フォーラム2012
教員養成分野別評価制度の探究
教員養成評価プロジェクト推進本部長
東京学芸大学教育等担当理事・副学長
田中喜美
2004年4月、学校教育法が改正され、全ての大学、短大、高専は、文部科学大臣により認証された評価機関が実施する第三者評価を受審すること、則ち、機関別認証評価が義務化された。そして、この機関別認証評価の第1サイクルが経過する中で、中教審は、2008年「学士課程教育の構築に向けて」、2009年「中長期的な大学教育の在り方に関する第2次報告」をまとめ、「大学教育の分野別質保証」や「事前規制型の質保証システムから事前規制と事後確認の併用型への転換」等が課題とされた。こうした背景の1つには、「大学全入時代」あるいは「高等教育のユニバーサル化時代」と称される現象があるとみられる。
一方、「大学における教員養成」と「開放制」を二大原則として営まれてきた戦後日本の教員養成の現状をみると、教員養成教育を提供する機関数の量的大きさと多様性とが特徴になっている。その数は、4年制大学の学部に限っても600近くに上り、その中も、教員養成を主たる目的とした単科大学および総合大学内の教育学部とともに、教員養成を主たる目的とはしていない所謂一般学部とがあり、機関数では一般学部が6/7を占める。
また、「事前規制型の質保証システム」という点からみると、教員養成は、設置基準・設置認可審査に加えて、1953年の教育職員免許法改正により、教職課程認定制度が運用されてきたことが特徴になっている。現行では、教員養成教育を提供しようとする大学・学部等は、教職課程認定の申請を行い、中教審教員養成部会および同課程認定委員会の審査に基づく答申を経て、文部科学大臣が認定することになっている。
本プロジェクトは、こうした状況下、教員養成に関する専門分野別評価制度、より限定すれば、学士課程における教員養成教育の評価基準と評価組織に関する開発研究を、2010~2013年度の4年間で行うことを目的にしており、次の3点を開発の前提にしている。
第1は、学士課程で教員養成教育を提供している約600大学を視野に入れ、その中に含まれる多様な形態の教員養成教育総体の質保証問題を掬い取れる枠組みを備えること。
第2は、各大学の教員養成教育の現状を自律的・主体的に改善しようとする大学人の取り組みを支援し、そうした取り組みを促進させることのできる枠組みを備えること。
第3は、「事前規制と事後確認の併用型への転換」という文脈において、教職課程認定制度との関連を整序できる枠組みを備えること。
教員養成に関する専門分野別評価制度の研究は、目下、あたかもエアポケットの中にあるような状態であり、現実が要請している課題の緊急性と研究現状との懸隔は大きい。
しかし、幸い、本プロジェクトは、この問題に関心が高く造詣の深い全国の大学人に支えられ、組織することができている。研究期間の折り返し点で開催するこのフォーラムが、多くの参加者を得、率直な討論によって稔り豊かな成果を上げられることを願っている。
「教員養成教育の評価等に関する調査研究」フォーラム
教員養成教育の「質保証」システムを考える
日 時 | 平成24年3月25日(日) 13時~ |
会 場 | 学術総合センター 中会議場 |
プログラム
第一部 13:00~15:15
1)学長挨拶 村松泰子(東京学芸大学長)
2)「教員養成教育の評価等に関する調査研究」
プロジェクト概要について
田中喜美 (東京学芸大学理事・副学長)
3)基調講演「教員養成教育の「質保証」と課程認定」
新田正樹 (文部科学省初等中等教育局教職員課教員免許企画室長)
4)プロジェクト中間報告「教員養成教育の評価システムの模索」
― 本プロジェクトの取り組みから ―
佐藤千津(東京学芸大学准教授)
第二部 15:30~17:00
パネルディスカッション「教員養成機関の在り方を探る」
【パネリスト】
・池田輝政 | 名城大学教授 |
・岸田正幸 | 和歌山県教育庁学校教育局長 |
・田子 健 | 日本女子体育大学教授 全私教協教員養成制度検討委員会委員長 |
・新田正樹 | 文部科学省初等中等教育局教職員課教員免許企画室長 |
(五十音順) |
【コーディネータ(司会)】 岩田康之 東京学芸大学准教授
