出口利定 学長 The Deguchi Times

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2018.11.12

知人から同人誌が定期的に送られてきます。誌名は「琅(ろう)」。琅とは、辞書によると「玉石・金属のふれ合う音の形容」とあります。最近頂いた34号のエッセイに「すべてが軽くなる」という題で、言葉の短縮形についての感想が載っていました。短縮形とは、例えば、「オリパラ」、「おはスポ」、「おはビズ」、「パンキョウ」、「就活」等、私達が日常よく耳にする言葉で日本語の特徴の一つでもあり、これについては井上ひさし氏の論評が有名です。
街では年賀状の販売が始まりましたが、新年の挨拶文として「あけおめことよろ」がはやったこともありました。究極の短縮形として世界一短い手紙の紹介が新聞にありました。『フランスの文豪ビクトル・ユゴーは自著の売り上げを聞くため、出版社に「?」とだけ書いた手紙を送った。その意図をくんだ出版社は、売れ行き好調を「!」で返した(2018年5月28日、朝日新聞夕刊)』
「?」と「!」だけで意志の疎通ができるとは素晴らしい!今年の年賀状に「?」あるいは「!」など記号だけ書いて差し出したら、果たしてどのような返信が来るか試してみたくなります。国立大学運営費交付金減少の折「¥」とし、返信はOKマークを期待しますが、多分、医者や病院の紹介(認知症外来)、受診を勧める返信がくるでしょうね。

2018.11.5

日韓教育大学学長会議に続き、先週は「東アジア教員養成コンソーシアム」会議が、東京学芸大学を当番校に開催されました。中国、韓国、台湾、モンゴル、日本の44の教育大学学長、教育学部長が集まり、東アジア圏における教員養成についての情報交換、若手研究者、学生の研究交流・発表もあり活発な意見交換がありました。発表した学生にとっては貴重な体験だった思います。
週末には国立大学総会が金沢大学にて開催され、86の国立大学学長が一堂に会し、文部科学省からの施策説明、国立大学の当面する課題について議論されました。
石川県、金沢市を訪れるのは久しぶりで、前回の記憶は殆どありません。今回は松本清張作・「ゼロの焦点」で有名になった七尾線に乗り、あらすじを思い浮かべながら作品に出てくる駅名を確認し、短時間でしたが沿線の風景を楽しみました。作品から受ける能登の風景は、南国育ちの私には空は鉛色で暗く、荒れ狂う黒い海、寒風、海鳴り・・・と陰湿な印象が強くありましたが、当日は初冬にもかかわらず程よい陽気で空は青く澄み海も穏やかで、まるで鹿児島に帰ってきた様な錯覚に陥りました。「ゼロの焦点」の主人公のような淋しく沈んだ心境に浸りたい気分でしたが、周囲には私とほぼ同年代と思われる元気溌剌の女性グループが陣取り、彼女たちの絶え間ない朗らかな笑い声、おしゃべり、飲食に圧倒され、むしろ元気を貰いました。

2018.10.29

先週25日、26日の両日、日韓教育大学学長会議が福岡教育大学を当番校にして開催されました。年に1回、日本と韓国交互に当番校を決めて開催される会議です。日本と韓国の教育、特に初等中等教育を巡っては共通する課題や問題点が多くあり、その解決方策や、日韓両国の大学教員・学生の交流、教員養成制度のあり方、さらにはIoT,ロボット、人口知能(AI)、ビッグデータ等の先進技術等の教育への導入など、幅広いテーマについて意見交換をしました。両国それぞれの大学の強みや特徴を知る良い機会でした。
週末には大学院修士課程と教職大学院の入試が実施されました。入学試験シーズンの幕開けです。平成31年度から修士課程、教職大学院ともに大幅な組織の変更があり、その内容の周知については多少時間的余裕がありませんでしたが、多くの受験生が集まりました。これからのグローバル時代における教員養成においては、教職大学院の存在が大きな影響をもつものと予想しています。

