著書紹介


子どもたちの感情を育てる教師のかかわり−見えない「いじめ」とある教室の物語−
                                                明治図書 1560円



 本書は、小学校5年生のクラスのある日の出来事を描写するところから、はじまります。
このクラスには、不登校の子、きれてしまう子、発達障害がある子、攻撃性を発散する子、
アームカットしている子などがいます。
 担任の目にはみんな元気に見えるのですが、見えないいじめがひもとかれていきます。
 本書は、担任といっしょにこのクラスの子どもたちの感情の発達と相互作用についての
理解を深めていく物語の形で構成されています。

 自分の身体からわきあがってくる不快感情を適切に処理する力が育っていない子どもは、
不快感情をいじめという形で発散して処理しようとします。
 子どもの感情を育てるということは、不快感情を適切に処理できる力を育てるというこ
とです。子どもの感情を育てるという視点は、子どもたちのいじめ問題を根本的なレベル
で考えていく視点になります。そして、子どもの感情を育てる支援をしていく上での教師
の役割はきわめて大きいといえるでしょう。

 第2章は、私が最近、講演会でお話させていただいていることを、そのまま原稿にしてみま
した。話ことばで書いていますので、読みやすくなっていると思います。

 いじめや不登校について、Q&Aの形で対応の仕方を学ぶ学び方もありますが、本書では
「物語」という形式を用いました。物語として学級の事例を書くことを通して、相互作用を
生み出すコンテクスト(文脈)と密着した形でのいじめ問題や不登校その他の問題を描いて
みました。
 それにより、いじめや不登校に関する断片的な知識の集積ではなく、「いじめってこうい
うことなんだ」「子どもが学校にこれなくなるというのはこういうことなんだ」という体感
的な理解をしていただけることを期待しています。
 体感的な理解はすぐにご自分の教室での子どもたちとの関わりに生かされていくことでしょう。

第1章 ある教室の風景から

第2章 子どもたちの感情を育てるということ

第3章 「いじめ・不登校」その時教師にできること−田中先生といっしょに考える

第4章 解説ー子どもを守り育てるために

あとがき

 本書をお読みいただくことで、子どもたちの心を育てるために教師にできることはたく
さんある、そしてできるんだという元気を得ていただけたらうれしく思います。

大河原美以



Copyright (C) 2002 OHKAWARA LAB. All Rights Reserved.