)、15日(日)は大学入試センター試験日。志願者数は全国で57万5,966人、691試験場で行われました。東京学芸大学試験場割当者数は、2,738人。センター試験は全国一律に行われるため、交通機関の運行状況、天気、警備、受験生の救護等、実に神経を使います。今年は大きなトラブルもなく無事終了。受験生の皆様、お疲れ様でした。監督者、試験場本部員も緊張の二日間だったと思います。追試験は、1週間後の1月21日(土)、22日(日)に東日本は東京芸術大学、西日本は京都大学で実施。ガンバレ!!

2017.1.3

明けましておめでとうございます。今年最初の「つぶやき」です。今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
学内の教職員や卒業生から、日本学術振興会(J.S.P.S)のホームページ(https://www.jsps.go.jp/)に掲載の私のエッセイ「私と科研費」について、読後の感想を頂きました。「吸啜」という用語を初めて知った、もっと強く科研費の増額を主張して、P.K. Kuhl 教授なら自分も知っている、等々の感想です。多分、誰にも読まれないだろう、と気楽にエッセイの依頼をお引き受けしたのですが、結構読まれているのですね。科学研究費(科研費)とは、大学、研究機関の研究者が、研究テーマ、研究計画、準備状況、研究の将来性、計画にそった研究費を申請し、日本学術振興会で審査されるものです。採択されると、研究計画の遂行状況、結果の学会等での公表、最終報告書が求められます。研究者にとっては、科学研究費申請が採択されるか否かは自らの研究に大きく影響しますので、申請にあたっては非常に気を遣います。
大晦日の夜の番組で、ピアニストの辻井伸行氏の演奏を聴きました。辻井氏については改めてご紹介するまでもありませんが、全盲でありながら各種のコンクールで受賞された世界的ピアニストです。辻井氏自身の作曲による「それでも、生きていく」が、アンコールで演奏されました。この曲は東日本大震災での被災者への思いを込めて作曲されたものです。「それでも、生きていく」という曲の題目そのものを、昨年は強く意識させられた年でした。

2016.12.26

今年最後の週。相撲部屋の餅つきの案内を頂いたので、久し振りに両国にある部屋へ行きました。紅白のねじり鉢巻きをキリッと結び、まわし一つの力士達による餅つきは、リズム、迫力、勢い、すべてにおいてスケールが違い圧倒されます。つきたての餅とちゃんこ、お酒(少々)頂き、いい気分転換になりました。
当日午後にジャズが趣味の本学教員のライブコンサートが六本木であり、学内のジャズ愛好家6人と聴きに行きました。趣味とはいえプロのシンガー顔負けの歌唱に、すっかり酔い痴れました。今年最後の休日を楽しく過ごすことができたことで、今年はいい年であったことにします。皆様、どうぞ佳い年をお迎え下さい。

2016.12.19

今年の冬至は12月21日。冬至を一年の始まりとしていた古代人同様、私も一年の始まりとしていることについては、昨年、本欄で書きました。さらに、今年は21日であることが嬉しい。何故か・・・○○○だからです。
22日からキャンパス・アジア事業に関する件で、北京師範大学等訪問。キャンパス・アジア事業については先週の本欄で触れました。 北京師範大学と本学との国際交流協定に関しては、1995年6月に締結され、以降、教職員の交流、学生の交流を継続的に実施しており、引き続き交流の促進を図るとともに、大学院レベルの交流活発化や相互の教育の質向上への取組みなどさらなる高度なレベルでの交流について、今後の進め方を確認しました。北京師範大学の組織としては、3つの学部、2つの系、学院は20、研究院は43にも及びます。教員数は2千名。職員を合わせると3千名、学部生が1万人、大学院生が1万2千人、留学生は1600人と、規模の大きい大学です。
この後、北京日本人学校を訪問し、奥田校長、高橋教頭、駒津事務局長と懇談。海外日本人学校の教員として必要な資質・能力としては、まず授業力、教科の指導力である、と言われたのが印象に残りました。また、最近は小中一貫というところも増えており、小学校プラス教科の免許ということで2枚以上の免許取得が望ましいこと、日本語教育、特別支援教育の体制充実を言われました。
次に在中国日本国大使館を訪問し山本公使、横井参事官と懇談。キャンパジアジア事業の採択経緯等の説明、北京師範大学との連携協力に関しての活動報告を行うとともに、引き続き連携への協力・支援をお願いしました。本学の中国における広報活動のあり方について、有益な助言を多く頂きました。
北京到着前の2日間、スモッグで市内の学校は休校になったそうですが、2泊3日の私達の滞在中は快晴で冷気が心地よく、このような天気は非常に珍しいということでした。多分、日頃の・・・・。

2016.12.12

12月13日、The 1st Trilateral Rector’s Forum “Shaping the Future of Academic Mobility Korea, Japan and China”が、韓国・ソウルにおいて開催されました。このフォーラムは、文部科学省の平成28年度「大学の世界展開力強化事業~アジア諸国の大学間交流の枠組み強化~」(キャンパス・アジア(CA)事業の推進)に採択された日本、韓国、中国の大学の関係者が集まり、この事業の発足を記念して開催されたものです。新たに採択された大学は、千葉大、東京大、東京学芸大、東京芸術大、東京海洋大、大阪大、九州大、長崎大、早稲田大の9大学です。今年度から5年間、それぞれの大学が独自の強みを生かした事業を展開していきますが、本学は「東アジア教員養成国際大学院プログラム」事業を推進していきます。
このプログラムは、日本・中国・韓国の教員養成大学の拠点である東京学芸大学、北京師範大学、ソウル教育大学校が協働して、学生の短期留学、交換留学及び本事業期間中に開発を目指す修士課程のダブル・ディグリープログラムの検討を通じて、将来の東アジア地域、さらには世界で活躍できる高度な力量を備えた学校教員、スクールリーダー、教育研究者の養成に資することを目的とし、まずは3大学での先行的取組みを進めるものです。
次世代を担う子どもたちに対する教育の質向上は日本・中国・韓国における共通の大きな課題であり、次世代を担う子どもたちの相互理解を推進するためにも、学校教員には大きな役割が期待されています。12月6日に経済協力開発機構(OECD)が2015年に実施した生徒の学習到達度調査(PISA)の調査結果が公表されました。日本、中国、韓国の子ども達は高いレベルの学力をもっていることが分かりましたが、これからも東アジアとして高いレベルを維持していくことは、我々教員養成を担う大学の大きな使命だと思います。

2016.12.5

師走。12月8日、本学附属国際中等教育学校における教育の充実を図り、将来を担う科学者等の人材育成を促進することにより、教育及び科学技術の発展に寄与することを目的として、国立研究開発法人・理化学研究所(理事長:松本紘・前京都大学総長)と協定を締結しました。
今回の協定締結により、附属国際中等教育学校の生徒に対する理研訪問時の便宜供与や、Super Science High school (SSH)の特別講演等へ理研の研究者等を講師として派遣するなど、附属学校の教育活動と理研の理解増進活動の連携・協力に向けた取り組みの進展等が期待されます。
理化学研究所はご存じのとおり、物理学、工学、化学、計算科学、生物学、医科学などに及ぶ広い分野で研究を進めている、世界的に知られた日本で唯一の自然科学の総合研究所です。研究所には多くの研究センターがあり、脳科学総合センター(センター長:利根川進)にある言語発達研究チーム(チームリーダー:馬塚れい子)と私の研究室とは以前より深い繋がりがありました。現在も卒業生が研究指導を受けながらスタッフとして参加しています。世界中から優秀な研究者が集まり最先端の研究ができるところから、あらゆる研究分野において多数の大学院生が全国から集まっており、本学学生も積極的な参加を望みます。

2016.11.28

「本学附属高等学校に関して報道されている事案について」という見出しで、本学教職員の懲戒処分に関する記事がホームページに掲載されています。改めて本欄においても同一文を以下に掲載いたします。この件につきましては、多くの方々にご心配、ご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫びいたします。

教職員の懲戒処分について

 このたび、本学附属高等学校においていじめ事案が発生しました。それに対する大学・高校の対応が不適切であったこと、また、いじめ事案の事実を把握した時点でいじめ防止対策推進法28条に基づく重大事態として、文部科学大臣に報告すべきところ、大幅に報告が遅れたことが判明しました。
 このことを受け、平成28年11月28日付けで大学関係者5名を懲戒処分といたしました。
 このような状況を鑑みて、学長として自らを戒め、今後の大学運営を適切に行っていくべく、給与の10分の1を3ヶ月返納するとともに、4人の理事についても、それぞれの給与の10分の1を1ヶ月返納する措置をとることといたしました。
 教員を養成している大学、その附属高等学校として、このような事態を招いたことについて、心よりお詫び申し上げます。
 今回のようなことは決してあってはならず、今後、教職員に対して法令遵守の徹底、児童・生徒の側に立った附属学校運営を行っていくよう指導していく所存です。

平成28年11月29日
国立大学法人東京学芸大学長
出 口 利 定

2016.11.21

23日は勤労感謝の日。翌24日に本学永年勤続者を表彰しました。勤続20年おめでとうございます。今年度の対象者は20名で、内訳は大学教員が10名、附属学校教員が1名、事務系職員8名、調理師1名でした。大方の方が平成8年に本学に着任された方です。平成8年(1996年)は、ペルー日本大使公邸人質事件、インターネットが一般に普及しはじめ、アトランタオリンピック開催、さらには女子高校生が大変元気があった年で、ミニスカート、ルーズソックスが大流行した年でもありました。今から思えば遠い過去のような、またつい最近のできごとのような気がします。 24日は朝から雪。11月に東京都心で初雪が観測されたのは54年ぶりで、1962年以来です。雪はこれからめでたいことが起きる、あるいは人に幸運を運ぶ縁起もの。当日に表彰された方々の前途を、初雪も祝福してくれました。

2016.11.14

一週間前に「立冬」に入り、次の二十四節気は「小雪」。本格的な冬の到来です。街中ではクリスマスソングが響き渡り、七五三のお祝いで氏神様詣での親子にすれ違います。 11月11日は「きりたんぽの日」。米をよく練ってそれを棒に巻き付け、囲炉裏の火にかざして焼かれている姿が1111に似ているというところから、11月11日を「きりたんぽの日」と決めたとか。秋田市に住む卒業生から「きりたんぽ鍋セット」が届く。地鶏肉、せり、ゴボウ、舞茸、長ネギ、油揚げ等を特製スープで煮込んだ鍋のなかから、形崩れ寸前のアツアツのきりたんぽを取り出し、冷えた新酒(しぼりたて)と共に頂く・・・・これ以上書くと不味くなるので止めます。

2016.11.7

11月12日、本学連合学校教育学研究科(博士課程)の創立20周年記念式典が挙行されました。来賓として文部科学省から義本博司・大臣官房審議官、兵庫教育大学から福田光完学長および松村京子連合学校教育学研究科長にご臨席頂きました。さらに、見上一幸・宮城教育大学長はじめ、田上良一・神奈川県教育委員会教育局長、そして本研究科構成四大学の元学長先生および元研究科長の先生方にも多数お出で頂きました。
本研究科は、平成8年4月に、「大学における教員養成の充実と学校教育の発展をめざして、我が国で初めて教員養成系大学・学部に設置された博士課程」として埼玉大学、千葉大学、横浜国立大学、東京学芸大学を構成大学とした、連合大学院です。
以来、この20年間、「広域科学としての教科教育学」という、新しい学問分野の確立を目指しつつ、学校教育に関わる様々な課題の解決を目指して、博士課程における教育および研究活動を鋭意続けてまいりました。その成果は、これまでに360名を超える修了生を世に送り出し、その約8割は博士の学位を取得され、研究者としての就職率は6割を超えています。教員養成系大学の研究後継者の育成という本研究科の趣旨は、相当程度達成していると思います。これも、埼玉大学、千葉大学、横浜国立大学、そして本学の4大学が、それぞれの人的資産を十分に活用し、有機的に繋がり、教職員の方々が熱心にご指導頂いた賜物であります。
当日はゆかりの皆さんが大勢お見えになり、これまでの奮闘を改めて振り返り、成果を共に喜びました。

2016.10.31


前回の号(10月27日)の時点では、平成28年度プロ野球日本シリーズの優勝は決定していませんでしたが、北海道日本ハム(パ・リーグ優勝)が広島(セ・リーグ優勝)に4勝2敗で勝ち優勝しました。栗山監督、おめでとう!
11月4日(金)~5日(土)、平成28年度・第2回国立大学協会総会が北海道小樽市で開催されました。新学長の紹介に続き、事業報告、活動状況、国立大学法人を取り巻く諸課題等についての協議、文部科学省との意見交換が行われました。今回は特に高大接続改革の一環である「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」のあり方について、熱い議論が文部科学省との間に繰り広げられました。議論の内容については既に新聞等で報道されていますが、記述式導入の意義、評価すべき能力や作問の構造、採点方法、実施時期等について、課題は多く残されています。
情報交換会では開催幹事校の小樽商科大学・和田健夫学長の挨拶があり、そのなかで改めてプロ野球・北海道日本ハムの監督が国立大学出身であることが紹介されました。その国立大学=東京学芸大学である、と言及して欲しかったのですが・・。来年度の本総会開催幹事校は広島大学。広島大学・越智光夫学長からは、来年こそは日本シリーズで地元・広島が優勝し皆さんと共にお祝いしましょう、との挨拶がありました。

2016.10.24


プロ野球日本シリーズ(SMBC日本シリーズ)は、第5戦が終わった段階(10月27日)で、日本ハム(パ・リーグ優勝)3勝、広島(セ・リーグ優勝)2勝で、日本ハム優勝に王手がかかりました。10月27日昼前の民放ラジオ局の番組(対談)で、教員養成大学としての東京学芸大学を紹介する機会に恵まれ、そのなかで日本ハムの栗山英樹監督のことが話題にのぼりました。東京学芸大学の卒業生は学校教員のみならず、あらゆる分野・領域において指導者、教育者、演奏家、アスリート等として活躍しており、その例として栗山監督を紹介した次第です。進行役の方(パーソナリテイ-)は、栗山監督が東京学芸大学出身であることをご存じではなかったようでした。ひいき目かもしれませんが、栗山監督の選手育成、選手起用、試合采配は他球団の監督とはちょっと異なり、教育者としての視点が随所にみられると思いますが、如何でしょうか。
改めてラジオ電波にのった自分の声を聞きましたが、潤いのない貧弱な音色に愕然としました。日頃から他人の音声を評価し何かとイチャモンをつけていること、深く反省します。

2016.10.17


10月13日、第9回日韓教育大学学長フォーラム(犬山市)が開催され、韓国から12教育大学、日本から11教育大学が参加しました。(1)テーマ:教員養成の高度化とコアカリキュラムについて、兵庫教育大学(日)、京仁教育大学(韓)からそれぞれの大学の特色やカリキュラムの説明があり、(2)テーマ:日韓で交流すべき教員養成プログラム、について福岡教育大学(日)、済州大学校(韓)から交流プログラムとプロジェクト・事業の具体例の紹介がありました。ICT、グローバル化時代を反映して、日本、韓国の国際交流の促進、英語教育のあり方について、熱い意見交換が交わされました。
10月17日~18日、第11回東アジア教員養成国際シンポジウムが中国・武漢の華中師範大学で開催されました。華中師範大学の楊・学長からはテーマの趣旨である「インターネット時代における教員養成の革新」について、当大学の取組の詳細な説明がありました。基調講演では、「今後5年間の中国における教員養成政策及び戦略」と題して、中国教育部(日本の文部科学省に相当)から教員養成政策及び戦略に関する9つの重点政策項目が紹介されました。このシンポジウムでは、主として大学院博士課程レベルの学生の研究発表(ポスター、英語使用)のセッションもあり、本学からも5名の学生が参加しました。
台湾、モンゴルを含めた東アジア地域の教員養成大学が抱える課題はかなりの部分が共通しており、学生、教員の留学・学術交流をとおして課題解決に向けた情報交換を密にすることが確認されました。

2016.10.10


体育の日。本来は10月10日と決まっていましたが、2000年から10月の第二月曜日に。今年は10月10日が第二月曜日にあたり、両者が重なったことがどういう訳か嬉しい。
今週半ばから来週にかけて、名古屋、富山、中国・武漢での会議出席のため連日の出張が続きます。うち2つの会議においては、韓国、中国、台湾、モンゴルなど東アジア地域の教員養成大学の総長、学長が集まり、それぞれの国の教員養成の課題、相互の大学の学生交流、学術交流について討議するものです。グローバル化が加速度的に進むなか、他国との情報交換は一層重要な機会となってきました。

2016.10.3


今年のノーベル医学・生理学賞の受賞者に、大隅良典・東京工業大学栄誉教授が選ばれました。大隅教授については、しばらくは様々なマスコミを通して功績、人柄、生い立ちなどが紹介されることでしょう。受賞のニュースを聞いたとき、大隅教授の研究について何かの雑誌で読んだ記憶があり、その記事が掲載されている雑誌名をなかなか思い出せずにいましたが、やっと探し出すことができました(ちょっと時間がかかりすぎ)。「生命の内と外 ‐ホメオスタシスの謎‐」(考える人、新潮社、2014年夏号)という題で、著者は細胞生物学者・歌人の永田和宏氏でした。「細胞内のリサイクル」「自分を食べる」など、受賞後に大隅教授の研究紹介で何回も出てきたキーワードが、記事の中でも多く使われていました。
同世代の分子細胞生物学者7名との楽しい交遊も紹介されており、サイエンスということについて、永田氏の考えが興味深い・・「7人全員が60代であり、酒が飲め、話が面白いことが勝手に決めた会員の条件であるが、サイエンスの講演のあとは、温泉などで酒を飲みながら、サイエンス以外のさまざまについて朝まで話がはずむ。いい仲間に恵まれ、いい時間を過ごす、そんな気の置けない仲間を持っていることもサイエンスをやっている喜びであり、醍醐味なのである。サイエンスはなにもデータだけの世界ではない。サイエンスという入口を通して、何より人との出会いにこそ喜びがあるのだという点に関しては、人生そのものでもあるのである。」

2016.9.26


9月も終わり。今月はすっきりしない天候が続き、中秋の名月も無月に終わりました。秋の味覚、秋刀魚・ホタテと新米が岩手県・宮古市および静岡県・裾野市の知人、卒業生から届く。秋刀魚の塩焼き、ホタテの刺身に新米・・至高の組み合わせです。
24日(土)、兵庫教育大学連合学校教育学研究科創立20周年記念式典に出席。兵庫教育大学を基幹大学として、上越教育大学、岡山大学、鳴門教育大学の4大学の連合研究科として発足しました。教員養成系大学としては日本で初めて設立された博士課程です。同じく、東京学芸大学の博士課程も同時期に設立され、今年11月12日に創立20周年の記念式典を開催します。
東京国立博物館の銭谷眞美・館長を訪問。銭谷館長は元文部科学省事務次官で、最近の東京学芸大学の教員養成事情について歓談。多岐に亘る話題に瞬く間に時間は過ぎました。東京国立博物館の初代館長は、薩摩藩第一次英国留学生(1865年)の一人で、ロンドン大学のユニバーシティカレッジで学んだ町田久成(まちだひさなり)。今年2月にロンドン大学訪問の際、大学構内に留学生一行の名前を刻んだ石碑を見学しました。町田の他に、五代友厚、森有礼、村橋久成、寺島宗則・・・今日のグローバリゼーションの礎を築いた19名の名前がありました。

2016.9.19


敬老の日。「100歳以上最多6.5万人 46年連続増、女性が87%」とは日本経済新聞9月19日夕刊の見出しです。正確には6万5692人。100歳以上の人口の統計を取り始めた1963年(昭和38年)には、たった153人でした。私が中学生で東京オリンピック開催の1年前の年です。以後の推移をみると、1990年代半ばから急激に増加していることが分かります。そもそもヒトは何歳まで生きられるのか?この疑問が時々頭をかすめます。寿命、年齢を意識する年頃になりました。
我が郷土の先輩に、泉重千代(いずみしげちよ)という名前の方がいました。ご存知の方も多いと思いますが、1986年2月21日に亡くなられました。泉さんは平成7年(1995年)までは、世界最長寿(120歳)ということでギネスに認定されていました。しかし、長寿で有名になった一方で、その出生の日付をめぐって疑問が提出され、結果的には認定は取り消されることに(2012年版からギネスブックに掲載されていません)。長寿世界一といわれている頃にはマスコミ等に盛んに取り上げられ、有名な話として、好きな女性のタイプを聞かれた時の答えが「自分は甘えん坊なので、年上の女性がいいなあ」。ユーモアも長寿の秘訣かと思いましたが、この逸話についても?があります。
佐藤真一・著「ご老人は謎だらけ 老年行動学が解き明かす」光文社新書、が面白い。私の授業でも使っていました。「あなたは、ご老人をみたときに「なぜ、あんなことをするのかな?」と、思うことはありませんか?たとえば、もう先が長くないのに、そんなことは気にもかけず、毎日楽しく暮らしている人。誰が見ても反射神経や判断力が低下しているのに、頑(かたく)なに車の運転をやめない人。些細なことでキレ、頭から湯気を出して怒っている人・・・・ご老人たちの行動は、謎だらけです。しかし、彼らのこのような行動には、実はそれなりの理由があります。・・「はじめに」より抜粋」。そのとおりです。ご老人の行動にはそれなりの理由があるのです。謎めいた行動しても優しい眼差しで見守ってください。

