喫煙と就職

 

                                

 

喫煙は、肺がんをはじめとする多くのがんの原因となるほか、慢性気管支炎や肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患、心筋梗塞や脳卒中などの心・血管系疾患の原因となることが国内外の研究によって確立しています。これらの身体的疾患だけでなく、うつ病やパニック障害といった精神疾患の発症要因にもなると最近の研究で報告されています。また、喫煙者のみならず受動喫煙にさらされる周囲の人たちに肺がんや心筋梗塞、胎児を含めた発育障害、老化など多様で重大な健康障害をもたらします。健康被害だけでなく、たばこに由来する医療費の増加や、火事をはじめとする社会的損失等、甚大な影響を及ぼします。これら他人への影響は法的に裁判の対象となることもあります。たばこには有益な作用はなく、吸わないことが望ましく、喫煙者が禁煙することは自分の健康や財産をまもるだけでなく、自分と最も関わりのある人の健康や幸せを守ることにもつながります。

さらに、学生にとって最大の問題は、喫煙者が就職時に不利である可能性です。欧米の多くの企業では、喫煙者を「自己管理の出来ない人」とみなす風潮があります。WHOでは入社時に、喫煙者を採用差別しませんが、就職後の禁煙を約束させます。日本においても喫煙が就職に絶対不利とは言いませんが、社会風潮を考慮すると、喫煙しない方が社会に楽に適応できるでしょう。

しかし、一度習慣化されてしまった喫煙行動を修正することは思っているより難しいかもしれません。一般的には喫煙の代わりにする代償行動を決めると止めやすいとされています。例えば、歯を磨いたり、ガムを食べたり、水を飲むなどです。また、禁煙に対する考え方も重要です。仮に3日間の禁煙期間を、「あーあ。3日坊主だったな」と考えるのではなく「今回は3日続いたぞ、これは自分の最高記録だな。今度は記録更新のために、4日に挑戦しよう」と考えてみると禁煙成功の確率が高くなります。これは自己効力感に基づく認知行動療法といわれる技法です。もし、自分だけでの禁煙が難しい場合は、病院の利用もできます。現在ではたばこを吸わなくするための薬が保健適応で内服できます。禁煙外来を持っている病院を受診し禁煙するのも良い方法です。

 

保健管理センター

竹内 武昭

 

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