東京学芸大学附属図書館蔵書構築指針
                                                    制定 平成17年11月28日
                          改正 平成18年 2月16日
                          改正 平成18年 6月28日
                          改正 平成20年5月26日

  (趣旨)
第1条  この指針は,東京学芸大学図書管理事務取扱実施細則(平成16年3月31日
 附属図書館長裁定。以下「実施細則」という。)第8条に基づき, 東京学芸大学
 附属図書館(以下「図書館」という。)の図書館資料(以下「資料」という。)
 の収集について必要な事項を示すとともに,保存・除却等の基準を定め,もって
 図書館における蔵書構築の指針とするものである。
 (基本方針)
第2条 図書館は,国立大学法人東京学芸大学(以下「本学」という。)における
 教育・研究等の支援に資することを目的として,次に定める基本方針に基づいて
 資料の収集・保存を行い,本学の構成員にとって有益かつ適切な蔵書構築に努め
 るものとする。
 (1) 本学の理念及び目的に基づき,教育・研究活動に必要な資料を広く体系的に
  収集するとともに,本学として特色のあるコレクションの形成に努める。
 (2) 電子ジャーナルに代表される電子情報とインターネットの普及に対応し,多
  様化し増大する各種情報に対応した資料の収集と整備に努める。
 (3) 学生及び教職員が,学習・教育・研究の遂行に支障を来すことなく,必要な
  資料を十全に活用できるシステムを整備するとともに,知的資産としての資料
  の性格に鑑み,収集された資料の共同利用と世代を超えた継承に努め,教育・
  研究活動の進展に奉仕する。
 (4) 限られた蔵書と学内スペースの有効活用に資するべく,資料の集中管理を進
  めるとともに,一定の基準に基づいて資料の譲渡又は除却を行うものとする。
 (対象)
第3条 この指針は,図書館が組織として管理する教育・研究の用に供される資料
 に適用する。
 (収集範囲)
第4条 第2条に定める基本方針に基づき,特に,次の各号に掲げるものは,可能
 な限り整備するものとする。
 (1) 本学の教育内容,カリキュラム又は教育実践研究等に関連する学習用の資料
 (2) 広く学生の人間形成に役立つ教養的な資料
 (3) 専門的又は学際的な研究に必要な資料
 (4) 本学の中期計画等に示された教育・研究上の重点事項に関連する資料
 (5) その他本学の学生・教職員に必要な資料
 (資料の区分及び定義)
第5条 収集する資料の区分(以下「資料区分」という。)及び定義は,次のとお
 りとする。
 (1) 学生用図書
  ア 一般図書
    本学の学生の学習若しくは研究のため又は教養の向上を図るために必要な
   資料(授業関連図書及び学生用視聴覚資料を除く。)をいう。
  イ 授業関連図書
    授業科目担当教員が講義等に関連して指定した教科書や参考文献等をいう。
  ウ 留学生用図書
    留学生の学習・研究や生活に役立つ資料(日本語学習や日本の文化・社会
   事情に関する資料,教育関係の各国語資料等)をいう。
 (2) 研究用図書
   研究室等又は教員が図書館を通して購入した資料及び研究室等又は教員を通
  して図書館に寄贈された資料をいう。
 (3) 基本的教育研究資料
   本学の教育・研究上基本的に必要な資料(特別研究資料を除く。)のうち,
  概ね1セット10万円以上の高額なものをいう。
 (4) 特別研究資料
   我が国の教育制度その他の教育関係の研究活動に必要な資料のうち,往来物
  及び明治期の教科書等現行教科書制度前の教科書並びにこれらに関する研究書
  及び史料等で,特に価値の高いものをいう。
 (5) 現行教科書
   我が国の初等中等教育において使用されている教科書並びにこれに付随する
  指導書及び解説書等をいう。
 (6) 参考図書
   学習又は研究のために必要な辞典,便覧,図鑑,地図,書誌,索引,年鑑,
  白書及び統計書等をいう。ただし,ネットワーク型データベースのうち,小規
  模・少額のものはこの区分に含める。
 (7) 逐次刊行物
   学習若しくは研究のため又は教養の向上を図るために必要な雑誌及び新聞等
  (大学紀要を除く。)をいう。ただし,電子ジャーナルのうち,タイトル毎に
  契約を行うものはこの区分に含める。
 (8) 電子ジャーナル及びオンラインデータベース
   パッケージ型の電子ジャーナル及び比較的大規模・高額なネットワーク型デ
  ータベース等をいう。
 (9) 大学紀要
   逐次刊行物のうち,大学等の発行する学術雑誌で,無償頒布されているもの
  をいう。
 (10)学生用視聴覚資料
   本学の学生の学習若しくは研究のため又は教養の向上を図るために必要なオ
  ーディオCD,DVD,CD-ROM及びビデオテープその他の非印刷資料をいう。
 (11)教育実践資料
   学校,教育各種機関及び教育委員会等の発行する教育実践に関する資料をい
  う。
 (12)本学関連資料