2016.9.12


久し振りに地方で開催された学術学会に出席しました。学会では準備委員会が企画した特別の講演があり、以前から関心をもっていた内容だったので、それも聴きたくて出席した次第です。演題は「文化の伝承者・瞽女たちの世界 ― 強く生きた小林ハル ― 」。講師は元NHKチーフディレクター・瞽女文化を顕彰する会理事の川野楠巳(かわのくすみ)氏です。瞽女(ごぜ)については、水上勉による「はなれ瞽女おりん」、およびその映画化によって広く知れ渡りましたが、講演での学術的資料をもとにした歴史、活動の実態、民俗芸能としての芸術性、瞽女社会の戒律などについての解説は興味深いものでした。以下は川野氏の解説文からの抜粋です。
「瞽女とは、昭和初期まで盲目の女性たちが3~4人で組を作り、農村の奥地まで訪ねて、身につけた三味線芸を披露して歩いた人たちのことをいう。瞽女が訪れた村にとっては、その日はハレの日である。彼女たちが持ち込む芸によって、やすらぎと娯楽を得た。期待し待ち望んでいる村人のために、彼女たちは盲目という障害にも負けずに、ひなびた山村の奥まで杖を頼りに出かけ、村人たちに喜んでもらえる芸を披露することに生甲斐を見出していた。そこに、瞽女という独特な芸能が生まれた。(略)瞽女たちが聞かせてくれる三味線芸は、物語性のある古浄瑠璃の段物を中心に、都会の流行り歌(はやりうた)や民謡など。そのほか、地震・災害・心中事件などのニュース性のある話題を歌い込んだ「口説き(くどき)」で、遠く離れた地方の動きを知った。また瞽女たちが此処に来る途中で出会った「隣の村の庄屋さんに嫁が来た」といった出来事も知らされた。いうならば瞽女は芸能と情報という文化を村にもたらした。そのうえ、目の見えない女性が、峠を越え、谷川の一本橋を渡りこの村まで来てくれたのは、神様が彼女たちを護っている、瞽女には神が付いているという畏敬の念で迎えた。だからその労をねぎらうために、お初穂を差し出し、果物をもいで差し出し、僅かなおひねりを出した。こうしてお互いに自分が持っている芸と、出来る限りの布施を差し出して、心が通った豊かなひとときを作り出す。この主役となったのが瞽女である」。
川野氏の抑制の効いた穏やかな語り口、瞽女社会の厳しい掟と極限の生活、幼いながらも掟に背いたとして受けた過酷な罰・・・聴きながら涙もでました。

2016.9.5


「薩摩の小舟 巨大戦艦討つ」。9月6日(火)の朝日新聞22面に大きく出ていた見出しです。一瞬、江戸末期の薩摩藩と外国との戦闘のことかと思いきや、小舟=鹿児島実業高校、巨大戦艦=東海大相模高校、この両校が第52回全国高校野球選手権大会(1974年)でベスト4進出を賭けて延長15回を闘った試合のことでした。この試合で東海大相模の原辰徳(1年生)、鹿児島実業の投手・定岡正二(3年生)は一躍有名になり、後に二人とも巨人にドラフト一位で入団。この試合の名場面は34回にわたって10月22日まで同紙に連載されています。本欄8月8日号で、私が1年生の時に母校が神奈川代表に負けた恨み?から、今度、甲子園に出場の際は神奈川代表と初戦で対戦しサヨナラ勝ちしたいと書きました。対戦希望相手校は、横浜、慶応、桐蔭、桐光・・を挙げましたが、1971年の大会の準々決勝でも母校は神奈川・桐蔭に1対0で負けました(この年は桐蔭が優勝)。今や鹿児島の高校野球のレベルも、手漕ぎの小舟から最新鋭の戦艦に成長したことをお見せしたい。
なお定岡家は我家と同じ町内会にあり、定岡3兄弟は野球が上手なことで近所の子ども達の憧れの的でした(3人ともプロ野球選手)。

2016.8.29


迷走台風10号は東北、北海道に大きな災害をもたらしました。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。台風は8月31日に温帯低気圧に変わりましたが、これから被害の全容が明らかになってくると思います。本学在籍の学生で実家等が被災し、経済上の問題が生じている方は是非ご相談下さい。
二百十日(にひゃくとおか)。立春から数えて二百十日目で今年は8月31日がその日にあたりました。昔から二百十日前後は台風が来る確率が高く、暴風雨による被害を食い止めるための心構えとして命名されたものと思われます。越中八尾おわら風の盆は、今や観光名物となりましたが、丁度この時期の台風による風害防ぎと農作物の成長を祈る風鎮めの祭が、盂蘭盆の行事と重なったものです。「風の盆」という言葉には雅な響があり、三味線、太鼓、胡弓の音が一層その感を強くします。

2016.8.22


夏休みも終盤。小学生にとっては、そろそろ宿題が気になる頃か。小学校高学年を過ごした鹿児島県・甑島(こしきしま)では、この時期、磯の岩場で夢中でタコ捕りをしていました。手のひらにすっぽりと入るほどの大きさのタコで、岩の隙間や穴に隠れているところへ灰を吹きかけると、(多分)ビックリしてそろりと出てきたところを捕まえるのです。茹でて食べると磯の香がほんのり漂い、実に美味しい。でも、灰が無くなったらどうするか。島の言い伝えでは、オシッコを振りかけると灰と同じ効果があると言うことでしたが、確かにその通りでした。灰もオシッコも尽きてしまったところで漁は切り上げ。湯気を発して夕食の卓にまるまっているタコを美味しそうに食べている両親に、第2の漁法までは説明できませんでした。
リオデジャネイロ五輪は数々のドラマを残して幕を閉じました。高校野球は作新学院が優勝。高校野球の解説者には個性的な方が多く、今回の決勝戦を解説された鬼島一司氏も、私にとっては印象に残る解説者でした。この大会を最後に、解説者を退任されるとのこと。最後のご挨拶を述べられる際には目が潤んでおられたような・・・慶応義塾大学野球部の監督として、神宮球場で指揮を執られていた頃の姿が懐かしい。
来週には2学期も始まります。31日の一家総力戦で臨む宿題仕上げも、家族の絆を深める良い機会と捉えれば楽しいもの。徹夜で頑張って下さい。

2016.8.15


残暑です。猛暑日(一日の最高気温が35℃以上の日)という語は、2007年から使用され、それ以前は真夏日(一日の最高気温が30℃以上)という語しかありませんでした。30℃以上の日がそれ程多くは無かったのでしょう。この夏も猛暑日の連続でしたが、やがて40℃を超す日が続くようになるのも時間の問題と思います。その時、使われる語で雰囲気をよく表している語は?「灼熱日」と考案された方もいましたが、激暑日、爆熱日、炎上日、外出禁止日・・・考えておきましょう。

2016.8.8


リオデジャネイロ・オリンピックでの日本選手団の活躍が素晴らしい。柔道、体操、水泳、卓球・・これから始まる陸上も楽しみです。新しく種目に加わった女子ラグビーの日本代表に、本学関係者二人がメンバーとして出場していることはこの欄でお知らせしました。試合の全日程を終え、日本代表は9位/10位決定戦でブラジル代表に敗れ、大会を10位で終了しました。小出さん、谷口さん、本当にお疲れ様でした。まずはゆっくりと休養を。日本女子ラグビーの黎明期として、お二人の名前は多くのファンの記憶に残ったことと思います。
甲子園球場も熱い闘いが繰り広げられています。我が母校も一時期強い時代があり、私が1年生の夏、県代表として出場しました。県大会を無失点で勝ち抜いた投手を擁し、甲子園の初戦では2本のホームランがでましたが、9回裏に逆転され惜敗。相手校は神奈川県代表の武相高校でした。その後、数回、甲子園出場を果たし、準々決勝まで勝ち進んだ年もありました。今はやや低迷気味ですが、やがては・・と信じています。そして初戦では、是非とも神奈川県代表(横浜、慶応、桐蔭、桐光・・・)と対戦し、9回裏に逆転サヨナラ勝ちといきたい。

2016.8.1


猛暑日続きで、各地から30度半ばの気温が報告されています。とは言え、季節はもうすぐ立秋です。七十二候では、「立秋」の初候「涼風至(すずかぜいたる)」です。
かつての同僚が、研究室の学生達とゼミ合宿の一環で日光へ伺うとのことで、誘われて一晩お邪魔することに。久し振りに現役学生との懇談で楽しい時間を過ごしました。4年生主体の人員構成であったため、卒業論文や進路、人生設計等の話題で時の経つのも忘れ談論風発、酔いも手伝って何時に床に就いたか記憶に無い。
日光辺りでは赤とんぼが飛び交い、力強くわく入道雲がある一方、ときおり鰯雲がまじるようになり、微かな秋の気配も感じました。今の時期、野鳥の鳴き声が耳に心地よく、その鳴き声から野鳥の名前を当てるのは私の特技(と自分では思っていますが)です。家人から、今の鳴き声は?とよく聞かれます。大体は分かりますが、時には?もあり、その時はニワトリ、カラス、ウグイス、スズメ以外の鳥の名前を適当に、あるいは即興で組み合わせて言っておけば、十分に納得してもらえるので助かります。草花の名前がなかなか覚えられない私が、唯一、優位に立てる瞬間です。

2016.7.25


小・中学校は夏休み。小学生の頃は、夏休みは気が遠くなるほどの長さに感じていたが、現代の子ども達にとっては、如何ほどの長さでしょうか。塾、習い事で忙しいかな?
以下は、文芸評論家・斎藤美奈子氏の記事(2004年8月28日の朝日新聞夕刊)です。


「不覚にも陸軍の兵隊に包囲されたが、戦争に敗れたわけではない」。小学四年生の子どもがいきなりこんなことをいいだしたら、親は思わず「熱があるのか」と子どものひたいに手を当てるだろう。しかし、子どもはひるまず、「熱帯の気候を愛好している」「祝い事には松竹梅が必要だ」と発熱を歓迎するようなことをいう。あわてる親に子どもはさらに衝撃の事実を告げる。「低い給料で学費が足りず、借金をした」借金って・・・あんた!? 
まーあんまり引っ張るのもナンなので、タネを明かすと、以上の文章は小学生用の漢字ドリルに載っていた例文である。・・・・最初にあげた四つの例文は四年生までに習う漢字だけで構成されていて、これらの読み書きさえマスターすれば四年生の漢字はバッチリ。熟語もいっしょに勉強できるのだ。ただ、その無理が、文章に多少たたるのはやむを得ない。
「郡の名士の夫人が、像の出産に協力してくれた」「尊敬する将軍が、城で注射をした」など、前後が気になる話は数知れない。このドリルの主人公はまた反骨精神の持ち主で、「委員会で、世界中の人の平等の問題について、意見を言ったが反対された」のが三年生のときならば、五年生で、「武力を使う圧政に対して、再び非暴力で立ち向かった」りもし、六年生ではついにこんな叫びまであげる。「聖域なき改革で民衆に激痛が走ることに異論がある」おおおおお。おもしろいのは漢字、国語、それとも日本語?夏休みも終盤。子どもが謎めいたことを口走っても、漢字ドリルの音読ですから気にせずに。


我が家の孫達には、むしろ謎めいたことを心置きなく、大いに口走ってほしい。喜んで激励したい。斎藤氏が挙げた漢字ドリルについて、書店で確かめてみたが、それほど前後関係が気になる例文は少なかったように思います。しかし、小学校高学年では結構難しい漢字を習うのですね。

2016.7.18(海の日)


7月16日、日本ラグビーフットボール協会からリオデジャネイロ五輪・女子7人制ラクビーの日本代表選手団12名の発表があり、小出深冬(こいでみふゆ、G類生涯スポーツ専攻3年)さんと、谷口令子(たにぐちのりこ、凸版印刷株式会社、平成27年B類保健体育専攻卒業)さんが選ばれました。本学の現役学生の夏季五輪出場は初めての快挙であり,卒業生は2008年の北京五輪以来の出場となります。2人の五輪出場を祝し五輪での活躍を期待して,7月23日(土)、17時00分~、S410教室にて激励会を開催することにしました。多くの学生、教職員の方々のご参加をお願い致します。6月27日号で、同じくリオデジャネイロ五輪・女子1万メートルに出場の鈴木亜由子さんを紹介しました。小金井市に縁のある3人が五輪出場ということで、西岡真一郎・小金井市長さんからお祝いの電話を頂きました。
 同じく7月23日(土)に、オープンキャンパスを実施致します。東京学芸大学への入学を希望されている方、関心のある方、保護者、進路指導担当者・・・是非お出で下さい。毎年、9千人ほどの来場者があります。詳細については、本学HP をご参照下さい。

2016.7.11


集中豪雨、鉄砲水、土砂崩れ・・梅雨明けを前に各地から被害が報道されています。特に熊本地震の被災地の方々には、一段と厳しい状況が続いています。
さて、去る7月10日に教員採用試験を受験された皆さん、試験はいかがだったでしょうか。
私も東京都の試験問題(教職教養)にチャレンジしてみました。
第25問。平成27年度における文部科学省の施策等に関する記述として適切なものは、・・・、「国公私の設置形態を超え、地域や分野に応じて大学が相互に連携し、社会の要請に応える共同の教育・質保証システムを構築することにより、強みを活かした機能別分化と教育の質保証を推進する「スーパーグローバル大学創成支援」を実施した。」
これは×ですね。「大学間連携共同教育推進事業」が正解です。うまくいった人も、うまくいなかった人も、気を抜かずに、すぐに2次試験に向けて準備を進めてください。
7月4日号で参議院議員通常選挙での投票を呼びかけましたが、有難いことに朝日新聞などにも取り上げられ、大きな反響を呼びました。ところで、本学には留学生や外国籍の生徒・学生もおり、彼らは投票することができません。これは有権者が日本国籍保有者に限られているからです。これに対して、誤解されていることが多いのですが、都道府県などの教員採用試験は留学生や外国籍の学生も受験できます。とりわけ広島県教育委員会では、国際化に対応する教育を推進する観点から、外国人留学生を積極的に採用しています。▶広島県教育委員会ホームページ「平成28年度広島県・広島市教員採用試験について」本学もグローバル化や多文化共生教育を積極的に進めているところですが、ぜひ留学生や外国籍の学生も教員採用試験を目指し、学校におけるグローバル化、そして多文化理解を促進する人材として活躍してほしいと考えています。

2016.7.4


今年も半年が過ぎました。そろそろ各地から梅雨明けの報が届く頃。今週末9日、翌10日は浅草寺境内で「ほおずき市」が開催され、本格的な夏の到来です。7月10日、この日に観音さまにお詣りすると、四万六千日間お詣りしたのと同じご利益(功徳)があるとされています。学生の時、浅草寺の近くでアルバイトをしていたこともあり、今でも毎年、この日は「ほおずき市」の人波にもまれながら参拝に出かけています。四万六千日と言えば約126年に相当し、人の一生にとっては、十分すぎるご利益が得られます。が、まだその効果はみられず・・
今年の7月10日は、別の意味で特別な日です。2015年6月17日に成立した公職選挙法改正により、選挙権年齢が20歳以上から高校生を含む18歳以上に引き下げられてから、初めての国政選挙となる第24回参議院議員通常選挙の投票日です。学生、そして18歳となった附属高校・附属国際中等教育学校の生徒の皆さんは、主権者として選挙権を有していることを自覚され、ぜひ選挙へ行き投票しましょう。当日、予定がある人は期日前投票を利用してください。
7月10日は東京都等の教員採用試験でもあります。受験される学生、卒業生の皆さんのご健闘を心よりお祈りしております。試験終了後、午後8時まで投票は可能です。教員として主権者教育を担う皆さんには、ぜひ投票参加されるようお願いします。
総務省ホームページにおいて、本選挙における特設ページが開設されています。是非参考にして下さい。高校生から選挙権を有することになり各種の啓蒙活動も盛んですが、本学・斎藤一久准教授が「高校生のための選挙入門」(三省堂)(http://www.u-gakugei.ac.jp/book/)を上梓されました。「高校生のための・・」と題してはありますが、内容は一般の私達にも改めて選挙とは何かを、多くの事例をもとに解説してあります。ご一読を勧めます。

2016.6.27


リオデジャネイロ・オリンピック(8月5日~8月21日)の代表選考会を兼ねる陸上の日本選手権が、6月24日から開催されました。多くの種目で内定者が出ましたが、女子1万メートルには、日本郵政グループ所属の鈴木亜由子さんが内定しました。鈴木さんについては、去る6月22日、25日の朝日新聞報道をご覧下さい。「素顔のアスリート」と題して、これまでの鈴木さんのアスリートとしての歴史が紹介されています。見出しには、〈陸上女子長距離エースの鈴木亜由子。低迷の時代もあった。リオへ高橋監督と復活の道を走る〉、〈何度も故障の鈴木、何度も廃部の高橋監督、プラスに変える二人三脚〉とあります。鈴木さんについては、これからも折に触れ見聞することが多いと思いますので詳細は省略します。その鈴木さんと高橋監督が、本学の繁田教授・陸上部監督(繁田教授については5月30日にも記載)と共に28日、ご挨拶に来られました。日本郵政グループの寮が小金井市にあり、練習には本学の競技場トラックを使用されていることから、以前からこの日程でお二人との対談が企画されてはいました。対談の様子・内容については、近々にホームページにアップします。
鈴木さんが日本選手権の1万メートルで優勝されたときの記録は、31分18秒73。もし私が鈴木さんと同時にスタートしたとして、どこまでついて行けるか試算してみました。当然ながら私は全力疾走となりますが、なんとか45m~50mまでは並走できそうです。それ以上走ると医療班のお世話になりますが、日本のトップランナーに10km走のスタートから50m位まではついて行けることに、ちょっと自信をもちました。

2016.6.20


福島県猪苗代町と地域連携に関する協定を締結しました。協定の内容は、幼児教育から生涯学習まで、猪苗代町がもつ特色・強みを生かした一貫した教育モデルを構築するため、相互に連携し、もって地域貢献及び教育の充実・発展を図るというものです。前後公(ぜんごひろし)町長、土屋重憲教育長他、町の教育関係者、産業界の方々と懇談会をとおして、これからの猪苗代町の将来像を語りました。少子高齢化、過疎化が進む地域ではありますが、まずは子どもたちが楽しく元気一杯に過ごせる学校生活、安心して子育てができる地域の在り方を東京学芸大学が持つ資源を最大限に生かしてアイデアを出し合い、考えていきたいと思います。
猪苗代町は細菌学者・野口英世の誕生の地です。野口英世については、今更言うまでもありませんが、強く印象に残るのは母・シカが留学中の英世に宛てた一通の手紙です。文字の読み書きが満足にできなかったシカは国家試験(産婆)受験に際し、必死に文字を学びましたが、手紙をみると十分に習得していたとは思えません。しかし、子どもに対する母親の想いは伝わってきます。たどたどしい筆跡、誤字、当て字の漢字など多くみられますが、教養あふれる母親だったのではないでしょうか。

2016.6.13


作曲家・冨田勲氏ご逝去。15日にお別れの会。テレビ番組「新日本紀行」、「きょうの料理」のテーマ音楽は、冨田氏が作曲された数多くの曲のなかでも、私にとっては特に印象に残る曲です。「新日本紀行」は1963年から1982年にかけて日本各地の原風景を訪ね、そこに住む人々のドラマ、風土記を丹念に追ったドキュメンタリーでした。現在は「新日本紀行ふたたび」という番組名に替わり、「新日本紀行」でかつて取材した土地を再訪し、当時と現在の映像を重ね合わせて変貌を見つめる内容となっています。映像とテーマ音楽がうまく一致していると思います。「きょうの料理」は、包丁がまな板を叩く音をイメージしたマリンバの軽やかなリズムが素晴らしい。これを台所でBGMとして流すと、当然ながら一層美味しい料理ができると思うが、余計なお世話か・・。私はこの曲を一時期、携帯の着メロにしていました。
ラジオ、テレビ番組のテーマ音楽には、他にも名作とされているものが多くあり、私が挙げるとしたらラジオ番組「ひるのいこい」(なんと1952年放送開始)、「新日曜名作座」(共に古関裕而・作曲、西田敏行と竹下景子の朗読が見事)、大河ドラマ「赤穂浪士」(芥川也寸志・作曲、1964年放送)。いずれもYouTubeで試聴可能です。是非。

2016.6.6


梅雨入り。保育園の送り迎えか、朝夕の自転車に乗った親子にはちょっと厳しい季節です。雨ニモマケズ・・頑張れよ、と声を掛けたくもなります。一方、農家にとって梅雨はありがたい季節。北関東の田圃は田植えが終わり、今は25㎝位に成長した苗が風にそよいでいました。田植えの経験は小学校4年生を最後に、その後なし。今のような機械で田植えなど、当時は想像すらしませんでした。秋の収穫まで農家には気の休まる日は無いでしょうが、美味しいコメを期待しています。6月18日は「おにぎりの日」。おにぎり男子?を自認する私の昼食はほぼ毎日おにぎり1個です(単位は個でいいのか?)。秘書さんが目撃しています。鮭か明太、それがない日は何か適当に・・をできれば新米で包み、さらに外側を薄い昆布で包むのが定番です。色々なおにぎりを試しましたが、私にはこれが一番美味しい。また、他人様のおにぎりを食べるのも趣味です。いつでも差し入れ歓迎です。家人が昼食の弁当を考えるのが面倒でおにぎりに、しかも1個としているのではないかと推測される方もおられよう。が、決してそうではありませんので念のため・・としておきましょう。

2016.5.30


29日、第64回東京地区国公立大学対抗陸上競技大会(町田市立陸上競技場)で職員二人と共に、本学・陸上部員の活躍を観戦しました。レベルの高い競技大会であり、トラック部門、フィールド部門、総合の3部門について男女それぞれの結果が得点化され、優勝を競うものです。昨年度の雪辱を果たすべく選手一同実力を発揮し、自己記録更新、大会新記録が多く出ました。結果は男女ともに3部門において二位以下を大きく引き離して一位、と完全優勝。国際的な陸上競技大会の実況放送等で解説をされている本学・運動学分野・繁田教授の丁寧なご説明付き、という贅沢な観戦でした。本学には全日本級の部員が少なからずいることが分かり、2020年の五輪が楽しみです。
会場となった競技場は町田市野津田という地区にあり、バス停留所名を見て約45年位前にこの地を訪れていることに気付きました。近くに日本聾話学校という日本では唯一の私立のろう学校があり、当時、校長をされていた大島功先生を訪問した時のことです。1961年(昭和36年)から1966年(昭和41年)まで、駐日アメリカ大使を務めたエドウィン・O・ライシャワーの父であるオーガスト・K・ライシャワー博士が、熱病のために幼くして聴力を失った長女が受けた教育を日本でも普及させようと設立されたろう学校です。大島先生は東京大学文学部教授をやめられた後にろう学校長になられた方で、教育全般に通底する教育哲学的な話しには興味を引かれました。日本聾話学校は基本的には残された聴覚を活用した教育を行っていますが、今日では日本のろう学校では手話を積極的に使うところも増え、その効果や言語学的な研究も盛んになりました。

