第1学年 数学 文字と式(課題学習) 公開授業 学習指導案           指導者 小野田啓子
日時:平成13年9月26日(水)6校時 対象:中学1年A組(女子33名) 場所:HR教室
(本時の目標) 碁石を正方形に並べたときの碁石の総数の求め方を多様な考え方で見つけ出し,その考え方の比較検討をとおして,数学的な見方・考え方のよさが分かる。
(準備・資料) ワークシート,マグネット,対応表,マジックペン,発表用紙
(授業計画) 第2章 文字と式 

1節 文字と式(10時間)  2節 式の計算(5時間)  章末問題(1時間)  課題学習(1時間(本時))

 
〔本授業の研究主題〕 

数学的な見方や考え方のよさを認め合い,数学的コミュニケーションを深める授業の在り方

 

1 主題設定の理由

 本主題は,平成12年度茨城県数学教育研究会後期研究大会(会場:下妻市立下妻中学校)における研究主題である。昨年度,前記大会に参加して,本校においても以下のような観点から,教育実践に生かしていきたいと考え研究主題として設定した。

2 主題について

 数学の学習活動には,数学を使って問題を解決する,新しい情報を得るために数学を使う活動などがある。このような活動を深めていくには,他の人と数学的コミュニケーションを図る力を育成することが重要である。

 具体的には,「考えを出し合い,練り上げ,友達の考えのよさを認め合うような授業を行うこと」が,数学的な見方や考え方のよさを感じ,数学的コミュニケーション能力を育成していくことに繋がると思われる。(「」内,前記大会学習指導案中学校部会から引用)

3 主題に迫るための留意点

(1)一人一人の考えを大切にする

 数学的コミュニケーションを深めていくには,一人一人の考えを大切にすることが大切である。生徒は,自分の考えを友達が聞いているという意識があるからこそ,仲間に伝え,共有したいと思うのである。

 したがって,授業ではたとえその考え方が非能率的であったり,未完成のものであっても,着眼点のよさ,発想のよさを認め,誉めていきたいと考えている。生徒の発言の機会をできるだけ多く作るように心がけ,一人一人の考えが生かされるような授業を積み重ねていけば,生徒は友達や教師に心を開き,コミュニケーションを深めていくことに繋がると思われる。また,これらはよりよい人間関係を築く素地にもなり,人格形成に対しても望ましい影響を及ぼすと考えられる。

(2)話し合いの場面を工夫する

 次の3つの段階をへて,数学的なものの見方,考え方のよさを認め合い,数学的コミュニケーションを深めていく方法を取る。

@少人数で話し合う

 自分の考え方について,それが論理的に筋道だっているかどうか検討する。

A全員で話し合う

 簡潔,明瞭,的確という観点から考え方のよさを検討する。また,考え方を比較しお互いの考え方の関連を検討する。

B解決方法の選択

 簡潔で発展性のある考え方という視点から解決方法を選択し,数学的な見方や考え方のよさを感じる。

〔展開〕
 
時間 ねらい 授業内容と活動 指導の留意点
5分 ・学習課題の理解 1 本時の学習課題をつかむ。 

図のように,碁石を正方形の形に並べる。1辺の個数がa個のとき,碁石の個数は全部で何個になるだろうか。 

・1辺の個数が2個の図から4個の図までをマグネットで作り,課題が的確につかめるように配慮する。
5分 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

15分 
 
 
 
 
 
 

10分 
 
 
 
 
 
 

5分 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

5分

・自力で多くの数え方を見つけることができる。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

・友達の考え方が分かり,関連性,考え方のよさを見つけることができる。

2 自力で考える。 

@(a−1)×4   @`(a−1)+(a−1)+(a−1)+(a−1) 

 =4(a−1)       =4a−4 

A4×a−4     A`a+a+a+a−4 

 =4a−4         =4a−4 

Ba×2+(a−2)×2    B`a+a+(a−2)+(a−2) 

 =2a+2(a−2)       =4a−4 

C(a−2)×4+4  C`(a−2)+(a−2)+(a−2)+(a− =4(a−2)+4     2)+4 

               =4a−4 

D(a+a−2)×2 

 =2(2a−2) 

Ea^2−(a−2)^2 
 

3 少人数で話し合う。 

 (1) 5〜6人のグループを作り,自分の考えを発表し合う。 
 

 (2)それぞれの考え方の関連について話し合う。 
 

4 みんなで話し合う。 

 (1)各グループごとに考え方を発表する。 
 

 (2)それぞれの考え方の関連について話し合う。 
 

5 いろいろな解法の中から,簡潔で発展性のある考え方を見つける。 

  ・正方形を正三角形にかえたときにあてはめる 

6 式の計算をして,それぞれの式の結果は同じになることを確認する。

・自分が思いつくかぎり,できるだけ多くの方法を考えてみるよう指示する。 

・考えにくい様子の生徒には,いくつかの図を書いて数え方の工夫を考えるよう助言する。 
 

〔評価〕 

・自力で考えようとしているか。 

(関心・意欲・態度) 

・数え方を考えることができたか。 

(数学的な考え方) 

・数え方を式に表すことができたか。 

(表現・処理) 
 

・グループを作って,自分の考え方を発表し合う。自分の考え方の根拠も,はっきりと伝えるよう指示する。 

・友達と自分の考えとを比べながら聞き,話し合いをするよう指示する。 
 
 
 
 
 
 
 
 

・個々の考え方のよさに触れながらも,ここでは簡潔で発展性のある考え方は@またはAであることに気付かせたい。 

〔評価〕発展性のある考え方を見つけ,そのよさを認めて,課題を解決することができたか。(知識・理解) 
 

・考え方のプロセスは違っても,どの考え方も 4a−4 になることをおさえたい。

5分 ・本時の内容の確認 7 本時の内容を振り返り,感想や分かったこと,さらに調べてみたいことを「振り返りシート」に記入する。