行事

過去の合同ゼミナール

平成12年度東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科
合同ゼミナールについて

ワークショップ実施要項

 共通テーマ:「今日の学校教育の諸問題」
  《主 旨》
 今、学校のあり方が問われている。
 中央教育審議会や教育課程審議会等の答申などで強調されているように、21世紀の学校のあり方をめぐって、日本の教育政策は、「学校のスリム化」論を基調に、学校の存在根拠の一つといえる学力形成を担う教科指導の縮小・再編を当面の重要課題に据えてきている。学校は、とりわけ教科指導の意義やあり方を深く問うかたちで問題にされている。
 一面では、この方針は、生涯学習社会論に依拠しながら、学校と地域と家庭との連携を強化するという方針と並行して提起されてはいる。しかし現時点において、学校と地域と家庭との連携強化を実現する諸条件が整えられ展望が拓かれているようにはみえない。
 また、不登校や中途退学の増加、いじめの多発、子どもたちの「新たな荒れ」といった現象の広がりは、誰の目にも明らかである。あるいは「若者の理工系離れ」といった表現に示唆される、知的な活動に対する子どもたちの興味・関心の衰退ともいえる傾向も指摘されている。これらの原因や対策をめぐっては、様々に議論されてはいるものの、事態は深刻さの度合いを深めているといわざるをえない。
 こうした状況下にあって、学校で働く教師は苦悩している。小学校低学年から子どもたちが教師の話を聞かず、授業が成り立たないといった報告をしばしばきく。これまでがんばってきた有能な教師でさえ、最近、子どもたちがわからなくなったとして、自信を失い職場を離れることもめずらしくない。
 他方、この6月には、教育職員養成審議会答申を受け、教育職員免許法が改正された。それは、多くの内容をもつけれども、免許基準に関わっては、全体の免許基準を実質的に引き上げながら、教科専門科目に関わる要件は半減させている点が最も顕著な特徴になっている。また、従前、教員養成カリキュラムの3本柱の一つであった一般教養について、
何も言及していない点も見過ごすことができない。そこには重大な問題が含まれていよう。
                                       
 以上、若干の側面を指摘してきたが、こうした今日の学校教育をめぐる諸問題は、我々がそれぞれ進めている研究に対して、大きな責務を問いかけているのではなかろうか。なぜなら、我々が学ぶ本研究科は、「広域科学としての教科教育学」と学校教育に関わる実践的課題の解決のための研究を発展させ、教科教育学を中心とする教員養成系大学の研究後継者の養成等を任務としているからである。
 こうした立場から、今回の合同ゼミナールでは、ワークショップの形式をとり、講座の枠や学生と教師の枠をこえて上記のテーマを、いくつかの側面から率直に語り発表する中で、自らの研究課題を本研究科の目的との関連で位置づける機会になればと考えている。



 討論する具体的なテーマ

 
(1)

「教科論の課題」
 教科の時数削減と再編・統合問題、選択制の拡大と子どもの個性、総合的な学習の時間の見方などの具体的問題を通して、教科およびその研究のあり方を議論したい。

(2)

「日本の学校の教育条件整備の現状と課題をどうみるか」
 学校教育のあり方を問おうとするとき、しばしば抜け落ちるのが、教育条件の問題である。学級・学校規模、教員定数等々、日本の学校の教育条件の現状と課題を議論したい。(1)の課題と表裏の関係にあると思われる。

(3)

「子育てにおける学校と地域と家庭の連携について」
 学校は、元来、家庭や地域の人々の支持なしには成り立たない。他方、教育問題への
人々の関心が、教師批判等、徹底して学校の内部へと焦点化される傾向も顕著である。
子育てをめぐる学校・地域・家庭のネットワークのあり方を議論したい。

(4)

「いまの子どもをどうとらえるか」
 いじめ、不登校、「新たな荒れ」、あるいは、子どもたちの知的な活動離れといわれ
る傾向をどのように把握し、学校での教育実践は、いかにあるべきか。子どもの文化状
況等もふまえながら議論したい。

(5)

「教員養成改革の課題をどうみるか」
 教育問題への関心が学校の内部へと向かうなかで、教師は、親や地域の人々による不信と批判にさらされ、マスメディアもそれを助長する。同時に、その不信や批判は、教師の養成のあり方にも及ぶ。教員養成改革の課題をリアルに議論したい。

(6)

「理論(研究)と実践(学校現場)との関係について」
 本研究科は、「広域科学としての教科教育学」と学校教育に関わる実践的課題の解決のための研究を発展させ、教科教育学を中心とする教員養成系大学の研究後継者の養成等を任務としている。今日の学校教育の諸問題の解決をめぐる研究者の役割を、学問の継承等、成長しつつある若手研究者の課題と関わらせて議論したい。



 実施方法

 
(1)

グループの作り方: 原則として、10グループ編成。
 受け付け時に第1~3までの希望をきき、一日目夜にグルーピングを決め、翌朝に発表する。その際、講座間や教師の配置等を考慮する。希望が少ない内容は中止することもありえる。予め、どのテーマで議論したいか考え、見解の整理など準備をしておいて下さい。
 グル−プ内の役割として、議長、書記、発表者を決める。
議長は司会進行、書記はフォーラムに原稿寄稿(1000字程度)、発表者は全体会で5分にまとめて発表

(2)

進め方:
 主旨説明、 各グループで討論:2時間程度、 全体会での発表:1グループ5分+若干の質疑応答、まとめ

平成12年度の日程について


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