■アオキ
 ■ミズキ科


実(1月撮影)

● 冬になっても木の葉が青い。だからアオキ、わかりやすい。その特徴はアオキの学名にまでなりました。学名「Aucuba japonicaアウクバ・ジャポニカ」の「アウクバ」は「青木葉」の意味です(「ジャポニカ」は「日本」の意味)。でも、青いのは葉だけではありません。茎を見て下さい。茎も一年中青いのです。これは、普通の木と違って、茎にコルクを形成する層が何年間も発達しないため、茶色の樹皮ができないからなのです。赤い実は雌株だけに生じるものですが、雄株がないと実りません。


雌花(4月撮影)

●多くの樹木の樹皮が褐色をしているのは、多くの場合コルク層が関係しています。コルク層とは死んだ細胞からなる組織で、植物内部を保護するクッションの役割をしています。 コルクボードやワインの栓に使われているコルクは、コルクガシという植物の樹皮を剥いだものです。コルクガシは、コルク層が特に発達した植物ですが、実は多くの樹木にもコルク層はあるのです。

●一年中、青々としたアオキの葉ですが、枯れたり、切り取られたりすると黒くなってしまいます。これは含まれるアウクビンという成分によるものです。このアウクビンには、強力な抗炎症作用があることが知られています。そのパワーは鎮痛消炎剤として軟膏や貼り薬に使用されているインドメタシンに匹敵すると言われています。昔は、切り取った葉を弱く炙り、黒くなったものを、やけど、腫れ物などの上に置いて薬のように使っていました。


雄花(4月撮影)

●アオキは日陰に強い植物のため、山野では日の当たりにくい場所に生えています。また、庭木としてもしばしば日陰に植樹されます。このため、4月に咲く小さな花に気付く人はあまりいないかもしれません。近寄ってみると、結構渋い紫色の花。アウクバ・ジャポニカにふさわしい、「和」のテイストです。


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