■ユキヤナギ
 ■バラ科


花(3月撮影)

●3月中に咲く大学でも早咲きの植物です。葉や茎が見えなくなるほど小さな白い花を枝上に密生します。でも、どうしてこんなにびっしりと咲くのでしょうか。それは花の咲き方(花序)に秘密があるのです。ユキヤナギの花は少し長めの花柄を持っています。そして、5つくらいの花がユニットとなり、一箇所からまとめて出ているのです。このため、開花すると、花と花の距離が短いため花弁が重なり合うのです。

1つのユニットの花はつぼみのうちは、1つの総苞片で包まれています。さらに、すべての総苞片の基部は直接枝に付いているため、花のユニット同士が重なり合うように咲くのです。


(3月撮影)

●同じバラ科のコデマリも似たような花を咲かせます。ただ、コデマリは1つの花のユニットは20程度の花からなります。そして、開花するとドーム状になるのです。そして、これらの花柄はユニットの下で1つにまとまり、さらに枝から伸びる1本の細い長い柄につながっています。このため、コデマリではユキヤナギのように、たくさんの花が一つの表面に連続して配置することはないのです(コデマリの花の構造の詳細は本シリーズの「コデマリ」をご覧下さい)。

●ユキヤナギの品種にピンクユキヤナギと呼ばれるものがあります。つぼみのうちは赤からピンク色で、開花後は白くなります。また、ユキヤナギのように枝垂れることが無く、花の枝は上方へ伸びます。

つぼみと花で色が変わる植物は幾つかあります。赤紫から青に変わるアサガオとか、白から赤く変わるスイフヨウなどです。アサガオの色の変化は細胞内のpHの変化であり、スイフヨウではアントシアニンという色素が合成されるためです。

ピンクユキヤナギの変化は色の脱色ですので、これらの植物の生理とは異なるように思いますが、その仕組みはまだよくわかっていません。

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