2016.5.23


本学構内の桜が有名なことは、以前この欄で書きました。大学の所在地である小金井市一帯は江戸時代から桜の名所であり、西の吉野、東の小金井と桜番付でも綱を張っていました。ソメイヨシノの寿命は70年前後と言われており、構内の桜もそろそろ植え替えの時期かと、最近は度々話題になっていましたが、とうとう決断を迫られる事態が起きました。それほど強い風が吹いていた訳ではありませんが、一本の巨木が根元から倒れました。幹を支えるほどの根は張っておらず、老衰によるものです。
今後の植栽計画については色々と意見が寄せられています。本学には全都道府県の学生が在籍していることから、各都道府県認定の樹木を同窓会組織(辟雍会・へきようかい)を通して寄付していただき、エリアを設けて植樹する案。同じく辟雍会を通して各地の桜を頂く案・・・他にもいい案がありましたら是非お寄せ下さい。同窓会やそれぞれの専門家の意見を聞き、小金井市との相談等しながら進めていきます。

2016.5.16


人間以外のあらゆる動物が子を産み落とすと、生まれて二四時間もたつと自分の意志で行動するようになる。従って親が子のために教育し訓練しなければならない期間は、極めてわずかであるが、人間の場合は大変違っている。人間の子は、生まれたばかりの場合は、自分の意志で行動することはほとんどできない。やっと自由に歩き回れるようになるまでにも一年以上を費やし、意味の通じる言葉を用いることができるようになるにはさらに一年を要し、自分の力で生活できるようになるには10年を要する。親はその間、絶えず子どもから目を放さず、子どもを守ってゆかねばならぬ。それを怠れば子どもは直ちにしんでしまう。・・・自らはどうすることもできない嬰児にまず食べることを教え、言葉を教え、次には自ら食べることを教える。脱ふん放尿すら、跳びつつ、あるいは歩きつつ行うのではなく、一定の場所で行うようにする。このようにして初めて自立していくことができる。これをシツケと言った。そして日本人は躾(しつけ)という字をつくり出したが、すべての人類が同じようなことを身につけていった。つまり、ひ弱な生きものを自分で生きてゆけるようにしていったのが子の親であって、親は子を育てるために人生の半ばを費やさなければならなかった。(宮本常一・著「見聞巷談」、(八坂書房))から。
昨今は躾という名の下に虐待があり、悲惨な事件がマスコミを騒がせています。躾の形は様々で個性あるものとは思いつつ、親自身が自らを躾ることも必要になってきたようで、と躾不十分の私が言うと物笑いになりそうだが・・・19日、長男に第一子誕生。苦しみ悶え楽しみながら上手く躾てほしい。

2016.5.9


10日、母校の創立記念日で中学生、高校生を対象に、主に東京学芸大学の概要、薩摩藩第一次英国留学生についての話しをしました。薩摩藩英国留学生(1865年)については、ロンドン大学訪問の際、大学構内にある19名の留学生の名を刻んだ石碑について説明して頂いたことに感激して、グローバル化の先駆者という観点から私なりの感想を述べました。森有礼、五代友厚、寺島宗則、村橋久成、長沢鼎・・・そうそうたる人物が並んでいます。母校は島津家の菩提寺・玉龍山福昌寺跡に建てられており、そこから玉龍(ぎょくりゅう)中学、高校という名前が付けられました。この寺そのものは廃仏毀釈によってなくなりましたが、跡地裏手には現在でも広大な墓所があり、島津一族の墓が並んで荘厳な雰囲気が漂っています。観光地でもあり、お近くへおいでの際は是非お寄り下さい。
今年の端午の節句では、鯉のぼりの姿をあまり見かけなかったような気がします。最近は川などにロープを張り、多くの鯉のぼりを泳がせている風景を見かけます。その発祥の地は熊本県杖立温泉の「鯉のぼり祭り」ですが、今年は地震の影響で祭りは延期されました。被災地の皆様には、鯉の滝登りの逸話にちなんで力強く復興されることを祈りつつ、私たちもできる限りの支援をしましょう。

2016.5.2


ゴールデン・ウィーク前半は、泰日協会学校(バンコク日本人学校)との協定署名式に出席、および今後の連携の具体的なあり方について情報交換のためタイへ。出発日の午前中は、元タイ高等教育省長官などをされていたDr. Kanok Wongtrangan(カノク ウォントランガン)先生を団長とするタイ教育省の訪問団が来学され、「日タイ大学生招聘交流事業」による本学学生の見学プログラムの受入れ調整、バンコク日本人学校教員・生徒向けの研修会等について、具体的な協議を行いました。
バンコクでの協定署名式はタイ日本国大使館で行われ、佐渡島大使立ち会いの下、松本茂伸・日本人学校理事長との間で協定書を交わしました。協定の大まかな内容は、帰国子女教育を含む国際化に対応した次世代育成教育を推進する本学と、海外の日本人学校のなかで最も歴史が古くかつ最大規模であるタイ日協会学校(バンコク日本人学校)が連携・協力し、本学が培ってきたノウハウをバンコク日本人学校で実践し、改良を加えていくことによって、日本のグローバル教育のモデルケースを確立することを目指します。これには日本人教員のグローバル化も含まれます。この実践によって得られた成果は、日本国内の学校や他国の日本人学校・補習授業校にも展開することを想定しており、国内外を通じたグローバル人材の育成に大きく貢献するプロジェクトとなることが期待されます。
タイは連日36℃~40℃ の猛暑日で、季節的には最も暑い時期でした。一足早い真夏を経験・・・

2016.4.25


春の各種大学スポーツのリーグ戦が始まりました。先日は、関東一部リーグに所属している本学男子バレーボールの対東海大学戦に誘われ、職員数人と観戦。関東一部リーグには強豪の私立大学がひしめき、国立大学は筑波大学と本学だけです。前日には、やはり関東の強豪・早稲田大学に勝利していたので、今季優勝候補の東海大学戦に期待を込めて応援しました。結果は残念ながら惜敗。しかし、試合運びにかなり粘りが出てきた、という印象をもちました。従来、国立大学の選手は体格面で小柄といわれていましたが、本学チームは、身長200cmをはじめ大型の選手がそろっており、彼らに囲まれると見上げる感じです。
ところで、このような運動部の公式戦の結果や選手の活躍、日頃の練習風景を報じている「学大スポーツ」という新聞をご存じですか?「学大スポーツ新聞社」発行で、既に112号までが発行されています。発行人は、鈴木禹志(すずきひろし)さん。鈴木さんは1937(昭和12)年、東京の中野区生まれ。1955(昭和30)年4月、東京学芸大学入学(甲類社会)。1959(昭和34)年3月に卒業され学習研究社に入社、おもに小学生向けの学習雑誌「学習」の編集に定年まで従事されていました。在学中は学芸大学も毎年箱根駅伝に出場していたため、1年生の時から4年生まで母校のチームを追っかけ応援されたそうです。定年後、本学長距離陣のその後を知りたくて、有吉正博先生(現・名誉教授)をお訪ねしたのが「学大スポーツ」の誕生につながった、と話されていました。ほぼ全ての本学運動部の公式試合を観戦され、結果だけでなく競技中の多くの写真も紙面を飾り、選手の特徴をよく把握された解説記事が目を引きます。日頃の取材の確かさを感じます。今春の選抜高校野球大会に出場した土佐高校(高知)と釜石高校(岩手)の監督が、本学野球部の出身であったことも鈴木さんルートで知りました。去る4月2日の本学主催「お花見の会」に鈴木さんをお招きし、感謝状をお渡ししました。これからも後輩の活躍を広くご紹介して頂きたく、どうぞ宜しくお願い致します。

2016.4.18


広域自然科学講座・宇宙地球科学分野の佐藤たまき准教授が、第36回(2016)猿橋賞を受賞されました。受賞研究題目は「記載と系統・分類学を中心とする中生代爬虫類の研究」。猿橋賞は自然科学の分野で顕著な研究業績をおさめた女性科学者に与えられる賞で、その存在は国内外に広く知れ渡っています。ここ暫くの間、やや重苦しい雰囲気が学内に漂っていましたが、このビッグニュースによって明るい気分になりました。佐藤先生、おめでとうございます。本学では第31回(2011)猿橋賞においても、数学分野の溝口紀子准教授が受賞されています。受賞研究題目は「爆発現象の漸近解析」。猿橋賞の歴史の中で、同一の大学、研究機関から複数の受賞者を輩出しているのは、東京大学、名古屋大学、筑波大学、東京工業大学、東京学芸大学、慶応義塾大学です。大規模の総合大学に比べ、自然科学系の女性研究者が少ない本学において、二人の受賞者を輩出していることは素晴らしいことです。

2016.4.11


先週は学部、特別専攻科、大学院修士課程、教職大学院の課程の入学式に引き続き、大学院連合教育学研究科(博士課程)の入学式、その翌日に附属幼稚園小金井園舎の入園式に出席。式辞とお祝いを述べました。博士課程の入学式では、構成大学を代表して千葉大学・徳久学長からご祝辞を頂きました。最近、入学式における大学長の式辞がマスコミに取り上げられることが多くなりました。今年の特徴として、「グローバル」「留学」「外国語習得」「教養」のキーワードを使われた学長が多かったように思います。時代を反映しています。また、式辞の一部を英語で述べられた学長も・・これからは英語によるスピーチがスタンダードとなるのでしょう。
入園式では、3歳児を前に2分の挨拶。園長先生(岩立京子・教育学講座教授)のお祝いのことばのなかで、「自分は幼稚園のお母さんです」と言われたのをうけて、「私は幼稚園の何でしょうか?」と最前列に座っている3歳児に聞きました。返ってきたのは「オニーサン!」。改めて3歳児の正直さ、気遣いを認識しました。

2016.4.4  入学式


 平成28年度入学式を挙行。学部1,102名、特別支援教育特別専攻科30名、大学院教育学研究科教職大学院の課程38名、大学院教育学研究科修士課程274名のフレッシュマンです。恒例の新入生歓迎講演会では本学卒業生(カウンセリング専攻)で、浄土宗光琳寺・副住職の井上広法氏にご講演頂きました。演題は「未来をつくる四年間の過ごし方」。井上氏はお坊さんバラエティ番組「ぶっちゃけ寺」の立ち上げから関わり、同番組をはじめ様々なテレビやラジオ等に出演されています。実に楽しい講演会でした。
 また、先週は名誉教授称号授与、永年勤続表彰もありました。名誉教授の称号を授与され、平成27年度を以て定年退職された教員は、平野朝久(教育学)、岸学(教育心理学)、大竹美登利(生活科学)、松岡榮志(外国語・外国文化研究)、古田悦造(人文科学)、飯田秀利(広域自然科学)、松川正樹(広域自然科学)、田中喜美(技術・情報科学)、髙澤ひろみ(音楽・演劇)、増田金吾(美術・書道)、大橋道雄(健康・スポーツ科学)、以上11名の教授です。( )内は講座名。また、永年勤続表彰を受けられ、定年退職された職員は、中庭雅行(41年)、花田博(30年)、髙野和夫(41年)、以上の3氏です。( )内は勤続年数。また、勝山浩司・理事・副学長・事務局長も定年退職で、42年間文部科学行政に寄与され、3年7月の間、東京学芸大学に勤務されました。卒業生で上記教職員と関わりのあった方も多いかと思い、お名前を記載させて頂きました。各附属学校園においても定年退職される教職員が多くおられます。本学の運営、教育研究に多大なご尽力頂きましたこと、心より感謝申し上げます。

2016.3.28
 早下隆士(はやしたたかし)・上智大学長のご厚意により、上智大学、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、東京学芸大学の3機関のテニス愛好者30名が集まり、週末の午後をゲーム(対抗戦)で楽しみました。会場となった上智大学真田堀グランドは、江戸城の外堀(真田堀)を終戦後に埋めてできたグランドで、野球、サッカー、テニス、弓道等ができ、丸ノ内線四ツ谷駅から見下ろせる位置にあるのでご存じの方も多いかと思います。一帯は桜並木でも有名で、当日も昼食は桜の下でいただきました。試合前の観桜食事会のためアルコールは控え目でしたが、学芸大学選抜チームの面々は対戦相手となる方々に、しきりにお酒をついでいました。なかなか賢い・・・。キャプテン(=私、と自分では思っているが)の考えをよく察してくれました。
 気になる試合結果ですが、最終の対戦結果次第で順位が変わるという激闘の末、学芸大学チームが優勝。昼食時にお酒を我慢した甲斐があったようです。テニスの後は、大学近くのレストランを借り切っての懇親会・情報交換会。格別に美味しいビール、ワインでした。

2016.3.21
 去る3月15日、本学大学院連合学校教育学研究科博士課程の学位授与式を挙行、27名に博士の学位が授与されました。本研究科は埼玉大学、千葉大学、横浜国立大学、東京学芸大学の4大学で構成され、式には山口埼玉大学長、徳久千葉大学長、長谷部横浜国立大学長にご臨席を賜りました。
 本研究科は、日本で最初の教員養成系の博士課程として、1996年(平成8年)に設置されました。これまでに367名の方が修了され、その約8割は博士号を取得され、常勤の大学・短大の教員として、あるいは研究職に就かれており、殆どの方が教員養成に携わっておられます。現在の日本では文系理系問わず博士号取得後の進路に多くの方が苦労されていますが、本研究科の就職の実績は極めて高く、教員養成にあたる大学や学部の教育研究者の後継者育成という趣旨は、相当程度、達成していると思います。
 また、18日には本学・学位記及び修了証書授与式を挙行しました。学部、専攻科、大学院の各課程別の卒業生、修了生の数は以下の通りです。
 初等教育教員養成課程530名、中等教育教員養成課程193名、特別支援教育教員養成課程43名、養護教育教員養成課程12名、人間社会科学課程90名、国際理解教育課程72名、環境総合科学課程74名、情報教育課程14名、芸術スポーツ文化課程100名、特別支援教育特別専攻科27名、大学院教育学研究科教職大学院の課程40名、大学院教育学研究科修士課程244名。答辞は、学部生を代表して国際理解教育課程欧米研究専攻・田中杏奈さん、特別支援教育特別専攻科並びに大学院教育学研究科を代表して教育学研究科保健体育専攻・齊藤昌幸君から頂きました。
 平成27年の本学卒業生の教員就職率は67.8%で、目標としている70%超は達成できていません。少子化にともない教員養成大学・学部の再編・統合が囁かれるなか、教員就職率は大きな意味を持っています。教員就職率向上のため、28年度も各県教育委員会回り、各種セミナーの開講、各自治体の教員採用担当者による合同説明会など、積極的な対策を講じていきます。

2016.3.14
 3月5日(土)~6日(日)に、「日本健康相談活動学会・第12回学術集会」が本学にて開催されました(学会長:竹鼻ゆかり 芸術・スポーツ科学系教授)。慣例により開催校を代表してご挨拶し、簡単な学芸大学の紹介をしました。そのなかで本学の所在地である小金井市貫井北町にもみられるように、「井」という文字が使われている地名が近隣に多いことについて話しました。石神井、井頭、井口、沢井、高井戸・・この一帯は武蔵野台地に染みこんだ地下水が湧き出てくるところから、このような地名が付いたらしい(出典は忘れました)。
 大学近くの小金井堤の桜、玉川上水に興味がありその歴史を調べると「川崎平右衛門定孝」の名前をよく目にします。江戸時代に武蔵野の開拓に功績のあった偉大な人物です。昨年夏、稲葉・前小金井市長さんとの雑談のなかで、玉川上水に新しく架ける人道橋の名称が「へいえもんばし」となることをお聞きし、完成直後に見学に行きました。「川崎平右衛門定孝」からとった、粋でいい名前です。五日市街道に沿った小金井公園入口近くにあり、3人ほどが横になって通れるほどの、こぢんまりとした橋です。
 また小金井市の歴史を調べていくと、ご存じ民俗学者の宮本常一も度々登場してきます。大阪府立天王寺師範学校(現大阪教育大学)出身ということで、先日、栗林澄夫・大阪教育大学長とお会いした際、宮本常一の話題で盛り上がりました。彼の著書のなかで小金井市の環境の変遷や民具に触れている部分があり、そこには学芸大学が武蔵野の面影を残している役割について書かれています。いづれ紹介したいと思います。
 本学のように大学構内の地下から水を汲み上げ、それで全学の飲料水その他を賄っている大学は他には無いのではと思います。どうりで学芸大学の水は美味しい!!このような素晴らしい環境で学生を育てていることから、冒頭の学術集会の挨拶のなかで、教員志望の受験生には、是非、東京学芸大学を薦めてくださるようお願いしました。どこの教育大学・学部にも負けない教員に育てますからと。最中、やや不穏な気配を感じたのでその方向に視線を向けると、なんと愛知教育大学の後藤ひとみ学長がニッコリと・・学会に参加されていたんです。でも目は笑っていなかった・・

2016.3.7
 日本LD学会から年会費未納のお知らせがあり、慌てて振り込みました。LDとは学習障害(Learning Disabilities)のことであり、その概念は教育関係者のみならず、近年は広く一般の方々にも認知されるようになってきました。改めてその定義を紹介しますと、「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を示すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、 情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接的な原因となるものではない(文部科学省、1999/07)」。
 学習障害の一種で、知的発達に遅れはなく文字の読み書き学習に著しい困難を抱える障害をディスレクシア(Dyslexia)といい、読み書き障害、難読症、識字障害などと訳されています。トーマス・エジソンやレオナルド・ダ・ヴィンチ、アルベルト・アインシュタインもディスレクシアだったとされており、その他にも俳優や科学者で自身がディスレクシアであることを公にした人もいます。他人にはなかなか理解されにくいため、差別や蔑視、阻害を受けることも少なくありません。
 ディスレクシアをテーマにした(と私は思っています)有名な小説があります。ベルンハルト・シュリンク著・「朗読者(Der Vorleser)」。発売直後から高い評価を得、5年間で20以上の言語に翻訳、アメリカでは200万部を超えるミリオンセラーに(訳者あとがき)。15歳の少年と36歳の女性との刺激的・官能的?な出会いから始まる物語は、時代背景、場面設定、人間のプライド・・読者を引きつけます。ジャガイモ頭でニキビ面、色黒で元気だけが取柄の15歳のサツマ芋少年だった私には主人公ミヒャエルが羨ましい。
 なお、翻訳では「文盲」という言葉が使われていますが、今日では公に使われることはありません。どういう言葉で置き換えたらよいか、お考え下さい。

2016.2.29
雛祭、啓蟄、紅梅、春雷・・春の到来です。2月28日は私の恩師である黒木総一郎先生のご命日。毎年、菩提寺である鎌倉市二階堂の瑞泉寺へお墓参りに行っていますが、今年は所用のため行けませんでした。今週末にお伺いすることに。瑞泉寺は別名・「花の寺」と言われるように、折々の花が目を楽しませてくれます。この時期は梅でしょう。
先生の著書・「聴覚の心理学」(共立出版)は絶版にはなっていますが、聴覚・音響、感覚一般に関する心理学を学ぶ者にとっては、参考図書として今日でも紹介されています。先生は研究室・実験室でのコミュニケーションを非常に大切にされ、「論文は大学で読まないで家で読み、大学ではテーマを決めて実験をするように。とにかく手・足を動かして・・」。極端に言うと、一日中、防音室で人、音響機器を相手にデータを採ることを通してのご指導でした。一方では学生との雑談にも積極的に加わり、午後9~10時以降になるとアルコールも入って、経験された外国留学やこれまで勤めた他大学・研究所での生活など、楽しそうに話されていました。このような雰囲気は、後の大学教員としての私の生活に大きな影響を与え、特に当時のトップクラスの研究者の方々との交流のきっかけを作って頂いたことは、心から感謝しています。

2016.2.22
今週は大学入試二次試験があり、来週3月1日からは11ある本学附属学校・園の卒業式も始まります。2月~3月は人生の節目ともいえる様々な行事が続き、時折、暖かい雨も降ることもあり、一年のうちでも強く「季節」を意識します。
季節には一年を四等分した春夏秋冬の他に、二十四等分した二十四節気(にじゅうしせっき)、七十二等分した七十二候(しちじゅうにこう)がありますが、今の時期は、七十二候でいうと「土脈潤い起こる(土脉潤起)」。雨が降り大地が潤い始める頃を表しており、七十二候はこのように季節のできごとや農作業など、日々の暮らしの行事や祭りなどをそのまま名前にしている生活に密着した楽しい季節の表現です。他にも「寒蝉鳴く(ひぐらしなく)、「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」等々。
「土脉潤起」は古くは「獺魚を祭る(かわうそうおをまつる・獺祭魚(だっさいぎょ))」と言っていたことを最近知りました。カワウソは捕らえた魚を川岸に並べる習性があり、多分、この時期に多く見られる風景だったのでしょう。これに由来する名前の日本酒が欧州で人気と、先般マスコミで紹介がありました。日本酒は伝統的には杜氏の勘に頼って造りますが、この日本酒は徹底したデータ管理によって造られ、今日流行のイノベーションという点からも注目されています。カワウソのように魚(肴)を卓にズラッと並べて、一杯・・・は夢の夢か。

2016.2.15
先週の海外諸機関訪問について、特にOECD関連についてその詳細を知りたいという問い合わせが幾つかありました。ご関心をもって頂き有り難うございます。
本学には次世代教育推進機構という組織があります。そのなかで、「日本における次世代対応型教育モデルの研究開発」プロジェクト(以下,本プロジェクト)は「日本・OECD共同イニシアチブ・プロジェクト『新たな教育モデル2030』」の一環として、OECDと文科省、東京大学と共同して、新たな教育モデル・評価モデルの開発を目指して研究しているプロジェクトです。多くの本学の教育科学、教科教育、教科専門の教員、附属学校教員、プロジェクト専任教員が携わっています。本学ホームページに機構・プロイジェクトの概要が公開されていますのでご覧下さい。OECD日本政府代表部のホームページ(http://www.oecd.emb-japan.go.jp/新着情報)にも今回の訪問が紹介されています。
帰国2日程前から、右首~右肩・腕にかけて虫刺され様の赤い斑点ができ、帰国後はピリピリと痛みも伴ってきました。「ダニに刺されたのでは。虫刺され薬でも塗っとけばすぐ治るよ」と軽く言う家人にカチンときて皮膚科へ。繊細な私の体は正直でした。診断名は「タイジョーホーシン」。

