ご挨拶

「新たなステージを迎えて
  ―『歴史を学ぶことは、歴史から学ぶこと―』」

大学史資料室長 大石学

 2016年4月、藤井健志初代室長のあとをうけて、東京学芸大学大学史資料室長に就任しました。大学史資料室は、2012年4月に設立され、「東京学芸大学の歴史に関する資料の収集、整理、保存及び公開等を行う」(大学史資料室規程第2条)ことを目的に設立され、「⑴本学の運営及び教育研究等に関する重要な資料の調査及び収集、⑵本学の歴史に関するその他の重要な資料の調査及び収集、⑶収集した資料の整理、保存及び公開」(同3条)を業務として活動を続けてきました。4年間の活発な活動によって、無事、離陸(テイクオフ)した資料室は、次の上昇(クライミング)へと、活動のステージを移しつつあります。

 さて、教育は、いつの時代も、教師と児童・生徒を中心にしながら、これを取り巻く政治・経済・社会・文化などからなる教育環境と深くかかわって展開してきました。日本では、すでに江戸時代、幕府や藩などの公教育と、郷学(郷校)・寺子屋などの民間教育が、身分や地域をこえて広く列島規模で広がっていました。この「江戸の教育力」「江戸教育の達成」を基礎に、明治政府は、明治5年(1872)学制を発布し、「国民皆学」をめざす政策の一つとして、翌6年、東京府小学教則講習所を設立しました。これが東京学芸大学の起源です。明治9年、講習所は東京府小学師範学校となり、同19年、全国の師範学校は、高等師範学校と尋常師範学校に区分され、本学の前身は尋常師範学校に属します。明治30年、尋常師範学校は師範学校となり、高等師範・女子高等師範、師範学校による中等、初等学校の教員養成体制が確立され、本学の前身は、師範学校に属しました。

 師範学校は、昭和20年(1945)第二次世界大戦敗戦後、昭和24年の国立学校設置法により、新制の学芸(教育)大学や学芸(教育)学部へと編成され、本学は東京学芸大学として、新たにスタートします。そして戦後期を通じて、全国最大規模の教員養成単科大学として、近代日本の教員養成の中核を担ってきました。

 このように、東京学芸大学は、ある日突然設立されたのではなく、東京府小学教則講習所設立から150年近い歴史をへて、今日の姿になってきたのです。今日、教育への社会的関心が高まるなか、学校、教員、教員養成機関などは、それぞれの存在意義(レーゾンデートル)を、あらためて問われています。私は、大学史資料室が、東京学芸大学の長い歴史、そして多くの先輩たちのさまざまな思いを、歴史資料(アーカイブ)を通じて、現代の日本社会へ、世界へ、そして未来へと発信する使命(ミッション)あると考えます。

 東京学芸大学の長い歴史を学ぶ作業は、未来のよりよい教育と教育環境を構想するうえで不可欠のものといえます。「歴史を学ぶことは、歴史から学ぶこと」、これは日頃私が学生たちに言っている言葉ですが、新たなステージを迎えた大学史資料室の活動が、本学のさらなる発展に寄与できるよう精一杯努めたいと思います。

〒184-8501東京都小金井市貫井北町4-1-1 東京学芸大学大学史資料室

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