フォーラム2013
教員養成教育『質保証』システムを創る
東京学芸大学・教員養成評価プロジェクト 主査 田中 喜美
(国立大学法人 東京学芸大学理事・副学長〔教育・国際担当〕)
東京学芸大学では、文部科学省特別経費(平成22~25年度)「教員養成教育の評価等に関する研究」を得て、学内・学外の共同研究員を組織して「教員養成評価プロジェクト」を立ち上げ、国内で課程認定を得て教員養成に携わる国公私立の高等教育機関における教員養成教育を横断的に評価するシステムの構築に関する研究を進めております。
本プロジェクトの大きな特色は、次の三点にあります。
①国立の教員養成系大学・学部と、いわゆる一般大学・学部を区分せずに、「開放制」原則下の大学における教員養成全体をネーション・ワイドに見通せるシステムを構築しようとしていること。
②現行の課程認定のような行政手続きの一環として主に外形的指標に基づいてチェックするのではなく、「大学の自治」をベースにして大学人自らが自律的な内部質保証を行う営みをサポートすることを企図していること。
③教員養成教育を担う当事者によるピア・レビューを基本としつつ、教員養成に関連する学会、採用・人事等に関わる教育委員会、実際の学校経営に関わる学校管理職等、いわゆるステークホルダーの視点や知見を関わらせる形での組織づくりを目指していること。
今年度は、本プロジェクト4年間の研究期間の第3年度にあたり、シンプルで汎用性の高いアクレディテーション基準と、将来的にそのアクレディテーションを担いうる組織イメージの具体化を図って参りました。その過程で大学関係者や教育委員会関係者等、多くの方々に調査協力をいただき、深く感謝しております。
このたび、その第3年度までの成果を報告するとともに、広く今後の検討課題を探るべく、来る3月20日(水・春分の日)に東京・ガーデンシティ品川にてフォーラム「教員養成教育の『質保証』システムを創る」を企画いたしました。
多様な教育課題が錯綜し、教員養成を行う大学のあり方を政策的に問い直す動きも見られる中、主体的に教員養成を行う機関が自律的に質保証を担うシステム作りへ、さらなるご協力・ご支援を賜りたく存じます。
年度末のお忙しい時期とは存じますが、積極的なご参加をいただければ幸甚に存じます。
「教員養成教育の評価等に関する調査研究」フォーラム
教員養成教育の「質保証」システムを創る
日 時 | 平成25年3月20日(水・祝)13時 ~ 17時 |
会 場 | TKPガーデンシティ品川 グリーンウィンド |
プログラム
第一部 13:00~15:15
1)学長挨拶 村松泰子(東京学芸大学長)
2)基調講演「『学び続ける教員像』と教員養成教育の質保証」
髙口 努(文部科学省初等中等教育局教職員課長)
3)「教員養成教育の評価等に関する調査研究」の概要について
岩田康之(東京学芸大学学長補佐・教員養成評価プロジェクト副主査)
4)教員養成評価プロジェクト検討内容報告
― 「教員養成教育の日本型アクレディテーション・
システムの構築に向けて」 ―
佐藤千津(東京学芸大学准教授) A
C基準(試案)はこちら
渡邊恵子(東京学芸大学准教授)
第二部 15:30~17:00
パネルディスカッション「優れた教員養成機関をどうサポートするか」
【パネリスト】
・牛渡 淳 | 仙台白百合女子大学教授・日本教育経営学会会長 本プロジェクト客員教授 |
・髙口 努 | 文部科学省初等中等教育局教職員課長 |
・田中耕二郎 | 追手門学院大学教授 全国私立大学教職課程研究連絡協議会元事務局長 |
・長南 博昭 | 山形県教育委員会委員長 |
・松田 正久 | 愛知教育大学長・日本教育大学協会理事 |
(五十音順) |
【コーディネータ(司会)】 岩田康之 東京学芸大学准教授
フォーラム2014
教員養成教育の自律的「質保証」システムの始動
東京学芸大学理事・副学長(教育・附属学校担当)
教員養成評価プロジェクト主査 大竹 美登利
2012年8月の中教審答申「教職生活の全体を通じた教育の資質能力の総合的な向上方策について」では、「教職課程の質保証」の重要性が指摘されています。