2018.10.22

所用で北関東を車で回りました。鮮やかな橙色をした柿の実が農村の風景にとけ込み、古関祐而・作曲のNHKラジオ第1放送(12:20~12:30)「ひるのいこい」のオープニングテーマ曲にぴったりです。柿色は日本の秋の自然色ですが、近年はハロウインのカボチャのお面色と言った方が子ども達にはピンとくるのかな。
秋の色といえば鈍色(にびいろ)の魚の代表である秋刀魚も今が最盛期。かつて鈍色がどんな色か問われて答えられず、恥ずかしい思いをしたことがあります。今年も岩手県宮古市から秋刀魚が送られてきました。静岡県裾野市から送られてきた新米と共に食するのが、我が家の毎年の行事となりつつあります。

2018.10.15

異常気象が続いた今年の夏。酷暑で日中の外出を控える呼びかけが、テレビやラジオから流れるほどでした。痛ましい事故も各地で頻発し、改めて地球温暖化の影響を認識しました。早いもので10月も半ば。朝夕はすっかり秋の気配で今夏の記憶も薄れ勝ちですが、忘れることなく常に災害、防災の言葉は心に留めておきましょう。首都圏の直下型地震、南海トラフ巨大地震、津波、集中豪雨、超巨大台風・・何時起きてもおかしくない災害に私達は囲まれています。
兵庫教育大学創立40周年記念式典で、片田敏孝(かただ としたか)東京大学情報学環特任教授の記念講演を聴きました。私が片田先生の講演を聴くのは2回目でした。平成26年秋に日本教育大学協会研究集会が仙台で開催され、その時の招待講演で片田先生のお話しを聴いたのが最初です。
東日本大震災で大きな被害を受けた釜石市で、市の小中学生ほぼ全員が助かったことで、「釜石の奇跡」としてマスコミでも大きく取り上げられました。片田先生が釜石市の小中学校で実施された防災教育の成果として、広く世に知られるところとなりましたが、片田先生の「奇跡ではなく当たり前のことです」と言われた言葉が印象に残りました。かつて片田先生の講演を本学でも企画したことがありましたが、先生との日程が会わず断念しました。教員、指導者を目指す学生には是非聴かせたいと思っています。

2018.10.8(体育の日)

上越教育大学、兵庫教育大学の創立40周年記念式典に出席。共に新構想の教育大学として1978年に設置されました。同じ新構想大学としては鳴門教育大学があり、こちらは1981年に設置され、これにより国立教育大学は11校となりました。新構想大学とは、それまでの大学とは理念や組織、運営体制等が異なる大学として設置された大学であり、筑波大学(1973年設置)を始めとして、国立の医科大学、技術科学大学、大学院大学が設置されました。
「体育の日」は1964年(昭和39年)に開催された東京オリンピックを記念して、当初は開会式が行われた10月10日に設定されていました。当時、私は中学3年生。新幹線、首都高速道路の開通、第二次大戦後初の国産旅客機YS11による聖火の空輸など、日本の高度経済成長の始まりを肌で感じていました。市川崑・監督による記録映画「東京オリンピック」は記録性は勿論のこと、芸術的にも素晴らしい映像だと思います。DVD版がありますので是非ご覧ください。

2018.10.1

9月29日(土)、30日(日)と列島は大型で強い台風24号の直撃に遭いました。30日夜半からの強烈な風に自宅も時々揺れました。揺られながら大学構内の樹木が気になっていましたが、案の定、朝来てみると構内は勿論のこと正門、北門の樹木が倒れ、一部は公道を塞いだため交通整理の警察官の出動を仰ぎました。一部近隣住民の方々にご迷惑をおかけしましたこと、お詫び申し上げます。倒木が懸念される構内の樹木の伐採は行っていましたが、近年の想定を超える気象現象を見据えた対策が必要であること痛感しました。写真は本部棟前の、枝が折れ道を塞いだ桜の樹です。
 