   本学の歴史・沿革に関する資料,本学刊行物並びに本学の教職員,卒業生及
  び出版会・同窓会等の関連団体による刊行物その他の本学に関連する資料をい
  う。
 (13)その他
   前各号に掲げるもの以外で,本学の学生・教職員に必要な資料をいう。
 (選定方法)
第6条 資料の選定は,資料区分毎に,次の方法により行う。なお,図書館推薦図
 書等の選定基準に関しその他必要な事項は,図書館推薦図書等選択基準(昭和55
 年4月1日館長決裁,平成17年11月28日一部改正。以下「選択基準」という。)
 に定めるものとする。
 (1) 学生用図書
  ア 一般図書
   (ア) 教員推薦図書
     教員に対して,学生用図書として必要なものの推薦を依頼する。推薦さ
    れた図書については,重複図書等を除き,可能な限り購入する。
   (イ) 図書館推薦図書
     出版情報等に基づき,図書館職員が選定し,購入する。それらのうち,
    需要が高く,学習・研究上有用な文庫,新書及びシリーズ等については,
    継続購入する。
   (ウ) 学生希望図書学生の希望に基づき,学生の学習・研究に必要な図書を購
    入する。
  イ 授業関連図書
     シラバス並びに読書案内等に指示された教科書及び参考文献等を可能な限
   り購入する。
  ウ 留学生用図書
    留学生センターの教員及び図書館職員が選定し,購入する。
 (2) 研究用図書
   研究室等又は教員が選定する。
 (3) 基本的教育研究資料
   教員・学生のニーズ及び図書館の事業計画等に基づき,分担収集にも配慮し
  た上で,本学において広く又は長期的に利用されることが見込まれる基本的な
  学術研究資料を選定し,購入する。
 (4) 特別研究資料
   図書館の事業計画等に基づき,計画的に選定し,収集するものとする。
 (5) 現行教科書
   初等中等教育において使用されている教科書並びにこれに付随する指導書及
  び解説書等を計画的に収集するものとする。
 (6) 参考図書
   参考図書として必要なものについて,教員及び図書館職員の推薦に基づき選
  定し,購入する。選定された参考図書のうち,需要が高く,学習・研究上有用
  な年鑑,白書,年報及び統計書等は継続購入する。
 (7) 逐次刊行物
  ア 逐次刊行物の新規購入に当たっては,本学において比較的共通に使用でき
   る雑誌で次のいずれかの要件に該当するものを優先的に選定する。なお,逐
   次刊行物の新規購入を決定した場合には,以後継続購入を原則とする。
   (ア) シラバスに掲載されているもの
   (イ) 複数の教員の推薦又は多数の学生の要望があったもの
   (ウ) 他館への文献複写依頼の件数が多いこと等の理由により,頻繁に利用さ
    れることが予想されるもの
  イ 次に該当する場合は,当該逐次刊行物の購読を中止することができる。
   (ア) 電子媒体(電子ジャーナル等)によって閲覧可能であるもの
   (イ) 情勢の変化により,需要の低くなったもの
   (ウ) その他,予算状況に照らして中止が適当と判断されるもの
  ウ 逐次刊行物の購入に当たっては,次の手続きをとるものとする。
   (ア) 外国逐次刊行物については,毎年9月までに次年度分の購入計画(案)
    を作成し,学術情報委員会(以下「委員会」という。)に諮る。ただし,
    予約出版に係るものその他至急に購入手続きを必要とするものについては,
    附属図書館長(以下「館長」という。)の判断で購入し,事後に委員会に
    報告するものとする。
   (イ) 国内逐次刊行物については,図書館職員が選定し,委員会に報告するも
        のとする。
 (8) 電子ジャーナル及びオンラインデータベース
   学内関係部局の協力により予算の確保を図りつつ,概ね次の基準により導入
  又は継続の可否を判断し,計画的に整備する。
  ア 支出金額に比して利用頻度が高く,費用対効果が高いと判断されるもの
  イ 本学における教育・研究を中長期的に推進していくに当たって,備えてお
   くべき基本的なコンテンツであると判断されるもの
  ウ 複数の分野にわたる多数の教員から導入の希望が寄せられたもの
  エ 学生の教育に特に必要とされるもの
  オ 国立大学法人等によるコンソーシアムが成立しており,有利な条件で契約
   が可能であるもの
   なお,導入又は継続の可否の判断は,個々のデータベースに対して暦年又は
  年度毎に行うものとし,決定に当たっては年間の導入計画を作成した上で委員
  会に諮るものとする。
 (9) 大学紀要
   本学において必要性の高いものを寄贈により受入れる。受入れに当たっては,
  概ね次の基準によるものとする。
  ア 次のものは原則として受入れる。
   (ア) 教育関係(教育学部及びそれに準じる学部の発行したもの並びに幼児・
    初等・中等・障害児教育を主題としたもの等)の紀要
   (イ) 文系学部を持つ国立大学法人及び大学院博士課程を持つ公私立大学の発
    行した人文・社会科学系の特に主要な紀要
  イ 前ア以外のものは,学生・教職員の需要の特に高いものを除き,受入れな
