睡眠について

 

睡眠というのは十人十色、ヒトの顔や性格と同じくらい様々で個性があります。短くてもぐっすり深い眠りで十分な人もいれば、とにかくたっぷり時間をとって休まないと体が動かない人もいます。

 大学時代の若いときは、夢中で勉強したり、趣味に没頭したり、あるいは、友達とおしゃべりしたり、遊んだりして徹夜することも多いでしょう。それも大事な経験ですが、たかが睡眠とあなどってはいけません。どんな形であれ睡眠をとらないで生きていける人はいませんし、睡眠不足が続けば心身にさまざまな悪影響が起こります。ぼんやりして事故を起こしたり、怪我したり、試験や発表で失敗してしまったり、いろいろと思い当たることもあるでしょう。睡眠による休養は、食事や運動とともに健康的な生活を支える大切な要素です。今回は、ここで、皆さんに睡眠の大切さを知っていただき、心地よい睡眠をとることをおすすめします。

 

まず、睡眠はなぜ大切なのでしょうか?

眠っているあいだに、昼間に活発に働いた大脳は休息します。また、体内の細胞分裂が盛んになったり、免疫細胞が体内を点検するのも眠っている間です。このようなメンテナンス作業が睡眠不足によって滞ると、疲れがたまって集中力がなくなり、病気への抵抗力が弱くなってしまいます。免疫力が低下し感染症に罹りやすくなったり、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を悪化させる要因になったりもします。また精神面への負担は大きく、不安になりやすくなってパニック症状や強迫症状といった不安障害の引き金となったり、鬱々した気分をひきずって抑うつ状態におちいることもあります。また、うつ病の前兆ということもあるので、不眠というのは、思いのほか、恐ろしいものなのです。

 

睡眠の質を計る物差しの一つに「眠りの深さ」があります。浅い眠りの状態の「レム睡眠」と深い眠りの状態の「ノンレム睡眠」の二つのパターンに分けられます。これらは個人差こそありますが、およそ1.5時間の周期で夜間に4〜5回くりかえしています。快適な睡眠のためには、ノンレム睡眠のときにしっかりと深く眠り、脳を十分に休息させることが大切です。また、眠りの浅くなったレム睡眠のときに起きると、すっきりとした目覚めになります。この周期に抗わず自然に目覚めるように6〜8時間の睡眠をとるのがよいでしょう。

 

また、「体内時計」というものを知っていますか?朝起きてから夜眠るまでの1日のリズムをつくっているもので、皆さんの身体のなかにそれぞれ、いくつももっています。その中でも主時計は脳の中にあります。体内時計の周期は一般的に25時間といわれていて、放っておけば、睡眠はどんどん遅れていくようにできています。多くの人が宵っ張りになるのは、実は自然なことなのです。そんな1日のズレを修正してくれるのは、おひさまです。起床時に明るい光を浴びることで、身体が朝だと感知し、生体リズムをリセットします。太陽などの光刺激を受けることによって、24時間に修正をくりかえしているとのです。

また、体内時計は睡眠と目覚めをコントロールするばかりではなく、レム睡眠とノンレム睡眠の約1時間半周期のリズムをつくったり、1日のなかで体温を変化させることで生態のリズムを調整したりしています。こうした体内時計の働きを妨げないようにすることが、睡眠の質を高めることにつながります。

 

あと、眠りやすい環境を整えることも大事です。

例えば、室温の設定は、夏は2528度くらいで冬は1822度くらい、湿度は5060%を目安にするとよいでしょう。枕や布団などの寝具は放熱性や通気性に優れたもので、適度なかたさがあるものが背骨のS字カーブを緩やかに保ってくれます。もちろんテレビやパソコン、携帯電話の画面は脳の覚醒をうながしてしまうので、寝る直前まで使用することはやめてください。

 もうひとつ、気をつけて欲しいのはお酒です。眠れないからアルコールに頼ろうというのは絶対にやめてください。直後はぼんやりしてうまく眠れたような気になりますが、これは本当の睡眠ではありません。4〜5時間後に覚醒して、以降目がさえて全く眠れず、体の疲れも全くとれず、2日酔いと相俟って気分も体調も最悪という悪循環にはまります。さらに、お酒に頼る生活を続けていれば、恐ろしい「アルコール依存症」が待っています。とにかく、眠れないときこそお酒はやめてください。

 

このような「睡眠不足」や「不眠症」ばかりでなく、大学生を含めた思春期・青年期の問題として多いのは、夜間に眠れず昼間に眠ってしまうという「昼夜逆転」や、夜間に十分眠っているのに昼間も眠気が強く眠ってしまうという「過眠症」があります。いずれにしても、発達の過程にある若者の睡眠はまだまだ不安定なもので、生活のちょっとした変化で睡眠のバランスが崩れがちです。これらは、ちょっとしたアドバイスで改善することもあるし、前述のように中には「うつ病」などの精神医学的な問題が潜んでいることもあります。困ったときには是非相談に来てください。

 

睡眠は心と身体の活力源です。貴重な大学生活をより豊かなものにするために、心地よい睡眠を心掛けてみて下さい。

 

( 浅香真知子 )









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