博物館学

第1回

E類生涯学習 生涯学習サブコース
博物館学

博物館は、さまざまな資料・作品と、さまざまな「ひと」とを結ぶ生涯学習社会における教育機関であり、同時に学術文化機関でもあります。
博物館学は、博物館の存在意味や理念、歴史、展示表現や技法などバリエーションに富んだ活動内容を考究する比較的新しい学問領域です。
学芸大の先輩には「学芸員」として全国の博物館や美術館・科学館等で活躍している方が数多くいます。
その多くは、学芸大卒業生らしい「専門性と教育活動の両面に強い」「学校との架け橋」になるような活動を繰り広げています。作品・資料と「こども」や「おとな」、「学校」や「地域社会」を「つなぐ」、そんな教育支援活動を繰り広げていきます。

ちょこっとのぞきみ

博物館実習

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これは学芸員を目指す学生が受講する授業です。毎週の講義に加え、土曜日には実際の博物館へ見学や実習をしに行きます。今回はその実習に同行させて頂きました!

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まず1館目は「ガス・ミュージアム」。東京ガスによるガスの歴史や文化を主題とした企業博物館です。学芸員の方からの説明を聞きながら、館内の展示や貴重なバックヤードまで見学させて頂けます。実際にガス灯のレプリカに火をつけて見せていただいたりと、ガスと灯りの歴史を体験できました。展示品の多くは実際に使われたものだそうで、当時それをどのように使っていたのかなどを詳しく解説していただけました。受講生たちは、メモを取りながらじっくり見学し、学芸員の方へ活発に質問をしていました。

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2館目は「国立ハンセン病資料館」。ハンセン病回復者を取り巻く凄惨な歴史や、現在も残る差別問題などを、人々から忘れ去られないよう建てられた博物館です。実際にハンセン病患者だった回復者の講義もお聞きする事ができました。目を背けてはいけない負の歴史と現実に、真剣に向き合う姿が見られました。

学生からのメッセージ

3年 古関 芽衣 さん

「実践的な学びができる博物館学分野」
私は幼い頃から博物館を訪れるのが好きで、博物館について専門的に学ぶことができる大学を選び、本学に進みました。授業は座学だけではなく、大学を離れて博物館を訪れることも数多くあります。学芸員から貴重なお話を聞いたり、普段は入ることのできないバックヤードへ足を踏み入れたり、現場を肌で感じ取ることができます。「博物館の存在意義とは何か」「博物館が抱える課題とは何か」など自分の中で自然と問いが生まれ、答えを導き出せるような仕組みになっているところが授業のおもしろさです。博物館に携わる道を考えている方、また別の分野を考えていても博物館について学習する意欲がある方は、ぜひ本学の博物館学分野で学んでください。

教員紹介

君塚 仁彦 先生

学芸大の博物館学には、教育学部ならではの特色があります。博物館には大切な役割に貴重な資料や作品を保存・管理する記憶の場としての役割があります。同時に、博物館は、「もの」を通して人びとにさまざまな情報を伝え、楽しみ、学ぶ場を創ることも仕事にしています。実物を観察し、学び、体験し、楽しむという、人の成長にとって欠かすことのできない大事な教育シーンを、歴史や自然をテーマにする博物館をはじめ美術館、科学館、動物園や水族館は提供しています。博物館での学びを通して、高齢者や青年、学校に通う生徒児童や幼稚園に通う幼児たち、さまざまな障がいを持つ人びとの成長に光を当てるのが本学の教育学部ならではの博物館学です。

文章・写真/乗松まりな、小林慈樹、虫谷涼香

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