   い。
 (10)学生用視聴覚資料
   学生用視聴覚資料として必要なものについて,教員及び図書館職員の推薦に
  基づき選定し,購入する。
 (11)教育実践資料
   広く寄贈を募り,収集・整備する。
 (12)本学関連資料
   広く寄贈を募ると共に,受贈が困難なものについては購入により網羅的な収
  集に努める。
 (13)その他
   別に定めた附属図書館の事業計画等に基づき整備する。
 (受贈)
第7条 資料の寄贈を受けた場合には,次の基準により受入れる。
 (1) 選択基準に基づき選定の上,本学の教育・研究に必要な資料を可能な限り受
  入れるものとする。ただし,大学紀要,教育実践資料及び本学関連資料につい
  ては,第6条に定める基準によるものとする。
 (2) 前号に関わらず,保存のための書架スペース等を別に確保する必要のある場
  合並びに保存及び提供の方法について寄贈者から条件が付されている場合等の
  資料の受入は,別に館長の定めるところに従って行うものとする。
 (譲渡)
第8条 資料の譲渡は次の基準に従って行うことができる。
 (1) 科学研究費補助金により購入され,図書館が寄贈を受けた資料のうち,実施
  中の研究に関わるものであり,研究代表者又は研究分担者が所属機関を変更す
  るに当たって返還を希望する資料は,無償で譲渡する。
 (2) 第10条に定める基準により保存の必要がないと判断された資料及び除却済の
  資料は譲渡することができる。
 (3) 次のいずれかに該当するもので,館長が特に認めた資料は,譲渡することが
  できる。
  ア 他大学や研究機関等に譲渡することによって,本学で保有する以上に教育
   ・研究活動への有効活用が期待できると認められるもの
  イ その他公共性や社会貢献の観点から,譲渡することが望ましいと認められ
   るもの
 (配置)
第9条 購入又は受贈により図書館が受入整理した資料は,次の基準により配置す
 る。
 (1) 原則として図書館に配置し,全学での共同利用に供する。
 (2) 研究用図書は,東京学芸大学附属図書館利用規則(平成18年6月21日規則第
  14号)第12条に定める研究室貸出の手続きを経ることにより,研究室備付資料
  とすることができる。
 (3) 資料の共同利用を促進するため,研究室備付資料の図書館への返却・配置換
  を計画的に進めるものとする。
 (保存・除却)
第10条 新規資料の収納場所を確保し,利用者にとって魅力的な蔵書を維持する
 ため,資料の保存期間及び除却の基準は,次に定めるとおりとする。
 (1) 学生用図書,基本的教育研究資料,特別研究資料,現行教科書及び本学関連
  資料については,原則として保存年限を設けない。ただし,学生用図書のうち
  留学生用については,利用価値が消失するまで保存する。
 (2) ネットワーク型データベースを除く参考図書については,利用価値が消失す
  るまで保存する。ただし,電子媒体で閲覧可能なものについては,原則として
  その冊子体を保存しない。
 (3) 大学紀要を除く逐次刊行物については,原則として保存年限を設けない。た
  だし,逐次刊行物のうち短期間に利用価値が消失するものについては,保存年
  限を設ける。また,電子媒体で閲覧が可能なもののうち,アーカイブ機能が確
  立しているものについては,その冊子体に保存年限を設ける。
 (4) 大学紀要については,次に定めるとおりとする。
  ア 教育関係の紀要並びに文系学部を持つ国立大学法人及び大学院博士課程を
   持つ公私立大学の発行した人文・社会科学系の特に主要な紀要は,原則とし
   て保存年限を設けない。
  イ 前ア以外の紀要については,学生・教職員の需要の特に高いものを除き,
   保存しない。
 (5) 学生用視聴覚資料については,利用価値が消失するまで保存する。
 (6) 教育実践資料については,利用価値が消失するまで保存する。
 (7) 前各号の保存部数は,原則として1部とする。
 (8) 次に該当するものは,第1号から第6号にかかわらず,実施細則第15条に基
  づき,除却することができる。
  ア 劣化や汚損・破損により,利用に耐えないもの
  イ 同一の資料を重複して所蔵するもの
  ウ 情報媒体の多様化により,代替となる新しいメディアの資料が利用できる
   もの
  エ 盗難又は紛失してから2年以上経過したもの
  オ 天災又は火災等により滅失したもの
  カ 譲渡するもの
  キ その他本学の学生・教職員による利用の可能性が将来とも低いと判断され
   る等の理由により,館長が除却を適当と認めたもの
 (改正)
第11条 この指針は,本学カリキュラムの変更,教育・研究の動向及び利用者ニ
 ーズの変化等に対応し,定期的に見直すものとする。

   附 則
1 この指針は,平成17年11月28日から施行する。
2 図書館資料選定要項(昭和55年3月4日館長裁定,平成5年4月8日一部改正)
 は廃止する。

   附 則
 この指針は,平成18年2月16日から施行する。

   附 則
 この指針は,平成18年6月28日から施行する。

   附 則(平20.5.26)(抄)
 平成20年4月1日から適用する。