大学史資料室 --これまでとこれから--

前大学史資料室長 藤井健志

 2012年5月31日に、新しく東京学芸大学に設置された大学史資料室のオープニングセレモニーが開かれた。本年の2月に大学史資料室事務室が設置され、4月に大学史資料室が図書館の下に正式に開設されたことを受けてのオープニングセレモニーである。この機会にこれまでの歩みを振り返るとともに、今後の展望について簡単に述べておきたい。

 2010年の夏前に君塚仁彦さんと橋本美保さんのお二人と大学史資料について意見を交わす機会があった。その時、本学には貴重な資料があるのにもかかわらず、管理が必ずしもうまくいっておらず、散逸したり、個人情報が漏洩したりする恐れがあるという話しになった。そして、まずは本学が所蔵している大学史を含む教育関係の諸資料を丁寧に調べて、きちんと管理・保存することが重要だということになったのである。そこで自然科学系から、狩野賢司さんにも入っていただいて非公式のワーキンググループを立ち上げた。

 2010年9月から私たちの学内巡りが始まった。当時の小宮利宏教育研究支援課長が、本学でのキャリアを活かして案内役となって下さり、1ヶ月に1回ほどの割合で、キャンパス内のあちこちを団体旅行よろしくゾロゾロと歩き回ったのである。人事課、学務課、施設課、図書館等々を回り、それぞれに古い資料をどれくらい保存しているかを見学した。明治、大正期の資料が意外なところに保存されていて、驚いたり、喜んだりしたのだが、一方で劣悪な環境に放置されていたものもあった。最悪だったのは本部棟前の駐車場の横にある倉庫内で、一部では棚がひしゃげて倒れ、資料が散乱していた。雨が降り込んだ形跡すらあった。

 村松泰子学長及び佐藤郡衛理事にお願いをして学内に場所を探していただき、合同棟の2階に部屋を借りることができた。2011年3月に二部屋を改修してもらって、そこに緊急避難的に倉庫の資料を運び込んだ。その後何をどのように保存すべきかをワーキンググループで話し合い、単に古い資料ばかりではなくて、保存期間の終了する法人文書にも保存すべき重要なものがあるということになった。法人文書となると総務部が関わっているので、2011年秋から当時の岩崎豊久総務部長、関口三郎総務課長と資料室の組織体制について何度か相談をした。法的な問題もあり、最終的には図書館の下に設置するのがよいということになったのだが、反対意見もあった。とは言え賛同してくれる教職員もおり、新たに数名の教員に声をかけてワーキンググループに参加してもらった。その中の文化財科学の服部哲則さんには、資料室における保存環境整備に関する助言や実践を担っていただいている。

 2012年2月1日に、本体の資料室に先立って大学史資料室事務室が教育研究支援部の中に設置された。事務室ができたことによって、関係諸規程や予算計画の作成等が飛躍的に速くなり、学長・理事のご理解もあって予算の配分も受けた。その結果、2012年4月1日に大学史資料室は正式に開設ということになったのである。

 現在服部さんが現状調査を進める一方で、虫とカビに侵された資料の整理に手を付け始めている。保存場所がきわめて狭いので、資料を集中的に集めることはできないが、学内の諸資料の目録作りや保存のルール作りをして、2年後に一部の公開を目指しているところである。

(2012.6.20)