教育関係者の方へ

平成22年度?平成24年度の研究

1.本校の育てたい生徒像・人物像

 平成22(2010)年度?平成24年度の3年間は、「リーダーとしての資質を育てる中 学校教育課程の実践的研究」を研究テーマとして取り組んできました。
 初年度の2010年度は、「リーダーとは、リーダーの資質とは」を考えるために、研究の原点に立ち戻り、これまで本校が取り組んできた研究を振り返るとともに、改訂された学習指導要領もふまえ、本校で「生徒に育てたい力は何か、めざす生徒像は」を考えることから始めました。その結果、得られたことは「何事にも熱心に取り組み、困難な場面においても自ら考え行動し、リーダーシップのとれる生徒」という生徒像であり、教育観でした。このことは正に、本校は「リーダーとしての資質をいかに伸ばすか」ということを大切に思い、教育してきたことであり、常に「リーダーとは、リーダーの資質とは」を問い続けながら教育してきたことを確認することとなりました。
 このことは、本校が昭和32年度に掲げた教育目標のひとつ「3)よりよい社会を作れる人になろう」の具体的な目標のなかに、「よい協力者、よい代表者になろう」が挙げられていることからもうかがい知ることができます。

 二年目の2011年は、本校で育てたい・育てられる「リーダーの資質は何か」の検討をふまえて、そこで行きついた「リーダーの資質」は、豊かな教養、他の人とのコミュニケー ション能力、的確な判断力と行動力だった。さらにその先にある「(育てたい)人物像」 を明らかにしました。そこで得られた人物像は、「豊かな教養を持ち、まわりから信頼され、自ら考え行動できる人」です。ただ、この段階に至って浮かび上がってきたのが、はたして本校の教育課程は「リーダーとしての資質を育てる教育課程」となっているかという課題でした。
 この課題に対しては実践的研究を通し、2011年度の後半から最終年度にあたる2012年度にかけて行ってきました。その最初の手続きで、各教科・領域で重視する資質を明らかにしました。具体的には、基礎・基本としての知識・技能をもとに、能力面と態度面に分けられる力でした。能力面として挙げられたものが、思考力であり、さらに、その具体ともいえる判断力、表現力、想像力、計画力、調整力でした。さらに、これらの能力が発揮される方向性や発揮された状態として「態度」という概念を考えました。具体的には、主体性、自律性、協調性、責任感です。
 本校では、「基本学習」、「総合学習」、「生活学習」、の3つの学習を設定しています。本校の学習活動の根幹をなすこの3つの学習が、これらの能力と態度とを育てるものとなっているかの検証を実践的研究を通して行ってきました。

2.本校で考える「リーダーとしての資質」

 リーダーの資質というと、一部の歴史上の有名人の持つような突出した能力やカリスマ 性が思い浮かべられるかもしれませんが、本校の考えるリーダーの資質はそのようなもの ではありません。それは社会の一員として、社会や自分のまわりの状況を良い方向に向けていく力になる資質のことで、一部の突出したリーダーのものではなく、全員が身に付けてほしい資質です。そのような観点から、学習指導要領が目指す「生きる力」等を考慮に入れながら、本校で育てたい「リーダー像」とは何かを考えていきました。そこで、上でも述べた「豊かな教養を持ち、まわりから信頼され、自ら考え行動できる人」という人 像が浮かび上がりました。そして、このような人物像を形づくる資質とは何かを考え、下の図のように整理しました。
 ここで本校が特に重視する資質は、「問題を解決する力」と「人と関わる力」の2つになります。しかし、この2つの力はいろいろな基礎的資質が相互に関連をもちながら総合して発揮されるものなので、さらにその要素となる基礎的な資質を考えていきました。まず、知識・技能はすべての資質育成の基礎となるものと考えました。そして、他の資質を能力面と態度面に分けて考えました。能力面の資質としては、知識・技能、思考力、判断力、表現力、創造力、計画力、調整力をあげました。ここで、思考力には読解力、分析・ 解釈力などを含むものとします。態度面としては主体性、自律性、協調性、責任感などをあげました。主体性には、自主性、積極性、行動力、学ぶ意欲などを含み、自律性には、正義感なども含んでいます。また、協調性は協力性、寛容性、思いやりなどを含みます。 このような基礎的な能力や態度が総合されて、「問題を解決する力」と「人と関わる力」が発揮されるわけですが、逆に「問題を解決する」活動、「人と関わる」活動を実際に行うことによって、上のような基礎的な能力や態度がさらに強化されると考えています。 育てたいリーダーとしての資質

3.各教科・領域で重視する資質

 本校の各教科の学習では、発表活動、話し合い活動、レポートなどを重視している教科が多い。その中で、各教科で基礎的な知識・技能を身につけながら、それにとどまらず、 さらに高次の能力や態度が育まれるように意図しています。
 本校の各教科・領域で指導上特に重視するリーダーとしての資質を下の表に示しました。 ここでは特に重視する資質にのみ◎で示してあり、他の資質は育成していないわけではありません。また、知識、技能はすべての資質育成の基礎となるものと考え、下の表には示していません。
 計画力、調整力、主体性などは各教科だけでなく、道徳・特別活動によっても強化されています。本校の行事等は生徒の手で運営させていくものが多い。そこでは、いろいろな係や役割が生まれ、大小の集団の中にさまざまなリーダーが必要となり、リーダーとフォロワーが入れ替わることも多い。本校では、このような環境の中で、自分の個性を活かして、他者との調整をしながら自分で判断、行動し、いろいろな問題を解決していける生徒の育成を目指しています。これが本校で考える、リーダーの資質を持った生徒及び人物の育成にあたります。

各教科が指導上特に重視するリーダーの資質

国語 社会 数学 理科 音楽 美術 保体 技家 英語 学校保険 生活学習


思考力
判断力
表現力
創造力
計画力
調整力


主体性
自律性
協調性
責任感