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辞書作りからみる日本語のすがた

岩波書店の平木靖成先生による講演会が12月3日に本校体育館で行われました。

平木先生は三浦しをんさんの小説「舟を編む」の取材協力をされた方でもあります。
 会を通して、辞書作りを通して日本語について思った事を中心にお話いただきました。
 まず辞典と事典の違いとして、辞典は別名「ことばてん」ともいうように、「砂」とひくと共通認識がもてるような意味や用法が載っており、事典は別名「ことてん」といい、「砂」とひくと粒子が細かくなどと地質学的な知識が書いてあるという話をされました。
 次に、言葉はたえず変化することを紹介してくださいました。例えば「新しい」を最近では「あたらしい」としているが、本来は「あらたしい」であったそうです。言葉の発音が変わっています。確かに「新たに」という場合は「あらたに」と読むことから考えると膝を打つ思いでした。同様な例として消耗をかつては「しょうこう」と読んだのに対して現在は「しょうもう」と読み、独壇場を「どくせんじょう」と読んだのに「どくだんじょう」と読むことなど、配布資料をもとに紹介して下さいました。
 また、言葉の意味も変化していることも多くの例を挙げて紹介してくださいました。以下はその一部です。
手をこまねく 何もせず傍観する→準備してまち構える
破天荒 だれもできなかったことをする→豪快で大胆な様子
御の字 おおいにありがたい→一応、納得できる
雨模様 あめがふりそうな様子→小雨が振ったりやんだりしている様子
姑息 一時しのぎ→卑怯
すべからく 当然、是非とも → すべて、みな
 大人買いなど、最近使われるようになった言葉でもすぐに変化している例も挙げて説明してくださいました。大人買いという言葉は広辞苑では2008年の第六版に新規収録され「玩具付きの菓子など子供向けの商品を、大人が高額をつぎこんで大量に買いこむことをいう俗語」と説明されています。三省堂国語辞典第7版(2010年)には「(大人がうらやましがるようなおもちゃなどを)大人が自分のために、一気に買いそろえること」とあり、明鏡国語辞典第2版(2014年)では「大人が財力にものを言わせて玩具や漫画本などを大量に買うこと」と説明されています。これらの違いは発行年によるもの、つまり意味の変化によるものなのか、それぞれの辞書の編集方針の違いなのかと考えると、同じ言葉をいくつもの辞書で、しかもいくつもの版に渡って調べてみたくなってしまいました。平木先生の講演を聞かなかった方々もいらっしゃると思いますが、2018年1月に出る新しい広辞苑にはどのように掲載されると思いますか。
 最後に、会場からの質問への返答として、改まった場面でことばを使う時には、相手に誤解されても困るので、辞典に載っているようなことばを用いる方が無難であると締めくくられました。平木先生には、広辞苑第七版出版直前にも関わらず、快く引き受けて下さり感謝いたします。また、今回の平木先生の講演会実現のためにご助力下さった「保護者と教師の会」の教養委員の皆様、当日の準備をして下さった保護者の皆様に厚く御礼申し上げます。

 


2017/12/24