■タイサンボク
 ■モクレン科


花 (6月撮影)

 

●きらきら光る濃緑の葉の中にひときわ白く咲く花。キャンパス内で咲く一番大きな木の花です。 直径15〜20cm。大きくて立派なことから、中国の「泰山」になぞらえたとか、大きな盞(さかずき:音読みで「サン」)の形をしていることから名前が付いたとの説があります。

タイサンボクは明治初期に日本へ持ち込まれました。原生地のルイジアナ州からフロリダ州にかけては高温多湿の亜熱帯。湿度の高い日本の夏によく適応したようです。


実 (11月撮影)

●昔、ルイジアナ州で暮らしたときのことです。住居の近くに大木が何本も生える林があり、それがほとんどタイサンボクでした。

当地は夏場、湿度がたいへん高く「のどが渇いたら、コップを持って空気をすくうと水が入るよ」というジョークがあるほどでした。 タイサンボクの枝からは、白緑色をした髪の毛のようなサルオガセ(地衣類の一種で、霧がかかるような原生林の枝に着生する:霧藻の別名がある)がダラリと下がり、廃屋でもあれば幽霊屋敷と見紛うような雰囲気をたたえていました。

●タイサンボクの属名はマグノリア(Magnolia)で、マグノリア香水の原料となります。マグノリア属にはホオノキ、ハクモクレン、コブシなどが含まれますが、どの花も芳香が漂います。ただ、これらの種は落葉樹ですが、タイサンボクは冬でも青葉が繁る常緑樹です。

●マグノリア属は、被子植物の進化の中では初期に登場する植物で、恐竜がいた中生代に出現しています。

この時代に、マグノリアの花粉を運んでいたのは甲虫類(カブトムシ、クワガタ、カミキリムシの仲間)です。甲虫類は顎が発達していて、ものをよく噛みます。マグノリアの雌しべは硬く頑丈にできていますが、これは植物にとって大切な種子の形成を、甲虫の食害から守るためだと考えられています。


若い実 (9月撮影)

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