“便秘”について

 

「快食・快眠・快便」と言われるように、便通は健康のバロメーターです。

ちょっとした工夫で便秘を解消しましょう。

≪便秘の定義≫

便秘とは一般的に「排便が順調に行われない状態」と言われています。

1 排便の回数の少ないもの

2 便の量自体の減少

3 水分の少ない硬い便

4 排便困難(うまく出せない)

5 残便感や腹部の張った感じ

これらの状態の組み合わせを「便秘」と呼び「自然な排便のメカニズムが乱れ、便が長時間腸内にとどまり、不快に感じる状態」と位置づけられます。「自然な排便のメカニズム」には個人差があります。毎日、排便がないことで便秘だと思い込んでいる人も多いのですが、2〜3日に1度の排便であっても、規則的にスムーズに行われすっきりとした満足感があれば、それは便秘とは言えません。逆に毎日排便があっても1〜5のような症状があれば便秘といえるでしょう。

≪女性と便秘≫  女性の2人に1人は便秘

体の構造による原因

便秘は年齢を問わず、女性に多いトラブルです。女性は男性に比べて出産するため骨盤が広いという身体的特徴があります。骨盤が広いと骨盤内に大腸が落ち込みやすくなり、落ち込んだ腸は曲がりが強く腸内の便の通過がしづらくなるのです。また女性は男性よりも腹筋や横隔膜の筋力が弱いために便を排出する力が全体的に弱いことも、女性に便秘が多い原因のひとつといわれています。

ホルモンによる作用

月経の前や妊娠初期に便秘になりやすい傾向があります。これは黄体ホルモンが原因。排卵に備えて黄体ホルモンが体に水分や塩分を溜め込むように指示を出すのと、大腸の壁から便の水分が吸収されるため、便が硬くなって出にくくなるのです。また妊娠時には子宮などを緊張させて、腸の動きを悪くさせる作用もあります。

≪食べてから出るまで≫   口から肛門までは約9メートル、時間にして約30時間〜120時間

食道(通過時間:固形物 約30〜60秒 液体 約1〜6秒)

(かき混ぜられ、胃液で一部消化される。粥上になって送り出されるまでの時間は約4時間

十二指腸(胆汁や胃液によって、吸収されやすい形に分解される)

小腸(長さ:5〜6m。本格的に消化され、ほとんどの栄養分が吸収される。約7〜9時間)

大腸(通過時間約25〜30時間・長さ:2m。水分が少しずつ吸収され、細菌による発酵が行われる。大腸の運動によって運ばれ、古くなった腸の粘液や腸内細菌の残骸などと混じり合って固まり便になっていく)

直腸(ある程度の量になると排出される)

★排便のメカニズムには自律神経が深く関与しています。

食べ物が胃に到達すると

胃が膨らみ胃から大腸に信号が送られる

大腸が反射的に収縮し、便を直腸に送り出そうとする。胃が空だと、より強い刺激となって信号が送られるため特に朝食後に強く起こる。(胃・大腸反射)

便が直腸に到達すると

直腸の壁が刺激され、便が到達したという信号が大脳に送られて便意が起こる。

結腸に信号が送られ、結腸は活発な運動を開始して、直腸へさらに便を送り込もうとする。(直腸・結腸反射)

大脳は下腹部にいきむように命令を出す。

直腸が収縮して肛門括約筋がゆるみ便が排出される。さらに、お腹に力を入れていきむことで腹圧が高まり、便の排出がスムーズになる。

≪便秘によって引き起こされる症状≫

おなかの症状

・腹部膨満

いわゆる「おなかが張る」という状態です。便秘の場合腸内で悪玉菌が繁殖して腐敗を起こし、ガスが発生しやすくなります。また器質的な病気(腸が閉塞したり狭くなったりするために便やガスの通過が悪くおなかが張る場合)もあり注意が必要です。

・腹痛

腸にたまった便やガスは便秘によって出口が塞がれ腹痛の原因になります。つまった腸の口側の腸は便やガスを肛門側に送ろうと一生懸命動いて出そうとします。その際に痛みが生じるのです。腸のたるみの多い部分に起きやすくS状結腸(左下腹部)に痛みが起こる場合が多いです。

・食欲不振

腸内に便が貯留し、腸全体の動きが悪くなると食欲が低下します。

・吐き気

腸内に便が貯留し腸全体の動きが悪くなると、消化液は消化管に貯留しやすくなり吐き気の原因となります。

肌の症状

腸内に便が溜まると老廃物が次第に醗酵してきます。さらにそこから毒素が発生しそれが肌に影響を与え、吹き出物・シミ・ニキビとなります。

また、新陳代謝の低下にもつながるため、血行が悪くなり肌にハリとツヤがなくなります。

精神症状

イライラや不眠の原因

頭痛・肩こり・めまい

腸内に発生した毒素は、自律神経の乱れを及ぼし頭痛・肩こり・めまいが起きやすくなります。

腰痛

便秘のため腹部が便によって圧迫されるようになると、血行不良となり腰痛の原因となります。

動脈硬化

便秘をしていると、胆汁として分泌されたコレステロールを大腸が吸収してしまい、体内のコレステロールが多くなってしまいます。結果的に血液中に溶けたコレステロールが血管内に蓄積されて動脈硬化の原因になります。

