行事

過去の合同ゼミナール

平成18年度東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科
合同ゼミナールについて

ワークショップの趣旨と反省

 

社会系教育講座 高橋在也

 平成18年度のワークショップの趣旨について
 昨年度のワークショップは「研究と(教育)実践の関係をどうとらえるか」という独立したテーマを用意して行われた。それはわたしたちの研究に対する姿勢、研究の意義そのものを問うものとして、合同ゼミナールにふさわしいとして採られた。だがテーマの根源性に比べて、時間の制約と前準備の少なさが響き、議論が薄く終わる傾向があった。そこで、本年度はワークショップのやり方を抜本的に変えた。やや抽象的ともいえる大テーマをそのまま議論するのではなく、3人の博論執筆経験談を聞いた後つづけて、3人が取り組んできた生の問題や現実そのものを通して、結果的に研究とは何かということを話し合えたらと考えた。そこで、3人のそれぞれの専門分野ごとに分科会を設けて、各位関心のあるものに行ってもらうという方式にした。博士論文を書き上げた方に、より専門的な見地から質問したり、生活や心のつらさ楽しさもふくめて、車座になってよりざっくばらんに話をしてもらい、具体的な研究や生活のエピソードのなかで研究とは何かが浮き彫りになれば良い、そういう趣旨で本年度はワークショップを開いたのだった。



 具体的方法

 本年度の博論執筆経験談は、舞田敏彦さん(高等教育就学機会の地域間格差に関する実証的研究)、金範洙さん(近代渡日朝鮮留学生史−留学生政策と留学生運動を中心に−)、小畑千尋さん(「音痴」克服のための指導に関する実践的研究)と、多様で興味深いテーマの3人が揃った。学生には3人のレジュメが合宿の初日に配られるので、それをもとに初日に希望を調査し、3つの分科会に振り分け、夕食前に発表した。分科会の議論内容を『フォーラム』に報告してもらうために、報告担当を振り分け発表時に一人選んでもらった。分科会の進行役は、運営委員のなかから選んだが、議事をあらかじめ固く用意するのではなく、趣旨のとおりざっくばらんに話が進むような配慮役といった役どころであった。昨年度とは違い、分科会の後に全体会を設定しなかった。これは、ひとつのテーマについて集中して議論し、その成果を確認しあうという形態ではなく、「学問的雑談会」という性格のために不要と考えたからであった。



 成果・反省点
 個々の分科会については別に報告がされると思う。全体としては、より具体的な研究の課題や研究生活の悩みなどを意見交換できる場が作れたことは成果だったと思う。間接的な話だが、昨年度まではワークショップは初日に独立してあり、そのためポスターセッションの時間が十分に取れなかった。ワークショップを二日目に回して博士論文執筆経験談とくっつけたことで、ポスターセッションというメインの学問的交流の時間をふんだんに取れたことは合同ゼミナールを通して最大の成果だった。
 反省は残る。それぞれの発表者の方は、ほとんどの話をコンパクトにまとめてくださったので、学生のほうから質問をしかけることになる。その際、内容が研究生活のやりくりをどうするか、ということに終始する傾向があった。それは切実な問題だが、研究生活は研究課題そのものへの距離のとり方や研究手法の悩みにも直結するはずで、そこまで広く議論しきれなかった。もちろん、ひとりひとりの研究課題や手法は異なる。だが自分の課題や手法を手短に説明しつつ、そのうえで共有できるような問題を専門的に討論できれば、より面白くいい疲れが出るようなワークショップになる気がする。連合大学院の合同ゼミナールは、連合大学院の知の試金石だ。まさに、「多様」な研究者が集まる。理系も文系も芸術も体育も集まるのだ。しかも共通のとっかかり、教育という問題意識がある。ポスターセッションだけでなく、ワークショップにおいても、この多様な専門性をもっと活かせるような形ができないか。このことは来年以降の課題としたい。

平成18年度の日程について


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