2016.2.8
今週は月曜日にロンドンへ。ロンドン大学・Institute of Educationとの連携協定に向けての協議、その後、日本学術振興会ロンドン研究連絡センター長・竹安邦夫教授を訪問。東京学芸大学の、特に海外機関との連携の状況説明と今日の日本の教育事情について楽しい?懇談を終え、翌日ユーロスター(初体験)でパリへ移動。
パリでは、現在進めているOECDとの共同研究開発について、本学・関口准教授とOECD・ゴメンディオ次長を中心にOECD側担当者との実務レベルのハードな協議が行われました。昼食を挟んでの協議では、会場となったレストランのウエイターが、なんと本学・大学院(音楽専攻)の卒業生でした。パリで勉強中とのこと。テーブル上に広げられた資料入りの封筒に記された「東京学芸大学」の文字で分かったそうです。彼をOECDの方々に紹介し、更なるご利用をお願いしました。次いで、兒玉和夫OECD日本政府代表部特命全権大使を訪問。日本の教育に対する大使のお考えをお聞きするとともに、教員養成大学としての本学への強い期待を感じました。
英仏滞在中、OECD、日本大使館、ユネスコの書記官や参事官の方々には大変お世話になりました。この3月には任期を終えて帰国される方や着任されたばかりの方など、在外生活の長さは様々でした。一夜、彼らとの情報交換会(懇親会)を設定。子どもの学校生活(教育環境)や使用言語のこと等、楽しいこともあれば苦労されていることもお聞きし、グローバル化した時代の教育課題について考えさせられました。
日本の行き届いた「おもてなし」にどっぷりと浸った生活を送っている私には、海外ホテルの設備が、機能的ながらどうにも不便な時があります。今回も失敗多々あり・・多くの成果と共に恥も一杯背負って、本日(現地2月12日)帰国します。

2016.2.1
先週も文部科学省の研修生10名が、壹貫田(いっかんだ)初等中等教育企画課課長補佐、大江教職員課課長補佐、小泉初等中等教育企画課専門職、上野初等中等教育企画課専門職と共に本学視察に来られました。研修生は各地の教育委員会、国立大学から派遣されている方々です。今回は私の都合により情報交換会には出席できませんでしたが、本学の実情をご覧頂き今日の教員養成大学が抱える問題、課題のご理解にお役に立てば幸いです。
同日には、岩手県二戸市の鳩岡教育長の訪問もあり、来年度の二戸市との連携事業計画について検討しました。過疎が進む市にあって、如何にして子ども達の学力の向上、教員の資質向上、地域の生涯教育のレベルアップを図るか、教育長の熱い胸の内をお聞きし、連携をより強固に多様化する必要を感じました。
1月には南九州市、南さつま市、指宿市の3市教育長の視察もあり、現職教員の研修のあり方を中心に意見交換を行いました。本学が有する資源を最大限に活用し、東京都のみならず各地の教育委員会、学校との連携を一層深めていきたいと思います。

2016.1.25
先週、文部科学省大臣官房人事課の研修生15名が、研修の一環として松田主査、福本主査、廣専門官と共に本学を視察。教職大学院、保育園、改装した図書館、二つの授業視察など大学構内各種施設を案内しました。その後、本学理事・職員との意見・情報交換会を設け、和やかな雰囲気の中にも熱心なやりとりがありました。研修生は各地の国立大学(14)、国立高等専門学校機構(1)から派遣されている若い職員であり、母校に就職した方も多くいました。研修生一同、エネルギッシュで活気があり職務に対する熱い心とともに、幅広い趣味や特技も聞かせて頂き、実に楽しい一時でした。短い時間でしたが、東京学芸大学での視察研修成果をこれからに生かし、ご活躍されることを祈っています。
大相撲初場所は大関・琴奨菊が14勝1敗で優勝。千秋楽、所用があってぎりぎり「これより三役」に間に合い、豪栄道に勝って優勝を決めた瞬間を観ることができました。今場所、私が注目したのは豊ノ島。身長169cm、約150Kgの小柄な体ながら、12勝3敗で殊勲賞。琴奨菊の1敗は豊ノ島からのプレゼントです。二人は同期入門で仲が良く、またライバルでもあり、豊ノ島のブログには「まぁ正直なところ優勝して一番嬉しい、けど優勝されて一番悔しい存在!」

2016.1.18
「一年の計は元旦にあり」は、年の始めによく聞く諺です。新聞報道によるとグローバル時代を反映してか、今年は外国語の習得を挙げる人が多いらしい。私自身、自在に外国語(特にドイツ語)を操りたく、これまでに何回この計画を立てたことか・・。
トロイ遺跡発掘で有名なドイツの考古学者で語学の天才(と言ってよい?)でもあるハインリヒ・シュリーマンについて書かれた「古代への情熱 -シュリーマン自伝-」関楠生・訳、新潮社、には、どんな言語でも容易に習得する方法が記されています(pp. 31~32)。是非皆さんも習って下さい。実に簡単です。
「私はどんな言語でもその習得を著しく容易にする方法を編み出したのである。その方法は簡単なもので、まず・・大きな声でたくさん音読すること、ちょっとした翻訳をすること、毎日一回は授業を受けること、興味のある対象について常に作文を書くこと、そしてそれを先生の指導で訂正すること、前の日に直した文章を暗記して、次回の授業で暗誦すること、である」と。簡単でしょう?これを実行すれば彼同様、14カ国語程度の言語をマスターできます。
シュリーマンの自伝で私が興味あるのは、幼少期における彼と父親との対話・読み聞かせの影響の大きさです。既に幼少期から漠然とではあるが考古学者を目指し、そのための周到な計画(まず商人として財を成し、文献を読むための語学の習得)、モチベーションの維持等、礎は殆ど父親との日々のコミュニケーションによって築かれたのではないかと思います。提唱する言語習得方法に関しては、簡単すぎてそれ程興味ありませんが、彼には訪日の経験もあったので日本語も習得してほしかった。

2016.1.11(成人の日)
今週末には大学入試センター試験が控えています。志願者は全国で56万3,765人。大学教職員にとって大変緊張する二日間です。さらに緊張するのは受験生諸君。体調管理万全に、ご健闘を祈ります。
出版社の企画により、前川喜平・文部科学審議官と対談。テーマは「教員養成・採用・研修改革の現在と未来」で、具体的には以下の4つの点についてお互いの考え・意見を交換しました。「教員の大量退職、大量採用の時期の教員養成・研修の課題」、「学び続ける教員像をどう実現するか」、「チーム学校の実現に向けて」、「アクティブ・ラーニングの課題」。いずれも今日的な課題であり注目されているところです。対談では、審議官から教員養成大学・学部に対する期待や改革すべき点など、厳しい意見も聞きました。予定時間をかなり超過しましたが、教育の話題となるとどうしても熱くなる・・
中学時代の同級生から、私の健康確認のために本欄を覗いている、という便りあり。有り難いことです。途切れることなく一年頑張ります。

2016.1.4(仕事始め)
新年明けましておめでとうございます。この年末・年始、東京地方は穏やかな天候に恵まれ、それぞれ家族サービスや、ゆったりと寝正月など思い思いの時間を過ごされたと思います。この一年、皆様には健康にはくれぐれも留意され、元気にご活躍されることを願っています。
日本には様々な季節の行事、節目の習慣がありそれらを大切に守っている地方や家も多くあります。その多くは、その時にしかない音とともに私たちの記憶に残っています。特にお正月に聞こえる音は多様で個性があり、華やか、勇壮、繊細・・しかし、年々、それらの音が無くなっていくのは物足りない気がしますが、時代の流れで当然の成り行きでしょう。
正月に孫(小3)が書き初めの宿題持参で宿泊、お題は「つよい力」。彼女には打って付けのお題と、喜んでお手本を書きました。それを見た同じ宿泊組の従弟(小1)が「俺にも書いて」と。彼は少々多動で行動が荒っぽいと、親泣かせの評判の良い?男。落ち着いて静かな行動がとれることを祈願して、お手本は「よわい力」としましたが空白部分が無いほどの力強さで書いてくれました。

2015.12.28
今年最後の週です。人それぞれに様々な思い、出来事があったと思います。私自身は反省材料多く書き出すと切りがない・・覚悟新たに新年を迎えたいです。本欄は、当初の約束では150字~200字程度で書くように、と広報担当者から言われました。しかし、コンパクトに纏める能力に欠けている故、いつもダラダラと書いていました。今年最後くらいは約束を守りたく、来年も皆様にとっていい年でありますことを祈念して、終わりとします。

2015.12.21
22日は冬至。私にとっては古代人同様に一年の始まりであり、二十四節気のなかでも厳かな気分で迎える日でもあります。その前日・21日は知る人ぞ知る=殆ど知られていない○○日。
先週の本欄で、東京国立博物館で開催中の「始皇帝と大兵馬俑展」について書きましたが、先日、行ってきました。本学・下田准教授の解説付きで特別に企画されたツアーに参加したのです。講演会による事前の学習ができていたので、秦の歴史上の位置付け、始皇帝の生涯、人間性について、音声ガイド無しでも十分に理解できました。ただ音声ガイドの案内役は・・・壇密・・彼女のナレーターとしての旨さ(やや訥々として演出された素人っぽさ?)は常々評価していたところであり、国立博物館の粋な計らいに感謝しつつ、やはり借りればよかったと後悔することしきりです。さらにより深く理解するため、今度は音声ガイド付きで鑑賞をと思案中ですが、誰か一緒に行きませんか?
始皇帝と秦王朝にまつわる文物、皇帝の陵墓の映像、兵馬俑はさすがに迫力があり圧倒されました。整列した等身大の将兵たちのイケメンで均整のとれた体の前に立つと、生活習慣病満載の我が身のなんと貧相なことか。深く反省する日でもありました。

2015.12.14
下田誠・准教授がコーディネーターとなり、講演会「人間・始皇帝」が本学で開催されました。講師は、学習院大学・鶴間和幸教授。夕方の時間帯に設定されていたので、私も拝聴する機会に恵まれました。鶴間先生は演題と同名の「人間・始皇帝」(岩波新書、2015)を著されています。折しも東京国立博物館では「始皇帝と大兵馬俑展」が開催中ということもあってか、講演会場は学生、教職員で満杯でした。私自身、兵馬俑には以前より大変興味があり、実際に発掘現場へ行った家人が買ってきた将兵のレプリカを揃えています。鶴間先生のお話は当時の大陸の政情から始まり、秦が天下統一に向かう過程とともに始皇帝の人間像(苛烈な暴君か、それとも有能な君主か)、そして夥しい数の兵馬俑が出土した「兵馬俑坑」の解説へと、実に興味深いものでした。今回の「始皇帝と大兵馬俑展」でその一部は観られますが、身長180センチ超、眼光鋭く筋肉質で引き締まった体の将軍、騎兵、歩兵の数千人で構成された軍団(選抜チーム)は、当時は比類なき迫力があり、恐らく敵は見ただけで退散したのではないかと思います。日本が弥生時代であった頃のことと考えると、兵馬俑を制作する工人の芸術的センス、製作技術、権力者の力・・・ただ感嘆するばかりです。
俑(よう):中国で、墓主の死後の生活を助けるものとして副葬にされた、人間や動物にかたどった木製・土製・金属製の人形(広辞苑)。

2015.12.7
三億円事件。本学近隣の国分寺市、府中市、そして本学の所在地である小金井市が舞台となり、1968年(昭和43年)12月10日に発生した窃盗事件です。窃盗事件と言えば些細な事件を想像しますが、金額の大きさ、被害者は一体誰になるのか、遺留品の多さから犯人逮捕は時間の問題・・と人々の関心を集めました。約半世紀前の出来事ですが、つい最近のような気がします。当時の3億円は今日では如何ほどの貨幣価値になるのか、あまりにも額が大きすぎて実感がわきません。学芸大学に当時勤務されていた方から聞いた話ですが、当日は大学周辺を走るパトカーのサイレンの音が凄まじく、大事件が発生したと直感されたそうです。その後、犯人像をめぐって様々な憶測がなされました。事件は映画化、テレビドラマ化され、多くの国民の注目を集めましたが、一方では、マスコミによる報道被害者として自殺者、過労による捜査関係の殉死者も出ました。事件は時効が成立、日本の犯罪史上に名を残す未解決事件として記憶されています。
年末には何かと世間を騒がせる出来事が起きます。世界にはテロの脅威にさらされている地域もあります。どうぞ皆様気をつけてお過ごし下さい。

2015.11.30
タイ王国・バンコク日本人学校(泰日協会学校)を訪問。現在、学校教育法に規定する教育に準じた教育を実施することを主たる目的として、海外に設置された教育施設(日本人学校等)は世界で96校が文部科学省の認定を受けています。そのなかにあって、当日本人学校は最も歴史が古く、規模も最大(小1~中3:約3千人の児童・生徒が在籍)で、設立当初から東京学芸大学が深くかかわってきた歴史があります。
本学は次期中期計画において、教育現場の様々な今日的課題に対応できる人材の育成機能を充実するなかで、「グローバル人材育成を担う学校教員の育成」は社会のグローバル化への対応のなかでも先送りできない重要課題と認識し、在外教育施設との連携事業を推進していくこととしています。一方、在外教育施設も日本国内同様、多くの厳しい教育環境に直面しており、その打開策を模索しているのが現状です。
そのような背景のもと、教員養成系大学のグローバル化事業のロールモデルとして、まずは本学とバンコク日本人学校との間での連携モデルを確立し、将来的には他の国・地域の在外教育施設との連携を進める計画でいます。連携事業の具体的な案は、いづれ本欄、HP等を通して紹介します。
バンコク日本人学校の福島校長、宮崎教頭、共に本学卒業生です。お二人からは当然ながら、松本理事長、玉垣理事会事務局長からも強く本学との連携・協力を求められました。異例のことですが、在タイ日本国大使館・佐渡島大使を公邸に訪問し、連携の経緯とこれからの方針をご説明する機会にも恵まれました。滞在中、日本大使館・寺島一等書記官にはお付き合い頂き、大変お世話になりました。ここまでの準備を整えて頂いた本学・国際課の皆様に感謝!

2015.11.23(勤労感謝の日)
先週21日に、「2015 学校図書館げんきフォーラム@東京学芸大学」を開催しました。テーマは「デジタル教材と学校図書館」。大幅に教育に浸透しはじめたデジタル教材ですが、その評価については学校教育の視点からはあまり議論されていません。このフォーラムにおいては教育現場においてデジタル教材と学校図書館がどのようにかかわることができるのか、様々なアプローチが話し合われました。基調講演では文部科学省生涯学習政策局情報教育振興室長・新津勝二氏に「アクティブ・ラーニングとデジタル教材」と題して、教育の情報化の現状と課題等についてお話しをいただきました。
また、週末には上智大学長・早下隆士(はやしたたかし)先生、同大・理工学部教授・高尾智明(たかおともあき)先生が本学を来訪。全くプライベートな用件で来られ、久し振りに一緒にスポーツで汗を流しました。早下学長も私と同じ九州のご出身。情報交換会では芋焼酎いただきながら、これからの上智大学と本学との連携について、今後話し合いを続けていくことにしました。

2015.11.16
11月は出張が多いと、先にこの欄で書きました。その11月も後半に入り、言うまいと思いながら、しかし月日の経つのが速い・・。出張が多いと様々な交通手段を利用します。
今更ながらですが、新幹線の速さを改めて感じました。これまでに何回も利用しながら、何故この速さを感じなかったのか?年齢のせい?速さに対する恐怖心?新幹線がさらに進化した?
日本の国土の狭さ、起伏の多さ、海岸線の複雑さを車窓から描いた童謡「汽車」~今は山中 今は浜 今は鉄橋渡るぞと 思う間もなく トンネルの 闇を通って広野原~(歌えます?)を実感し、今でこそ新幹線利用の修学旅行一団に歌って欲しい。この歌の歌詞を巡っては、その作詞者、歌われている場所(広野原・“ひろのはら”の謎)について諸説あり、なかなか興味深いものがあります。
同じく普通の車中風景ですが、座っている人と人の間に空席はあるものの、我が体型からして入り込むのはちょっと無理か、と一瞬躊躇するときがあります。その時、少し腰をずらして無言・無表情で「どうぞ」と間を空けてくれる人がいます。実際のところ、それ程間が広がったとは思えませんが、気持ちよい爽やかさを感じます。好意をムダにしてはいけない、と我が体を軽く会釈しながら押し込めますが、そこで会釈を返される。無言ながら、このような方がコミュニケーション能力に長けた方と私は思います。

2015.11.9
第10回東アジア教員養成コンソーシアム会議が、今年は愛知教育大学で開催されました(昨年は韓国)。主として日本、韓国、中国の教員養成大学が参加していますが、モンゴル、台湾の教育大学も昨年から加わりました。これらの地域の教員養成に関する様々な問題、課題について検討しさらに交流を深めるとともに、若手研究者の研究発表の場ともなっています。
懇親会では、地元の和太鼓グループによる演奏が披露されました。小学校低学年から成人までの幅広い年齢層で構成された集団による演奏は素晴らしく、海外の方々からも絶賛されました。和太鼓がもつ独特の響きを聞きながら思い浮かべるのは、俵屋宗達の代表作である二曲一双の「風神雷神図屏風」です。この屏風絵については、つい最近のNHK番組・日曜美術館の再放送で紹介され、その絵画技法の特徴について解説がありました。一方、この図を音響学的・聴覚的にみても興味ある解説があります(山下)。
描かれた雷小僧が叩いている太鼓の音は、小さくて可愛い形態をした太鼓であるため、おそらくポンポンと軽く優しく鳴るものと想像できます。大空に雷鳴を轟かせる道具としては、雷小僧の太鼓は頼りない・・・。大太鼓やティンパニーのような面積の広い太鼓は腹に響くような重低音を生みます。物の寸法と音の高低には単純な関係があることは、経験的に子供でも知っています。
描かれている雷神の顔は「雷」という言葉から受ける印象からは程遠く、ユーモラスでまさに「雷小僧」そのものです。やんちゃで暴れん坊の雷小僧には、ポンポン太鼓がよく似合うのでは。

2015.11.2
霜月。先月は日本中の神々が出雲大社に集合したため、出雲以外の神社には神々がいなくなるという意味で神無月。11月はその神々がそれぞれの神社に戻るため「神帰月(かみかえりづき)」という異称もあることを知りました。
「ラジオ深夜便(NHK)」という番組をご存じでしょうか?「ラジオ宅急便」と思い込んで退職された先生もおられましたが。毎日、午後11時15分から翌日午前5時までの放送で、リスナーには高齢者が圧倒的に多いとか。この番組の午前4時台には様々な領域の方々が登場し、それぞれの専門領域の話や、自身の趣味や生い立ちなどについて語るコーナーがあります。先日、「果てしない宇宙と太陽の魅力を語る」というタイトルで、宇宙物理学者で元神奈川大学学長の桜井邦朋先生のお話を聞きました。最近、宇宙や天体に突然目覚めた私には興味ある内容でした。先生の高齢者にも理解しやすいたとえ話や計算された筋書きに、専門を語るとはこういうことかと、すっかり聞き入ってしまいました。11月8日の放送(午後11時台)では「星空見上げて」と題して、国立天文台天文情報センター准教授・縣秀彦(あがた ひでひこ)さんが話されます。縣さんは本学の学部・大学院を卒業されました。天文学者であり教育者でもある縣さんの講演を聞いたことがありますが、教育者という視点からの天文学は刺激的で、一段と興味を搔き立てるものでした。

2015.10.26
先々週から今週まで出張が続いています。韓国、仙台、前橋、高田、鹿児島、名古屋・・・「美味しいもの食べられていいね」と家人からの厭みに対し、ムッとしつつも反論はムダ、大変さは分かる人にしか分からない、と自分に言い聞かせつつ、ちょっとの時間を見つけてはその土地の美味しいものを探訪。体重が少々気になります。
今週は、各都道府県・指定都市等教育委員会の人事関係者をお招きし、教員就職相談会を開催しました。本学には全都道府県からの出身者が在籍しており、卒業後は出身地の教員採用試験を受けるケースが多いので、このような催しを昨年度から始めました。県・市毎のブースを設け人事担当者から教員採用の状況の説明がありますが、全体的にみて東日本地域のブースへの参加者が多いようです。この企画は学生・人事担当者双方に評判が良く、今後も継続していく予定です。終了後は人事担当者との情報交換会があり、我々大学側も各地域の採用状況、求める人材像などの情報を得て今後のキャリア支援に生かしています。西日本、特に関西地域からの入学志願者が減少傾向にあり、今後の課題として戦略を練っています。
西日本地域在住の教員志望の受験生諸君、東京学芸大学で充実した4年間を過ごしませんか。

2015.10.19
「廃止は教員養成大学・学部」という見出しが朝刊に出ています。見出しだけをご覧になった方のなかには、本学のような教員養成大学は廃止になるのかと思われた方もおられるのではないでしょうか。
今年6月、国立大学の教員養成系と人文社会科学系の学部・大学院の組織の廃止や転換を求める通知が文部科学省から出され、その後、様々な議論が日本学術会議や国立大学協会を中心に起こりました。それをうけて、廃止まで求めたのは教員養成大学・学部のうち教員免許取得の義務が無い、いわゆるゼロ免課程だけで、それ以外は「教育研究の質を高めるための組織の見直し」を求める趣旨である、という説明がなされました。しかし、全国紙のなかには前述のような見出しで報道しているものが多く、「学芸大学は廃止」と誤解している受験生もいることが判明しました。記事内容を詳しく読むと誤解であることが分かりますが、特に一般の方々には誤解したままの方が少なからずおられると思います。本学のゼロ免課程(教養系、新課程とも呼ばれる)は、平成27年度から教育支援課程として組織再編を行いました。国立大学のなかには平成28年度以降に廃止を決めた大学もあります(今のところ9大学)。東京学芸大学は日本の教員養成大学・学部の基幹としてこれからも様々な先導的試みにチャレンジし、その役割を果たしていきます。