乳がん

便秘の人の方が乳房に癌が転じやすい異常細胞を有する確立が高いという調査結果が出ています。

 

肛門病変

・内痔核(いぼ痔)

内痔核は肛門の奥(直腸との境)に生じた静脈のかたまりを言います。りきみや便秘によりうっ血し膨らみ出血しやすくなります。内痔核の付け根の粘膜が緩み、たるんでくると肛門の外に飛び出してきます。これを脱肛といいます。うっ血は軟膏により炎症を抑えると軽快しますが、粘膜のたるみは薬では改善しないため脱肛がある場合は手術による治療が必要になります。内外痔核は内痔核に肛門周囲の静脈のかたまりが加わったものを言います。

・裂肛

裂肛とは肛門粘膜に生じた裂けをいいます。りきみや便秘は太くて硬くなった便が無理に肛門を通過するために肛門の出口付近が切れる病気です。裂肛がひどくなるとその周囲が引きつれて修復され、繰り返し起きることにより肛門粘膜が繊維化し狭くなってしまいます。浅い裂肛は軟膏で炎症を抑えると軽快しますが、すぐに症状がぶり返したり、肛門がすでに狭くなってきている人は手術を考慮しなければなりません。

≪慢性便秘の種類≫

・習慣性便秘

現代人にいちばん多い、生活習慣が原因で起こる便秘です。朝はぎりぎりまで寝て朝食抜き、トイレに行く時間もなく家を飛び出すような生活をしている人に多く、便意が起こっても時間がないからと我慢し続けた結果、便意をもよおさなくなってしまうのです。便意は15分くらい我慢していると消えてしまうのが特徴。たびたび我慢しているうちに、感じ方も鈍くなってきます。そして便が長いこと直腸にたまっていると、水分がどんどん吸収されて硬くなり、いっそう出にくくなって便秘が慢性化してしまいます。この便秘でいちばん問題なのは便意を起こす朝食を抜くことです。

・弛緩性便秘

もともと腹筋が弱い女性に多くみられます。腸がたるんで便意を感じる力も便を送り出す力も弱まってしまうため、排便時に上手にいきむことができなくなってしまった結果、便秘となるものです。

内臓が下垂気味の体質の人は、腸もたるみやすく弛緩性便秘になりやすい傾向があります。また、下剤を使いすぎた場合も薬の刺激で便意をもよおさせるため、腸の機能が低下して弛緩性便秘になることがあります。弛緩性便秘には、食物繊維と水分を積極的にとることと腹筋を鍛えることが必要です。からだの中で消化・吸収されない食物繊維は、水分を吸収して膨張し便の量を増して便通を促進します。

痙攣(けいれん)性便秘

コロコロした硬くて丸い便が出るのが特徴です。ストレスや疲労が原因で大腸が過敏に反応して、便が通りにくくなって便秘となります。便が腸に居すわっているうちに水分が吸収され、コロコロした硬い便になってしまうというわけです。過敏性腸症候群の場合、便秘と下痢を交互に繰り返すこともよくあります。便秘薬を使うとますます腸の緊張を高めるので避けましょう。痙攣性便秘には、水に溶けない繊維は刺激が強いので繊維をとるなら、こんにゃくなど水溶性の繊維が適しています。また、消化の良い白米・食パン・うどん・脂肪の少ない肉類・白身魚・豆類などもおすすめです。味付けは全体にうす味に。野菜は繊維の少ないものを選び、パイナップルやいちじくなど繊維の多い果物は避けるようにしましょう。

≪便秘解消法≫

便秘解消の基本は@生活A食事B薬です。Bの薬は最後の手段と考えて、まずは生活習慣を見直すことから始めましょう。

 

・生活習慣を整える

排便の習慣づけ

きちんと朝食をとり、15〜30分後に必ずトイレに行く習慣をつけましょう。朝食をとることによって胃・大腸反射が起こり、便意が起こります。便意がなくても5分くらいトイレで待機しましょう。根気良く続ければ規則的な排便のリズムができ便意が起こるようになります。

便意を逃さない

我慢していると、直腸・結腸反射が消えて便意がなくなってしまします。これを何度も繰り返すと神経の働きが鈍くなって便意を感じにくくなり、腸の運動も弱くなって便秘が常習化してしまいます。

