NEWS・2006

第9回絵本学会大会が開催されました。
【日程】2006年6月10日(土)・11日 (日)
【テーマ】描かれた子ども描く子ども
【会場】文教大学 越谷キャンパス(埼玉県越谷市南荻島3337)
【基調講演】講演「山本容子の絵本の秘密」講師 山本容子(銅版画家)
【作家にきく】「五味太郎の絵本にみる子ども論」
話し手:五味太郎(絵本作家、デザイナー) 、 聞き手:石井光恵(日本女子大学助教授)

絵本学会は、2007年に創立10周年目をむかえる。1997年5月に武蔵野美術大学で「絵本学会設立大会」が行われたが、その同じ武蔵野美術大学で2007年6月30日(土)・7月1日(日)の両日に、記念すべき第10回大会が行われる予定である。
絵本学会の会員数は、ここ数年、350〜400名程度を浮沈しており決して多くはないが、会員の職種は実に多様である。作家・画家はもとより、美術館や博物館の学芸員、絵本の編集者、様々な教育研究機関の研究者(幼児教育・美術教育・国語教育・デザイン・造形・イラストレーション・創作など)、民間の文庫や読書団体及び図書館司書や自治体の子育て支援に関わる人々など、絵本がいかに多くの専門や関連領域の活動によりメディアとして使われ、機能しているかが分かる。
この10年間、絵本学会という場に身をおいた人なら誰でも気づいたことだと思うが、絵本というメディアは赤ちゃんから高齢者まで、誰にでも興味や関心をもたれる親しみやすいものであり、ある種の共通理解が存在するものという「常識」は、ほとんど通用しない。
私はこの数年間運営委員を経験し、他の会員よりも少し絵本学会の内部で呼吸をしてきたのだが、同じ会員であっても絵本というメディアのどの領域と関わってきたのかにより、お互いに使っている言語ですら分からないことがあった。私のように、乳幼児教育との関わりで絵本を研究しており、かつ所属する学会も心理系や教育系が主であった者には、学会運営や大会の開催方法もかなり異なり、「どうして?」の連続であった。
ここでいまさら絵本の定義などしても、あまり意味はない。絵本評価の基準が芸術・教育・商品など多義性をもち、さらにその一つひとつの基準がそれぞれにおいて相矛盾する評価尺度をもつならば、絵本学会内部の多様性・多義性など当たり前なのだ。これらの評価基準(論争基準)は、多数決により決められるものではないし、質の問題に踏み込むと歴史的・文化的継承を抜きに語れるものでもない。絵本学会の10年は、同じ「絵本」という言葉に象徴されるものをめぐり集まった人々が、それぞれが依拠する「絵本」の概念に揺さぶりをかけられ、とりあえずはその概念が修正・解体された10年であったとも言えるのではないか。わずかな会員数でありながら、学会紀要と機関誌(BOOK END)の二つをもち(各編集委員会がある)、それ以外に、理事会は別として広報・企画・研究の独立した各委員会があるのは、それぞれの委員の職種にもとづく固有の思惑が集約された結果と思われる。
持続可能な地球と同じように持続可能な絵本学会のために、各会員の活発な議論と行動を切に望んでいます。それ以外に、この学会が存続する理由はないのだから。
佐々木宏子 (鳴門教育大学名誉教授)
佐々木先生のHP

