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3.幼保一体化の課題と対応の工夫

 幼保一体化の課題については、保育について、教職員について、保護者について、運営上の課題の4つに大別されました。
 

(1)保育についての課題と対応の工夫

時間の割り振りの仕方に多くの課題が見られました。午睡の時間による保育時間の分断、長時間いる子どもとそうでない子どもの経験の相違、日々の活動の連続性や継続性についてなどの不安が一体化開始当初の課題として挙げられました。日々の保育の中でこうした状況の中での具体的な事例が集積してきた様子でした。例えば、子ども達の経験のずれがお互いの刺激になる様子や、時間の見通しを立てて行動するきっかけにもなっているなど、課題を「メリット」であるととらえ直し、子どもの育ちを共有していくことで、こうした状況の中でできることを探っていました。

(2)教職員についての課題と対応の工夫

 保育園勤務が中心となっている教職員は、幼稚園勤務が中心の教職員に比べて研修への参加が難しいという課題が挙げられました。幼保の合同保育を実施しており、かつ幼保で子どものクラス編成が異なるケースでは、教職員が受け持つ子ども全員を把握することが難しいという課題もありました。大規模化による教職員間の連携の取りにくさも感じていました。これらの課題について、次の工夫がみられました。研修への参加が可能になるような人員配置の工夫と研修内容の共有化、週に1回は子どもの姿や課題、活動状況などを共有するための会議の開催、午前中の保育時間にかかる指導計画の幼保での共同作成、保育者が力量を形成できるような時間的配慮、幼保が相互の考えを理解するための時間と場の確保、などです。幼保の職員室を一緒にしている園では、そうではない場合と比べて日常的な連絡事項の伝達や保育についての相談等がしやすい環境をつくれていました。

(3)保護者についての課題と対応の工夫

 保護者の状況が多様になったことで、行事等の日程設定も課題となりました。幼保の送迎方法の違いや教職員の勤務形態の違い、家庭との連絡方法の違いなど、新たに保護者の理解を得る必要がありました。特に、幼保間の保護者で行事に対する意識が異なる場合があり、積極的に園の行事に関わりたいと考える幼稚園の保護者と、時間面の都合で行事準備への参加が難しい保育園の保護者間では、行事の捉え方が異なっていました。自分の子どもを、幼保のどちらに通わせているのかという意識を強く持つ保護者もおり、中にはこれまでの園の伝統が無くなるのではという不安の声もありました。ある園では自園の経験から、既存の園が、ある時点から一体化施設に変わるのではなく、一体化に伴い一度完全に閉園してから再度募集をかけて一体化園という形での新しいスタートを切る方が、それに賛同する保護者のみが園を利用するため保護者の理解を得やすいと話していました。保護者の理解や行事への参加は、園側の丁寧な対応と年度当初に年間予定を周知することでおおむね対応できること、また保護者が園での役割を通して交流し、保護者間の関係形成を図ることで改善されることも挙げられました。

(4)運営上の課題

 運営上の課題としては、子どもの十分な活動スペースの確保、保育料の設定、幼保間の職員の勤務形態の違い、事務手続きの煩雑さが挙げられました。特に、幼保の子どもが混合で在籍しているクラスにおいては、管轄する行政が異なるために健康診断で必要となる項目が幼保で異なっている点や、インフルエンザ等で学級閉鎖とする必要がある場合、幼稚園籍の子は休ませる必要があるが、保育園籍の子どもは本来その必要が無いといった際の対処など、園と行政が模索しながら対応を進めている現状がありました。
  体制の面では、幼保が一体化した際にどちらの園長が総合的な園長になるか等、園によってその対応はさまざまでした。もともと経営母体が同一の幼保が一体化した場合には、運営の方針や職員の雇用面などで生じる幼保の摩擦がより少ない形で一体化が進められていました。新しい形の園をスタートさせるにあたり、現場での運営のしやすさを最重要事項とすることは当然ですが、行政や有識者など第三者が介入することで、ある程度トップダウン式に一体化の今後の方向性を提示してほしいという現場の声もありました。

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