中国研究

   1978年の改革開放宣言以来,中国経済は著しい成長を遂げ,「世界の工場」と言われるほどになった。その成長の牽引力となったのは1980年代は農村から勃興した郷鎮企業であり,1990年代は生産基地を求めて進出した外資系企業である。2000年代は中国固有の国有・集体所有制企業の企業改革が進行し,成長のエンジンとなるに違いない。
 しかし一方,成長する東部沿海地域と「都市」,停滞する東北・西部地域と「農村」の格差はさらに拡大しつつあり,地域問題・社会問題を生起している。
 私の中国研究は,東京学芸大学教養系アジア研究専攻が設置されたことから始まる。それは農村の郷鎮企業研究を出発とし,最近は中国に進出する日系企業の立地問題および中国における産業集積地域の研究に向かっている。

最近の出版物

世界地誌シリーズ 2 上野和彦編『中国』朝倉書店,3750円(税込み)
    目 次
  1. 中国の歩み−計画経済から市場経済へ−(中藤康俊)
  2. 中国,その地域編成(上野和彦)
  3. 広大な国土の自然と環境(澤田康?,中藤康俊)
  4. 巨大な人口−その構成と諸問題(小野寺淳)
  5. 世界の工場となった工業(青木英一)
  6. 巨大な人口を養う食料生産(張貴民)
  7. 実験地域から成長の極へ−華南−(許衛東)
  8. 龍頭となる長江デルタ−華中−(上野和彦,香川貴志)
  9. 西部開発−中部・西部地域−(高橋健太郎)
  10. 都市の成長−拡大する北京首都圏−(阿部和俊,山崎健)
  11. 農村と農村問題(小島泰雄)
  12. 世界の中の中国(上野和彦)
  13. 付録:省別統計
  14. 参考文献(中国学習のための書籍リスト)

主な研究<その他論文等の検索・ダウンロード等は国立情報学研究所Niiをご利用下さい>

  1. 日系企業を含む外資系企業は,なぜその場所を選択したのか,そのときにどのような要因が強く働いているのか。
      →日系企業の中国進出
      →外資系企業の立地選択
  2. 農村の過疎化と土地問題
      →朝鮮族自治区の農村問題
  3. 都市化と農村問題
      →街道経済の変容
      →朝鮮族自治区の農村問題
      →農地収用問題
  4. 経済発展と工業地域形成
      →工業発展形態
      →金杯自動車工業
  5. 地理教材
      →中国における二つの人口問題/新地理
      →中国の工業発展/新地理