明日から使える授業の工夫 -風やゴムのはたらき‐

日時:2016年 6月 20日(月)13:30~17:00
会場:飯島会館第4会議室 担当:干臺健治

 本単元の教材は 理科教育振興法(理振法)の対象となっている。【風やゴムのはたらき (20セット組) \23,000 】しかし、実際に整備されている学校は少ない。その原因としては、各校に配分される理振予算枠の少なさがあげられる。どうしても高額備品の整備が優先されるからである。同時に、廉価な個人用市販キットの普及もある。このため、各校の現状は市販キットの購入による授業展開が多くなっている。

 市販キットを使用して授業を進めるときに留意しなければならないことは、セット内容物をどの時点で児童に使わせるかである。セットの中には単元のすべての実験に使う用具が用意されている。また、実験方法の説明書も入っている。実験目的が曖昧なままに興味本位でセット内容を使って活動することも可能なのである。しかし、そこで得られる「結果」は未整理のままとなる。目的が無いのであるから、結論を求めることもできない。
 これは理科学習の目標である「問題解決活動」とはほど遠い活動となってしまうからである。

 そこで、市販キットを使って授業を進める場合、単元導入時の、「自然事象との出会い」場面と、それぞれの「観察・実験」場面では、渡す内容物を区別していかなければならない。講座では、H社の基本セットを教材とし、どの場面でどの内容物を児童に渡し、学習活動を展開してゆけば良いかを検討した。

 まず、「自然事象との出会い」の場面である。渡す必要ないとされた物は、風受けの「帆」、「輪ゴム」、「発射台」とあげられていった。これらは目的を持った活動に必要な物であるからである。続いて、「説明書」、「キットの箱(実験方法が写真で掲載されている)」も無い方が良いとなった。児童の活動に方向性を与えすぎたり、思考の柔軟性を妨げたりするからである。最終的には、「車体」「車軸」「タイヤ」の3点だけで良いとなった。

 「車」を組み立てれば、児童は必然的に「動かす」活動を行う。最も安易な動かし方は「手」で押す活動である。十分に活動させた後、「手」を使うことを制限すれば、「車」を動かすために何らかの「力」を加える工夫をすることが予想できる。現在の市販キットの特徴は大変動きがスムーズな点である。「手」を使わずに、口で息を吹き掛けるだけでも動く。ここから風の働きによる「車の動き」の授業を展開することができる。

 なお、3年生の実験の扱いとして基本となることは、一人が3回以上の実験を行い結果を得させることがある。これは、定性的な見方を養うためである。ちなみに高学年に求められる定量的な考え方では少なくとも10回以上の平均値を取ることが大切である。

 次に、「動かす工夫」として、「ゴムのはたらき」を調べる活動へと展開していくことになる。「ゴムのはたらき」を考察する場面では、児童一人一人の結果を俯瞰して比べられるようにするため、ドット図に表現する良さについて検討した。科学的な見方や考え方の中で重要視されている、再現性や普遍性を理解させるためには、特定の数値への着目では無く、ある範囲に集約されるという見方を養うことが大切である。そのためには得られた数値を個々に比べるのでは無く、グラフ化したり、図解したりすることが有効となることを検討した。

 最後に、発展として、「車のコントロール」を「ゲーム」として取り入れることで、4年生の学習活動である「要因」についての素地に繋がるのではないかと話し合った。