箔検電器による静電気の多様な実験

日時:2016年10月20日(木)13:30~17:00
会場:M102 担当:川角 博

 研修の目標は、「眼に見えない静電気の存在やその符号などを徹底的に理解する実験を通して、仮説と実験と論理で自然界を探る「科学の方法」を身につける。」とした。
 理科の授業は本来アクティブラーニング型の展開となっているはずである。その中でも、静電気実験は、アクティブラーニング型授業に適している。
 静電気に関しては、生徒も教員も、実は分かっているようで、知っているだけであることが多いように思われる。例えば、電荷が±等量あることを自ら確認していないのではないか。これを検証するにはどんな実験をして調べたらよいだろうか。少なくともそのための機会も持たず、努力もしていないのではないか。静電気が、どんな分布になっているかも、どう考えたら合理的かを自分で調べて判断すべきである。
 仮説、実験、思考、論理的整合性の確認、をサイクリックに繰り返しながら、見えない電気の存在を確信していく過程を経て、科学の方法を実践的に学ぶ授業の展開のために、本研修を実施した。
 中学理科教科書では、5分の4の教科書がストローをティッシュで擦る実験をしている。しかし、ティッシュがプラスに帯電していることを確認する実験をせずに、プラスだと教科書では言い切っている(現実には、ティッシュの電荷はすぐに逃げてしまい、帯電していないことが多い)。物理学は、もっと厳密な検証にもとづいて構築されている。この実験の問題点と解決策、さらにはこれをアクティブラーニングとして活用する高校授業のための実験を実践していただいた。
 はじめに、帯電したティッシュペーパーや紙袋が電荷を逃がしてしまう様子を、箔検電器で確認した。帯電体の電荷の符号が正負のいずれであるかは、単3乾電池320個を直列にした526Vで箔検電器を明らかな符号に帯電させ、これを基準にして調べる方法を紹介した。その後、静電気に関するアクティブラーニングとして、班毎に以下の課題に対して、そこでどのような現象が起こっているべきか、その仮説を立て、これを検証する実験を提案し、検証実験を実施し、最後に発表をしていただいた。
 電源装置ではなく、わざわざ単3乾電池を320本直列にしたのは、見た目のインパクトと、電池の電気も静電気も同じであること、極性を明確にすることにねらいがある。
 昨年度の研修から、多くの先生方が箔検電器の基本的な使い方自体が分かっていないことが明らかになったので、今年度は箔検電器の使い方の練習からはじめ、共通の課題を探究する研修とした。

0 箔検電器の仕組みと機能
1 静電気には2種類あることを示す。
2 ストローを紙袋でこすった時、ストローと紙袋の電荷の正負を確定する。
3 帯電していないものは、もともと電荷が正負等量あることを示す。
4 同種の帯電体同士には斥力、異種の帯電体同士は引力がはたらくことを示す。
5 箔検電器に指を触れる方法で電荷をためたとき、蓄えられた電荷の符号と、その仕組みを説明する。
6 金属棒と1個の箔検電器を使った課題として、箔に蓄えられる電荷の符号の符号と、その仕組みを説明する。
7 金属棒と2つの箔検電器の場合について、上記6と同様にする。
8 上記、6と7の実験を混ぜたり変形したりして、新たな実験課題を作り、同様に仮説と検証を繰り返す。
9 考えるカラス「実験14缶と画鋲」の結果を説明する仮説を立て、これを検証する。

 実験9については、すべての班に共通課題として与え、その考え方や検証実験、検証結果の考察などを班毎に発表しながら、質疑応答を繰り返した。班毎に与えたホワイトボードを活用して発表していただき、実際の実験も示しながら議論を深めた。議論のなかで新たな仮説が浮かび、さらに検証と議論が深まった。この検証には、二つの缶と画鋲の他、箔検電器、絶縁取っ手付き金属棒、既知の帯電体(負に帯電した塩ビパイプなど)だけ出たような検証が可能であった。

 

(追加実験)班毎に自由な応用実験として用意したが、ほぼ前記の実験までが時間内の範囲であったと思われる。

1 箔検電器に近づける帯電体が絶縁体と金属での違いは?その理由は?
2 帯電棒と同符号の電荷を確実にためる方法を提案せよ。
3 静電気電撃を防ぐのに適切な“もの”は何か、実験から探す。これに適しているものを探し、その根拠を説明せよ。釘、クリップ、輪ゴム、ゴム手袋、ポリ手袋、木片、プラスチック消しゴム、タコ糸、他
4 導体球を使った実験:方法(考えられるだけ複数)と検証をする
 4-1 導体球を帯電させるには?
 4-2 電荷を等分するには?
 4-3 正負等量の電荷に分割するには?
 4-4 導体球と帯電棒を使って、箔検電器を帯電させるには?
5 ネオンランプの利用
7 イオン放射装置の利用
8 導体球を使った実験:方法(考えられるだけ複数)と検証をする
 8-1 導体球を帯電させるには?
 8-2 帯電体の電荷を等分するには?
 8-3 正負等量の電荷に分割するには?
 8-4 導体球と帯電棒を使って、箔検電器を帯電させるには?
9 その他、静電気に関する?を箔検電器で検証・確認する