大学における教員養成教育の質保証については、「開放制」原則の下、教員養成教育を提供する機関数の量的大きさと多様性という現実を前に、ネーションワイドな質保証システムを整備することが焦眉の課題と考えます。
このような状況下、本プロジェクトでは、教員養成機関の内部質保証を重視する動きを踏まえ、国内で教員養成教育を行っている全ての機関(学士課程段階で約600大学、1 ,500学部)を視野に入れ、各機関それぞれの主体性に基づく内部質保証を軸とした評価システムの調査研究を2010~2013年度の4年間で行ってきました。具体的には日本の多様な大学で行われている教員養成教育を、それぞれの多様性を損なうことなく自律性・主体性を生かして評価するための基準と組織の構築に関する調査研究を進めてきました。今年度は3大学の試行評価を、これまでの調査研究から策定された評価基準等によって実施しました。
この4年間の調査研究の成果を基に新たに次のステップとして、来年度からはこのシステムに賛同していただける大学と連携・協力して相互評価システムを試行的に運用し、教員養成教育の日本型アクレディテーションシステムの自立的な始動に向けた研究を展開していきます。
この評価システムに多くの教員養成機関が参加していただくことにより、国・公・私立の別なく恒常的な学び合いを通じた教職課程の質保証が図られ、ひいては日本の教員養成教育全
つながることを願っています。
「教員養成教育の評価等に関する調査研究」フォーラム
教員養成教育の自律的「質保証」システムの始動
日 時 | 平成26年3月9日(日) 13時 ~ 17時 |
会 場 | TKPガーデンシティ品川「グリーンウィンド」 東京都港区高輪3-13-3 SHINAGAWA GOOS 1F |
プログラム
第一部 13:00~14:15
①学長挨拶 村松泰子(東京学芸大学長)
② 基調講演「教員養成教育機関の関係者による自律的質保証への期待」
德永 保(筑波大学学長特別補佐・教授、国立教育政策研究所総括客員研究員)
③ 「教員養成教育の評価等に関する調査研究」の概要について
大竹 美登利(東京学芸大学理事・副学長、教員養成評価プロジェクト主査)
教員養成評価プロジェクト検討内容報告
○基準・試行評価関係
佐藤 千津(東京学芸大学准教授)
○マニュアル・組織関係
渡邊 恵子(国立教育政策研究所教育政策・評価研究部部長、
東京学芸大学客員准教授)
○次年度以降活動関係
岩田 康之(東京学芸大学学長補佐・教授、
教員養成評価プロジェクト副主査)
休 憩 【14:45-15:00】
第二部 15:30~17:00
パネルディスカッション「教員養成教育のピア・レビュ―と質的向上」
【パネリスト】
岩田 康之 | (東京学芸大学学長補佐・教授、教員養成評価プロジェクト副主査) |
小林 稔幸 | (京都教育大学教職キャリア高度化センター教授) |
平本 正則 | (横浜市教育委員会教職員人事部教職員育成課長) |
森山 賢一 | (玉川大学教師教育リサーチセンター長、教育学部教授) |
(五十音順) |
【コーディネータ(司会)】 玉井 康之(北海道教育大学教育学部教授)
公開研究会
東京学芸大学「教員養成教育の評価等に関する調査研究」公開研究会
教員養成機関の自律的な質保証を求めて
-アクレディテーションの試み-
日 時 | 平成25年11月17日(日)13時30分 ~ 17時 |
会 場 | オフィス東京 T3会議室 |
プログラム
13:30 ~ 13:45
挨拶
大竹美登利(東京学芸大学 理事・副学長(教育・附属学校担当)教員養成評価プロジェクト主査)
① 東京学芸大学教員養成評価プロジェクトの取り組み(報告)
佐藤千津(東京学芸大学准教授)
13:45 ~ 15:15
② アクレディテーションの試行(報告)
【報告者】
1)【東京学芸大学】 | 川手圭一(東京学芸大学教育学部教授) 小林 稔(京都教育大学附属教育支援センター准教授) |
2)【岡 山 大 学】 | 高旗浩志(岡山大学教師教育開発センター准教授) |
3)【玉 川 大 学】 | 森山賢一(玉川大学教育学部教授・教師教育リサーチセンター長) |
③ ディスカッション
【コーディネータ(司会)】
岩田康之(東京学芸大学学長補佐・教員養成評価プロジェクト副主査)