■ツルボ
 ■ユリ科


花(9月撮影)

● 下の方から順番につぼみが開くため、花数が多くなる9月までは、人知れずひっそりと咲いています。 日当たりのよい草地や畦道、土手などに生えることが多いのですが、意外なところでは墓地にもよく生えます。

大学近辺にある多磨霊園もその一つ。生い茂る夏草を刈り取った頃に花を付ける茎(花茎)が伸びるので、よく目立ちます。可憐な花のため、抜かれることも少ないのでしょう。墓地のツルボは、人との関わり合いの中で数を増やした植物ですね。

●ツルボは従来はユリ科の植物として分類されていました。しかし、最近ではヒアシンス科の植物として分類されることもあります。これはDNAを調べた研究に基づく分類で、今後、植物界全体の分類体系は、こちらのものへ次第に移行していくと思われます。確かに、拡大したツルボの花を見ると、小さな6枚の花弁からできている花は、ヒアシンスを彷彿とさせるところがあります。


花(9月撮影)

●ツルボは漢字では「蔓穂」と書きますが、花の咲き方(花序)自体は「穂」となりますが、花茎が巻き付くこともなく「蔓」の名がどうして付いたのか、はっきりしません。

●墓地によく生える植物として有名なものにハナヤスリがあります。ハナヤスリはシダ植物ですが、ちょっと変わったシダなので、愛好家もいるそうです。これもまた、人が適度に管理している場所に生えやすい植物なのでしょう。


(9月撮影)

人が手を入れることで自然環境が一定に保たれている場所としては里山が有名です。しかし、大きな墓地も人の手によって、一定の環境が維持されてきた場所の一つなのです。

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