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VIRN

視覚障害リソース・ネットワーク

Vision Impairments' Resource Network

First produced by VIRN crew 1996.8.31
Last update, 1997.3.21

障害者雇用支援センター

小田浩一(東京女子大学)

障害者の雇用をサポートするためのセンターが日本各地にオープンしつつあり ます。このページでは、そのセンターを設置するにあたっての労働省発行の文 書、ならびに文書発行当時に予定されていた センターの一覧 を掲載しています。

始動した障害者雇用支援センターの実態については、すでに WWW で情報公開 が始まっています。 (財)滋賀県障害者雇用支援センター「明日にかける橋・しが」 のページ をご覧ください。 滋賀県障害者雇用支援センターの Webmaster からは、以下のようなメッセー ジが来ています。

(財)滋賀県障害者雇用支援センター「明日にかける橋・しが」は、障害者の 雇用支援を行い、障害者の雇用拡大とノーマライゼーションの実現に向けての 取り組みを進めています。 障害者の社会理解がますます促進され、ノーマライゼーションが実現してい くためには、地域、分野を越えた幅広い連携が求められています。 ついては、インターネットをとおして、少しでも多くの方たちと情報を交換 しあい、連携した取り組みを推進していきたいと考えています。 (片岡 卓示@「明日にかける橋・しが」)


障害者雇用支援センターについて

吉泉 豊晴(労働省)提供

1 法改正の経緯

障害者の雇用状況をみると、国連・障害者の10年を終え、ノーマライゼーションの理念が社会に浸透しつつあり、障害者の自立意識の高まりと相まって、雇用される障害者数は全体として増加しているものの、なお、障害者の実雇用率は法定雇用率を相当下回っている状況にある。さらに、重度身体障害者、精神薄弱者及び精神障害回復者等を中心として、就職を希望しながら雇用に就くことができない障害者が多数存在しており、これら障害者に対する対策の充実強化が求められている。

このため、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)を改正し、職業生活における自立を図るために継続的な支援を必要とする障害者(以下「支援対象障害者」という。)に対し市町村レベルできめ細かな職業リハビリテーションを実施する公益法人を障害者雇用支援センターとして指定するなどの規定を新設することをはじめとして、重度障害者対策を中心とした施策の充実を図ることとしたものである。 改正法は、平成6年6月14日に成立し、同月22日に公布され、平成6年10月1日より施行されているところである。

2 障害者雇用支援センターの趣旨

授産施設等の福祉関係施設入所者や養護学校卒業後在宅で福祉的なサービスを受けたり、小規模作業所に通所していたりしてこれまでの雇用対策では対応が困難であった障害者や職場に定着することが困難な障害者等就職が特に困難な障害者の職業的自立を図るため、市町村レベルで福祉部門と雇用部門の連携を図りながら、就職・職場定着に至るまでの相談、援助を一貫して行うような人的支援のシステムを具現化する組織として「障害者雇用支援センター」を設置することとする。

3 都道府県知事の指定

都道府県知事は、支援対象障害者の職業の安定を図ることを目的として設立された公益法人であって、法第9条の13に掲げる業務(具体的には、次の5に掲げる業務。以下「自立支援業務」という。)を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、市町村の区域(場合により、都道府県知事が指定する二以上の市町村の区域)に一を限り、当該業務を行う者として指定することができるものである。

4 支援対象者の範囲

障害者雇用支援センターの支援の対象とする障害者(以下「支援対象者」という。)は、障害者雇用支援センターで行う職業準備訓練その他の職業リハビリテーションサービスを受けることにより、職業生活における自立を図ることができると見込まれる重度身体障害者、精神薄弱者、精神障害回復者等であるが、具体的には、地域障害者職業センターの職業評価に基づき策定された職業リハビリテーション計画により、障害者雇用支援センターで行う職業準備訓練等の措置を受けることが適当であると判断されたものである。