2015.10.12
日韓教育大学学長フォーラム出席のため、ただいま韓国・京仁教育大学へ来ています。このフォーラムは毎年開催され、昨年は上越教育大学が当番大学でした。今年のテーマは「小学校教員制度」「附属学校の運営」で、日本からは北海道教育大学、京都教育大学、韓国からは釜山教育大学、京仁教育大学の学長がそれぞれ報告します。また、今週はミシガン大学、シカゴ大学、カリフォルニア大学の数学教育の研究者一行が本学を訪問されました。
海外の教育専門家との懇談で話題になっているのは、今年のノーベル医学・生理学賞を受賞された大村さんのことです。国立の山梨大学学芸学部(現教育学部)を卒業され、定時制高校で教鞭をとられていた経歴が注目を浴び、研究を続けるきっかけとなったのは働きながら学ぶ高校生の姿に接したときであった、と語られた受賞時の記者会見の内容は多くの人々に深い感銘を与えました。大村さんも教育の大切さを言われていましたが、改めて教師は自身の影響力の強さを自覚すべきでしょう。

2015.10.5
神無月。日本中の神々が出雲大社に集まっているのでしょうか。東京地方は秋晴れの日が続いています。
連日の日本人科学者によるノーベル賞受賞、素晴らしいことです。特に今回は、受賞者お二人とも地方国立大学出身ということで話題になり、日本の学術研究の裾の広さを感じます。大村さんの受賞について、先輩受賞者の野依良治さんが「平和賞であってもおかしくない」(天声人語)と言われています。大村さんらによる治療薬が、アフリカなどで熱帯病による失明から大勢の人を救ったことに対す感想でしょう。大村さんが名誉理事長を務める北里生命科学研究所棟の前には、熱帯地方の風土病オンコセルカ症(河川盲目症)の大人を杖で引いて歩く子供の像があります。今回の受賞を象徴する像だと思います。

2015.9.28
昨日27日は中秋の名月。時折雲に隠れましたが、十分楽しみました。午前中には岩手県宮古市在住の卒業生から、秋刀魚、ホタテ貝、塩(あら粒、細粒)が届く。新鮮で美味。秋刀魚は口先が黄色いのは脂がのっているしるしとか。
大相撲九月場所も27日が千秋楽で、横綱・鶴竜が優勝。二人の横綱が休場するなか、一人でよく頑張りました。場所途中、怪我でもして横綱不在の場所(No Smoking)になったら、と心配しましたが、むしろ盛り上げてくれたことにホッとしました。家人が解説者の話を受け売りして、某力士の「稽古不足」を「練習不足」と言ったことに対し、相撲には「練習」でなく「稽古」という言葉を使うようにと注意したことから議論へ発展。「稽古」と「練習」の使い方の違いを求められました。いろいろと例を挙げて解説しましたが、要は使い手の言語的センスの違いで、理解できない者を相手に説明は不可能、このセンスは残念ながら後天的には獲得できない、という私の結論を通しました。センスある人との会話は楽しく魅力的なのだが・・・。ここで思い出すのは、大野晋・著、「日本語練習帳」岩波新書、にあった「~と考える」と「~と思う」の使い方の違いです。考えてみて下さい。呆け防止、頭の体操になります。

2015.9.21
シルバーウィーク真っ直中。次回は11年後とか。
去る9月18日の朝刊(朝日)に「日本の学校教育 世界に発信」という見出しで、本学の取組が紹介されていました。経済開発協力機構(OECD)については、国際的な学習到達度調査「PISA」でご承知の方も多いと思います。そのOECDが、新たな学力観を体系化した「エデュケーション2030」(仮称)を18年までに作成するにあたり、日本の学校教育における活動に注目しその内容を盛り込もうとしています。「エデュケーション2030」の策定に向け、協力する取組の一つが、本学の「次世代教育モデルの研究開発」です。これは、17年度までの3年間をかけ、本学附属学校の協力を得て優れた授業や、そのための準備、教材開発等をビデオ映像化し、世界に発信できるものに仕上げようというプロジェクトです。さらにOECDとしては、日本の教育に組み込まれている遠足や清掃、部活動などは人格形成に役割を果たしている、と受け止めています。
今の小学生の多くが社会に出るとき、どんな知識や力を身につけておくべきか。世界は一層予測困難な時代に突入していきますが、本学の取組が少しでも役に立つことを願っています。

2015.9.14
北関東、東北地方が豪雨災害に見舞われました。被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。本学・学生のなかにも実家が倒壊した方がいます。今回の災害では、避難指示のタイミングを巡って自治体と住民の間で意見が交わされています。避難指示については、過去の災害でも度々言われてきました。それでも今回のような問題が生じる背景には、災害が起きる時間帯、刻々と変化する天候、雨量の把握など、多種多様な要因が一様でないことによります。改めて日頃の心構えの重要性を知らされました。
昨日より大相撲秋場所が両国国技館で始まりました。初日の注目は横綱・白鵬と小結・隠岐の海の結びの一番でした。八角部屋のファンとしては隠岐の海を応援。寄り切りで隠岐の海が勝ちましたが、気になったのは白鵬の負けっぷり。何となく力が入っていない印象を受けました。大丈夫か?今日の相撲人気を一身に背負ってきた横綱・白鵬には、まだまだその存在感を見せつけて欲しいです。

2015.9.7
2001年9月11日。アメリカ同時多発テロ事件が起きた日です。当時、私は在外研究中でトロントに近いロンドンという町にあるウェスタンオンタリオ大学で、人工内耳による音声の識別に関する研究に従事していました。その日(11日)はバンクーバー近郊にあるブリティッシュ コロンビア大学のセミナーに参加していました。前日(10日)には、私の研究室の学生4人が日本からニューヨーク経由でトロントに到着しており、数日後に落ち合うことになっていました。もし彼らのスケジュールが一日遅れていたら、11日のニューヨークへ飛来する飛行機は全て他の空港へ向かったので、かなり混乱が起きたことでしょう。世界貿易センタービル跡地(グランド・ゼロ)へは、その後、2006年8月に訪れましたが、整地された現場からはあの惨劇は想像できませんでした。事件から10年以上経って私たちの記憶からは薄れつつありますが、その後の世界情勢はご承知の通り決して安定した状況にはありません。今日、日本の教育の世界ではグローバル人材の育成が声高に叫ばれていますが、グローバル人材は経済・学術・産業の世界のみならず、地球的規模の視野に立って平和へ貢献できる人材の育成も重要です。

2015.8.31
猛暑日が去り気温は下がりましたが、長雨が続いています。秋霖(しゅうりん)、秋湿り(あきじめり)です。湿度の高さに室内の空調を入れるか否か一瞬迷うほどですが、体調を崩された方もいます。気をつけて・・・
「教員養成を哲学する -教育哲学に何ができるか-」、林泰成・他(編)東信堂、を読みました。タイトルの文言は、私自身が漠然と長年にわたって抱いてきた疑問です。恐らく教員養成に携わっている関係者には、私と同様な感想をもっている方が少なからずいるのではないかと推測します。本書は、単に教育学・教育哲学のあり方を論じているだけでなく、教員養成そのものがもつ問題点、ジレンマ、師範学校から大学における教員養成への転換・歴史、そして今日の大学・学問の実学主義化、教員養成における実践志向等について広く論じています。教員養成系大学・学部の教員のみならず、教員を目指す学生にも一読の価値があると思います。

2015.8.24
台風15号は凄まじい風(1941年の統計開始以降最大の71メートルの最大瞬間風速を記録)と雨をもたらしながら九州をほぼ縦断し、日本海へ抜けていきました。立春から数えて二百十日前後は、古来より台風の常襲日でした。この時期の台風は別名・風台風。農家にとってこの時期、最も嫌う台風です。この台風の風は野分(のわき)とも言われていますが、高校の古典の時間に源氏物語「野分」の巻を、ことさら詳細に、かつ情感たっぷりに男女間の微妙な心理を、やや過激に解説してくれた教師のことを思い出します。このような教師に出会えたことに、とても感謝しています。私の成長に大きな影響を与えてくれました(と言いたいが・・)。
最近、「反知性主義」という言葉を聞くことが多くなりました。「反知性主義とは何か」という議論が熱を帯びていますが、少々自分自身にも誤解があったように思います。反知性主義の「正体」には、今の日本で流布している意味内容からは思いもよらない肯定的で正当な要素が含まれている・・(森本あんり著、“反知性主義、アメリカが生んだ「熱病」の正体”、新潮社)。「反知性主義」に関する様々な著書が書店には並んでいます。今日の社会情勢を俯瞰する時、参照とされること勧めます。

2015.8.17
先週の「つぶやき」で、誤りがありましたので訂正しておきます。「お盆の行事だけは旧暦の7月15日前後に行われるところが多く・・」と記述していますが、正確ではありません。8月15日のお盆は旧盆とも言いますが、正確には「月遅れのお盆」です。明治初期は太陽歴の7月15日に行っていたそうですが、この時期は真夏であり農作業で忙しく、お盆と言っても生活上の感覚とうまく一致しない。そこで旧暦7月15日にしようとしても、太陽歴上では毎年日づけがずれます。そこで考えられたのが「月遅れのお盆」。旧暦は太陽歴より平均一月遅れるので、これなら当たらずとも遠からず・・・・ということで8月15日がお盆になったそうです。「月遅れのお盆」が正確では、とご助言いただきました某先生、有り難うございました。
しかし、暦の種類、その歴史は国々で様々であり面白いですね。もし、地球が自転する軸(地軸)の傾き(約23.4度)が0度だったら、多分、一日分の暦があれば十分で、一年を通した暦は存在せず、季節も当然なし。作物は一年中同じ物がいつでも作れる(か?)。時間という概念が大きく変わり、年齢はどうやって数えるか?考えれば考えるほど興味がわいてきます。

2015.8.10
今週、12日(水)、13日(木)、14日(金)は夏季一斉休暇で、大学業務は休日扱いとなります。この連休中に、多くの方がお盆で帰省されることでしょう。多くの伝統的な日本の行事が新暦に行われるようになりましたが、お盆の行事だけは旧暦の7月15日前後に行われるところが多く、季節感とうまく一致しているように思います。
先週8日(土)は立秋。東京都心の猛暑日の記録(7月31日から8月7日まで)は8日連続で途切れました。猛暑日ならずとも日中は高温注意報が発令されていますが、明け方は幾分涼しく、かすかな秋の気配を感じるのは気のせいか?この連休中、妻は見計らったように孫と遠方へ旅行に出かけ、日頃の鬱陶しさから逃れるとか。まあ、その気持ち、分からないでもないが・・留守中は、日頃食べさせてもらえない美味しいものと、美味しいお酒で、これまでの畑作物の収穫に感謝し秋からの稲の成長と実りを祈ります。海、山の事故に気をつけて、皆様、楽しい時間をお過ごし下さい。

2015.8.3
連日の猛暑日に脳ミソも溶け出しそうです。天気予報の日本列島地図は、今にも燃えそうな表情・・・。
先週、本学と連携協定を結んでいる岩手県二戸市で講演をしました。市内の小中学校の先生方、約200名が参加。また、今週月曜日からは、二戸市教育委員会と本学の主催による、「防災教育プログラム研修プロジェクト」に学生が参加し、東日本大震災の被災地等を巡り、防災及び復興について学ぶとともに学習ボランティアを体験しています。さらに今週は、二戸市の小中学校の先生方を本学にお招きし、協定に基づく現職教員研修を小金井キャンパスで実施します。地域の枠を超えたこのような連携活動は、地道ですが双方にとって貴重な財産となります。二戸市教育委員会・先生方の熱意に、全学をあげて応えたいと思います。
講演前日は市街から近い温泉施設に宿泊しました。山々に囲まれた、緩やかな傾斜の稲庭高原に位置し、瀬戸内寂聴氏が住職として復興されたことで知られる天台寺からも近い場所でした。岩手は地酒も美味しい土地で夕食に頂きましたが、翌日の仕事を考えると程程に。
今度は是非、仕事抜きで訪れたい。

2015.7.27
今年度のオープンキャンパスを25日に終えました。暑い中、ご参加いただきました高校生の皆さんはじめ、高校関係者、保護者の方々へお礼申し上げます。受験生の皆さん、来年度入試に向け、この夏を乗り切ってください。26日、東京芸術大学で開催された東京オリンピック・パラリンピックに関するフォーラムに出席。オリンピック・パラリンピック開催に、大学はどう係わるかをテーマに首都圏の大学関係者、学生が集まりました。学生からの様々なアイデア・提案も多く出され、これからも同様なフォーラムが開催されますが、学芸大学としても、学生、附属学校児童・生徒の参加をアピールしていきたいと思います。当日は、附属高校、国際中等教育学校からも1名づつ教員が参加しました。終了後、3人でこれからの本学及び附属学校の具体的な取り組みについて確認し、土用丑の日売れ残りの鰻で、黄昏時の上野を楽しみました。

2015.7.20(海の日)
授業時間確保のため、祝日である「海の日(7月第3月曜日)」も通常の授業。制定当初(平成7年)は7月20日と決められていましたので、今年は初期と同日となりました。
この時期、本学では毎年“オープンキャンパス”を開催しています。今年は7月25日(土)です。東京学芸大学への進学を希望している方、関心をもっている方、進路指導の先生方、保護者・・・是非お出で下さい。全ての専攻・選修がブースを設け、情報提供や皆様のご質問等にお答え致します。さらに、興味深く魅力ある模擬授業、ワークショップ、講演もあります。例えば、2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されますが、本学にはすでに日本代表や代表候補選手に選ばれて活躍している学生もいます。これらのトップアスリートたちに集まってもらい、練習や試合、海外遠征に関わるエピソードや、トップアスリートでありながら教員を目指すことができる東京学芸大学での学生生活について語ってもらうワークショップも企画されています。スタッフの多様性、研究領域の広さ、カリキュラムの概要、環境、育てたい人物像など本学のミッションをご理解頂ければと思います。なお当日は、JR中央線・武蔵小金井駅(北口)と本学を結ぶ無料送迎バスを運行しています。ご利用下さい。

2015.7.13
小暑を過ぎましたが、梅雨は未だ明けていません。ここ数日、東日本では各地で猛暑日が続いています。
本学の広報誌(2014秋号、Vol. 229)で特集・「本との出会い」が組まれ、その中で遠藤周作・「沈黙」を挙げ、私との関わりについて原稿用紙1枚程度書きました。先日、新国立劇場で、松村禎三・作、オペラ「沈黙」を鑑賞。巨大な十字架が斜めに大地に突き刺さった形で存在しているだけの舞台装置は、キリスト教が日本の大地に根づくのか根づかないかを象徴的に表しており、簡素な演出ながら圧倒されました。小説の中でもキチジローという人物の振る舞いに興味をもちましたが、オペラの中でもでも同様であり、ひょうひょうとした中にも苦悩する姿が印象的でした。終演後の舞台挨拶でも、キチジローの性格をよく表した所作に、キチジローは最後までキチジローだな・・と。なお、主要登場人物・フェレイラ役は、本学・元准教授の黒田博氏(現・国立音大准教授)でした。

2015.7.6
経済的に困難な家庭状況にある児童・生徒等への支援に寄与することを目的に、本学と足立区は相互の人的・知的資源の交流と物的資源の活用を図り、協力していくための連携協力に関する協定を締結しました。家庭の経済的状況、家庭の文化的環境と子どもの学力には、強い関連があることがこれまでの調査で分かっています。本学のような国立の教員養成大学が「子どもの貧困」問題に対してどのような組織的機能を果たしうるのかに関する取組はまだ日本ではみられません。しかし、経済格差によらない教育機会の均等な社会を実現することは、教育立国を標榜するわが国の重要課題の一つです。本学では、児童・生徒支援連携センター(松田恵示センター長)を立ち上げ、このような支援が一方では教員養成の質保証や循環型次世代人材育成に連動することを示していきたいと思います。
7日は七夕。東京地方はあいにくの曇天。旧暦では今年の七夕は8月20日で、この頃は「天の川」の星の群れが、夜空に綺麗にかかるのが見える日が多くあるようです。最近、天文に異常な興味を示すようになり、天体望遠鏡を購入、星座観察に関する書物もどっさり買い込みました。新種の痴呆の始まりかと心配する人もいますが、一過性の熱に浮かされているだけ、と周りの見方は様々です。観察の時間がなかなか取れませんが、「やがては天文学博士に」と、短冊に書きたい・・

2015.6.29
学芸大学は今年度より「日本における次世代対応型教育モデルの研究開発」という題目で、プロジェクト研究をスタートさせました。このプロジェクト研究の主目的の一つは、日本の優れた授業実践と授業研究を収集・分析し、能動的活動と知識取得のバランスがとれた深い学びを実現するアクティブ・ラーニング授業の体系化・映像化を行い、OECD(経済協力開発機構)を通じて世界に発信する、というものです。OECDについては、PISA(Programme for International Student Assessment)と呼ばれる国際的な学習到達度に関する調査を行っていることでご承知の方も多いと思います。このプロジェクト研究の成果をOECD側のプロジェクト研究(Education 2030)に活かしたいということで、東京大学を含めた三者の共同研究という形に発展しました。その第2回政策対話・専門家会合が開催されました。本学からは本プロジェクトを統括する岸学・副学長、私、関連教員、OECD側からシュライヒャー局長、アナリスト、文科省からは鈴木寬・文部科学大臣補佐官・他、東京大学からは秋田喜代美教授・他が参加されました。
明日の世界を担う子どもたちにとって必要な備えるべき力はなにか、真剣に考える必要があります。シュライヒャー局長があるインタビューに「・・今日の社会においては、何を知っているかだけでは評価も報酬も得られない(そんなことはグーグルが全部教えてくれるから)。問われているのは、自分がもっている知識で何ができるかであり、これが以前と大きく違う点である」と答えています。
これからは、日本の学校教育のあり方を大きく変えるような学力観や授業観の転換が行われることが予想されます。新しい教育モデルとその有用性を明示するため、本学及び附属学校の総力を結集しこのプロジェクトを推進していきます。

2015.6.22
夏至。北半球ではこの日が一年のうちで最も昼(日の出から日没まで)の時間が長い。これからは次第に昼の時間が短くなりますが、私の体内時計では昼の時間は7月下旬頃まではまだ延びる、という感覚です。このズレが生じる原因は、これから夏の盛りへと、暑さは一段と厳しくなることが影響しているのでしょう。
先日、本年度第1回の経営協議会を開催しました。協議会は6人の外部委員含む12名で構成されています。経営協議会が主として審議する事項は,本学の経営に関する事項、会計規程,各種給与の支給の基準,重要な規程の制定又は改廃に関する事項、予算の作成及び執行並びに決算に関する事項、組織及び運営の状況についての自己点検及び評価に関する事項等です。これらの事項は、当然ながら学生への教育、教員の研究活動、社会貢献等と密接に関連していますので、委員からの質問・意見は多岐に亘ります。今回も少子高齢化に伴う今後の大学の運営方針、グローバル化に対応した学生教育の具体的方策、日本の教員養成大学の中核的存在としてのあり方、質の高い教員養成、学長のリーダーシップ・・・矢継ぎ早に厳しい質問がきました。頂いた貴重な意見、助言は、第3期の中期計画・中期目標(平成28年度~平成33年度)の中で実践していきたいと思います。
本欄を読まれている多くの方々、特に卒業生から感想など寄せられています。有り難うございます。どうぞこれからも宜しくお願い致します。

2015.6.15
先週、德田・文部科学省大臣官房審議官、藤江・生涯学習政策局男女共同参画学習課長以下12名の関係者が本学を来訪。これまでも文部科学省や他機関からの来訪者は度々ありましたが、一度にこれほど多くの方が来られたのは初めてです。本学の保育園(学芸の森保育園)、附属幼稚園を見学後、男女共同参画推進本部の岸本部長、倉持副本部長から男女共同参画推進に関する本学独自の各種制度の説明があり、それら制度の利用者(教員、学生)との懇談、意見交換会が催されました。男女共同参画基本理念・基本方針を基に様々な取組に努め、率先して社会に働きかけてきたことが評価され、東京都が今年創設した「女性活用推進大賞」を受賞しメディアでも大きく報道されました。国立大学協会でも男女共同参画推進についてアクションプランを策定し、女性教員比率の引き上げ、就業環境の整備・拡充、意識啓発の推進をしています。今のところ、大学関係に限らず、多くの職場で役員や管理職をはじめ、女性職員比率の引き上げの数値目標を第一に掲げているところが多いですが、同時に環境整備の重要性を痛感しています。むしろ、先に環境整備あってこそ女性職員比率の向上が図られると私は思います。

2015.6.8
東京も梅雨入り。先週、ワーク・ライフ・バランスについて、学生、教職員との交流会があり、育児中の教員、大学院博士課程在学生からの現状と要望や意見をお聞きし、大学として改善すべき点も分かりました。私自身、子どもを保育園に預けて本学に勤務していた時期があり、出席者の話を聞きながら当時の大変さ、楽しさなど思い出しました。私の場合、研究の対象が乳幼児であったため、ある面、実益?を兼ねての育児でした。乳児が母乳やミルクを飲むときの口腔の運動を吸啜(きゅうてつ)といいますが、この吸啜の回数は、乳児が様々な刺激(揺する、話しかける、・・)を受けることで変化します。当時、母語(日本語)と非母語を聞き分ける新生児の能力を研究していましたが、聞き分けの指標として、この吸啜回数の変動を使いました。そのためには、まず吸啜回数を測定するための装置の開発が必要です。哺乳瓶内に圧力センサーを装着し、吸啜による哺乳瓶内の圧変動をコンピュータに取り込むことで、一分間ごとの吸啜回数を計測できるシステムを創りました。当時は現在ほどコンピュータが発達しておらず、基盤を組み合わせて外部補助装置を作り、特にアナログデータの処理とプログラミングには苦労しましたが、研究室の院生の多大な貢献がありました。ディスプレイに吸啜波形そのものと、一分間ごとの吸啜回数がグラフ化されて表示された時のことは今でも鮮明に覚えています。この装置の開発から測定まで新生児、乳児の協力が必要で、当然ながら目をつけられたのは我が二男君。生後13日目からニコニコ顔で協力してくれましたが、母親はそれほど積極的ではありませんでした。その後、これら一連の研究は海外の研究者との共同研究に発展し、当時の院生に引き継がれた乳幼児の言語獲得・言語発達の研究は、今日では脳科学領域の研究となり成果も着実にあがっています。

