戻る

「道徳授業パワーアップセミナー」(第2回) のご報告

 午後の後半は、Q&Aと全体討議が行われました。セミナー参加者にはあらかじめ質問票が配布されており、参加者から出された34個にも上る質問について、いくつかにまとめながら可能な限り回答の機会を得られるようにしました。

15:25

Q&A・全体討議:これからのために迷いと疑問を解決しよう
回答者 :  近藤精一(本学)
ほか、本日の講話者・コーディネーター・提案者

【協議の概要・主な質問と回答】
Q 道徳教育推進教師の具体的な役割はどんなものか。
A 本日配布の資料54ページを参照していただきたい。道徳教育の全体的な推進、助言、コーディネート、マネジメントなどが考えられる。
Q (東京都で行っている)「道徳授業地区公開講座」とはどんなものか。
A 石原都知事の教育にかける政策のひとつで、10年ほど前から開始され、現在、都内の小・中学校の全学級で道徳授業を保護者や地域住民に公開するようになっている。教師の授業に対する意識を高める効果もある。
Q 道徳の副読本などの「指導書」では教師主導の授業になりがちだが。
A 副読本の指導案は執筆の先生(その地域で熱心に道徳教育に携わっている)の考えで書かれているもの。多様な考えがあることを前提として生かすべきだと思う。
Q 自作資料に挑戦したいが、その進め方についてはどうか。
A 資料の自作は20年(回答者は勤続20年)経ても難しく、経験がものをいうと思う。話題となるテーマに関してインタビューや映像で取材するところから始めてみたい。
Q 心情が多く書かれている資料は扱いにくい。資料をカットして用いてもよいのか。また、資料は必ず使わなくてはいけないのか
A 資料を分けるか否かは資料の何をとらえるかによると思われる。読み物だけが資料ではない。ただ、話し合う題材がないと授業ができない。資料は必ず位置付けられる。
Q 中学生は授業中に発言が出にくいことも多い。話合いを活性化させる手立ては。
A 例えば、道徳の初回の授業で自分の意見を述べることの重要性に触れ、生徒一人一人に発言させる。その後も、全員に当てるという授業を何回か続けると、発言する雰囲気がつくられる。その際、間違った発言をしてしまった生徒に恥ずかしい思いをさせないように配慮することが重要になる。
Q 話合いをまとめると教師の価値を示すことにならないか。また、全員がひとつの価値に気付くことは、道徳の授業であり得ることなのか。
A 授業でまとめることは必要。なぜなら、何を学んだかに関して整理する必要があるからだ。ただ、それに関して、教師の考えでまとめ切るのではなく、意見1・2・3など多様な考えがあるね、というように、柔軟にまとめることが大切になる。
Q 横書きの板書はいけないのか。
A 上の学年ほど臨機応変に対応してよいと思われる。
Q 引きこもりがちな子どもや、破壊的なことを発想しがちな子どもへの対応はどうすればよいか。
A 「思春期は荷物整理」と藤川先生が言われる。子どもの頃から背負ったリュックに周りの大人が必要、大事だと思うものをどんどん入れてあげているが、それがあふれてしまうのが思春期。その時期の子どもには、寄り添ったり、リュックの中身を弁別して大事なものをもう一度入れ直してあげたりするような接し方をするのが重要だと感じる。
Q 自尊感情の不安定な子どもには、どう接すればよいのか。
A 小学校中学年以降、自己評価の正確さが増してくる。そこで、自尊心が低下傾向を見せてくる。うそでほめない。本当にできることをほめるようにする。下手にほめると見抜かれる。心理学者のアドラーは本当の自己肯定感は他者に役立って初めて育つと述べている。子どもが他者から「ありがとう」と言ってもらえる機会を作ることがとても大切だ。
Q 学級に震災で被災した子どもがいる。震災の話題をするとき、どういったことに気を付けるとよいのか。
A それはケースバイケースで考えること。特に両親などとどの程度まで話題にしてよいのかの確認をすることは忘れないようにする

 このような質疑が16時30分の終了時刻まで続きました。 その後、今日のまとめを行い、アンケートへの記入を参加者に依頼して、道徳に没頭した熱い協議の1日が終わりました。

(記録担当:藤澤)

戻る

Copyright Tokyo Gakugei University All Rights Reserved