■スダジイ
 ■ブナ科


実(9月撮影)

● 正門を入ると真っ先に出会えるドングリです。コナラやクヌギのドングリには、帽子のようなものが付いていますが、シイの実にはそれがなく、ドングリ全体が殻のようなもので包まれています。
 ドングリの中でもシイはアクが少ないため、茹でればアク抜きなしに美味しく食べられます。このためシイのドングリは縄文人にとって重要な食料でした。今の時期、正門脇の守衛所では夜になると、屋根の上にコツンと落ちるドングリの音がよく聞かれるそうです。


(9月撮影)

●よく「椎の木」という言葉を耳にします。これはスダジイ、ツブラジイなどの総称です。シイの実(ドングリ)を包む殻は正式には殻斗(かくと)と呼ばれ、コナラのドングリのお椀状の帽子や、クリのイガに相当するものです。


葉(9月撮影)

●茸の「シイタケ」は、天然ではシイやナラの木に生えることから名前が付きました。ただ、天然物のシイタケが市場に出回ることはなく、「ほだ木」にシイタケ菌を植え付け、人工栽培したものが出回っています。ほだ木として使われる原木は、シイよりはコナラやクヌギが多いようです。

●スダジイは暖かいところの植物なので、北限は新潟県から福島県のあたりです。シイタケの生産量が多いのも九州など暖かい県が主だっています。ところが東北地方の岩手県も生産量は高いのです。これは「ほだ木」として使われるコナラが北海道まで分布しており、岩手県内で容易く手に入れることと関係があります。

●近年では、ほだ木を使わず、原木を「おが屑」にして固めたものを使い、ハウスで促成栽培したシイタケが市場の5割を越えています。

また、おが屑としてトウモロコシの芯を粉砕したものを使用する安価な栽培法も開発されています。もちろん、シイタケの味は微妙に違ってくるそうです。本来、シイの木から名付けられたシイタケは、いったいどこへ行ってしまうのでしょうか。

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