コロナ禍のため大学で自由に活動できない今、学芸大生はどのような生活を送っているのでしょうか?春学期にオンラインで様々な活動をやってみた学生たちがいると聞き、zoomでお話を伺ってみました!

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オンライン授業で使える教材開発

編集部

藤本さんはオンライン授業でグループワークや、教材開発をされているとお聞きしました。どんな授業だったのですか?

caudex編集部

藤本さん

はい、私は理科教育の松浦先⽣の研究室に所属していて、先⽣の『中等理科教育法』という授業を履修していました。春学期の授業ではMicrosoft Teamsでグループワークを⾏いました。

編集部

なるほど、そのグループワークの中で教材開発をされていたのですか

caudex編集部

藤本さん

グループワークでは、例えば糸巻きを用いた物理の問題など、パッと答えが出るものではなく、考えさせられる問題を解くことが活動の中心でした。教材開発はその⼀部でしたが、開発⾃体は個別で⾏い、それをグループワークの中で見せ合いました。その中でアイデアを出し合い、こういう機能があったほうがいいのではないか?などアドバイスし合いました。

編集部

開発したのはどのような教材ですか?

caudex編集部

藤本さん

⼩学校などで⾏う『振り⼦の実験』を、Unity というゲーム開発ツールを使って作成し、オンライン上でも擬似的にできるようにしたものです。重さ・⻑さ・⾓度を指定すると、実際の振り⼦の動きをシミュレートすることができます。

編集部

Unityは独学で学んだのですか?

caudex編集部

藤本さん

授業とは離れますが、研究室でUnityを使って活動をする機会があり、それをきっかけに学びました。その際も研究室では他にUnity を使っている⼈がいなかったので、ほとんど独学でやっていました。

藤本さんがUnityで作成した研究室紹介の動画。※是非音声付きでご覧ください。

編集部

Unityを使った振り子の教材開発にはどの程度の時間がかかりましたか?

caudex編集部

藤本さん

2ヶ⽉ほどかかりました。プログラミング⾃体が初めてだったので、⼀度つまずくと解決に5時間くらいかかることがざらにあり、それが大変でした。

編集部

⾃粛期間中はどのようなことをしていますか?

caudex編集部

藤本さん

「振り子実験」が完成したばかりなので、改善していきたいと思っています。また、今後も新しいオンライン教材開発を⾏っていきたいと考えています。

編集部

ありがとうございました!

caudex編集部
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オンラインお花見企画!

編集部

毎年大学のウッドデッキで多くのサークルが参加して⾏われる「お花⾒」が中止になり、自主的にオンラインでのお花⾒を企画・運営されたとお聞きしました。開催しようと考えたきっかけはありますか?

caudex編集部

膳所さん

私たちが所属する『新奇表現文化』というサークルの活動で運営したのですが、学科の先輩と⾃粛⽣活について話していたのがきっかけです。特に1年⽣はコロナの影響で、先輩と話す機会がなくなってしまったので、サークルの新歓というだけではなく、「1年⽣の場作り」の提供を⽬的として開催しました。

編集部

どのように運営されていたか、詳しく聞かせてください。

caudex編集部

膳所さん

今回開催したオンラインお花⾒は1年⽣の安⼼を守るために学芸⼤⽣限定のお花⾒にしました。zoomを使⽤してサークルごとに部屋を割り振り、参加してくれた1年⽣を案内しました。また「迷ったらココ!部屋」という10分ごとにサークルが⼊れ替わってサークル紹介をすることができる部屋を設けるなどしました。実はこれ、他参加サークルの⽅からご提案いただいたものなんです。

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編集部

どのくらいの期間開催されていたのですか?

caudex編集部

膳所さん

これまで9⽇間を3回に分けて開催しました。最初は10団体程度だったのですが、3回⽬には40団体規模まで拡⼤しました。参加団体が大幅に増加したので、ハラスメント等が起きないように運営側が定期的に巡回を⾏い、⾵通しを良くしていました。

安田さん

最終的には40名の1年⽣に参加してもらい、中にはオンラインお花⾒をきっかけに入部を決めた学生もいます。

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編集部

運営をしてみてどうでしたか?

caudex編集部

膳所さん

悔しかったのは、2人だけの運営ということもあり、広報に⼒がかけられず、1年⽣の参加⼈数が少なかったことです。⼀⽅で、上級⽣のみなさんは、久々の仲間との交流に生き生きとしていたように感じました。⼀年⽣だけでなく、多くの学芸⼤⽣に交流の場を提供することができたな、と思います。

安田さん

嬉しかったことは、多くの団体が協⼒してくださったり、アドバイスをしてくださったりしたことです。そのおかげで、運営がしやすいだけでなく、温かい気持ちで企画を進めることができました。

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附属小の『もぐもぐ通信』発信!

