■クロモジ
 ■クスノキ科


花(4月撮影)

● 子どもには、何でもかじる癖のある子がよくいます。私の小さい頃もそうでした。カステラの木箱(昔はみんな木箱に入っていました)や、菓子楊枝は芳い香りがするので、よくかじった覚えがあります。カステラの木箱はスギかサワラ、そして菓子楊枝はクロモジの木でできています。楊枝のことを「黒文字」と呼ぶことがありますが、これは材質がクロモジの枝でできているためです。ちなみに、爪楊枝の原料はシラカバで、北米産のものが多く使われていますが、こちらはほとんど香りがありません。


花(4月撮影)

●クスノキ科の植物は香油成分を含むものが多く、クロモジの葉や枝にもそれが含まれます。クロモジを使用した楊枝は扁平で、片側に樹皮いくらか残して作ります。このため、直径1センチくらいの若枝を採取し、その表皮側の部分を使うそうです。クロモジは萌芽力が強い木で、幹の上部が枯れても、株の元から脇芽が伸びてきます。

●クロモジは山野に生える高さ2メートルくらいの木で、初春に花を開きます。大学構内では、マンサク、アブラチャンに次いで、3番目に早く開花する植物です。クロモジは数年経った枝でも茶色くならず、黄緑色をしているので、山野を歩いているときに見つけやすい木です。アブラチャンはクロモジと同じくらいの大きさで、クロモジと同じような場所に生え、葉にも芳香がありますが、枝が茶色なので簡単に区別できます。また、葉を揉んだときに香る匂いは、クロモジの方が上質でしょう。


(4月撮影)

●クロモジは雌雄異株の植物です。構内に生えるクロモジは現在、雄株が1本のみ。残念ながら実を見ることはできません。

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