5 障害者雇用支援センターの業務
5.1 職業リハビリテーション関係業務
5.1.1 支援対象者の把握
5.1.1.1 授産施設等との緊密な連携

授産施設等福祉部門を定期的に訪問することによって、授産施設等を利用している障害者の情報を把握し、職業的自立を希望する障害者に対して各種職業リハビリテーションを奨励して、雇用の場に就くことを勧奨する。

5.1.1.2 職場不適応離職者等への対応

職場不適応離職者等であって、障害者雇用支援センターの支援を受けることを希望する障害者の把握に努める。

5.1.2 地域障害者職業センターへの職業評価の依頼

福祉部門を通じ把握した職業的自立を希望する障害者の職業能力を評価し、職業リハビリテーション計画を策定するために、地域障害者職業センターに対して職業評価を依頼する。

(注) 地域障害者職業センターとは、都道府県レベルで、障害者に対する職業評価、職業指導等を専門的に行うことを目的として、日本障害者雇用促進協会が設置・運営する施設である。

5.1.3 基本的な労働習慣の習得及び職業能力維持のための作業実習の実施

原則として1年以内(最大2年まで)、障害者雇用支援センターの施設内の作業室において、専任の指導員により、簡単な部品の組立て等の実際の作業を通して基本的な労働習慣の習得を図り、職業能力の維持・向上を図るとともに、障害者雇用支援センターでの軽作業に従事すること等により基本的な労働習慣を習得しつつある支援対象者について、実際の職場の見学、職場実習を実施することにより、「働く」ことについての理解を促すとともに、基本的な知識の付与を図る。

5.1.4 雇用の場の確保

職業準備訓練修了予定者について、公共職業安定所に求人開拓を依頼するなど、雇用の場の確保に努める。

5.1.5 就職後の通勤援助、職場定着のための指導の実施

就職に至った支援対象者については、その初期段階において通勤に困難を伴うことが多いことから、指導員による通勤援助を行うとともに、定期的に職場を訪問して職場定着のための援助を行う。

5.1.6 住宅の確保等職業生活上の問題に対する相談の実施

支援対象者に対し、日常生活面を含めた職業生活を円滑に送れるように、住宅の確保方法も含め幅広い相談を実施する。

5.2 障害者雇用支援者(ボランティア)関係業務
5.2.1 障害者雇用支援者の把握

市町村の福祉担当課や社会福祉協議会等から、既に福祉関係でボランティアとしての活動を行っている者について適宜情報を収集するとともに、広報活動を積極的に実施するなどにより、勤労者、学生、主婦等であって、障害者の雇用に関し、ボランティア活動を行おうとする者の把握に努める。

5.2.2 障害者雇用支援者の養成

障害者雇用支援者に対して、職業リハビリテーションの概要、障害種類別の特性、支援対象者が職業に就くことに伴い必要となる介助等の方法、ボランティアの心構え等を内容とする講習を実施する。

5.2.3 障害者雇用支援者の登録

5.2.2により研修を終えた者について、本人に登録の意思を確認した上で、その氏名、住所、支援業務を行うことのできる期間又は時間帯等を登録する。

5.2.4 障害者雇用支援者に関する情報の提供

事業主、障害者その他関係者の求めに応じ、5.2.3により登録された障害者雇用支援者にその意思を確認した上で紹介する。

6 業務体制

支援対象者に対する支援の業務を適正かつ確実に行うことができると認められることが必要であるため、職業準備訓練の対象となる支援対象者5名につき少なくとも1名の指導員を配置する必要がある。

業務体制の一例(定員20名のケース)
    指導員(4)(職業リハビリテーション関係業務、障害者雇用支援者(ボランティア)関係業務)
    センター長
    事務員(1)(附帯する一般事務)
    医師(1)(非常勤、支援対象者の健康管理)

7 障害者雇用支援センター助成金
7.1 支給対象
7.1.1 自立支援業務のための施設・設備の設置・整備を行う障害者雇用支援センター
7.1.2 自立支援業務を行う障害者雇用支援センター
7.2 支給額等
7.2.1 7.1.1に該当する障害者雇用支援センター

