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実践力を養う、ケースメソッド教育

学校ケースメソッドの展開例policy


ケースメソッド教育では、参加者は主体的に発言することが求められます。そのため当日の討論に先立って、参加者は事前にケースを読み、講師から与えられた設問(学習課題)に対する答えを考えておく「個人学習」が必要となります。
この「個人学習」をもとに当日のケースメソッド教育では、短時間の「グループ討論」においてブレインストーミング的に思考を柔軟にした後、40~50名で「全体討論」を行います。
「全体討論」では、「このケースの問題は何ですか?そう判断した根拠は?」など講師の巧みな発問により進みますが、主役はもちろん参加者です。
全体討論により参加者は、将来、同じようなケースに出逢ったときにどう対応すべきかを模擬学習できます。参加者の方々は、討論で他の人の考えや意見を聞くことは非常に刺激になるようです。さらにケースを通じ意思決定や問題解決の力をつけるとともに討論や発言の方法を学ぶことにもなります。

 以下にケースの例とティーチング・ノートを紹介します。
 このケースを読んだあと「個人学習」において事前に与えられた設問を考え討論に臨みます。

ここに紹介するティーチング・ノートは、平成25年度科学研究費(基盤C)「慢性疾患の子どものインクルージョン促進のための啓発教育プログラムの開発と評価(代表 竹鼻ゆかり)」の一環として共同で執筆した研究成果の一部です。

ケース「1型糖尿病のあき子」 





<参考>
1型糖尿病啓発教材

『教えてりんりんA3判』
『教えてりんりん冊子体』

「1型糖尿病のあき子」 ティーチングノート.pdf


「ケースメソッド教育に活かす学校用ケース・ブック ティーチング・ノート」より



ケース「気がかりな小学生の華」

気がかりな小学生の華.pdf

気がかりな小学生の華」 ティーチングノート.pdf

「ケースメソッド教育に活かす学校用ケース・ブックPart2」より



学校用ケースライティング・チェックシート

 ケースメソッド教育を行うためには、ケース教材が必要です。
 ケースは、学習者の意欲を刺激し、学習者が課題や解決方法を見いだす課程を経験するために重要な教材です。そのため、ケースメソッド教育を行うにあたっては、質の高いケースを用いる必要があります。しかしながら現在、活用可能なケースは限られており、今後、活発な討論が可能となるケースを作成する必要があります。
 そこで私たちは、ケースを作成する際、ケースに必要な観点が書かれているかどうかをチェックするための「学校用ケースライティング・チェックシート」を作成しました。
 以下に私たちが作成した「学校用ケースライティング・チェックシート」を紹介します。皆様がケースを作成する際にご活用ください。
 出典:齋藤千景、竹鼻ゆかり、岡田加奈子、鎌塚優子:ケースメソッド教育における学校用ケースライティング・チェックシートの開発と評価 十文字学園女子大学人間生活学部紀要、11,101-112,2013年


学校用ケースライティング・チェックシート.pdf

評価票

 我々は、参加者の満足度に着目した評価票を開発していますので、ご活用ください。
 評価票の内容は、参加者の属性(性別、年代、勤務校種、職種、)と、ケースメソッド教育の満足度(5段階評価)、ケースメソッド教育に参加した受講者の学習状況に関する評価項目(10項目)、感想要望などの自由記述です。
 学習状況に関する10項目は、統計的に検証した「受講者の参加状況」「問題解決思考」「今後の活用可能性」という3つの枠組み(因子)によって構成されています。項目①~⑤は「受講者の参加状況」、⑥~⑦は「問題解決思考」、⑨⑩は「今後の活用可能性」の項目に該当します。
3因子の各項目の合計得点を算出し、その得点が高いほどその傾向が強いと判断します。
この評価票を用い筆者らは、参加者がケースメソッド教育によって満足感を得るためには、参加者自身が積極的に参加している状況を作り出すとともに、ケースメソッド教育が今後活用でき、参加によって自分が変化したと認識することが有用であることを検証しています。
 出典:岡田加奈子、竹鼻ゆかり 編集竹内伸一 編集協力 教師のためのケースメソッド―学校における事例ケースからのスキルアップ~いじめ、発達障害、保健室登校など~27-28 少年写真新聞社 2011年
 Yukari Takehana, Kanako Okada, Hiroyuki. Takahashi, Mutsumi Matsueda, Yukari Mimura  Assessment Framework of the Case Method in Yogo Teacher Training and Factors Affecting Participants’ Satisfaction. (R) School Health, 7, 16-24 2011


ケースメソッド評価表.pdf