身近なものの拡大観察~ミクロそしてナノの世界へ~

日時:2016年 6月 24日(金)13:30~17:00
会場:東京学芸大学構内、及びM102他 担当:真山 茂樹

 肉眼では見えないものの拡大観察は、いつでも新たな驚きを呼び起こし、科学的思考力と創造力をかきたてるものである。本研修では、小さいものが「よく見える」という意味、小さいものが「よく見えない」理由、そして電子顕微鏡の特徴と、電子顕微鏡でものがよく見える理由の解説を最初に行い、次いで、光学顕微鏡(双眼実体顕微鏡、生物顕微鏡)による観察と、2種類の走査型電子顕微鏡による観察を行った。
 観察に用いた材料は、ヒルガオ(雄しべ、雌しべ、花粉)、ドクダミ(葉)、グミ(葉の星状毛)、シダ(葉の胞子嚢群の中の胞子嚢と胞子)、ショウジョウバエ(気門、複眼など)、毛髪、レーザープリンタで印字した文字、ウドンコカビ(マサキの葉上に寄生するもの)、珪藻(水槽のガラスに付着したもの)であった。
 光学顕微鏡による観察で、それぞれの材料の色や全体の形をミクロのレベルで捉えた後、ポータブル走査型電子顕微鏡で数百倍~数千倍で観察を行った。参加教員全員が電子顕微鏡の操作に加わって観察を行った。この電子顕微鏡は、通常の走査型電子顕微鏡で必要とする、試料への金属蒸着なしに観察できるものである。このため、短時間で雌しべと雄しべの構造的な違い、葯に存在する気孔、花粉の形状、葉の表裏における気孔分布の違い、昆虫の気門の筋肉、複眼に備わる棘構造、カビの分生子、熱で溶融され紙の繊維上に固定されたレーザープリンにより印字された文字などが観察できた。
最後に、フィールドエミッション型の走査型電子顕微鏡により、数万~10万倍に拡大した珪藻のガラス質の殻に存在するナノレベルの微細構造の観察を行った。
 我々は通常肉眼視できる世界で暮らしているが、見ているものは生物であれ、非生物であれ、もっと小さなパーツや単位からできていることを、参加者があらためて実体験した研修であった。