29日、本学・附属国際中等教育学校(ISS)で「SGH生徒課題研究外部評価会」が開催され、お誘いを受けていたので外部評価者の一人として参加しました。SGHとは、Super Global High School(スーパー グローバル ハイスクール)の略で、国際的に活躍するグローバル・リーダー育成の一環として、文科省が高校を指定し様々な取り組みを支援する制度です。SGH事業の一つに生徒がグループを組んで取り組む課題研究があり、その研究のテーマ設定、方法、進捗状況等について、外部評価者から助言を得て今後の進め方に活かすというのがこの外部評価会の趣旨です。
14の研究テーマについて各グループからプレゼンテーションがあり、質疑、応答含めて30分間のディスカッションを行いました。テーマは多岐に亘り環境、教育、医療、歴史、LGBT、ジェンダーなど、時代を反映したものでした。最終的な成果発表が楽しみです。できればこのような発表は本学学生に聞かせたかった、というのが私の第一の感想でした。

2018.9.24

24日は中秋の名月。今年の月は雲に隠れていましたが、前々日の22日の月(月齢:12.4)は満月にはほど遠いものの、くっきりと観ることができました。天気予報では24日は曇りと言うことで、十五夜の数日前から注意して月を眺めていた次第です。
25日、「平成30年9月東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科 『課程修了による博士』学位記授与式」を挙行。4名の方に「博士」の学位を授与しました。4名共に大学の助教あるいは非常勤講師として勤務されながら研究をまとめ、論文に仕上げて最終審査に合格されました。その過程は厳しい試練の連続ではなかったかと推測します。その分、大変価値のある、重みのある学位記です。
23日は本学において「青少年のための科学の祭典」が開催されました。例年、多くの小・中・高校生が来場し、日常生活における様々な現象を本学や他大学の教員たちと一緒になって科学的な視点から解明し、その過程を楽しく実験を交えて経験する場です。今年の来場者数は9,822名でした。主催者、共催者、出展者並びにご協力を頂いた皆様に深く感謝申し上げます。
先日、放送大学の有川理事長、永山理事と懇談。有川理事長は前・九州大学総長を務められご専門は情報学で、また私の出身高校の先輩です。学校教育におけるAI、ICTの現状や初等・中等教育のプログラミング教育、大学運営等が話題になりました。後輩がしっかりと大学をマネジメントできているか、様々な助言と示唆を頂きました。先輩は有り難い・・

2018.9.17

先週、中国・北京師範大学で開催されたシンポジウム: Campus Asia in China, JAPAN, and South Korea: Symposium on Regional Education Cooperation. “The Construction of a Community of Shared Future for Higher Education in Asia” に出席。ソウル教育大学長、北京師範大学副学長の基調講演の後、私からは"Strengthening Regional Linkages in Teacher Education” と題して、これからの東アジア地域の教員養成について基調講演を行いました。本学からは他に椿真智子教授、下田誠准教授、そのほか日本からは早稲田大学、北海道大学、広島大学からの研究者がフォーラムにてプレゼンテーションを行いました。中国、韓国共にICT活用と、これからのAI時代を見据えた初等・中等教育のあり方について真剣に取り組んでいる様子がよく分かりました。
中国訪問では毎回思うことですが、全般的に建物の造りが大きい。写真は北京師範大学正門から続く研究棟の正面玄関です。人間の大きさと比較すれば如何に大きいかが分かると思います。
 

