説明: mhtml:file://C:\腰越\学芸関連\2010(平成22)年度授業\22高校模擬授業etc\受験生へのメッセージ(腰越%20滋).mht!http://www.u-gakugei.ac.jp/01juken/images/title0201.gif

説明: mhtml:file://C:\腰越\学芸関連\2010(平成22)年度授業\22高校模擬授業etc\受験生へのメッセージ(腰越%20滋).mht!http://www.u-gakugei.ac.jp/01juken/images/me_01.jpg

大学は高校までとは異なり、授業の履修の仕方一つとってみても、主体的に自分の時間割を組み立てることが求められます。いわば、何事も自分で取捨選択し決定する姿勢が大切になってくるわけです。

何を取って何を捨てるのかは、簡単なようでいてなかなか難しい問題を孕んでいると思います。というのは、世の中の事柄は決して簡単には答えが見つからない問題の方が多くて、どれが最適なのかなどということは、全く分からないからです。当然どちらに進んだらよいか分からなくなり、迷って悩んで苦しむということが起こりえます。そして、そういう苦しい状態にあっては、往々にして人は右往左往するのではないでしょうか。

しかし、右往左往していても、逃げ出さず自分を見失わずに踏ん張り続ける勇気を持ちたいものです。泰然自若としてなんかいなくてもいい、オロオロしてのたうちまわって悩みながら、けれど投げ出さずに踏ん張る人。そんなひたむきな人に、私は魅力を感じます。

教育学は人育ての学問だと感じることがありますが、別の言い方をすれば、教育はバトン渡しの仕事ではないかと思えます。失敗や苦悩でオロオロした経験を踏まえ、柔らかくて暖かい励ましのメッセージを込めたバトンを、後進に渡していく仕事。それが教育という営為だと思うわけです。そして、先達のその思いが後進に実感として伝わった時、後進は育っていき、また次の世代へとバトンが渡せるようになり、教育マインドのようなものが涵養されていくのではないかと思います。

大学生活が順風満帆であることにこしたことはありませんが、挫折や失敗に遭遇したときにこそ、自分と向き合い自分を育てるチャンスだと思えます。そういう状況に陥った時、どうかそこから逃避せずに、踏ん張ってみて下さい。踏ん張っていれば、きっとその貴方の真摯な姿をみて、失意や苦悩をブレイクスルーしてきた教育マインドを持った先達が、必ずや現れ、励ましてくれるに違いありません。

その意味で、少人数教育やクラブやサークルなど、顔の見える関係を築ける場の多い東京学芸大学は、自分育てを考える貴方にはピッタリな大学です。一人でも多くの方が、本学に来て下さることを祈念しております。そして、大学で他ならぬ貴方にお会いできることを、私も楽しみにしております。