アルコールとうまくつきあおう!

 

 大学のキャンパスも様々な花が咲いているのを見かけるようになりました。春は送別会、歓迎会、お花見などなどと1年のなかでもアルコールと接する機会が多い時期のひとつです。特に新しい環境になりまだ互いによく知らない者同士の集まりでも、アルコールが入ることで互いの緊張がほぐれ場が和やかとなり話が弾むのは本当に楽しいものです。しかし、アルコールはそうした人間関係を潤滑にする役割を担っている反面、使い方によっては人生を土台から壊してしまう薬物という恐ろしい側面もあります。

 

 飲酒後にアルコールは体内でアセトアルデヒドとなり、さらに分解され最終的に体の外に排出されます。アセトアルデヒドは動悸、頭痛、吐き気など不快な症状を引き起こす身体的には有害な物質です。このアセトアルデヒドを分解するために必要な酵素のALDHにはALDH1ALDH22種類があることがわかっています。アセトアルデヒドが低濃度でもどんどん分解していくALDH2にくらべて、ALDH1の方はアセトアルデヒドが高濃度にならないと働かないという違いがあります。

 

 実は日本人の中には体質的に低濃度でも働くALDH2の働きが弱い人が約半数いるとされ、さらにその中でも全く働かないタイプの人が約1割いると言われています。つまり身体に有害なアセトアルデヒドも高濃度になってはじめてALDH1が働き分解をし始めるため、動悸、頭痛、吐き気を起こしやすくなります。したがってALDH2が体質的に働かない人は訓練しても飲めるようにはなりません。ときおりお酒の席で「飲んでいるうちに強くなるもの、俺も昔は飲めなかった」などと豪語して無理に飲酒を勧める先輩がいますが、勧める人が飲めるようになったのはたまたまALDH2の働きが良い体質であったからであって訓練をした結果ではありません。むしろALDH2の働きが弱い人が無理に飲めば、急性アルコール中毒になりかねません。本人も断固として断るべきですし、周囲も無理強いして飲ませるようなことは絶対してはいけません。

 

 ではALDH2がよく働く体質の人であればアルコールの問題はないのでしょうか。実は飲める体質の人は飲める分だけ逆に飲み過ぎてしまう、あるいは飲まされすぎてしまうという危険性があります。日本では「お酒が強い」ということが肯定的にとらえられる傾向にあり、ついつい飲み過ぎ、飲まされ過ぎになってしまうことが多いと考えられます。

 また、アルコールは世間で考えられている以上に耐性がつきやすく依存を形成しやすい薬物の一つです。つまり、お酒が飲めるがゆえに頻繁に飲んでいると始めはビール350ml缶程度で十分に満足できたはずが日を重ねるごとに酔えなくなり、次第にアルコール量が増えてくることになります。しかも、徐々にビールなどの度数の低い種類から、日本酒、ワイン、焼酎、ウィスキーなど度数の高い種類になっていきます。実際にアルコール依存症に発展する人の約9割はALDH2が働くタイプの人とも言われています。

 ちなみに比較的リスクの低い飲酒量はせいぜいアルコール量で1日約20g程度といわれています。つまり(アルコール度数×量)で計算されますので、15%の日本酒で約1合(180ml)、4%のビールで500ml程度の計算になります。さて皆さんの飲酒量はいかがでしょうか?

 

 欧米にくらべると日本は飲酒での失敗に対して比較的寛容な文化だと言われています。それだけに深刻な事態になっているにも関わらず見過ごされてきたことが多かったとおもわれます。未成年者の飲酒は禁止ですので、ほとんどの人は大学在学中に初めての飲酒体験となると思います。そもそも自分は果たして飲める体質なのかどうかを見極める必要があるでしょう。また普段から飲んでいる人も自分とアルコールとどのような距離でつきあうのかについて今一度考える機会にしてみてください。また、もしも今現在、アルコールの問題で悩んでいる方がいらっしゃったら自分の力だけで解決すること困難であることが多いので必ず医療機関に相談してください。

 

 うまくつきあって楽しいお酒の場にしたいものですね。

 

 

【飲み会主催者、幹事の心得】

1)            参加を強要することはやめましょう

2)            ノンアルコール飲料を必ず用意しましょう

3)            飲酒の強要やイッキ飲みは絶対行わないようにしましょう

4)            未成年者には勧めない、飲ませないようにしましょう

5)            「吐く人」の出ない飲み会にしましょう

6)            飲酒運転者がでないよう監視しましましょう

7)            酔いつぶれた人を絶対に一人にしてはいけません

 

道明 智徳

 

 

 





 

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