行事

ワークショップ企画・運営について

2012年度合同ゼミナールワークショップ企画・運営について

芸術系教育講座 菖蒲澤 侑


 2012年度の合同ゼミナール運営委員会は,集った当初から,合同ゼミナールの企画・運営のみではなく,合同ゼミナールの意味,更には,教育の研究そのものの意味まで立ち返っての議論に発展することが多かった。合同ゼミナールは,経歴や今後の展望はどうあれ,連合学校教育学研究科のみで構成される博士課程に入学し,そこで教育研究に取り組んでいるという共通項をもつ学生が集まる機会である。そのような環境で行うワークショップは,何か知識を得たり成果を出したりするようなものではなく,「教育」や「研究」それ自体について,各人の信念や考え方まで引き出しながら議論できる場にしたいという結論に至った。

 そこで,「教育研究」をテーマに,普段自分が考えていることについてのブレインストーミングを行い,いくつかのキーワードを得た。「基礎と応用」「教育の顧客」「わかりやすさ」「研究発表の相手」「社会貢献」など,「教育」や「研究」の周りをうごめく,大きなキーワードが挙がった。これらはどれも,更に細分化しなければ建設的な議論にはならないようなテーマかもしれないという懸念もあったが,先に述べたように,大きく「教育研究」それ自体について各人の信念や考え方まで引き出しながら議論できることを目的とするため,分科会のテーマも大きなもののまま進めた。また,議論の過程をワークショップの成果とし分科会同士の意見交換をする,ポスターセッションならぬ「ホワイトボードセッション」形式をとることにした。今振り返ると,このようなワークショップの形式自体に,ナマモノである人々相手の教育研究は,研究成果がゴールではなく,正解不正解を出すようなものではなく…というような,運営委員同士の議論のカケラが表れていたように思う。

 各分科会の進行は,それぞれのファシリテーターに出来る限り委ねることになった。ファシリテーターは運営委員が担ったが,運営委員が個性豊かかつノウハウや経験が豊富であったため,下手に制限を設けて出来ることが減るリスクを避けようとしたものである。制限は,時間と予算のみであり,そのため,資料を使う分科会や講師を呼ぶ分科会もあり,その後のホワイトボードセッションで他の分科会への興味を引き出すことができるものになった。しかし,合同ゼミナール以降の学生同士のつながりが確立していない環境であるため,参加した分科会によって得る情報に差があることは反省点であった。

 合同ゼミナールでのワークショップは,ねらいを明確にし,やりたいことは出来るだけやるようにすれば,本当に面白い活動になる。参加者の,教育研究という大きな共通項と,ワークショップでの具体的な活動の繋げ方を模索し,実践することは,普段取り組む研究と,自身のこれまでとこれからの生き方との関わり,位置づけ方の検討にも繋がりうる,可能性の大きい活動であった。

平成24年度の日程について


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