西村圭一研究室 本文へジャンプ
2013年度 数学科教育法演習 より

 高等学校数学科における「数学的活動」を充実させることをテーマに,大学院1年生がグループに分かれ,教材開発とその授業化に取り組みました。

サプリメントの費用を抑えよう(線形計画法) 【石川弥,小林奈津花,須賀与恵,菅原恵美】
 線形計画法は複数の条件のもとで最適解を求める方法であり、畜産業や石油精製業、金融・証券業などで実際に使われているシンプルであるが非常に有用な問題解決の方法である。高校数学では数学Uの「図形と方程式」の単元における、「軌跡と領域」で扱われる内容となっている。 
 線形計画法という方法を作り出す過程で、自らの解決を振り返ったり考えたりしながら、実感と必要感を伴った理解を積み重ねることを重視した指導を考えた。


どのくらい幸せ?(圏論の考えを取り入れた発見的考察) 【新井健使,佐藤光樹】

 本教材は,「幸福度指標」を例にし,幸せを測るためのものさしについて批判的に考えていくものである。「幸福度指標」は,総計132の指標からなり,幸福度を多面的にとらえようとしている。しかしながら,指標をよく見てみると,幸せを測るために本当に必要かどうかを考えさせられるものも少なくない。幸せを測るために,今ある指標が妥当であるか,それで十分であるのかなどを考える活動が教材の核となる。



四面体の重心はどこ?(類推に焦点を当てた空間図形指導)【東龍平,佐々木陽平,和田康戴】
 現在の数学教育では、空間観念の育成を図る教材は乏しいように思われる。特に、高等学校において顕著である。平面図形の指導と空間図形の指導を孤立した指導として考えるのではなく、その関連性を強調した指導をすることによって、数学的な見方や考え方の指導を大切にしつつ、空間観念の育成ができるのではないかと考える。
 本教材では、
四面体の内角の和と外角の和、四面体の重心を、類推に焦点を当てて扱うこと
によって、平面図形と空間図形を行き来し,空間図形の構成要素の関係を捉える。



どうしたら勝てるかな(確率) 【篠原崇宏,堀井陽平,吉川正隆,毛利岳志(長研生)】
 トランプゲームの1つである「ポーカー」を題材とし、ある特定の手札があったとき、どういったカードの捨て方をするのがよいかということを、場合の数・確率の考え方などを根拠に考え説明しあうこと、それによって根拠として数学を用いることのよさに気づくことをねらいとしている。ゲームに勝つためには、相手より強い役にしなければならないが、ポーカーの一般的なルールに、最初に5枚の手札を引き、そこから何枚か手札から捨て、新たに山札から引けるというものがある。本単元はそこに焦点をあて、ポーカーというゲームを数学的に考察する。