2015.6.1
水無月。6月3日(水) 12:00~12:50、本学教職員ラウンジで「ワーク・ライフ・バランス」をテーマに、学長、教職員、学生さんとの交流会が開催されます。ワーク・ライフ・バランスという言葉、御存知でしたか?それほど広く認知されている言葉ではありません。「仕事と生活の調和」と訳されているようです。仕事と仕事以外の生活(例えば、育児、介護、趣味、学習、地域活動・・)とのバランスを如何に調和させて取るか、そのための働き方・生き方のことです。先般、NHK・クローズアップ現代でも取り上げられました。しかし現実問題として、多くの方がワーク・ライフ・バランスを実現できていません。今日の社会・家族が抱える多種多様の問題が、大きく生活にのしかかっていることが原因です。配偶者間の協力、社会の後押し、そして企業、自治体、国にあっては国民のワーク・ライフ・バランスのために、様々な制度設計を試み目指すべき社会の構築とあり方を掲げていますが、私には現実離れした施策という思いが強い。交流会でどのような意見、考えが披露されるか楽しみであり、取組例を皆さんからお聞きしたい。団塊世代で薩摩生まれ、というだけで「男尊女卑」のレッテルを貼られ続けてきた私にとっては、ちょっと気が・・・な交流会です。

2015.5.25
急激に進む少子高齢化がこれからの日本に与える影響については、今更述べるまでもなく、あらゆる領域に課題を突きつけています。私と同年代以上の高齢者で、認知症を発症している人は約460万人で、認知症の予備軍(軽度認知症)まで含めると65歳以上の4人に1人が該当します。認知症は自分とは無縁の世界と無意識に思っていましたが、認知症になった同級生の話や、遠隔地に住む認知症の親の介護のため実家と自宅を行き来している友人の話を聴くと、我が身にも切実な問題として現実味を帯びてきます。他人の名前が思い出せない、記憶違い、思い込み・・日常生活のなかでこのような現象が自分に起きると、ふと「認知症」という単語が頭をかすめます。
先日、所用のため長男の運転で妻と出かけました。昼食時になり長男がハンバーグを食べたいと言ったところ、妻が「・・を曲がるとドンキホーテという店があったような・・」「うん、あったな」と私。「ドンキホーテなら・・にもある」、「食べたことはないけど、美味しいかな」と会話が続きます。その店はドンキホーテから4文字採った名前であったことに店の前まで来てから気付きました。同じような現象を、私と同じ講座に所属されていたU先生から聞いたことを思い出しました。状況は同じで、先生のご両親を車に乗せて走っていたとき、「あのチンパンジー綺麗ね」とお母様、「チンパンジーの色は・・・」とお父様。先生も私の長男も間違いを指摘してくれればいいものを、何を遠慮していたのか。恐怖を覚えたのか。この笑うに笑えない会話は、認知症の入り口かどうか専門家にお訊きしたいところです。なお5月25日の誕生花(たんじょうか)は「パンジー」です。

2015.5.18
19日、附属図書館リニューアルオープニングセレモニーを挙行。文部科学省から関・大臣官房文教施設企画部長、榎本・研究振興局参事官、飯田・文教施設企画部計画課課長補佐、永友・学術基盤整備室大学図書館係、国立大学附属図書館東京地区を代表して、岩坂・東京海洋大学附属図書館長にご出席頂き、祝辞を頂きました。学生、教職員の方々には長期に亘りご不便をおかけしました。また、図書館職員の方々には多大なご協力を頂き、深く感謝申しあげます。けやき広場と連続したエントランス、明るい館内、ラーニングコモンズのスペース、軽食を提供するカフェの併設など、従来の図書館のイメージとは異なります。地域と大学の垣根を越えて、人や情報がダイナミックに行き交う場所にしたいと思います。
藤井・附属図書館長、副学長、木村・教育研究支援部長には先頭に立って新しい図書館の創成にご尽力頂きました。藤井館長が書かれた面白い記事を最近読みました(「学校図書館」、第775号)。読書感想文に関する館長自身の考察の部分です。図書館長を経験した私の立場からは声高に言うべきではないかもしれませんが、小学生の頃書かされた読書感想文には、藤井館長同様にあまりいい思い出はないのです。感想文を書くこと自体に馴染めない・・・「おもしろかった」の一言でいいではないか、と。しかし、読書感想文コンクールではよく入賞し賞品(ノートと鉛筆が定番)を頂いていました。何故か?宿題に出された感想文をなかなか書こうとしない息子に業を煮やした母親から、「口述するから書きなさい」とありがたい言葉をもらい、その母子協働の努力の結果が実を結んだのです。日頃のトシ坊の能力からしてこのような文章を書けるはずがない、と担任の先生は疑問に思われなかったのか?牧歌的な昭和30年代前半の話です。

2015.5.11
11日~13日までお休みさせて頂きました。移動性高気圧によって晴天で爽快な日々が続いていますが、今週は今年初の台風も日本近辺を通過しました。これから先、天気はやや崩れ気味で沖縄、奄美地方は梅雨入り間近、他の地域でも梅雨の走りの雨が降ります。
小学生~高校生の頃、鹿児島は台風銀座と言われるほど台風が頻繁に上陸していました。リアルタイムで進路予想や台風情報が報道される今日の状況は、当時からすると考えられない遠い未来世界のようです。当時、受信状態が悪いラジオから流れる台風の位置や、気圧や風速、風向などの情報を地図に書き込みながら、コンパスと気圧計をもとに大体の進路予想を我が家の気象台長(父)が誇らしげに発表するのが年中行事でした。進路予想は当たっているような、当たっていないような・・全く逆方向ということはありませんでしたが。台風の経験のなかで楽しかったこと(?)は、まず学校が休校になること、そしてややお祭りムードが高揚したような一家総出で戸締まりのため動き回ったこと、停電でロウソクの火を囲んでの食事(何故か美味しい)など、悲壮感漂うことは全くありませんでした。ただ一度だけ怖い思いをしたことがあります。地域一帯が台風の目に入り、その後、強烈な雨とともに風が吹いて屋根瓦が吹き飛びブロック塀が倒壊し、部屋の畳が浮き上がった時はさすがに避難の準備をしながら震えていました。
大相撲夏場所もまだ前半戦ですが、「隠岐の海」と「佐多の海」の調子が良さそう。この二人で千秋楽に優勝争いをしてくれないか・・

2015.5.4
連休真っ直中。関東、東京地方は快晴の日が続いています。先週、赤池誠章・文部科学大臣政務官(参議院議員)、若林徹・同秘書官(本学・学校教育選修卒業)、茂里毅・文部科学省初等中等教育局教職員課長、柳澤好治・同高等教育局大学振興課教員養成企画室長が、本学と附属小金井中学校視察のため来学され、本学の入試状況、教員養成組織、就職状況等についての情報交換、および授業参観をされました。本学・英語教育学分野の粕谷恭子教授の授業では、学部3年生対象に小学校外国語活動の授業法について、アクティブ・ラーニングの実際を拝見させて頂きました。教育実習を9月に控える受講生にとっては具体的な指導法が展開され、豊かな表情、活発な身体運動を伴う学習に、自信をもって教育実習に臨めるものと確信しました。附属中学校では、柴田翔教諭、樺沢公一教諭による2年生、3年生対象の数学の授業を参観。とにかく考えさせられる授業内容で参観者一同も必死に考え、また中学生のしなやかな思考に感心しました。
 連休の一日、田植えが終わった田圃、鯉のぼり、農家、子ども、の4点セットが同じ風景に溶け込んでいる場所を求めて日光市今市へ。画家の原田泰治さんが描くのどかな農村風景で「ただいま」という作品がありますが、まさにその世界です。黄色い帽子をかぶり、赤いランドセルを背負った小学生(多分一年生)が学校での緊張感から解放され、農作業中の母親へ掛けた「ただいま」の声が聞こえてくるような絵です。原田さんの作品では人物の目、鼻が描かれていません。その分、自分が好きな表情を想像することができます。今市では、思い通りのほのぼのとした風景を十分に楽しみました。(「ただいま」は、web上でみることができます)

2015.4.27
先週25日(土)は、休日参観を開催した小学校、特別支援学校が多かったようです。近くに住む仲良しの小学生に頼んで祖父ということにし、その子どもが通う公立小学校へ参観に出かけました。ほんの数時間の参観で今の学校の様子(授業、環境・・)が全て理解できるわけではありませんが雰囲気だけでも、という思いからの参観です。校門入り口でチェックされると思い、その時に言うべきセリフをしっかりと頭に入れ入校禁止覚悟で臨みましたが、全くのフリーパス。学校安全という観点からは少々心配し、一方ではオープンな学校の態度に感謝しながら校舎内へ。国語、算数、体育を主に参観しましたが、当然ながら担任の先生お一人で授業されている姿に接し、指導案作成、教材準備等に大変だっただろうなと思うと同時に「教師の専門性とは何」と、永遠?の課題に考え込みもしました。低学年の後に高学年のクラスを参観しましたが、授業を受ける態度、体格、学習内容、隣席の友への答の説明・・6年間でこれほどまでに成長するのかと驚く一方、その成長を支える教師の役割の重要性、ひいては教員養成大学の責任の重さを改めて自覚した一日でもありました。
保護者や祖父母、兄弟姉妹と多くの方が参観に来られており、賑やかな雰囲気でした。私は自分の子どもの参観に行ったことが一度もありませんでした。学校でどのような振る舞いをしているのか、想像すると怖くなり避けていました。当日の様子から参観に行くだけでも子どもにとっては大きな励みになっただろうな、と後悔しています。参観に行っていたら今頃は・・・・・子育てに「たら-れば」の話はやめましょう。

2015.4.20
15日(水曜日)に、全学フォーラムを開催しました。これは、大学を取り巻く今日的課題、将来構想等について、全教職員と執行部との意見・情報交換会です。私からは、「運営費交付金」についてやや詳細な説明をしました。
国立大学への国からの予算配分は、運営費交付金として年間総額約1兆1千億円です。その大半は学生数など、規模に応じて自動的に振り分けられますが、各大学の個性に応じた意欲的な取組や新たな政策課題等への対応を支援するための経費も含まれています。今年度、東京学芸大学へは78億円の運営費交付金が配分されました。なかなか実感できない金額です。ある程度の規模感が理解できるのではないかと思い、86校ある国立大学のなかで相対的にこの配分額をみてみました。
配分額の多さから言えば42番目であり、ほぼ平均的な位置にあります。41番目までに医学部・大学病院を有する総合大学が38校、単科医科大学が1校あり、単科大学という括りのなかでは医学系、理工系、人文社会系含め3番目です。
この運営費交付金は、平成28年度からその配分方法が変わります。まず、86校の国立大学を役割によって、「世界最高水準の教育研究を目指す大学」、「特定の分野で世界的な教育研究を目指す大学」、「地域活性化の中核的大学」の3グループに分類し、各大学は今年度中に、どのグループを選択するか自ら判断しなければなりません。そのうえ、大学はグループ毎に設定された評価指標で評価され、その結果は、国立大学の収入の柱である運営費交付金に反映されることになります。
評価次第で配分額は増減します。最低でも現状維持の配分額獲得は必要であり、そのためには評価に耐えうる様々な取組をしなければなりません。これまでにも工夫を重ね、教育研究経費、人件費、環境整備等の質の維持・向上に努めてきました。国の財政状況が厳しいなか、経費節減含め一層の努力が要求されますが、学生、教職員の方々のご協力も是非お願い致します。

2015.4.13
先週は本学大学院博士課程、附属・世田谷高校、竹早小学校、小金井小学校、竹早幼稚園の入学・入園式に出席。どの年齢層においても、「新入生」とは初々しく眩しく爽やかです。いずれも緊張した顔に、がんばれよとエールを送りました。
9日には、新国立劇場と連携協力の協定を結び、演劇制作・技術に係わるインターンシップ、ホール実習、バックステージツアーの受け入れ、オペラ劇場を利用した声楽専攻の学生の実習等で互いに連携・協力することになりました。わが国有数の劇場で、様々な経験をすることは貴重な財産となります。また、両機関ならではの新たな事業を計画し、実現できればと思います。
7日夜は知人のピアノリサイタルに招待され、久し振りに優雅な演奏に聴き入り(時にウトウトと)、春宵の一時を上野のホールで過ごしました。この知人ご夫妻には、20数年前のわが家族のドイツ旅行中に現地で大変お世話になりました。ドイツでは都会より小さな村を訪問しなさいとの助言を受け、紹介して頂いた各地の村を列車で回り、実に素晴らしい体験をしました。この「ドイツ小さな村・悠々巡りの旅」は、帰国後、ちょっとした(立場によっては大きな)問題に発展。詳細については、この「つぶやき」の連載最後の一つ手前でつぶやきます。とても今の立場では・・・

2015.4.6
4月2日、本学入学式を挙行しました。新入生は学部、専攻科、大学院合わせて1,463名です。当日は快晴で大学構内の桜は満開、時折風に吹かれた花びらがひらひらと舞い落ちる風景は、まさに入学式日和でした。
本学では毎年、入学式終了後に新入生歓迎講演会を開催しており、今回は福田靖氏にお願いしました。演題は「ハードルを超えていく ~人気ドラマの創作現場より~」。福田氏は、映画では「海猿」シリーズ、「HERO」、「容疑者Xの献身」、「真夏の方程式」等、テレビドラマでは「海猿」、「救命病棟24時」、「HERO」、「ガリレオ」、NHK大河ドラマ「龍馬伝」、「DOCTORS~最強の名医」等々、多数の脚本を書かれています。当日は、冒頭に各ドラマの有名なシーンをスクリーンに映しました。その後、「脚本とは何か」から話は始まり、氏が脚本家になるまでの数々のエピソード、巡り合わせの妙、監督、俳優との演技をめぐるやりとり、ドラマに込めた福田氏からのメッセージ、脚本家の過酷な世界・・式場を埋めた全員が福田ワールドに酔い痴れ、約1時間の講演でしたがドラマのような話の展開に聴衆はすっかりのせられました。「走っている人にだけパスは来る!」は、当日、福田氏から頂いた色紙の言葉です。
講演前に私の式辞がありましたが、1,463名の新入生、ご家族の方々の記憶には、確実に福田氏の講演内容しか残っていないと思います。

2015.3.30
平成26年度永年勤続者表彰式及び名誉教授称号授与式を行いました。表彰ならびに称号授与された教職員の方々には、本学の教育・研究、管理・運営にご尽力賜りましたこと、心より御礼申し上げます。これからも本学が進む方向、あり方についてご意見等を頂けますよう宜しくお願い致します。私たちは、皆様から頂いた財産を大切に活かしていきたいと思います。
前回のつぶやき(3月23日)で、広重の錦絵を紹介しました。「・・・現在の風景と重ねてみるのもいいものです。もしこの絵が描かれた当時、本学の総合教育・人文社会1号館(9階建)が存在したならば、どこら辺に位置しているでしょうか。想像してみて下さい。」と書きました。実は絵のなかに、その建物を描きこんでいます。お気付きになったでしょうか?ある読者の方から、位置はもう少し左側ではないか、という指摘を受けましたが、そうかもしれません。平成の広重に伝えておきます。

2015.3.23
東京は本日、桜の開花宣言がでました。今日から1週間~10日程後に、本学キャンパス内の桜(豪華絢爛・・有名です!)は満開になります。新しくできたウッドデッキで、のどかな春の一日、桜を愛でに皆様お出で下さい。小金井は江戸時代から桜の名所です。広重の「武州小金井堤満花之図」は玉川上水端での花見の宴を描いた錦絵(下図)で、私が好きな一枚です。酒の香が匂い、歌舞音曲で賑わう喧噪が聞こえてきます。この絵に描かれた場所は大学から約1.5Kmの所です。そこに立って、現在の風景と重ねてみるのもいいものです。もしこの絵が描かれた当時、本学の総合教育・人文社会1号館(9階建)が存在したならば、どこら辺に位置しているでしょうか。想像してみて下さい。

2015.3.16
卒業式シーズンです。本学には11の附属学校・園がありますが、そのすべてに出席することはできないので、副学長と相談しながら分担しています。今週は4つの卒業式、修了式に出席します。その一つに大学院連合学校教育学研究科の学位記授与式があります。研究科の名称に馴染みがない方も多いかと思いますが、この研究科は博士課程であり、かつ千葉大学、埼玉大学、横浜国立大学と本学の4大学で構成されています。当日は、構成大学を代表して徳久千葉大学長からご祝辞を頂きます。
この研究科は、日本で最初の教員養成系の博士課程として、1996年(平成8年)に設置されました。今年度の修了生を含め、これまでに257名が修了し、その約8割は博士号を取得後、常勤の大学・短大の教員として、あるいは研究職として活躍しています。
幼稚園の卒園式から博士課程の学位記授与式まで、年齢層は大きく異なります。その分、当然ながら、対象によりお祝い(式辞、祝辞)の内容、使う言葉、話す時間に工夫を要します。最も頭を使うのは幼稚園の入園式、卒園式での挨拶です。話す内容によっては、ストレートに「何言ってんの?」とか「おじさんはだあれ?」など、必死に話している最中に、想定外の感想、反応が返ってきます。子どもたちの心を捉えるのは難し・・・。4月になると入園式が待っています。3分弱の挨拶ですが、今から入念な文章チェックをしています。ちびっこ評論家はこわい。

2015.3.9
先週は、国立の各大学長と文科省との個別の意見交換会、国立大学協会総会、教員養成連携機構プロジェクト(HATOプロジェクト)シンポジウムが開催されました。各大学の収入不足を補うために国が出している補助金を運営費交付金といいますが、その配分ルールをめぐって、現在、文科省と国大協・各大学との意見交換が活発に行われています。HATOプロジェクトとは、北海道教育大(H)、愛知教育大(A)、東京学芸大(T)、大阪教育大(O)が連携し、各大学の強みを活かしつつ、教員養成機能の充実を図ることを目的に設立されました。その第1回のシンポジウムが開催され、各大学の取組、連携の成果等が紹介されフロアとの質疑応答がなされました。多くの教員養成大学・学部の教員が関心を持っており参加者も多いなか、本学教員の参加者が少なくこの機構の存在が学内に知られていないのか、あるいは無関心なのか分析の必要性を感じました。
今週は、あの3.11から4年目。以前この欄において(11月25日)、「釜石の奇跡」について書きました。今朝(9日)の全国紙朝刊に「釜石の奇跡」について、釜石市立鵜住居(うのすまい)小学校事務職員であった木村タカ子さん(当時53)の夫・正明さんの記事が掲載されています。鵜住居小学校では、学校にいた児童・教員は全員避難して無事であり、そのことで学校が称賛されましたが、木村タカ子さんは行方不明に。学校の用務員さんは「残ろうとしたら、避難しなさい」とタカ子さんから言われたそうです。なぜ一人だけ職員室に残り逃げなかったのか・・
「釜石の奇跡」を称える声の裏に、このような事実があったことを初めて知りました。市は木村正明さんとの話し合いを重ね、「奇跡ではなく訓練の成果」として「釜石の出来事」と言い換えることにしました。

2015.3.3(雛祭り、A.G.ベルの誕生日、耳の日)
弥生です。「弥」は「ますます」とか「いよいよ」の意で、様々な植物が生まれる月です。既に2つの卒業式、修了式に出席しました。4月からの新しい社会で、それぞれの花を咲かせて下さい。大学は来年度に向けて、何かと慌ただしい日々が続いています。
先月は事情があって、酒量規制月間でした。にもかかわらず、気遣った田舎の友人が肴にと「トビウオ」の干物を送ってくれました。いい友をもったものです。飛び魚は今が旬で小さい頃から食べ慣れた魚であり、懐かしく久し振りの味に酒量規制緩和週間を設定・・
ところで飛び魚は空中で、どれ位の距離を飛ぶかご存知ですか?鹿児島の離島に住んでいた小学生の頃、本土と島を結ぶ客船に並走(飛?)し追い越していく飛び魚を飽きもせず眺めていました。飛行に適した体型、発達した胸ビレがグライダーの翼の役目をすることがよく分かり、当時「進化」という言葉の意味が理解できたような気がしました。時速約60Km、海面から高さ1m弱程度の空中を、距離にして約600mも滑空する大物もいるそうです。100m程度の滑空は極普通の距離であり、実に素晴らしい能力です。
ネット情報によると、2008年5月、NHKのクルーが鹿児島沖のフェリーから45秒にわたって飛びつづける様子を撮影し、映像としてとらえられた記録としてはおそらく過去最長であると報じられたそうです。
飛行機オタクからみると、ボーイング787型機の主翼の形が、飛び魚の広げた胸ビレにそっくりです。自然の形は美しい・・・機会がありましたらよく観察してみて下さい。

2015.2.23
学校教育における新しい学びのあり方として、「アクティブ・ラーニング」というキーワードを目にすることが多くなってきました。定義は難しいのですが私なりにまとめてみると、「アクティブ・ラーニングとは、〈何を教えるか〉という知識の質、量の改善はもちろんのこと、〈どのように学ぶか〉という学びの質や深まりを重視し、課題の発見と解決に向けた主体的・協働的な学習法」といえるでしょう。しかし、いざ実践となると難しい・・また、アクティブ・ラーニングは小学校~高等学校段階の教授、学習法だけをいっているのではありません。むしろ、改善しつつあるとはいえ旧態依然とした今日の大学授業において最も強く求められているように思います。本学の教育諮問会議や経営協議会でも、学芸大学のアクティブ・ラーニングについて、その実態や考え方を訊かれています。
今月4日、大学教員による授業の視察と教職大学院生との懇談を希望して丹羽秀樹・文部科学副大臣、佐藤弘毅・文部科学省高等教育局大学振興課教員養成企画室長が本学へ来られました。以下は、本学・日本文学分野の河添房江教授の授業を視察され、教職大学院の院生との懇談をされた副大臣のフェイスブック(授業風景の写真付き)に書かれている感想です。「・・・模擬授業が終わると、学生達から次々に鋭い質問、指摘が飛び交いました。・・また、教職大学院で学ぶ学生の方々からは、明確な目的意識を持って学びを深めていること、その学びを活かして教育をより良いものにしていきたい、という熱意が感じられました」と、大学におけるアクティブ・ラーニングの実際を視察することができ参考になった、との感想を後日頂きました。これからの教員には、アクティブ・ラーニングのための指導力が必要とされてきます。