助成額は、自立支援業務のための施設・設備の設置・整備に要する費用の額に5分の4を乗じて得た額で、その限度額は2億円である。

7.2.2 7.1.2に該当する障害者雇用支援センター

助成額は、自立支援業務の運営に要する費用の額に4分の3を乗じて得た額で、その限度額は、1か月につき、次に掲げる額の合計額である。

a. 定員×13万円(7.1.1の助成金を受給していない場合、2年間に限り定員×15万円)
b. 障害者雇用支援者の登録数×5,000円


障害者雇用支援センターの指定要件

(障害者の雇用の促進等に関する法律第9条の12及び第9条の13)

1 主体

職業生活における自立を図るために継続的な支援を必要とする障害者の職業の安定を図ることを目的として設立された民法第34条の法人

2 箇所数

原則として市区町村に1つに限定(複数の市区町村に1つでもよい)

3 必須業務

I.  職業準備訓練
J.  就職した障害者に対する助言その他の援助
K.  障害者を雇用し、又は雇用しようとする事業主に対する助言その他の援助
L.  障害者の通勤への同行その他の支援を行う者(以下「障害者雇用支援者」という。)に関する情報の収集・整理・提供
M.  職業リハビリテーションに係る情報の提供・相談その他の援助
N.  障害者雇用支援者に対する研修

障害者雇用支援センターの指定・運営の状況

(平成8年3月現在)

滋賀県のセンターについては、住所を入れ、ホームページへリンクを張りました.( 小田、1996.9.9)

熊本県

I.設置(予定)地:菊池郡西合志町 J.業務対象区域:熊本市、菊陽町、大津町、嘉島町、益城町、西原村、西合志町、菊池市、合志町、泗水町、七城町、旭志村(2市8町2村) K.区域内人口:82万人 L.公益法人の形態:社団法人 熊本県障害者雇用促進協会 M.定員:20名 N.指定:平成6年11月 O.業務開始:平成7年4月

滋賀県

I.設置地:〒525 滋賀県草津市野村1丁目23−10 TEL.0775-63-4005 FAX.0775-63-5599 J.業務対象区域:草津市、大津市、守山市、志賀町、栗東町、中主町、野洲町(3市4町) K.区域内人口:51万人 L.公益法人の形態:財団法人 滋賀県障害者雇用支援センター M.定員:20名 N.指定:平成6年12月 O.業務開始:平成7年4月

埼玉県

I.設置(予定)地:川越市 J.業務対象区域:川越市、所沢市、上福岡市、朝霞市、富士見市、新座市、和光市、志木市(8市) K.区域内人口:113万人 L.公益法人の形態:社団法人 埼玉県雇用開発協会 M.定員:30名 N.指定:平成7年4月 O.業務開始:平成7年9月

福岡県

I.設置(予定)地:久留米市 J.業務対象区域:久留米市、筑後市、大川市、小郡市、吉井町、田主丸町、浮羽町、北野町、大刀洗町、城島町、大木町、三潴町、広川町(4市9町) K.区域内人口:52万人 L.公益法人の形態:社団法人 福岡県障害者雇用促進協会 M.定員:20名 N.指定:平成7年11月 O.業務開始:平成8年4月

宮崎県

I.設置(予定)地:宮崎市 J.業務対象区域:宮崎市(1市) K.区域内人口:30万人 L.公益法人の形態:社団法人 宮崎県障害者雇用促進協会 M.定員:15名 N.指定:平成8年3月 O.業務開始:(平成8年4月)

大阪府

I.設置(予定)地:箕面市 J.業務対象区域:箕面市(1市) K.区域内人口:12万人 L.公益法人の形態:財団法人 箕面市障害者事業団 M.定員:15名 N.指定:平成8年3月 O.業務開始:(平成8年4月)


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