地理学からのメッセージ

 日本に限らず世界の大学から「地理学研究室」の名前が消えつつあり,「地理学」の社会的有効性があらためて問われている。それは地理学者が自然環境,産業,地域経済,地域文化,政策など多様な場面で活躍しているにもかかわらずである。地理学が「地域の多様性」を対象としていて,生活に身近な問題を取り上げていながら,依然として「地名と物産」を覚えることだけと認識されているならば,それは地理学者の責任であり,怠慢である。
 グローバル化の進展によって,ある地域の出来事は一瞬のうちに世界を駆け回り,私たちの生活に影響を与えている。しかし,これらの出来事を単純に自らの価値観で判断することに危険が伴うことも明らかである。世界は一つであるが,同時に多様な地域から構成される複合体である。地理学は多様な世界を自らの生活と関連させながら理解するための学問である。21世紀の世界にいかに地理学が貢献できるか,それが課題である。
 東京学芸大学の地理学研究は,学校教育を担う教員養成と深い教養をもつ社会人の育成に力を注ぎ,優秀な人材を小・中・高校・大学,民間企業に輩出してきた。それは地理学研究の楽しさを共有してきた結果である。共に地理学を学び,世界について考えませんか。

更新情報

2010.6.09 ホームページのサーバーを移動し、リニューアルしました。

2010.6.13 Web地理講座にカンボジア・アンコールワットと農村絹織物の様子をアップしました。

2010.6.30 論文執筆要領(経済地理学年報版)をアップしました。