編集部

岩城さんは、附属世田谷小学校の『もぐもぐ通信』の配信をしているとお聞きしたのですが?

caudex編集部

岩城さん

はい。『もぐもぐ通信』とは、週に1 回、附属世田谷小学校の子どもたちに食べ物や健康に関するクイズをMicrosoft Formsを使って配信しているものです。栄養教諭・養護教諭の方と共同で配信しています。

編集部

配信のきっかけは?

caudex編集部

岩城さん

1学期の初めは小学生も学校に行けなかったり、学校に行けるようになっても簡易給食により食育が十分にできなかったりしたという点に関し、家でも何かできることはないかと、栄養教諭の方からお話をいただいて始めました。

編集部

コロナ禍での新しい取り組みということで、難しいこともあるのでは?

caudex編集部

岩城さん

そうなんです。全学年共通のクイズを作るので、クイズのレベルを考えるのが難しいです。アンケートをとって参考にしたり、低学年には難しいクイズはイラストを分かりやすくしたり、ヒントをつけるなどして工夫しています。

編集部

いろいろな工夫をされているのですね!周りからの反応はどうですか?

caudex編集部

岩城さん

子どもたちからは「もっとやりたい」「難しかったけど新しく知れたことがたくさんあった」という声が多く、保護者の方からは「いつも家族で楽しみにしています」という声をいただき、とても嬉しく思っています。

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編集部

それは、すごくモチベーションが上がりそうですね!

caudex編集部

岩城さん

そうですね、それはすごく大きいです。アンケートでは他にも、「休みの思い出」「好きな朝ごはん」「夏休みは何時に起きて何時に寝ていますか」などといった質問に答えてもらい、子どもたちが自分の日常生活を振り返るきっかけを作っています。

編集部

様々な面から、子どもたちの健康をサポートしているのですね。岩城さん自身は自粛中の生活で、何か変化はありましたか?

caudex編集部

岩城さん

オンライン授業の課題をやりつつ、空いている時間は教育テレビを見ていました。自分が教育学部に入ってから、授業をする側の視点で考えるなど、このような番組の見方も変わりました。

編集部

岩城さん本日はありがとうございました!

caudex編集部

岩城さん

ありがとうございました。

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オンライン研究室開設!

編集部

早速ですが、オンライン研究室とはなんですか?

caudex編集部

蓮さん

zoomやspatial chatなどを使⽤して、オンライン上でも研究室の⼈が相談したり、話したりできる交流の場ですね。

木村さん

オンラインになる前のリアルな状態の時から、研究室にいる先輩に相談したり、雑談したりすることが当たり前だったので、オンラインでも再現できないか、というのがきっかけで始めることになりました。

編集部

いつごろからやっていたんですか?

caudex編集部

蓮さん

3⽉あたりですね。わりと早い段階で始めました。実は、私たちの研究室では3年⽣の前半に課題を通して「作る⼒」を養う⼤事な時期だったので、4月から3年生になる後輩を鍛えるためにオンライン研究室を開設しました。

木村さん

⾃分たちの作業する時間の確保というところもありますね(笑)。一⼈だとついさぼってしまうので、今からやります!と宣⾔するために使ったりしています。

編集部

確かにいいですね!オンラインになってしまって、⼀⼈暮らしだとずっと一人だけの空間なので、こういう仕組みがあると引き締まりますね。オンライン研究室で⼤変なところはありますか?

caudex編集部

蓮さん

パソコンを実際に操作しながら教えることができないところです。オンラインだと教える際に、本人の前でキーボードを触って作業することができないので、指⽰出しが⼝頭のみというところが⼤変なところです。唯⼀、画⾯共有ができるところが救いですね。

木村さん

よくプログラミングのコードが羅列してある画面を共有して、「3⾏⽬のここのコードがちょっとうまくいかなくて...」というような会話をしています。

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編集部

今あるサービスを最⼤限に利⽤して研究室の交流を深めているんですね。

caudex編集部

編集部

図書館やカフェで勉強したり研究したりできる環境が不安定な中で、今大学で使用しているzoomなどのサービスを有益的に活用していて、是非私の研究室でもやってみたいなと思いました。

caudex編集部

[編集部後記]

様々な活動が制限されるコロナ禍で、より良い活動を目指し工夫する学芸大生の姿を見ることができました。このような状況だからこそ前向きに取り組む学生の姿に、編集部一同も見習わなければならないと強く感じます。
取材をさせていただいた学生の皆さん、ありがとうございました。

(掲載日:2021.1.12)
取材・編集/細川絢加 大菱池遼 波多腰万由子、青柳陽南

Caudex(コーデックス)とはラテン語で塊根植物を意味する。塊根植物の「焦らず、手を掛け過ぎず、ちゃんと育てると、綺麗な花が咲く」という育て方の特徴が教育に通ずるものがあり、タイトル・ロゴとして起用。