2006104

 

モンゴル国子どもの発達を支援する指導法改善プロジェクト

(東京学芸大学)

 

  プロジェクトの目的

 

モンゴル国では、1990年以降民主化による価値観の転換・市場経済化により経済に混乱が生じたことに加え、1991年のソ連邦の崩壊に伴う同国からの援助停止により政府財政が逼迫した。これらの要因が複合して教育分野においても教育行政能力の不足、教員の質の低下、教育インフラの未整備、高等・専門教育の未発達、地方における就学率の低下等様々な問題が生じており、特に教育分野の基礎となる教育行政能力を向上及び地方教育行政に携わる人材の育成が求められている。また、2005年9月から「新教育スタンダード(New Education Standard)」が導入され、初等教育が4年制から5年制に変更されると共に、入学年齢も8歳から7歳に引き下げられた。新教育スタンダードでは、これまでのアカデミックな知識の記憶を主とする従来型の教育では不十分との反省から、児童中心型の教育への移行が目指されているが、その内容が難解であり、現場の教師に真意が正しく伝わらないという問題が生じている。

 教育制度の改革にともない教育省は、関連大学と共に「初等教育指導法研究センター」「理科教育指導法研究センター」「数学教育指導法研究センター」「IT教育指導法研究センター」を設置し、それぞれのセンターで指導法の研究が行われている。このようななか、モンゴル側からこれらセンターに対する指導法改善の技術指導、教材作成や現場教員への普及等の運営面での支援について要請がなされた。

 本プロジェクトは、4つの指導法研究センターを中心とした指導法・指導書の開発を行うとともに、同指導書が教育現場の実情に応じたものであるかをモデル校において試行し、指導書の改善を行うことを目的とする。プロジェクトの実施においては、モンゴル側の主体的な活動を重視し、日本からの投入は側面的な技術指導にとどめるものとする。

(独立行政法人国際協力機構の「公示」から抜粋)

 

本学では国際教育協力推進プロジェクトの一つとして、表記のプロジェクトが本年度より4カ年計画(2006.42009.7)で進んでいる。

そのため、本学・附属全体に本プロジェクトの支援を依頼するとともに、モンゴル国の初等及び中等教育で「学習者主体の学習(Learner–Centered Approach to Learning)」を実施する具体例を盛り込んだ「指導書」作成を効果的に進めるため、学校や企業など国内関係諸機関に、授業、指導案、カリキュラム、教員研修等の計画や実施及び評価などの実際を見聞し協議など行うことを依頼して、取り組みつつある。

モンゴル国より要請を受けた本プロジェクトは、算数・数学、理科、IT教育、総合学習の四つの教科・領域を中心にし、国語・図工など、本学の研究と教育及び研修等の活動に意義あると考えられる教科・領域等も、支援の対象としている。

本プロジェクトは、モンゴル国で20059月に新たに導入された教育指針「新教育スタンダード(New Education Standard)」に沿って、モンゴル国立教育大学及びモンゴル国立大学を中心とするモンゴル国内の本プロジェクト参加者が、主体的に小学校・中学校の内容から適切な単元を選び、その指導書を作成し評価し普及させる事業である。本学側では、教育学、教科教育学等関係講座・教室から専門家を選出し、モンゴル国側参加者に直接及び間接の支援を行う。つまり、本学では、専門家の所属する大学内各講座の関係教員のみならず、附属学校の特色を生かした、附属学校教員との組織的な連携を図ることによって、理論と実践の両面から、本プロジェクトを支援することが、主な業務である。

なお、プロジェクトをいっそう効果的かつ効率的に運営し実施するため、関係部局の職員の支援と再組織化はもとより、プロジェクト終了後の持続的な発展等を期待して、特にモンゴル国及び中国内モンゴルからの本学への留学生も、本事業実施当初から、通訳あるいは翻訳などのアシスタントとして、積極的に事業に参加している。

 

○ 国内支援体制(概要) 

(1)プロジェクトメンバーとして共同で業務を進める   ()コーエイ総合研究所 3名

(2)東京学芸大学側

  ○コーデーネータ:

   福地昭輝

   ○専門家の構成:

     理科(犀川政稔、鎌田正裕)、算数・数学(高畑弘)、IT教育(篠原文陽児)、

   総合学習(浅沼茂)                         計 5名

      ○専門家をさらに支援する関係講座、教室等:

 理科、算数・数学、IT、総合学習に関しては、学校教育、教科教育をはじめ、関連講座・分野・教室、および、教員養成カリキュラム開発研究センターが支援する。

なお、モンゴル語(国語)及び図が工作の研修者も同行するため、専門家の派遣はないが、拡大して支援を行う。

      ○事務組織:

       国際課   学系支援課

 

○ 推進の経緯(概要)

以上