研究内容 

● 物理専門の研究
相対論的な(=光速に極めて近い速さで進む)荷電粒子(主に電子・陽電子)が固体や結晶に入射すると,固体原子との
衝突により,光子(電磁波)が放射されます.特に結晶の内部では,結晶原子が周期的に並んでいるため,光子の発生
もその周期性を反映したコヒーレントな(=位相が揃っている)ものになります.代表的な放射としては,チャネリング
放射,コヒーレント分極放射(通称パラメトリックX線放射),コヒーレント制動放射,コヒーレント遷移放射があります.
結晶からのコヒーレント放射は単色かつ高輝度なので,未来のコンパクトなX線源・ガンマ線源としての応用が
期待されています.このような放射のメカニズムを理論的に研究しています.
ところで,量子電磁気学(Quantum Electrodynamics, QED)的に見ると,電子・陽電子による光子放出の過程と
光子による電子・陽電子対生成は親戚同士のようなものです.したがって,電子・陽電子対生成の過程が結晶内で
起こると,やはり周期性を反映したコヒーレントなものになります.このような電子・陽電子対生成におけるコヒーレント
効果も研究しています.
なお,結晶場は極めて強い電場の源とみなすことができるので,宇宙空間でのQED過程の解析に必要な「強場中でのQED過程」
という一般的な問題の研究材料として注目されています.このようなアプローチは「結晶場を利用したQED過程の研究」
と呼ばれていますが,その理論的研究も行っています。
その他,宇宙空間,特にコンパクト星近辺での放射や対生成に関する研究,ディラック方程式(相対論的な電子などを
表す波動方程式)に関する研究,Nelsonの確率力学に関する研究など量子力学の基礎に関する研究も,細々としかしこつ
こつとやっています.

● 物理教育の研究
理科離れはもはや社会問題ともなっています。とりわけ,物理離れは大変深刻です。これは,日本だけの問題ではなく,
世界的な傾向です。海外では,物理を専攻する学生が少なすぎて,将来は物理を教育する先生の数すら確保できなくなる
恐れのある国もあります。
 そのような現状にあって,教育学部の物理教員として何をするべきでしょうか。新しい教材の開発はもとより,
(独りよがりで無く)データに基づいた効果的な教え方の開発を,初等・中等学校と連携しながら実践的に進める必要があります。
それと共に,21世紀の物理教育・理科教育を担う優秀な人材を育成するカリキュラムを開発していくことに真摯に
取組むべきだと考えています。