起床してすぐに水を飲む

起き抜けにコップ1杯の水を飲むと、腸が活発に活動しはじめます。

・食生活を整える

きちんと3食

規則正しく食事をとることで排泄もスムーズに行われます。

水分

便は腸内で水分を奪われるため、便秘には水分を少しでも多くとることが大切です。水分が不足すると便が硬くなり排便が苦痛になります。

食物繊維

食物繊維は消化されずに大腸に送られ便の材料になります。吸水能力があるため膨張して便の量を増やし、大腸を刺激して腸の動きを高め排便をスムーズにします。

果物

果物に含まれる果糖には大腸を刺激する作用と、水分を引き込む作用があります。またクエン酸やリンゴ酸などの有機酸にも腸を刺激する作用があります。

脂肪

脂肪には腸内のすべりを良くする潤滑剤的な作用と、温和な腸刺激剤の作用があります。

ビフィズス菌

腸内に便がたまると悪玉菌が増えて腸内環境が悪くなり、便秘が悪化してしまいます。善玉菌の多い快適な腸内環境をつくることが大切です。ビフィズス菌は善玉菌の代表でヨーグルトなどに多く含まれます。

オリゴ糖

オリゴ糖は便秘に効果のある機能性食品の代表的なもので、ビフィズス菌の餌になります。分解されると乳酸などの有機酸を発生させ、腸の動きが高まるうえにアルカリ性を好む悪玉菌の繁殖をおさえられます。

・適度な運動

運動することで血液循環が良くなって大腸の動きが活発になります。便を押し出すために必要な腹筋の強化も期待できます。また痙攣性便秘に対して精神的負荷を除くという意味でも役立ちます。適度な運動を毎日行うことが大切です。

・マッサージ・指圧

お腹をマッサージすると直接大腸への刺激となって、大腸の動きが活発になります。お腹をマッサージするときは、おへそを中心にして、時計回りで行いましょう。腰のマッサージやツボ押しも効果的です。

・ストレス対策

精神的ストレスが積み重なると自律神経の動きが乱れ、腸の働きも乱されて便秘を起こしやすくなります。上手に発散しましょう。また、便秘を気にしすぎることもストレスになるので気長に構えましょう。ストレスが引き金になって便秘と下痢を繰り返す「過敏性腸症候群」では精神的なアプローチの治療も必要になってきます。

・便秘薬

薬はどうしても便が出ない時の緊急措置です。それを忘れずに上手に利用してください。特に症候性便秘と痙攣性便秘の場合、安易な使用は危険です。症候性便秘は何らかの病気が原因で起こっているので、むやみに便秘薬を飲んでいると病気の発見を遅らせてしまうこともあります。痙攣性便秘の場合、便秘薬を用いると激しい下痢や腹痛を引き起こします。一般に市販されている便秘薬は大きく4つのタイプに分類されます。

大腸刺激性下剤

大腸に刺激を与えて、大腸の動きを活発にさせるとともに腸壁からの水分を促して、便を軟らかくします。

浸潤性下剤

水分を吸着させる界面活性作用によって、硬い便に水分を浸透させて軟らかくします。作用は穏やかです。

膨張性下剤

水分を吸収させて便を軟らかくし、腸の内容物を膨張させます。便の量を増やすので、腸が刺激を受けて動きが活発になります。

塩類下剤

水分を分泌させて便を軟らかくするとともに、腸の動きを促します。

★便秘薬を使うときは、“作用の弱い薬を最少量から”が原則です。持病がある人、そのために薬を飲んでいる人、また便秘に伴って激しい腹痛や吐き気がある時などは自己判断で薬を飲まずに医師に相談してください。

・浣腸

便秘が続いて肛門近くの便が硬くなり、薬を飲んでも出なくなってしまった場合には、非常手段として浣腸も有効です。主成分であるグリセリンが直接粘膜に物理的・化学的に刺激を与え排便を促します。

   

便秘度チェック     あてはまる項目をチェックしましょう!

 

お腹が張る

トイレを我慢することが多い

排便が3日ないことがよくある

口臭がきになる

肌荒れ、ニキビ、おできがよくできる(治りにくい)

旅行をすると便が出ない

朝食をとらないことが多い(食事を3度とらない)

長時間座りっぱなしの仕事である

菓子類の摂取が多い

水分をあまり摂らない

野菜が嫌い(野菜の摂取が少ない)

ストレスが多い

下痢が続くことがある

0〜1個  「便秘度数10%以下」快食快便により楽しい毎日を送れそうです。

2〜5個  「便秘度数30%」便秘になってしまう恐れがあります。食生活に注意しましょう。

6〜9個  「便秘度数60%」すでに便秘の兆候が出ていませんか?悪循環に陥る前にしっかり治療をして、リズムのある排便コントロールが必要です。便秘の原因が病気による場合もあるので専門医による検査をおすすめします。

10個以上 「便秘度数90%以上」便秘もしくは隠れ便秘状態です。治療によりリズムのある排便コントロールが必要です。


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