考える学習

日時:2016年 7月 4日(木)13:30~17:00
会場:M102 担当:川角 博

 研修の目標は、「科学的なものの見方・考え方を身につけ「科学の方法」を使える生徒を育てるために」とした。仮説を立て、これをただの“想像”に終わらせず、自ら正解であるかどうかを判断する(分からないという答えもある)過程で、科学的なものの見方・考え方を身につけ、「科学の方法」を教えることができる教員育成を目指した。このために、具体的な現象に対する探究的な活動を通して、仮説を立て、説明・議論、研修・判断して、発表する研修形式とした。この研修、そのための手法を身につけるというよりは、自分に何が不足しているのかを知り、今後の研鑽につなげることを期待した。
 はじめに、学習指導要領理科目標の根幹である「観察・実験を通して、科学的なものの見方、考え方を見につける」授業の実態について、紹介した。また、中学・高校生が「科学・技術の当事者になりたがらない」という調査結果から、現在の理科教育の問題点とその解決案についても触れた。
 実習として、研修参加の先生方に解決すべき問題(NHK教育テレビ「考えるカラス」の中から選択)を中心として提示し、探究的な活動の中で 仮説、説明・議論、検証・判断、発表 を実践した。

 実験1「2本のろうそく」を使って、仮説、班での議論、検証実験の提案、全体への発表、再度の議論の練習とした。これを解決するための基本知識が、小学校4年「物の体積と温度」「物の温まり方」、小学校6年「物の燃え方と空気」であり、いずれも実験を通して具体的に学習していることも確認した。さらに深く検証するために必要な検証実験として想定されるものをあらかじめ用意したビデオ映像で示した。 「教えあい、学びあい」や発表だけでは、新たな知識の獲得は期待できない。課題解決のために自ら事前の学習をさせることが重要である。つまり、自ら目的意識を持って学ぶ機会を作る授業が必要なのである。
 実際に扱った課題は、以下に示す。班毎に仮説、説明・議論、検証・判断の後、ホワイトボードを使って子どもに分かる説明を全体に発表していただき、さらに議論を深めた。
・実験6糸巻き:糸を引かれた糸巻きが、糸を巻きつける向きに転がり始める現象。小学校「てこの規則性」、中学校「力の釣り合い」、高校物理「剛体のつりあい」
・実験16 二つのモータ:直列接続した二つのモータの一方を止めると、他方が速く回る現象。小学校「電気のはたらき」~高校物理「電流と磁界」
 これ以外に追加実験として、以下についても実施した。
・水中逆さコップ:底に孔を開けたコップを逆さにして、水槽の底に押し付ける。すると、孔から泡が出てくるが、コップは浮き上がらない。やがてコップ内の水面が上がってくると、ある位置で突然コップは浮き上がる。孔の大きさによって浮き上がるときの、コップ内の水面の位置が違う。中学校「力と圧力」「力のつりあい」、高等学校物理基礎「さまざまな力とそのはたらき」
・ホースと音:長さ1.5m程度、直径6mmほどのチューブの両端を両耳にそれぞれ入れ、目をつむって、他の人にチューブの一部をはじいてもらう。このときはじかれた位置が、左右どちらの耳に近いのかを当てる。これがなぜあたるのか、その不思議を調べる。中学校「音の性質」、高等学校物理基礎「音と振動」、高等学校生物「生物の環境応答」
・斜面と瓶:同じ形の瓶を用意し、これに次のものを入れ、斜面から同時に放してその速さを調べる。なぜそうなるのかを考える。空気、水、BB弾(自由に動ける)、BB弾(固定されている) 中学校「運動の規則性「力学的エネルギー」、高等学校「エネルギー」

 いずれの実験についても、受講生は以下のことをする。
①結果を予想  ②結果を確認  ③結果の説明をする(これが仮説となる)  ④検証実験をする  ⑤②~④を繰り返す  ⑥ホワイトボードに説明を書き、発表する  ⑦質疑応答する

 受講者による自己評価は、AA:19%  A:78%  B:4%  C:0% であった。