2015.2.16
東京都の環境確保条例には「何人(なにびと)も規制基準を超える騒音を発生させてはならない」と定められています。この「何人も」が示すのは、事業所や工場等であり個人でもあります。しかし、都はこの「何人も」に対する騒音規制のうち、「子どもの声を一律の音量規制の対象から外す」と、規制の見直し案を発表しました。これに対し賛否両論、多様な論議が沸き起こっています。子どもは大きな声を出し、エネルギッシュに動き回るのが普通であり正常な姿です。一方、高齢者にとって静けさは精神的安らぎを得るに必要な環境であり、子どもの声を騒音に感じる地域で静寂が必要な職業に就いている人もいます。騒音問題は当事者にしか分からない部分が多く、双方が納得できる解決は困難です。単に音が大きいからというだけでなく、音の種類(高さ、音色・・)、人間関係、その他複雑な要因が多く絡んでいます。聴覚(心理学)的な問題だけでなく、社会心理学的な要素を含んでいます。古くて新しい問題であり、紀元前一世紀にジュリアス・シーザーは夜間に戦車がローマ市内を通行することを禁止しました。世界における騒音防止条例第1号でしょうか。今回の議論をきっかけに、幼児、児童、生徒の音声教育のあり方を考えてみたいものです。
一般的に日本の児童は大声を出しすぎる、という指摘もあります。様々なスポーツにおける声出しや街頭募金等での呼びかけなどについて、外国や音声外来の専門家(耳鼻咽喉科医)からは声帯の酷使が指摘されています。様々なご意見があろうかと思いますが、一方的、一律的な考えは如何なものかと思います。

2015.2.9
国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)の平成26年3月卒業者の就職状況(教員就職者)が発表されました。教員就職者とは、国公私立の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教員(養護教諭及び栄養教諭を含む)として就職した者の数です。教員就職率が高い大学、教員就職者の多い大学、それぞれ5大学の名前が挙がっていますが、本学は教員就職者の多い大学として、2番目にランクされています。教員志望の学生が多い大学ですから当然といえば当然ですが、教員就職率においてもベスト5に入りたいところです。少子高齢化、18歳人口の減少に伴い、将来的には教員の量的削減は避けられない事実です。そのなかで国立の教員養成大学・学部は、それぞれがもつ特色・強み、地域連携をさらに発揮し、より細やかな教員養成、教員研修が求められています。ひいてはそれが教員就職率に繋がります。
日本の初等・中等教育の質の高さは誰もが認めるところです。我が国の教員養成大学・学部がアジア地域をはじめ世界中から教員志望の留学生を引き受け、よりグローバルな視点から教員養成を行う日もそう遠くはないと私は思っています。

2015.2.3
本日、岩手県二戸市教育委員会と本学は、児童生徒の学力向上、教員の相互派遣、学生受け入れ、授業の質確保等位について連携協定を結びました。これからは双方がもつ特色、強みを活用し、さらなる教育の質向上に取り組んでいきます。詳細は、近日中に本学ホームページに掲載されます。このような取組は、日本における教員養成の基幹大学としての本学の役目でもあり、今後はさらに拡大してきたいと思います。
今日は節分、明日は立春。そろそろ春一番でしょうか。先週末は東京でも今年初めての積雪でした。立春前ですが「春の雪」と言っていいでしょう。例年、人間ドックへは8月中旬頃に行っていましたが今年度は都合のつく日がなく、週末の早朝、うっすらと積もった雪を踏みしめての出陣でした。雪は本来、吉兆をもたらすものです。今回のドックは思うところがあり、検査は避けたい、行きたくない気分半分で臨みました。出掛けに「行ってらっしゃい、頑張ってね~」と、妻のやけに明るい声に不安は一層増しました。何を頑張れというのか・・。ところで結果はまあまあ、いろいろありましたが想定の範囲内でしょう。雪に感謝!!様々な注意・警告を医師から受けましたが、こちらも例年通り数日内にすっかり忘れてしまうことになりそうです。
先週の「つぶやき」で書き忘れましたが、大河ドラマ「花燃ゆ」の時代考証は、今回も本学歴史学分野の大石学・教授が担当されています。

2015.1.26
「春隣(はるどなり)」、冬の季語です。寒気をとおして春の温もりが感じられるような言葉です。冬至が過ぎて、日差しは一日に畳の目ひとつ分ほど伸びるとか。かすかな春の予兆があちこちにみられます。受験生にとっても春隣であってほしいです。
今年の大河ドラマは「花燃ゆ」。別名「イケメン大河」。吉田松陰の妹「文(ふみ)」の生涯と、激しく変化する動乱の時代に向き合う幕末男子の生き様を描いた物語ですが、まさに現代のグローバリゼーションに通じる空気を感じます。松蔭の弟、「敏三郎(としさぶろう)」は耳が聞こえず、その彼が兄や周囲の若き塾生達とふれ合うなかで、どのように成長していくのか注目しています。舞台となっている萩の私塾「松下村塾」には建造物としての興味があり、30年程前?に訪ねました。質素でありながら凛とした空気が漂う家屋の構造に、自ずと居住まいを正しました。その時、松蔭の雰囲気・影響を少しでも受けていたなら、もっとピッリとした性格の自分があったのではないかと・・・・
また、我が家には吉田松陰像の掛け軸が物心ついた頃から掛けてあったこともあり、独特な風貌の松蔭は身近に感じていました。しかし、描かれた人物について、当時両親から受けた解説は「ヨシダショーインという名前の人」だけで、他には何もありませんでした。せめて人物について簡単に説明するなど、教育的配慮を示して欲しかったと思います。掛け軸に書かれた漢文に、「二十一回猛士」と書かれた部分だけは鮮明に記憶に残っています。この松蔭の号については是非お調べ下さい。

2015.1.19
二日間に亘るセンター試験が終わりました。受験生の皆さんお疲れ様。また、本学入試課をはじめ入試業務に携わった教職員の方々、本当にお疲れ様でした。A大学のB教員のブログに「センター試験業務は大学教員が避けたい仕事のトップ3に入る・・・・しんどい」とありました。同一期日に同一の試験問題について約56万人もの志願者が取り組むので、実施上ミスがあってはならず確かに重圧を受けますが、センター試験業務は大学教職員に課せられた任務です。志願者はもっと重圧を受けています。A大学のB教員さん、「しんどい・・」なんて言ってはいけませんね。
近い将来、センター試験は廃止し新しい試験の導入が検討されています。これまでの「知識・技能」を単独で評価するのではなく、「知識・技能の活用力」を中心に評価し、教科・科目の枠を越えた「合教科・科目型」、「総合型」の問題を組み合わせて出題することなど、他にも大胆な改革案が考えられています。ただ、実際にこれらを実施するとなると、多くの解決すべき課題があります。これまでも大学入試はその時代の要請もあり、その時々で改革を行ってきました。今回の改革案も、今までの入試制度がまずかったというということではなく、グローバル化した時代に合わなくなってきた、とみるべきでしょう。

2015.1.13
昨日(12日)は成人の日。この一年に満20歳を迎えた本学学生も多くいます。おめでとう!ご家族や友人、各自治体等が主催する「成人式」で、多くの祝福を受けたことと思います。殆どの新聞の社説にも成人としての心構え、期待が掲載されていました。
成人の日で私がいつも思い出すのは、ある企業の広告です。毎年、成人を迎えた若者に向けての応援歌(エッセイ)が新聞に掲載されています。執筆者は、山口瞳、倉本聰、伊集院静と受け継がれ、まさにエッセイの達人による厳しくも暖かい内容です。
山口瞳著による一連の「礼儀作法入門」(文庫本)は、成人を迎えた若者に読んで頂きたい本です。反発を覚える部分もあるかもしれませんが、父親的な視点から子どもへ伝えたいことが書いてあるという印象を持ちました。二人の愚息に成人のお祝いとして、願いを込めてこの本を贈りました。安上がりです。しかし、日常的な基本的躾けができてないと、なかなか理解できないようです。「入門(書)」ではありますが、前提として人としての最低限のマナーは身につけてこそ、読んで理解できるということに気付きました。しかし「時すでに遅し」でした。贈った効果は未だ発揮されていません。

2015.1.5(仕事始め)
明けましておめでとうございます。それぞれの新年をお迎えのことと思います。この一年、宜しくお願いいたします。本日は「仕事始め式」で学長挨拶があり、色々なことを述べました。そのなかで最も申し上げたかったことは、まず健康で・・ということです。どうぞ皆様も健康で一年を過ごされますこと祈念いたします。
今日は「寒の入り」。小寒です。これから寒さ一段と厳しくなってきますが、多くの受験生にとっては追い込みの時期でもあります。体調崩されぬようくれぐれもご用心下さい。特に東京学芸大学を目指している受験生諸君、頑張れ!!4月の入学式で君に会えることを楽しみにしています。

2014.12.22(冬至)
18日にキャンパスクリーンデーを実施。今回は、外回りを中心にゴミ、落ち葉などを拾い集めました。キャンパスクリーンデーは年2回実施し教員・学生へも参加を呼びかけていますが、毎回ほぼゼロ状態が続いています。今回、職員がゴミを拾い集めている脇を、軽く会釈して「有り難うございます」と声をかけて通り過ぎる学生に出会いました。感激しました。前回(夏)、生協前広場での出来事。ベンチに座っている学生の足元を掃こうとしたら、座ったままヒョイと両足だけをあげ、掃き終わるのを待っていました。そこだけ少し時間をかけて丁寧に掃きましたが、多分、学生は腿あたりが疲れたと思います。
19日は岩手県二戸市教育委員会と市教育長を訪問。市と本学が連携協定を締結し、来年度から様々な面で活発な交流を開始します。日本の教員養成大学・学部の基幹大学として、本学が地方自治体の要請に応えることは一つの役目だと思います。
今日は二十四節気のなかで、私が最も好きな「冬至」。さらに今回は19年ぶりの朔旦冬至(さくたんとうじ)で、太陽と月がともに復活するめでたい日です。ここしばらく悲しい出来事が続き少々落ち込んでいましたが、私にとって冬至は古代人同様、一年の始まりです。気分新たに臨みたいと思います。

2014.12.15
以前、この「学長のつぶやき」欄で、機会を見つけて私が注目する力士を紹介しますと書きましたところ、ある本学教員からまだですか?という催促を受けました。すみませんでした。今日紹介する力士は「海士の島(あまのしま)」です。本名:宇野信行。島根県立隠岐養護学校出身。知的障害があり障害者手帳を持っています。ただ、興味ある分野についての記憶力は抜群で、レスリングでは全国高校総体で準優勝の実力もあります。入門したのは八角部屋で、親方は元横綱北勝海。ご存知のように相撲界は稽古も規律も厳しく、なおかつ集団生活です。入門当初はトラブル続きで、同じことを何度も言わなければ分からず、兄弟子たちがイライラする場面も多々あったそうです。しかし、彼の周りの人たちからの理解も徐々に得られ、次第に仲間にとけ込んでいきました。本場所の打ち上げ会で彼に会いました。筋肉質のまだ力士としては細さが目立ちますが、見るからに足腰の強さをうかがわせる体型です。緘黙でやさしい眼差しをもった好青年でした。これから精進して是非関取になってほしいと、熱烈な声援をおくっています。この欄をお読みになった方々からもご声援よろしくお願いいたします。

2014.12.8
先週金曜日から日曜日にかけて、3つの行事に参加。日曜日(7日)開催の「日本教職大学院協会研究大会」もその一つです。「教職大学院?」と、ご存知ない方も多いかと思います。
今日の学校教育が抱える課題は多様化・複雑化しており、学校に対する期待・ニーズも大きく変化しています。これらに対応するため、学校は自ら特色ある教育課程、効果的な学習指導・生徒指導の方法を開発し、それらを行う校内組織の整備が強く求められています。そのためには高度な専門性と実践力を備えたリーダー的な教員の存在が不可欠です。教職大学院は、そのようなスクールリーダーを育てるために創設された、所謂、専門職大学院(例えば法科大学院)の形態の一つです。現在、19国立大学、6私立大学に設置され、本学教職大学院からは既に180名余が修了し第一線で活躍しています。当日は教職大学院の学修成果について、教育現場での実践研究の発表がありました。さすがに質の高い、ボリューム感のある研究発表でした。本学は平成27年度から10名の定員増です。時節柄、鉄道各社のコンコースでは年賀はがき販売の真最中。年賀はがきには何か一筆添えて書かねばと、毎年思いながらその一筆がなかなか難しい。手紙やハガキ等で簡潔にして情愛ある文は古今東西多く存在しますが、その極み(と思う)を一つ紹介。南極昭和基地で越冬生活を送る隊員へ、日本の家族から電報が届きます(今は音声と映像?)。そのなかで、ある隊員にきた電文が全員をシュンとさせた・・・それは、奥様からのたった3文字の電文で「アナタ」。(竹内政明、文藝春秋)

2014.12.1
月並な台詞ですがもう師走。昨日(11月30日)は「ICTを活用した21世紀の授業を考える」というテーマで開催された教育フォーラムに出席。信州大学学術研究院教授の東原義訓先生によるICTを活用した最近の授業実践の様子、タブレットはじめ情報端末を駆使した授業の解説を聴き、その効果には目を見張るものがありました。一方、教師の指導方法によっては従来の一斉授業をさらに加速させるだけのもの、といった負の側面もある事例も紹介されました。政府の方針もありデジタル教科書の推進が着々と進んでいます。その教科書の標準化が重要ですが、これについては本学情報処理センター、教育実践研究支援センター情報教育部門、情報科学分野所属の先生方が大きく貢献していることも東原先生から紹介されました。テーマとしては少し似ていますが、去る11月22日(土)にも、「2014学校図書館元気フォーラム」が開催され、「タブレットは紙に勝てるか」という刺激的なテーマで白鴎大学の赤堀侃司(かんじ)先生のご講演を拝聴。このテーマは今やどこの世界においてもホットな話題です。要は介在する人次第であり、両者がもつ機能としての即時性、信頼性の折り合いをどうつけるかだと思います。このテーマを面白く扱った動画をつい最近ネットで見ました。日常生活において極端なタブレット派の夫は、紙媒体しか使えない妻を嘲笑し、その後進性をしつこく指摘しています。ある日、夫がトイレに入って用を足しペーパーが無いことに気付きました。「ペーパー!」と妻に叫びました。妻がドアの隙間からそっと差し出したのはタブレットで、その画面にはトイレットペーパーの写真が・・神に見放された夫の運はその後如何に。

2014.11.25
先週の水曜日、全学的な防災訓練を実施しました。その3日後(22日)には長野県で震度6弱の地震が発生(宝永4年(1707)11月23日・富士山大噴火)。例年の訓練に比べ教職員、学生に真剣な態度がみられたのは、訓練といえども現実味を帯びてきた証拠と言えます。防災教育で「釜石の奇跡」を生んだ群馬大学・大学院理工学府教授・片田敏孝先生の講演を10月に聴きました。印象に残ったのは、講演の冒頭に言われた「一生懸命逃げる子どもを育てる」ということばです。「逃げる」ことが自分自身を助けると共に、他者を助けることになる、という事実を3.11当時の映像で見せていただきました。本学・防災訓練ではAEDの使用法についても、小金井消防署の方々にご協力いただきました。AED本体から流れる操作のための音声ガイドがとてもよくできており、日頃、過剰な音声・音楽・音声ガイドの氾濫に苛立ち批判している私は、これぞ音声ガイドのお手本と思いました。最近の体重計は人々の健康志向を反映してか、身長や年齢などのデータを入力すると診断し、音声で結果を知らせてくれるとか。あるご婦人が買い求め、ドキドキしながら体重計に乗ったところ体重計は告げた。「一人ずつ乗って下さい」(竹内政明、文藝春秋)。

2014.11.17
先週末、本学理科教員高度支援センターが世話役として開催されたシンポジウム「科学的な思考力・表現力の育成 II 」で、NHKプロデューサー・竹内慎一氏の特別講演を拝聴しました。私もよく知っている「考えるカラス」などの理科教育番組を制作された方です。同名の本も出版されています。番組制作過程での様々な悩みや理科教育の本質など、竹内氏の考え、思いを楽しく聴くことができました。この番組では日常生活のなかでみられる現象について、なぜ?という問いかけから始まる簡単な実験が提示され、その最終結果がでる直前に実験は画面から消えてしまいます。あとは自分で考えましょう・・という、フラストレーション、欲求不満が一杯たまる番組です。「考えるカラス」というタイトルは、イソップ物語に出てくるカラスを主人公とした話をヒントに付けられた名前です。この物語に出てくる「カラスと水差し」の話について、実際の実験映像を見せていただき大いに感激しました。一方、私のボンヤリした孫達はこのカラスほどの知恵にはまだ確実に達していない、と複雑な気分にもなりました。カラスの賢さについては改めて言うまでもありません。本学を退職された某先生(皆様によく知られた・・)は、本学構内のカラス集団から度々攻撃を受けていました。先生とカラス達とはどういう間柄だったかは聞いていませんが、カラス側にはそれなりの言い訳のつく理由があったのでしょう。構内にいる多数の人間の中から特定の人物を識別し隊を組んで襲撃する能力は、当の先生には気の毒でしたが素晴らしいと思います。

2014.11.10
立冬過ぎ、弱い風と共に降る通り雨(秋時雨)に出会うと、つくづくと冬到来を感じます。11月6日、連携協定締結式出席のため韓国の国立ソウル大学を訪問。あらゆる面において韓国を代表する大学であり、キャンパスが広大な丘陵地帯に立地していることもあって立体感があり、日本の大学とは異なる風景が印象的でした。本学はこれまでに海外55大学との交流協定を結んできました。高等教育における国際化、グローバル化が急速に進むなか、これまで以上に海外大学での学修を奨励すべく、来年度からはこれらの交流協定締結校への新しい学生留学支援・渡航支援を予定しています。7日~8日は国立大学長の会議(松本市)に出席。大学を取り巻く厳しい状況に、学長達にあまり元気がない・・。会議の合間に会場近くの松本城見学へ行きました。我が国の多くの名所旧跡(特に建造物)では、琴の音と共に音声による説明が、やや大きめの音でスピーカーから繰り返し流れてきます。本当にこの説明は必要でしょうか?多分、議論のあるところかと思いますが、私としては無くてもいいし、あったとしても場にふさわしい音声サービスのあり方を工夫して欲しいです。この件は以前から相当気になっていたので、夕食時に妻を相手に持論をまくしたてました(アルコールの勢いもあって)。私の演説が終わって妻から一言。「何度も何度も同じことを大声で・・静かに一回言えば分かるから・・」

2014.11.4(韓国から)
先週水曜日は埼玉県教育長、千葉県教育長を訪問。埼玉県教育長の関根先生とは、先生が県立浦和高校長時代からのお付き合いがあり、面談予定時間を45分も超過して教育論議に話が弾みました。夜は、本学出身で千葉県の校長、教頭先生たちとの懇談会があり、多大な有難い叱咤激励を頂きました。翌日からは国立大学人文社会学系学長会議出席のため沖縄へ。どこの学長も課題山積で悩みは一緒でした。合間に琉球大学の知人の研究室を訪問し、教職大学院の在り方、今後の行方を熱く議論。様々なヒントを得ました。今週は月曜日から木曜日まで韓国で開催の「東アジア教員養成国際シンポジウム」に出席しています。主としてICT活用の教育についての各国の報告、研究発表が続いています。韓国到着の昨夜は、出張準備で苦労した国際課職員はじめ関係者への感謝を込めて、ホテル近くの居酒屋でささやかで賑やかなマッコリパーティーを開催。乾燥した冷気の中で飲むマッコリは格別でした。金曜日からは長野県松本市での国立大学長会議へ出席・・・先週~今週は出張週間です。

2014.10.27
平成27年度大学院(修士課程)の入学者選抜試験は、10月25日(土)、26日(日)に無事終了しました。受験生の皆さん、担当の教職員、本当にお疲れ様でした。10月23日(木)は国立大学協会東京地区支部会議(東京地区の国立大学長の集まり)があり、主として大学予算(運営交付金)、大学改革、イノベーションに関する事項に審議が集中しました。本学は人文社会学系の単科大学であり、他の大規模総合大学、自然科学系大学と比較すると、様々な面において厳しい状況にあります。しかし、こういう時こそ教員養成大学という特色・強みを最大限に生かし、本学でなければできない人材育成、国内は元より今後はアジア地域等を視野に入れた教員養成を目指さなければならないと思っています。この時期、香り高き新米、新酒が知人から送られて来ます。新米のおにぎり肴に頂く新酒は格別です。約半年かけて育ててこられた稲作農家へ感謝すると共に、もっともっと頑張れという送り主からのメッセージと受け止めています。
新米の香り漂う蕪村の句: 新米もまだ艸(くさ)の実の匂ひ哉

2014.10.20
今週は、「あかりの日」(10月21日)、「電信電話記念日」(10月23日)と私の研究内容と関連のある2つの記念日があります。前者はトーマス・エジソンが白熱電球を発明した日であり、後者は横浜-東京間に電信架設工事が行われた日です。電話の発明で知られるアレクサンダー・グラハム・ベルは、ボストンろう学校の教員で当初、補聴器の開発研究をしており、自らも聴覚に障害があったエジソンはベルに技術的援助、障害者サイドからの助言を与えていました。電話機の発明はそれらが発展した結果としての産物です。ベルは日本の聴覚障害教育にも強い影響をもたらし、各地で講演を行いベルの教え子であるヘレン・ケラーも同行しています。今日、何かと注目のICT、LED等の発達の基礎を創った二人が、共に教育分野で活躍していたことは興味あることです。十三夜も過ぎ二十四節季(にじゅうしせっき)の霜降(そうこう)の候、皆様、風邪など引かれぬよう・・・流行っています。

2014.10.14
台風一過。爽やかな週のスタートです。先週で全ての附属学校への実習挨拶、及び日本教育大学協会の理事会と学長・学部長等連絡協議会が終了しました。私としては緊張する会議でした。11日は倉吉博物館にて「人間国宝・大坂弘道展」のオープニングセレモニーに出席。大坂弘道氏は本学の美術科卒業生です。この特別展の詳細につきましては近日中に本学HPにアップします。その前日(10日)は鳥取県教育委員会へご挨拶に伺い、県教育長、その他関係者へ本学の組織や卒業生の動向、採用に向けた取組、教職大学院等を説明しました。鳥取県では多くの本学卒業生が教員、指導主事、管理職として活躍しており、ミニ同窓会も開催されました。ここしばらくの間、同窓会や会議後の黄昏時の情報交換会?学会の懇親会・・等々の連続でしたが、今週も水曜日から日曜日まで地方で開催される会議へ出席です。頑健な体にタフな肝臓を組み込んでこの世に送り出してくれた父と母に、深く感謝する日々が続きます。

