教科志向型JSLカリキュラム(小学校)

          
「教科志向型」JSLカリキュラムは、各教科における学ぶ力の育成をめざすものです。各教科には特有の学び方があり、教科の学習のためにはその学び方を具体物や体験を支えにして習得していく必要があります。「教科志向型」と呼ぶのは、このカリキュラムを教科学習の前提として位置づけ、しかも、その学習過程に特徴をもたせたいためです。教科の学習は、抽象的・概念的な命題の学習が多くなり、それを言葉や記号を通して理解していくことが多くなります。

          

 だが、日本語の力が十分でない子どもにとり、こうした抽象命題をすぐには理解できないことが多いですし、しかも抽象と具象とを結びつけていく学習過程も困難を伴います。このため体験を重視し、具体物に触れながら抽象化するという学習の過程をとる方が効果的であり、そうした学習の過程を通して教科の知識、概念の理解の促進を図ることが大切になります。
 「教科志向型」JSLカリキュラムは、各教科の学習活動への参加を通して「学ぶ力」の育成を目指すものです。基本的には「トピック型」JSLカリキュラム同様に、各教科の学習活動をいくつかの局面に分けて、その中で教科を学習していく上で必要な活動(例えば、観察、情報の収集、思考、推測など)を組み立て、そしてその成果を日本語で表現できるようにすることをねらっています。
ただ、その活動は教科の内容と密接に関連しています。教科における「学ぶ力」を育成する上で適切な単元、領域、内容を設定し、その内容についての学習を展開していくことになりますが、その際、具体物や体験、あるいは既有知識を支えにする必要があります。そうした教科の内容と関連した学習活動を組織するとともに、学習の過程で子どもたちが理解したことを日本語で表現できるようにしていくことが重要になります。
                           
 「教科志向型」JSLカリキュラムは、教科の知識・概念を習得すること自体が目的ではなく、そうした知識や概念が習得できるようにする過程が重要になります。そのためにも、学習の過程において、一人一人の子どもの理解に応じたきめ細かな学習支援と日本語支援を行っていく必要があります。
授業の各局面において具体的な活動を意図的に取り込むこと、そして、その学習の過程において的確に学習支援と日本語支援を行うことで、学習活動が成立します。子どもたちは、適切な活動と多様な支援のもとに、各教科における「学ぶ力」を習得できるようになります。ですから、通常の授業よりもきめ細かな学習活動を組織するとともに、そこに適切な支援を行う方法を工夫しました。
                     

詳細は『小学校「JSL算数科」の授業づくり』『小学校「JSL社会科」の授業づくり小学校「JSL理科」の授業づくり』 『小学校「JSL国語科」の授業づくり(スリーエーネットワーク刊)を参照してください。  


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