「偏差値教育」だとか「偏差値偏重」だとかいう言葉ですっかりダークなイメージになってしまった偏差値。
ここでは偏差値が表現していることについて解説をします。
偏差値の話なのにいきなりZ得点とは何だ、という方がいらっしゃるかもしれませんが、このz(Z)得点こそ偏差値なのです。 標準得点とも言います。
図で説明しましょう。

@の分布もAの分布も、左右対称かつ平均値・中央値・最頻値が一致しており、X軸に漸近しているので正規分布です。
しかし、このままでは@とAの単純な比較はできません。

例えば@が国語のテスト、Aが数学のテストだったとします。
国語も数学も60点だったとしたら、どっちが嬉しいでしょうか。
@のテストの60点ラインを見てみましょう。
このラインより右側は面積が小さくなっています。
つまり、60点以上を取った人が少ないテストだったわけです。
Aのテストの60点ラインを見てみましょう。
このラインより右側は@のものに比べ、面積が大きくなっています。
つまり、60点以上を取った人は結構いるんですね。
よって、国語の60点の方が嬉しい、となります。
しかし、見た目ではこれ以上の判断はできません。
これを数値的に表現するために標準化を行います。

@の標準偏差とAの標準偏差が違うので、二つのグラフは重なりません。
標準化とは、@とAの標準偏差を同じ長さにすることです。つまり同じ比率にしてしまうのです。
こうして、平均値が0、標準偏差が1である正規分布を描きます。
この正規分布のことを標準正規分布と呼びます。
次式で求めます。
z=(取った得点-平均点)/標準偏差
この式によると、平均点と同じ点数だと0になることがよくわかると思います。 こうして得られた得点がz得点です。

これが標準正規分布です。
真ん中の垂線が平均値(および中央値・最頻値)です。0になっています。
1と書かれた水平線が標準偏差です。
この式が標準正規分布の式です。

五段階評定はこのz得点を基準としています。
z得点が、
-1.5以下は1(全体の7%)
-1.5〜-0.5は2(全体の24%)
-0.5〜0.5は3(全体の38%)
0.5〜1.5は4(全体の24%)
1.5以上は5(全体の7%)
しかし、ここで一つ釈然としないものが残りますね。
ではぴったり0.5だった場合、その人は3か4のどちらでしょう?
答え→ぴったり0.5ということはまずありえないので安心してください。
しかしながら、z得点は、分布の真ん中が0ということで、非常に小さい値です。 小さい値というのは、何かと不都合が多いことがあります。例えば、0.001mよりも1mmとしたほうが、ずっと計算は容易です。 そこで、zの値を大きく変換したものがZ得点なのです。人によってはT得点とも言います。
Z得点の式は、以下のようになります。
Z=50+10×(取った得点-平均点)/標準偏差

つまり、平均点ぴったりの場合、その人のZ得点は50になります。 10をかけているので、分布自体の標準偏差は10になります。 これこそすなわち偏差値であります。

先ほどのzの分布と対比してみてください。 図自体はまったく一緒ですが、下の数値だけ変わっていますね。
結局、偏差値とはこれだけのことなのです。 偏差値自体が悪いわけではありません。 偏差値を扱う人に都合のいいようにものさしを決める、 そこに偏差値の意味があるのです。
最後に余談を一つ。見てわかるとおり、教育場面における“偏差値”は、平均点であれば50ですが、これはいわば勝手に決めたものです。 50という数字が嫌いであれば、平均点の人に偏差値100を割り当てることもできます。Z得点の式の最初を50ではなくて100にすればOKです。 ちなみにウェクスラー式知能検査における偏差IQは、平均値が100で、標準偏差が15になるように設定されています。 どんな式になるか、ちょっと考えてみてください。