■ 連続講演会報告



第2回 2007.12.21 [FRI] 18.00-19.30
国立教育系大学・学部における教員養成制度改革の論点
アメリカの事例を素材に
講師:葉養 正明 氏

1 米国でのティーチャーズ・カレッジでの教員養成の経験
教育実習を公立校しかもハーレム地域に近いところで長期間実施している。
・現在、教育学部の附属学校が廃止されてきているという実情がある
・学部教育(1−2年)と専門教育(3−4年)の後の、長期間・インターンシップ実習として実施
○それらの事情以外に、「厳しい地域・学校に送り込む。そこでこそ教師としての仕事を学ぶのではないか」という考えもこめられている、という。
米国では大学院に行こうというモチベーションが高いのではないか
・免許更新制が多く実施されており、大学院修了者の給料が高く設定されているという事情が反映もしているのではないか。
○ここには次のような「くさび形」教員養成カリキュラムがある
1−2年での教養中心教育(教職入門的な科目はある)
3−4年での教職科目履修  
5−6年(大学院・卒業後再入学も)でのインターンシップで研究的に学ぶ

2 いくつかの論点
1)教育実習の内容としては、あえて、現実的な課題に「ぶち当たらせる」という視点が重要ではないか。例えば、課題を抱えている困難校(例えば夜間中学等も含めて)にあえてお願いして教育実習をさせてもらう、教職大学院ではそのようなことがあってもいいのではないか。
2)教員養成カリキュラム構造を考える必要があるのではないか
学部段階で「専門をがっちりやる」ことが重要ではないか。その後に実践的な内容を導入する(ここでいう専門とは教科指導のことを主にさしていた)。
したがって、早くから「教職科目」をいれないでもいいのではないか。それは、授業場面をイメージできない段階なので、教育活動を構想できる条件が備わっていないから。
学部では、教師としての基本的能力を培う、大学院では現実的課題に直面する教育実習・インターンシップを導入する、ということも考えられないか。
大学院に行く人は、別の教育実習・インターンシップを教育困難校を含めて経験するということも必要ではないか。
3)教職専門性は、医師・弁護士の専門職モデルとは異なるのではないか(ドナルド・ショーン『専門家の知恵』ゆみる出版)。最先端的な知識・スキルを持っていても「いい教師だ、教師になれるとはかぎらない」という側面から、「臨床的スキル」に着目することが必要ではないか。


© 東京学芸大学 新教員養成システム推進委員