■イイギリ
 ■イイギリ科


実(10月撮影)

● ブドウのように、たわわに実った赤い房。撮影したイイギリは図書館と 本部棟の間にある10数メートルの大きな木です。この木は誰が植えたのか? ・・・答えは、誰も植えていない?! どうやら鳥がどこかで実を食べて、その種を 糞として落としたのが始まりのようです。図書館の北側にある、やはり10メートル くらいあるトチノキとムクロジも鳥が運んだ種から育ったもの。これらのことは 過去の樹木調査記録や、長年大学に勤めた人の話からわかりました。



(10月撮影)

●昭和22年に旧陸軍技術研究所から、学芸大学の前身である東京第二師範学校がこの地を譲り受けたとき、大木は体育棟北側にある何本かを除けば、何もありませんでした。 今日、立派な並木を作るケヤキ、サクラ、マツ、ヒマラヤスギなどは昭和39年以降、計画的に植樹されたものなのです。

ところが、学内の樹木本数ベスト7の「エノキ」は植樹いう言葉が似合わない、妙な場所にぽつんぽつん生えているものが多いのです。イイギリもエノキも1本の木に、大量の実を付けるのが特徴で、どちらも鳥の餌の対象となります。これらの木々は、植物の種が鳥によって運ばれたことを物語っているのです。

●ハンドボールコート西側の庭にも大きなイイギリがありますが、85年の樹木調査記録には載っていません。やはり、鳥が種を運び、それが育ったものなのでしょう。

●ところで、N棟とS棟の間にある大きなイイギリは実が成りません。これは、この木が雄の株のためです。でも、初夏に香りのよい花を咲かせます。緑色をした花なので、注意しないと存在に気付かないかもしれませんが・・・。


花(5月撮影)

●イイギリの実は落葉した後も長い間枝に付いており、年内一杯は実が残りますし、遅い年では1月になっても実を楽しめます。葉が落ちた枝に付いている、たくさんの赤い房は、それは見事なもの。どの木も、ちょっと奥まったところにあって、見過ごしやすいのですが、一度足を運んでみてください。感動すること請け合いです。

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