研究内容My Study

研究テーマ
Current Theme

私の専門は記憶や言語理解に関する認知心理学です。これまで行動指標や脳機能イメージング(脳磁図),眼球運動分析など様々な手法を用いて認知のメカニズムを実験的に検討してきました。また,発達障害(発達性読み書き障害)や認知の個人差など教育心理学的なテーマにも関心を持ち,指導学生と共に日々活発に研究を行っています。現在,特に関心をもっているテーマを以下に示します。

無意図的な思考と記憶

 我々は普段の生活の中で3~5割の時間を今行っている活動とは無関係のことを考えて過ごしています。また,日常生活における記憶想起は多くの場合,思い出そうとはしていないのに「突然」「気がつけば」過去の出来事が意識の中に蘇ってくるという形態をとります。こうした「無意図的思考(mind wandering)」「無意図的想起(involuntary memory)」は,これまでの認知心理学では十分に研究されて来ませんでしたが,近年,これらの現象に関する研究が徐々に活発になってきています。当研究室では,この現象の背後にあるメカニズムや機能の解明を通じて,思考や記憶,意識の制御過程,集中力と学習の関係,抑うつなど臨床心理学的問題の基礎メカニズムといった問題に答えを出そうとしています。

日常記憶・日常認知

 日常記憶・日常認知の研究は,自伝的記憶,顔の記憶,展望的記憶など多様な研究領域を生み出してきました。当研究室では,こうした日常記憶の研究を行うとともに,これまで実証的な研究が十分に行われてこなかったデジャヴ(deja vu)や歌のこびりつき(song stack)など,多くの人々が興味をもつ日常的な心理現象のメカニズムの解明を試みています。

これまでの主な成果
Previous Outcomes

言語理解のメカニズムに関する研究

  • 音声呈示された単語の認知において語彙的韻律(lexical prosody,いわゆるアクセント型)がどのような役割を果たしているかをプライミング法による行動実験で検討し,語彙的韻律が単語認知の初期段階から単語弁別の手がかりとして利用されていることを明らかにしました(Sekiguchi & Nakajima, 1999; Sekiguchi, 2006)。
  • 脳機能イメージング法の一つである脳磁図(MEG)を用いて,単語の読みの神経基盤に関する検討を行い,左大脳半球のシルビウス裂周辺部の活動が単語選択的な反復効果を示すこと(Sekiguchi, Koyama, & Kakigi, 2001)や,この領域の活動が音韻処理に関わるものであること(Sekiguchi, Koyama, & Kakigi, 2004)などを明らかにしました。
  • 日本語話者の英語リスニングに関する研究を行い,日本語話者であっても英語話者と同様に語彙的韻律(ストレス型)を文中からの単語の切り出しの手かがりとして利用可能であることなどを見いだしました(関口, 2008)。
  • 発達障害の1つである発達性読み書き障害(developmental dyslexia)の特徴を眼球運動分析により検討し,読み書き障害児では,1)カナ単語や文章に対する注視回数が健常児に比べ多いこと,2)漢字に対する注視パタンが健常児のそれと異なり,どの漢字でも左上領域を長く注視すること,3)読みの有効視野が健常児よりも狭く,その狭さにVAスパン(並列処理可能な視覚要素の量)の小ささが関わっていることなどを明らかにしました(関口・小林,2011;関口・吉田,2012)。

日常記憶・日常認知に関する研究

  • 自らの意思と無関係に自伝的記憶が想起される現象「無意図的想起」の特徴を実験的に検討するための研究手法を考案し,快な出来事の方が不快な出来事に比べ無意図的に想起されやすいことなどを明らかにしました(雨宮・関口,2004)。
  • 顔記憶の個人差と顔記銘時の注視パタンに関する研究を行い,顔記憶能力の高い人は低い人に比べ左右の眼の間で注視点を頻繁に往復していることを見いだしました(Sekiguchi, 2011)。
  • 自伝的記憶を三人称視点(自分の姿が見える視点)で想起することが,その出来事想起に感じられる感情強度を長期的に減衰させることを見出しました(Sekiguchi & Nonaka, 2014)

ワーキングメモリ能力に関する研究

  • 視空間ワーキングメモリの能力が方向感覚の自己評価と比較的強く相関することを見出しました(関口,2003:未発表)。
  • 文章理解における知識の利用とワーキングメモリ能力の関係について検討し,十分に既有知識を利用可能な状況では,文章読解に対するワーキングメモリ能力の効果が消失することなどを明らかにしました(関口,2010:未発表)。

メニュー

連絡先・アクセス

〒184-8501
東京都小金井市貫井北町4-1-1
東京学芸大学・教育心理学講座
TEL:042-329-7374(直通)
sekiguti@u-gakugei.ac.jp
 

研究室の場所

学芸大・小金井キャンパス
総合教育・人文社会1号館
(一番高い9階建の建物)2階

建物画像