設計科学的視座に基づく数理科学教育研究会

 


  • 本研究の前身である『数理的意思決定力の育成に関するホリスティック・アプローチ研究』の研究成果報告書こちらです。
  • 本研究の前々身である『社会的文脈における数学的判断力の育成に関する総合的研究』の研究成果報告書こちらです。

日本学術会議では「社会の中の社会のための学術」を重視する方向性のもと,科学を「認識科学」と「設計科学」の二つに分類しています(日本学術会議 科学者コミュニティと知の統合委員会,2007)。前者は「事実命題」を検証の対象とする従来の科学であるのに対して,後者は「価値命題」を対象とし,目的や価値を正面から取り込んだ科学です。持続可能な地球を念頭に置いて,将来の社会像を民主的な社会で個々人が他者と協働してよりよく生きる社会をめざすという課題に対して,この二つの科学の連携を提言しています。環境や科学技術をはじめ,実社会における問題では,一見価値には無関係に見える解決策や提案も,その前提となる仮定や条件はある価値基準で選択されたものであり,それらが変われば結論も変わりうるという点で,価値からは自由にはなれないからです。この視座でわが国の学校数学を見ると,現実場面の問題を扱っていても,教科という自明な枠の中で,価値を付与する隙のない,条件の整った問題に取り組むことが中心で,「設計科学」的な学習が位置づけられていないことが指摘できます。
私たちは,このような視座から,学校数学における学習領域として数理科学教育を展開することをめざし研究を進めています。

数理科学的な意思決定のプロセスは・・・

「意思決定を要する現実世界の問題を数学的に定式化し,数学的処理を施し,数学的結果を得る過程を辿り,複数の選択肢を創出した上で,その中から,根拠を明確にしながら合意形成を図り,何らかの決定を行うプロセス」と捉えています。
また,このような意思決定のプロセスでは,顕在的あるいは潜在的の違いこそあれ,問題状況のとらえ方や,問題解決に必要となる数学の選択,合意形成などの全般に渡って,当事者の様々な価値観が付与され,意思決定の質や内容を左右すると考えています。

数理科学的な意思決定のプロセス(イメージ)

数理科学的な意思決定のプロセス(イメージ)