2018.9.10

北海道地方を襲った震度7の地震による被害の様子が、次第に明らかになってきました。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。先般の台風による風水害、土砂崩れ災害に続いての大地震と、平成最後の夏は自然の脅威、地球環境について強く意識させられた夏でした。北海道教育大学の蛇穴学長に大学の状況を尋ねたところ、構内の樹木が倒れた程度で施設や建物の特に大きな被害はなかったそうですが、停電によるネット環境が混乱しているとのことでした。
テニスの全米オープンで、大坂なおみ選手が優勝!快挙です。異様な雰囲気に包まれた決勝戦でしたが、表彰式での両者の態度はそれまでのやや殺伐とした空気を和ませるトッププレ-ヤ-にふさわしいものでした。どの競技においても世界的なアスリートには孤高でストイック、近寄りがたいオーラを私は感じますが、大坂なおみ選手にはむしろ身近で親しみを感じます。
十年ほど前ですが、丁度全米オープンの開催期間にニューヨーク滞在中で、日本代表の選手が負けた日の夕方、その選手とコーチ陣にレストランで遭遇しました。店のオーナーの勧めでその選手と二言三言、言葉を交わすことができ恥ずかしながらサインまで貰いました。負けた日だったので選手も気分的には沈んでいたかもしれませんが、とても快く応じてくれました。

2018.9.3

まず、お詫びです。
今年4月までは私の「つぶやき」として原則、週毎に学内の行事や私の身辺で起きた様々な出来事について、報告や感想等を本欄に記してきました。5月からは月毎に変更してより多くの情報をお届けし、より充実したものにしますと宣言しました。しかし、いざ書いてみますと旬を過ぎた内容になり、感想を書こうにも新鮮味に欠けたもので(記憶の薄まりのため)、とても皆様にお読み頂けるに耐えられないものに仕上がっていることに気付きました。気付きが遅い!とお叱りを受けて当然です。
暫くブランクが続いたため、本学教職員・OB,OG、卒業生等の方々から学長は生きているのか、心身の状態が正常ではないのでは、とご心配や不安の声を頂きました。さらに、元のWeekly DEGUCHIに戻して欲しいとの要望もありました。
以上の状況やご指摘、ご要望等を踏まえ色々と考えましたが、結論として元の形(Weekly DEGUCHI)に戻すことにしました。この間の学内外の動向についてはHP等でご理解頂けているものと思います。今後はさらにそれらについて補足する形で、改めて「つぶやき」欄においてこれまで同様に分かり易い内容でお伝えすることができればと思います。
お詫びかたがた再開のご連絡でした。

平成最後の夏は何かと話題の多い夏でしたが、異常気象によるゲリラ的な集中豪雨、逆走の台風進路、高気温の連続・・なかでも西日本を中心に襲った豪雨による被害は悲惨でした。被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。
今日(9月3日)、殆どの小学校、中学校、高等学校で二学期が始まりました。被災された地域の小学生の登校風景をテレビのニュースで見ました。他の学校の教室を間借りしての授業開始などまだまだ不便な生活は続くと思いますが、登校する彼等の笑顔と元気な声に頼もしく心救われる思いでした。

平成31年度本学大学院修士課程と教職大学院の組織再編計画については文部科学省へ申請中でしたが、8月下旬に設置が認められたとの連絡がありました。再編の内容につきましてはHPトップに「新たな息吹 東京学芸大学大学院」と見出しがあります。是非ご覧下さい。次世代を見据えた教員養成大学大学院の先見性と戦略性、多様性と柔軟性を盛り込んだ組織の設計となっており、他の教員養成大学・学部からも大きな関心をもたれています。

8月最終週の快晴に恵まれた1日、本学・釣り名人のご指導の下、数人で東京湾へカサゴ(鹿児島ではアラカブ)釣りに。名人からは10匹を努力目標にと言われて臨みましたが、釣果はその倍強。家族には内緒でしたが、実は名人・准名人たちからのお裾分けも(少々)混ざっています。とにかく良く釣れました。堤防を行き来する他の釣り人たちからも、私達の大漁を称賛する声が上がっていました。帰宅後は鱗を台所中に飛び散らかせながらひたすら捌くことに専念。以後、カサゴの煮付け、塩焼き、味噌汁、トマト煮・・が食卓に上る日々が続くことになります。