モンゴルプロジェクトフェーズ2/Action in Mongolia

mongolia_h_01.gif

モンゴル国子どもの発達を支援する指導法改善プロジェクトモンゴル国子どもの発達を支援する指導法改善プロジェクトAction in MongoliaAction in MongoliaTraining in JapanTraining in JapanMongolia WatchingMongolia Watching

mongolia_h_02.gif

about Mongolia Project

モンゴル国子どもの発達を支援する指導法改善プロジェクト(フェーズ2)
業務報告(福地昭輝 2012年4月23日~5月7日)

1.日程

・4月23日(月)出発 成田        到着 インチョン
 乗継便 モンゴル天候悪化によりフライト無くなり、大韓航空手配のホテル(インチョン市内)に滞在(18:00 チェクイン 24日 14:00 チェックアウト)

・4月24日(火)22時間遅れで、ウランバートルに向け出発 17:50発 
 天候安定し定刻通りにウランバートル国際空港に到着

・4月25日(水)スケジュール打ち合わせおよびプレゼンテーション準備作業

・4月26日(木)午前:プレゼンテーション準備作業
      午後:「人間と環境」meeting ----------------------------------------------------  1

・4月27日(金)午前:第一学校において、教育大4年学生による卒業研究で、鎌田教授のアドバイスにより開発した教材を用いて、授業を実施することになり、鎌田氏に同行して観察した。引き続き、教育大において授業後の協議会を実施した。アドバイス--------  2

・4月28日(土) 資料整理  

・4月29日(日) 休日

・4月30日(月) 資料準備 研修モジュールおよび査読者のシートを調査

・5月1日(火) 午前:プレゼンテーション準備作業
       午後:Gurvan Erdene大学講演 --------------------------------------------  3 

・5月2日(水) 予備実験(セミナーでの教材準備) 97学校授業観察 -------------- 以下略

・5月3日(木) 午前:「総合学習」meeting   ---------------------------------------------   
       Setgemj試行授業観察と協議会 --------------------------------------------  
  午後:「総合理科」meeting ------------------------------------------------- 

・5月4日(金) 午前:ソンギノハイルハン区モデル校対象講義 -----------------------  
   午後:プロフェッショナルチーム セミナー --------------------------  

・5月5日(土) 資料整理

・5月6日(日) 帰国準備およびケンブリッジシステムについての理解のため会合 

・5月7日(月) 成田着

2. 内容

 1.「人間と環境」プロフェッショナルチーム meeting
  JICAプロジェクトでは「初等理科」と称する。
モンゴルでは健康・自然・社会のコンテンツで構成され、6歳児入学制度が始まったことに合わせて、8WGの中でも「子どもの発達」をその柱に置く教科である。モンゴルにおける授業の創造に向け精力的に活動してきた。実施学年は、1~3年で、その後「総合理科」=「人間と自然」(4~6年)へと接続する。「子ども中心」の教育の始まりとしても注目される教科である。教員の授業づくりの努力、授業研究、教材研究の方法についても合わせて開発を求められている。
  今回、モンゴル教育大学の社会科の教員2名がチームに加わったことで、わが国の生活科と同様の内容、方法における充実が図られることとなった。従って、今後は「人間と社会」への接続も意識しなければならない。
  「人間と環境」で育てたい力、育つ力がポイントになろう。「総合理科」の理科の総合性やコンテクストとは違い、「環境」の持つ総合性の理解を子どもの発達視点で教師自身考え方を確立することが大切である。それは、「体験」重視を掲げて「生活科」を進めているわが国においても同様である。
  子どもの自立への基礎と位置づけ、子どもの周りにある自然と社会との体験によるかかわりが大切である。また、今住んでいる地域や学ぶ学校環境が、学習の場であるから、子どもが生活している家庭と学校から何を学ぼうとしているかも大切である。
授業づくりや教師が行う指導法として、常に子どもの生活経験と学習内容を連動させ、子どもなりの知識の創造やばらばらだった知識をまとめて一段階上の知識へと高める助けをすることである。
セットゲムジ校より学習マネージャー、担当教員2名の参加で、5/2に試行授業を行う段取りとなったことは、さらなる前進を予感させるものとなった。

 2.第一学校「物理」授業の観察と協議会
  大学4年生の卒業研究として作成した実験教材の有効性を検証目的とした授業である。7年生対象で電流の回路で流れをイメージさせる教材に、ビニルチューブによる血流モデルを用いたことである。ワークシートも用意されていた。しかし、板書など他の補助教具の活用はしなかった。また、試行授業としての学習指導案が用意されてはいなかった。これから、教員として指導する立場の期待は大きいので、授業実践したことを大いに評価したい。
  教材の特性に関しては、開発者である鎌田教授のコメントに委ね、私は、授業として成立させる条件として、さらに工夫してほしいという立場での助言である。
  コメントをまとめると、実施前段階で「子どもの考えを引き出す授業プラン」の工夫 特に導入時の学習の「動機づけを図る発問」の工夫 器具や道具を生徒に渡す時の器具の「仕組みや使い方の説明」の工夫(これを使うとこれから考えることがわかる助けになるよ) 「ワークシートを作成」するときの工夫(ワークシートは学習の展開に従って具体的に図などを入れてプリントの項目をあらかじめ頭に入れさせることが大切)
板書や場合により、プロジェクターを活用し、実験の理解や認識の手助けとなる教材(AV活用の補助教材も開発するとよい)などを助言した。
 教材研究の幅を持たせて考えていくと、より良い授業を生み出し、子どもの知的発達を促すこととなる。最後に、指導教員と話し合いながら、卒業研究のタイトルをより良いものにしてほしいと結んだ。(例として、子どもの考えを伸ばし、モデルを活用し電流回路の理解を深める授業の開発) 

 3.GURVAN-ERDENE大学でプロジェクトの紹介
 1993年創立の私立大学である。3学部 1000名を超える規模であるが、ウランバートルの狭隘な敷地にあり、施設等は十分とは言い難いが、学長のリーダーシップが発揮されて、その熱意から教育と研究に取り組む姿勢を感じることができた。
 講演のテーマは、「子ども中心の教育と授業研究」昨年11月のドルノド研修で使用したプレゼンテーションを行いながら、教育のグロバリゼーションが世界の流れであることを強調した。1.子ども中心の授業とは 2.日本の学習指導要領の変遷 3.わが国が開発した授業研究の3部構成である。参加者は、学長以下、教員と学生合わせて30数名。
 北朝鮮との友好で作られた講義室で、黒板の上に金正恩書記の肖像画があり、複雑な思いで講義した。
配付資料として プロジェクト発行 newsletter 第1号   
 国立大、教育大に加えて、教員養成系大学が「指導法改善」に取り組むことは、若い教員から広まっていく大きな力となるので、今後も許す限り協力したい。
 この大学に、ここ数年内に幼稚園教員養成のコースを設置したいと述べておられた。
6歳児入学により「初等理科」は、就学前教育との接続の必要性があり、緊急の課題として、とらえていたことから注目したい。