行事

過去の合同ゼミナール

平成20年度東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科
合同ゼミナールについて

ワークショップの趣旨と展望

 

生活・技術系教育講座 田村 愛架

 ディベートを企画した理由とその経緯
 今年度は,昨年度に引き続き,ワークショップではディベートを企画した。企画理由は,ある課題について,割り振られた立場で論理的に主張し相手を説得するというディベートは,研究者として必須である論理的な思考を培うと考えたからである。なお,ディベートを企画するに至った経緯は以下のとおりである。
 一昨年度より前は,「教育実践と研究」などの大きなテーマについて議論する企画が行われており,一昨年度は,博士論文執筆経験談に基づいての座談会が企画されていた。昨年度は,これらの企画について,テーマが抽象的すぎて深化に欠ける,基調提言が経験談という性格上,研究生活の相談に終始する傾向にあるという反省に基づき,ディベートを企画したとのことであった。昨年度のディベートでは,ディベートに関する認識が参加者によって異なっていたため,厳密性を求める参加者がいる一方で,経験に基づく自身の見解を主張することのみに終始してしまう参加者がいたことなどが課題とされていた。今年度は,教育に関するテーマについて議論を深めることも意義深いとの話し合いがなされたが,今までの反省と,初対面の人がほとんどであるという合同ゼミナールの性格を考慮し,昨年度のディベートの反省を克服する形で発展させることとなった。具体的には,参加者のディベートに関する認識を同じくするためにルールを徹底し,自分の経験のみに基づいて主張せずに論理的に議論を進めることができるように,主張を裏付ける資料を持参してもらうなどした。 



 実施方法

 
◇事前準備◇
 (1)

 ディベートのテーマは,教育に関連していること,賛成・反対の議論が成り立つことを条件に設定した。
 A「全国学力テストは必要か?」,B「教員免許更新性は必要か?」,C「中学生に対しての性教育において避妊を扱うべきか?」

(2)  各テーマの座長を運営委員から選び,テーマ説明についての資料を作成した。
(3)  ディベートのルール等を記載した資料を作成した。
(4)  テーマ説明についての資料を参考に,参加者に希望するテーマ(第1希望,第2希望)を選んでもらった。
(5)  希望調査をもとに参加者を各テーマに割り振るとともに,賛成・反対も割り振った。
(6)  参加者に,当日の参加テーマと賛成・反対の割り振り,自分の主張を裏付ける資料を持参することを伝えた。

◇分科会◇

 

 分科会は,顔合わせ(3分),座長説明(3分),作戦タイム(15分),(1)肯定側主張(7分),(2)否定側質疑(3分),(3)否定側主張(7分),(4)肯定側質疑(3分),(5)否定側主張(5分),(6)肯定側主張(5分),投票(5分),講評(4分),フリートーク(10分)という流れで構成し,合計70分を設けた。座長は,ディベートの進行と軌道修正,全体会での報告準備を行った。

◇全体会◇

   全体会では,テーマごとの座長が,「双方の主張および投票の結果について」報告(5分)し,質疑応答(5分)を行った。


 今後の課題と展望
 今年度は,ディベートのルールを徹底したことと,資料を持参してもらったことにより,参加者のディベートに関する認識を一致させることと,論理的に議論することという課題は達成されたように思う。しかしながら,ディベートを意義深い活動にするための課題は多い。実施後アンケートからは,「テーマをきっちりと定義してほしい」,「他の人が集めた資料を読む時間が少ない」,「フリートークの時間が少ない」,「事前準備の段階で,資料を準備する期間が短い」などの記述が多く見られた。それぞれの課題に対する解決の方途としては,「何について賛成・反対なのかという論点をはっきりと提示する」,「1日目に資料を交換する時間を設ける」,「フリートークの時間を多めにとる」などが考えられた。さらに,ディベートを円滑に行うためには,進行表をホワイトボードに掲示したり,ディベートのためのメモ用紙をもっと使いやすく改善したりすることも課題であろう。資料を準備する期間の短さについては,参加者が希望調査を期限内に提出してくれることが前提となるため,提出期限を検討すること等が考えられた。今後は,このような課題を解決し,より意義のあるワークショップを企画することにより,合同ゼミナールがますます発展することを望む。

平成20年度の日程について


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