多摩六都科学館夏季教員セミナー「太陽と月・星」

〖日 時〗
2013年 7月 31日 10:00 ~ 12:00
〖担 当〗
西浦 慎悟

 小学校および中学校の理科における天文領域の内容は、地球上から観察される太陽・月・星の動きとその位置関係に関わるものが主となっている。これらを理解するためには、観察者の視点を様々な場所に移しつつ、天体同士の相対的な運動や位置関係を把握する必要があり、現場の学校教員だけでなく、児童にとっても複雑な単元となっている。また、このような内容は、「宇宙」や「天文学」という言葉から連想される華やかさや雄大さに比べて、一見非常に地味なものであるため、小・中学校の理科の中でも人気の悪い単元となっている。しかしながら、これら天体の運行は、暦の作製や時刻の決定という社会生活において必要不可欠な活動と密接に関連しており、古代から中世(そして厳密には現代)に至るまで、人間社会が天文学を必要とした理由そのものである。そこで、本研修では、天体の運行に関して、「人類がどのようにして天体の運動を理解してきたか」という歴史的経緯を説明しつつ、それと関連した、現場でも扱えるような教材・教具による実験・演習を行うことで、現役学校教員自身の理解向上を狙った。具体的な内容は以下の通りである。

  1. 天文学の起源:暦の作製と時刻の決定、古代の宇宙観、天動説と地動説(古代から中世:アリストテレス、プトレマイオス、アリスタルコス)、観測機器の発達(ブラーエ、ケプラー、ガリレイ)と天文学の物理学としての発展(ニュートン、ハレー)
  2. 地球の自転・公転と天体の日周運動・年周運動、四季の変化
  3. 天文現象の記録と模倣に関する演習と実験
    プラネタリウムの活用方法、日時計による太陽の動きの記録、星座早見盤と理科年表を用いて観察好機を見出す方法、屋外における天体観察について、ピンポン球を用いた月・金星の見え方のシミュレーション

 本研修で取り上げた演習や実験は、いずれもオーソドックスなものであり、それ故に、現役教員は一度でも経験しておくべきものと思われるものである。実験材料についても100円ショップで容易かつ安価に入手できるものを用いて、現場での導入の参考になるように配慮した。また、同じテーブルについた2~3名の受講者を1グループとして、互いに相談・情報交換を行いながら実施できるようにした。
 特に、この単元で頻繁に言及される月や金星の満ち欠けの理解の難解さについては、天文学的な難しさというよりも、対象物をスケッチする際にどのように陰影を施すかという美術(図画・工作)的な問題であることを強調した。これによって、月や金星の満ち欠けの理解に関する問題がどこにあるのかを、受講者である現役教員の方々に明確に把握させることを狙った。