竹早地区連携教育研究の今後

−「主体性を育む幼・小・中連携の教育5年次」以降の取り組み−

01 研究の方向性について

平成17年度は公開研究会を開催し,5つの重点的なねらいについて成果と課題を報告した。これを踏まえ,今後の連携研究に向けて新たな方向性やねらいを定めた。

平成17年度までのねらいは,「授業観・教育観の共通の方向性の追究」「異校種間の教育方法の理解」「教師それぞれの立場の理解と子どもにとっての授業の意味の追究」「交流活動の取り組み」「ハード面を生かした教育システムの構築の足がかりの明確化」,であった。これらをまとめていく中で明らかになった課題を改善していくために,今後数年間にわたり取り組みたい具体的な内容として次の5つを考えた。

1よりよい連携教育のための研究体制作り

連携研究を進めるに当たって当初より3分科会体制をとってきたが,それぞれの研究が深化されるにしたがって更に多くの取り組みが必要になってくる。今後の研究をスムーズに進めるために人的・時間的に無理のない分科会体制を作り上げたいと考えた。例えば,分科会Uが継続して実践してきた交流を学校運営の担当部署へ移行する試みや,これまでの3分科会体制から重点的に取り組む2分科会体制への移行である。

2授業研究の全教員の参加と学習の体系化

現在1つの分科会が交流授業・活動を実践し,異校種間の相互理解を図る中で成果や課題を指摘してきたが,今後は授業・活動に全教科の参加を求め,学習の体系化にも積極的に取り組み,将来的には竹早地区連携研究の大きな柱の1つにする方向で検討している。

3幼・小・中の新たな協力関係の構築

平成17年度の反省を踏まえ連携教育の活動をスムーズに進めるため,本年度はすでに幼・小・中の新たな協力関係を築くためのはたらきかけを行ってきた。例えば,共通の話し合いのシステムを定め,それに従って連携委員会や連携研究会が進められてきた。今後も研究全体の動きに合わせ,連携研究会や各分科会からの要望があれば,必要なシステム作りを推進しなければならない。

4子どもの成長を見通す指針,4ステージの追究と活用

園児・児童・生徒の見とりから経験的に得られた,11年間の成長過程を4ステージの区切りとして捉える考え方は,梶田叡一氏(兵庫教育大学学長)の講演(06.7.28)における「最近の子どもたちの成長の区切りは小学校4年生と中学校2年生に見られる」との話や,品川区に代表される小・中一貫校の教育課程が一部同じような視点で編成(4−3−2)されているなどの例からも,一般的なものであることが分かってきた。今後はこの4ステージを子どもの成長を見通す指針として具体的な教育活動の場面でどのように活用していけるのかを明らかにしたい。例えば,学習の場面で,生活指導の場面で,接続期の学校生活の中で,4ステージが描く11年間の成長過程を園児・児童・生徒一人ひとりに当てはめ,見とり,援助する,等教育活動の中でどのような活用が可能か追究したい。また将来的には必要に応じて,4歳児から中学3年生にいたるまでの学年ごとの目標の設定に取り組みたい。

5ハード面の共用に関する課題と改善の追究

竹早地区では中学校と小学校の校舎が一体型としてつながっている。しかし,小学校の体育館とプール,幼稚園舎はまだ旧態依然のまま存在する。これらが予定通り完成して初めて,幼・小・中の連携に見合う「一体型校舎」としての体を成すと考える。そこで,これまでの教育活動や連携教育を通じて得た知見を洗い出し,今後に予定されている小学校の体育館とプール,幼稚園舎に関する多くの示唆を与えることが期待できる。またこれに止まらず,幼・小・中連携を見通した「一体型校舎」に関する教育かつ建築上からの基礎的データを与えることも期待される。

02 平成21年度までの研究方針

1.平成21年度までの研究方針及び研究内容

(1)研究体制
○3分科会体制の変更
1) 平成18年度まで取り組んでいた3分科会体制から、2部会体制(発達研究部会と実践研究部会)で研究に取り組む。
2) 発達研究部会は平成18年度の分科会Tの研究と新たな課題に取り組む。
3) 実践研究部会は平成18年度の分科会U・Vの研究と新たな課題に取り組む。
4) 実践研究部会については全教員が所属する。発達研究部会については連携委員以外の全教員が所属する。連携委員については,
  • 発達研究部会の運営補助を行う。
  • 公開研究会の発表準備に取り組む。
  • 「特別開発研究プロジェクト」の研究報告の仕事を担う。
(2)組織図

組織図

*実践研究部会の各グループの研究内容を,次のように規定する。

1小中接続分科会
  • 言語グループ:言語等に関する学習を中心に研究する。
  • 社会グループ:社会的事象等に関する学習を中心に研究する。
  • 自然グループ:自然科学的事象等に関する学習を中心に研究する。
  • 健康グループ:運動や健康等に関する学習を中心に研究する。
  • 表現グループ:芸術的分野に関する学習を中心に研究する。
  • 人間グループ:総合的学習,道徳,特別活動に関する活動を中心に研究する。
2幼小接続分科会
  • 第1ステージの保育・活動について研究する。 【幼・小1】
(3)平成19〜21年度の連携研究の予定
  • 平成19年度は、第1と第3ステージに焦点化し,連携研究を進める(詳細は「V 平成19年度 の研究」参照)。平成20年2月16日(土)に幼小中合同公開研究会を実施する。
  • 平成20年度は,第2と第4ステージに焦点化し,連携研究を進める。
  • 平成21年度は,平成16年からの研究のまとめとして,「公開研究会」を実施する。

03 平成19年度の研究について

1.公開研究会の内容

(1)発表内容
1実践研究部会
  • 第1ステージと第3ステージを中心とした各教科・領域における連携カリキュラム研究
  • 接続期に対応する幼・小・中の連携
2発達研究部会
  • 「理論研究分科会」は,4ステージに関する研究
  • 「事例研究分科会」は,抽出生徒と具体的方策に関する研究
  • 「調査研究分科会」は,発達調査研究,データベース化に関する研究,満足度調査の研究
3連携委員会
  • 研究主題に関する研究
(2)発表対象学年案
実践研究部会
  • 幼小及び小中接続分科会の希望クラスによる保育・活動・授業
(3)公開内容案
  • 保育・活動・授業
  • 全体会(全体提案・発達研究提案等)
  • 協議会、シンポジウム等
(4)具体的な取り組み
1実践研究部会
  • 第1ステージと第3ステージの接続期に見せる子どもの変容とそれを支えるための具体的な方策を検討する。
  • 第1ステージと第3ステージの接続期を見据えた各教科領域における連携カリキュラム研究に取り組む。
2発達研究部会
  • 11年間を見据えた4ステージ,11ステップの理論的追究(他校の研究との比較,文献収集・整理等)に取り組む。
  • 平成18年度に取り組んでいた研究を継続する。
  • 抽出園児・児童・生徒に見られる変容から,園児・児童・生徒の指導に対する具体的方策を検討する。
  • 11年間4ステージを見据えた生活指導の連携と具体的方策を検討する。
  • 園児・児童・生徒の11年間の個人データ作成と共有化への指針を検討する。
1実践研究部会
  • 研究主題を明確にし,連携教育の研究を推進する。
  • 発達研究と実践研究をつなぎ,研究の全体構想をまとめる。
 

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