2014.10.6
本学にある12の附属学校園(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)での教育実習は最終段階に入りました。実習生の生活の様子、各附属学校園の実習に対する要望等の聴取のため、今日までに10の学校園を訪問しました。あと2校は今週訪問します。各附属の実習生担当教員には業務とはいえ熱心にご指導・支援頂き心から感謝申し上げると共に、実習生は附属での経験を今後の学修に生かし、さらに高度専門職業人としての教員を目指してくれることを期待しています。先週は今年度文化庁芸術祭オープニングに際し、「伝統芸能の交流 -日本・モンゴルの歌と踊り-」を国立劇場で鑑賞しました。日本からは真言密教の声明(しょうみょう)、尺八本曲、伝統芸能が、モンゴルからは伝統的な遊牧生活を背景とした、独特な歌唱法(ホーメイ等)や奏法による歌と踊りが参加しました。声明は演奏会で数回聴いたことがありますが、ホーメイをライブで聞くのは初めてであり、かって私も発声に挑戦したことがありました。しかし、「ホーメイの演奏が身体的に危険を伴うことはよく知られており、誰にでもできる、出せるという簡単なものではない」と、当日配布された解説冊子書に書いてあり、我が軽率さに恥じ入るばかりでした。この解説冊子を書かれたのは、本学・連合大学院(博士課程)・芸術系教育講座の院生G.ツエルゲルさんです。冊子に書かれた所属・署名を拝見し、本学院生の活躍を誇らしく思いました。

2014.9.29
今回の御嶽山の噴火はまさに不意打ちと言ってもよく、その被害の全容が今日になってもまだつかめていません。被害に遭われた方々へは心よりお見舞い申し上げます。高度に発達した科学的予知能力を以てしても、今回の噴火予知は困難であったようですが、それについては今後の詳細な検証を待ちたいと思います。今から丁度100年前の1914年(大正3年)、私の郷里である鹿児島・錦江湾にうかぶ桜島が大噴火しました。多数の死傷者をだし、火山灰は遠く下北半島にまで達したと云われ、噴火で流れ出た溶岩が大隅半島と桜島を陸続きにしました。この災害を風化させまいと県内各地に記念碑が多く建てられましたが、そのなかで有名なものとして“科学不信の碑”といわれる碑があります。桜島島民は様々な異変を感じ、噴火の恐れがないか何度も測候所に問い合わせましたが、「噴火なし」という連絡に安心しました。しかし噴火は起きました。今日、当時とは比べものにならない程に自然災害に対する予防、予知科学は発達しましたが、災害に対する一つの心構えとして、古人の声に耳を傾けるのも大切かと思います。以下はその記念碑に刻まれた文言の一部です。「・・・本島ノ爆發ハ古来(こらい)歴史ニ照シ後日復亦(ふたたびまた)免レサルハ必然ノコトナルヘシ住民ハ理論ニ信頼セス異變(いへん)ヲ認知スル時ハ未然(みぜん)ニ避難ノ用意尤(もっとも)モ肝要トシ・・」。

2014.9.22
先週は、”ASEAN Teacher Education Conference 2014” に招待され、教育学講座・渋谷教授と開催地フィリピン・マニラへ。ASEAN各国の教員養成大学等の代表者が集まり、情報交換や学生交流等について新しく協定を結び、その締結式の一環としてシンポジウムがありました。そのなかで日本・東アジアにおける教員養成、学校教育、受験・・について紹介し、”Juku”, “Yobiko”等も説明しました。同行の渋谷教授の専門はフィリピンを中心としたASEAN地域の比較教育学であり、会場でお会いした各国代表の学長・副学長とも旧知の間柄であったため、質疑応答もスムーズに進みました。私のマニラ訪問は初めてでした。空港からホテルへ向かう車が途中エンストしましたが、近くにいた長老?の号令一下、子ども達がサッと集まり一緒に車を押してくれて動き出しました。止まると再びエンストの危険性があるため、私達は100メートル程走らされましたが、昼間の炎天下(約30度)、太めのおじさん二人が汗を拭き拭き走っている姿は周りの人にはどう映ったのでしょうか(とにかく道端には人が大勢います)。最後の日は台風が襲来し30分ほどホテルは停電でしたが、暴風雨のなか少し離れたモールまで見物に行きました。ホテルマンは呆れていましたが、マニラの人々の旺盛な生活力、エネルギーが我々に乗り移ったのかも・・・

2014.9.15
2020年度を境に縮む教員採用、と新聞報道(9/14)。本学もあらゆる情報を元に、今後10年位を見越した教員採用数を既に試算し、対応を日々検討しています。一方、採用数減は教員の「質」が益々問われる時代への突入も意味しています。先週はこの「質」を改めて考えさせられた重い一週間でした。気分晴らしにと気遣ってか、演劇好き仲間が都合で行けなくなったということでチケットを譲ってくれ、連休の一夜観に行きました。清水邦夫・作、蜷川幸雄・演出の「火のようにさみしい姉がいて」。何かと話題の演目です。演劇を批評できるほどの「量」(こちらはまず「量」ありき)はこなしていませんが、セリフ劇の面白さをたっぷりと味わい、「正気と狂気が交錯するセリフは声のいい女優によって生かされる(日経新聞)」を実感しました。今日は敬老の日。あるマージャン店は“敬老の日限定企画:60歳以上の高齢者を対象に無料サービス”と。高齢者か・・・・自覚します。

2014.9.8
今日は中秋の名月。「名月は八月十五日一夜なり。明月は四季に通ず(許六)」。旧暦では約三十日間を一ヶ月とするので、八月でなくても十五日は満月になる。だが、これらの月は明月であって名月ではない・・名言です。大気の状態、月を仰ぎ見る角度、収穫への祈り・・様々な条件が重なって、「名月」は生まれたものと思います。我が家では毎年、折々の節句、伝統行事は欠かさず華やかに執り行ってきました。しかし、子どもの成長と共に家族の生活がバラバラになるにつれ、心の一体感も希薄になり、唯一、私に寄り添って共に楽しんでくれたピノコ(ダックスフント)も昨年医療事故で亡くなり、次第にほんの形だけで済ませることが多くなってきました。今日の東京地方の天気は曇り。名月は望めませんが明日に期待し(明日が満月)、錦織圭選手のテニス全米オープン男子シングルス決勝進出を祝って、深夜一人ベランダで静かに大宴会です。

2014.9.1
8月31日(日)、「2014青少年のための科学の祭典・東京大会」が本学で開催されました。毎年、約9000人の子ども・保護者が訪れています。今年は108のブースにおいて日々の生活で感じた疑問や関心事について、子どもと一緒に実験を交えながら多領域の専門家に解説をして頂きました。先月、日本、中国、韓国、アメリカの高校生対象に自然や科学への興味関心についての意識調査結果が報道されました。日本は4カ国中最低という見出しでした。その原因は、受験勉強で多忙、探求的学習の少なさが挙げられていますが、私はもう一つ重要な原因があると思っています。それは、成人(親)を対象とした「市民の科学的諸問題への関心度」、「市民の科学的教養度」について、欧米の先進国13カ国と日本を比較したとき、日本は関心度が14位、教養度が13位とかなり低いことです。科学的な関心事について、家庭での親子の会話が少ないことが推測できます。一方、世界の高校生らによる知識、思考力を競う「国際科学五輪」では日本勢が好成績を収めています。二極化が進んでいるのでしょうか?

2014.8.25
先週22日(金)、23日(土)と国立大学法人トップセミナーが開催され(横浜)、国立大学が法人化されて10年が経過した今日、特徴ある大学運営・経営を行っている大学からの報告や、これからの国立大学法人のあり方が熱心に討議されました。東京学芸大学も様々な領域で取組を行ってきましたが、他大学の例を見聞することで、さらに積極的・具体的な改革の方向性が見えてきました。23日午後は、日本学術会議土木工学・建築学委員会主催の公開シンポジウム「我が国の大学等キャンパスに国際競争力はあるか」に出席(乃木坂)。新聞社調査によると、新入生の多くが大学キャンパスに失望し、大学生活への落胆が大きい・・と。私の学長就任時挨拶の全学フォーラムで、「キャンパスが持つ教育力」について話しましたが、まさにその内容についてのシンポジウムでした。日本の大学のキャンパスが広場、空間(キャンパス)のような中心空間ではなく、時計塔、並木道、講堂がシンボルとされ、生活空間としてのキャンパスではなく権威の象徴としてのキャンパスであるという指摘は、印象に残りました。結局は、大学とは何かという問題に突き当たるように思います。

2014.8.18
先月、本学名誉教授・中村義春先生による合唱公開講座が芸術館で催され、見学にうかがいました。中村先生とは特に面識はありません。当日の教材は、 大中恩・作曲、佐藤春夫・作詞:「海の若者」と「秋の女(おみな)よ」で、ともに私が好きな歌曲です。特に「秋の女よ」は、ちょっと感傷的になったときに聴くといい・・。是非ご鑑賞を。さすがに本学で声楽を学ばれた方々が受講生だけに先生のご指示が即座に伝わり、小気味よいテンポで授業は進みました。先生の指揮が、まるで動きにムダのない脱力した古武術や歌舞伎の所作に似ていたのが印象に残りました。このように、本学では普通の大学では滅多にお目にかかれない種類の公開講座が他にもあります。時には、世界的に有名な演奏者による公開レッスンもあります。本学関係者ばかりでなく、興味ある方はどうぞお出で下さい。

2014.8.11
今年度9月修了生の学位記(和文、英文)に私の名前を署名するため、自筆の漢字(毛筆)とローマ字(ペン)によるサインを、先週の金曜日に創りました。英文では、姓名の順を慣例に倣い〈名→姓〉としましたが、学位記に記載の修了生名は〈姓→名〉です。担当者の助言もあり、統一のため私の署名も〈姓→名〉に改めました。姓が先か名が先か?これについては、作家の井上ひさし氏の興味ある考察があります。結論を云えば、日本人は大から小へと視点を移動させて(ズームイン思考)、物事を処理しているという指摘です。住所の書き方もそうであり、短歌でもズームイン思考に依ったものが多いとのこと。例えば、代表例として石川啄木の「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」、佐々木信綱の「ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲」、なるほど・・・。〈名→姓〉が世界標準と信じている英語圏の人たちに、「いや、世界は多様ですよ」と釘をさすために、私たちは〈姓→名〉で書くべきでは、という井上氏の考えに、今日大流行の「グローバル的思考」をみました。

2014.8.4
夏真っ盛り。ほぼ春学期の授業は終了し、ゼミ合宿やサークルの強化合宿、あるいは帰省して久しぶりに家族・友人との語らいを楽しんでいる学生など、過ごし方は様々でしょう。夜の網戸には、灯りを求めて様々な昆虫が這いつくばっていますが、存在感のあるのはカナブンです。大学生の頃、帰省した折に高校時代の同級生宅に仲間数人集まり、飲み会をしていたときのことです。飛んできたカナブンを捕まえ、酔って寝ている友の耳に入れました。入れても起きないほど熟睡していましたが、しばらくして突然起き「痛い!!」。カナブンは奥へ奥へと前進し(バックはできない)、多分、鼓膜を刺激していたと思います。それから大騒ぎになり、ピンセットで捕まえようとしますが滑って、敵はますます奥へ行こうと前進し、被害者は「痛い、痛い」の大声です。急遽、耳鼻科へ運び込み取り出してもらいました。「寝耳に水」ならぬ「寝耳にカナブン」の苦い思い出です。「寝耳に水」は、ほ乳類の聴覚器官の機能に関わる諺です。調べてみて下さい。

2014.7.28
大学における生活・修学のあり方について姜尚中・聖学院大学長の記事が目にとまりました(大学出版、No. 99, 2014,7)。題は「もう一つのダボス」。毎年スイス・ダボスで開かれる世界経済フォーラム・ダボス会議には各国の政財界のリーダーが集まり、グローバル世界における政治・経済の今日的課題を議論し、教育にも影響を与えています。「もう一つのダボス」とは、トーマス・マンの『魔の山』にでてくるダボスにあるサナトリウム(療養所)のことです。主人公が、山中のサナトリウムという閉じ込められた状況のなかで、有象無象の思想と出会い揉まれていく過程をマンはイニシエーション(秘技伝授)と語り、姜先生はこのようなイニシエーションを受け/施す機能も大学には必要で、二つのダボスのバランスの上に青年は成長する、と述べておられます。この記事を読みながら、鷲山恭彦・本学元学長も『魔の山』について同じことを論じておられることを思い出しました(文学に映る歴史意識 –現代ドイツ文学考-、共栄書房)。二つのダボス・・いい例えだと思います。

2014.7.21「海の日」
学芸大学は授業時数確保のため、通常授業。「海の日」から思い出されるのは唱歌「我は海の子」です。この歌の作詞者については諸説あり、作詞者不詳との記述が多いです。しかし、私は宮原晃一郎氏だと信じています。様々な経緯があって、本学近くの多磨霊園に氏のお墓があることが分かり、鹿児島大学・鎌田範政教授と霊園事務所を訪れました(90年代初め頃)。そのような名前の方のお墓は無い、という返事でしたが、電算化される前の古い帳簿まで調べて頂いたところ、ありました。お墓の脇には一番の歌詞を刻んだ石碑もあります。以来、その存在は広く知られるようになりました。私は二番の歌詞が好きです。秋田市在住の卒業生から、赤ちゃん誕生の知らせあり。海の子のように、健やかに育ってほしいです。

2014.7.14
最近、この欄の文字数が増えてきました。当初の約束では文字数は150字~200字程度でした。短文を書くことの難しさを痛感しています。パスカル(仏、哲学者、数学者、物理学者)の名言:「この手紙がいつもより長くなってしまったのは、もっと短く書き直す余裕がなかったからほかにありません」(田辺保編・フランス名句辞典、大修館書店)。短文を書くには長文を書くより余裕とエネルギーが必要なこと、理解しました。

2014.7.7
先月末、日本数学教育学会が本学で開催されました。今年で創立95年を迎える伝統ある、そして我が国の数学教育を牽引してきた学会です。その全体会の挨拶のなかで、数学者であり、教育者であり、随筆家でもある岡潔について触れました。随筆には数学者らしいブレのない、凛とした空気が漂っています。その一冊に「春宵十話(しゅんしょうじゅうわ)」と題する随筆があり、以前から少々気になる記述がありました。今の私の立場からは、「少々」ではなく「かなり」気になる部分です。「娘が学芸大学に行っているので、教育学を学んでいる学生たちのことを聞いてみたが、ひどいものだと思った。・・」(原文のまま)。この随筆が書かれた当時(昭和38年)、今の国立の教育大学(兵庫、鳴門、上越、宮城を除く)は全て学芸大学という名称でした。今日、学芸大学というと東京学芸大学を指します。書かれた頃のお住まいは、推測するに近畿地方では?と思いますが・・。娘さんにお会いし、学生時代の話と同時に、父親、教育者、数学者、思想家としての岡潔の人となりをお聞きしたいと願っています。

2014.6.30
週末の一時、気晴らし(鎮静剤?)にコクーン歌舞伎「三人吉三(さんにんきちさ)」を幸運にも平場席で観劇することができました。お嬢吉三(七之助)が大川端で謳い上げる「月も朧に白魚の・・」の(厄払いと呼ばれる)アリアは有名です。数年前にも中村親子三人による同演目を観ましたが、勘三郎亡き後、勘九郎による和尚吉三も父親にかなり似てきました。勘三郎特有の頬を共鳴させる音声(私の勝手な解釈です)は特に似てきました。お坊吉三(尾上松也)含めて三人のアウトローの友情・生き様を、邪魔なものや異質なものとして排除する「善良で穏やかな世間」の眼差しを、何らかの形で感じられるものにできれば・・、という演出の串田和美氏の目論見は見事に当たったと思います。締め切り日過ぎた原稿を抱えながら観劇していましたこと、某センターの先生には大変申し訳ありませんでした。

2014.6.23
国立大学協会の集まりがあり、全ての国立大学、機構の長が集まりました。この協会は、高等教育政策や国立大学・機構のありかたなどにつて、広く議論したり意見を表明したりする団体です。会議終了後、情報交換会(懇親会)があり、東京地区以外の学長さんと顔を合わせるのは殆どが初めてでした。少々の緊張感を漂わせながらご挨拶にまわりました。予想とは裏腹?に、どの学長さんも陽気でよく喋り、よく食べ、よく飲み(日頃のストレス発散か)、新入りの私にまるで転校生を気遣う級友の如く接していただきました。非常に楽しい情報交換会で、お互いに多くの共通項を持っていることも分かりました。某総長さんは私の高校の先輩であることが判明し、当時の学校生活を語り合い貴重なご意見もいただきました。

2014.6.16
ここ数日、梅雨の晴れ間が続いています。公的・私的用件で土日の外出が多かったのですが、先日、ゆっくり休めました。家の近くの畑を借りて種々の農作物を栽培しており、その収穫に汗を流しました。今、筋肉痛です。茄子、胡瓜、レタス、ズッキーニ、ベビーコーン、大根・・収穫を怠っていたため、毎日その消費に大変です。これからは、枝豆、インゲン、トマト、ジャガイモ、里芋が待っています。こまめに手入れをされている方の作物の成長はさすがです。どのような肥料を施されているか教えて頂きましたが、一番効果ある肥料は「足音を聴かせること」と。植物への聴覚心理学応用ですね。

2014.6.9
梅雨入り。梅雨空に雨の似合う草花が妍(けん)をきそう季節です。紫陽花、九輪草、花菖蒲、立葵、泰山木・・など眩しい。と書くと、いかにも花の名前に詳しいようですが、私が草花の名前を知らないこと、横綱級です。なぜ私がこうなってしまったか、その原因の一つは父にあるのではないかと思います。父は花を育てることが趣味で、その時々の花々を植える手伝いをよくさせられました。夫々の花についての解説は聞き流し、早く作業を終えて遊ぶことばかりを考えていました。あの時にしっかりと聞いておけばよかった、とは言い訳か?また、興味のないことについて延々と語られても効果はない、は教育の基本。父は中学校の校長でした。

2014.6.2
水無月。学長に就任して2ヶ月が過ぎました。この2ケ月間は非常に長く感じました。まるで小学低学年の頃の夏休みのようでした。暇だった、ということではありません。逆です。万人に等しく与えられた時間ですが、短く感じたり長く感じたりするのはなぜか。特に中高年になると時間の進度を速く感じます。この理由については、認知心理学的(専門用語ですみません)には大体の説明がつくようです。社会の活動がグローバル化していくなかで、人間が本来持っている時間リズムに歪が生じつつあります。改めて時間とは何かを考えさせられますが、今の私にとっては、もっと早く進んでくれ!・・が本音です。

2014.5.26
以前、この欄で加齢に伴う聴感覚の低下について書きました。聴感覚の低下は確実にやってくるものの、視力と違い一般的にはなかなか自覚されません。また、他者(身内を含めて)もその低下を指摘しにくいものです。それが原因で、日常的には些細なトラブルが生じることは多々あります。私は自分の誕生日には正確な聴力測定をしています。確実にいえることは、高周波数の聞こえが当然ながら年々落ちてきています。年齢からしてこれが普通なのですが、やはり他人からは指摘されたくない・・特に妻からは・・余計なお世話、と言いたい。

2014.5.19
大相撲五月場所が開催中です。両国国技館での場所では、今までは最低二日は観戦に行っていました。「鬢(びん)付け油」独特の匂いと雪駄の小気味よい音を響かせ、粋な着物姿の力士の歩く姿には惚れ惚れします。プロとアマの力の違いがこれほどはっきりしているスポーツは他にはないのではないでしょうか。立会いのぶつかりで発する鋭い音を聞くと、恐怖心すら沸いてきます。折をみて、特徴ある話題の力士を私なりに紹介します。今場所は、まだ観戦に行っていません(行けない?)。はたして行けるかどうか・・・

2014.5.12
去る日曜日、都心での午前中の用事を済ませ、時間があったので神宮球場へ東京六大学野球観戦に行きました。高校時代に甲子園で活躍した選手、野球ではほとんど名前の知られていない高校出身でもスタメンで出場している選手、それぞれが新しい同じ舞台でプレーしている姿は爽やかです。野球に限らず、学生スポーツはどんな種目にせよ見ていて気持ちの良いもの。それぞれの運動部が春のシーズンを迎えています。時間がある限り本学学生の活躍の応援に駆け付けたいと思います。

2014.5.7
先週、竹内誠先生(本学名誉教授。現在は江戸東京博物館館長。ご専門は江戸文化史・近世都市史)が所用で大学へ来られ、久し振りに様々な話題で盛り上がりました。私が好きな大相撲(先生は両国国技館・相撲教習所で教養講座の講師)、江戸期の教育・子育て、食、学芸大学在任中に同僚の先生方と出版された著書について等々、短い時間でしたが楽しい話を聴くことができました。帰りも途中までご一緒し、いつもの粋で洒脱な竹内節に少々酔いました。先生の「謎解き・江戸のススメ(監修)NTT出版」が面白い。

2014.4.28
私の専門は聴覚心理学です。聴覚に関するさまざまな現象、特に聴感覚の発達や障害、言語の獲得、音声言語の認知などについて研究してきました。今は加齢に伴う聴知覚の減退について自分自身を対象に測っています。最近、特に目立つのが騒がしい環境での聞き取り能力(分解能力)の低下です。私へ話しかけるときは、静かな環境で明瞭に話しかけてくださるようお願いいたします。

2014.4.21
新任の学長ということで、近隣の国立大学、研究機関、自治体首長、教育委員会へご挨拶に伺いました。今までも大学は地域連携推進ということでこれらの機関と共に、さまざまな取り組みをしてきました。地域社会はより一層の連携を本学に求めています。それに対し、本学の強みを生かして社会に貢献できるものは何か、実効性のある取り組みを考えていきます。

2014.4.14
4月から学長に就任しました出口利定です。どうぞよろしくお願いいたします。本学・広報企画室の依頼により、本学HPに毎週、「学長のつぶやき」を掲載することになりました。文字数は約150字程度で分かり易くという制約付です。日々感じていること、時々の話題、学生諸君への注文?等々、さまざまな切り口から綴ってみたいと思います。