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1.預かり保育の研究の動向

 女性の社会進出や核家族化などにより、現在幼稚園では「地域の幼児教育のセンター」としての役割が期待されており、様々な子育て支援事業が展開されています。特に預かり保育は1998年の幼稚園教育要領に幼稚園における預かり保育に関する内容が記載されたことにより、全国で実施されるようになっています。
 預かり保育の研究は、保護者に関する研究、預かり保育中の幼児に関する研究、保育者に関する研究がなされています。荒巻ほか(2007)の研究によると、パートタイマーの場合は預かり保育の利用を希望している母親の利用が多いのに対し、専業主婦の場合は預かり保育を希望していても実際の利用は少なく、特別な用事がない限りは預かり保育を利用しにくい状況あることが示唆されています。また、専業主婦の場合、預かり保育の利用を経験または希望している母親の方が、そうでない母親よりも育児への負担感が有意に高いという結果も得られています。
保育者を対象とした研究では、預かり保育に関わる人ほど預かり保育を肯定的に捉えていることが明らかとなっており(無藤,2007)、幼稚園の教育活動と兼任する割合が高くなるほど、「親への支援として必要」「子どもの成長や発達によい影響がある」という意識が高まり、「定時でのお迎えが理想的」という意識は低減することが明らかとなっています(清水,2014)。
このように預かり保育の必要性や保育者の意識の変化から、預かり保育を実施している園は年々増加傾向にあります(文部科学省,2015)。しかし、私立園の実施率が9割強であり、毎日(園によっては休日や長期休業期間中も)実施している園が多いことに比べて、国公立園の実施率は6割となっています(文部科学省,2015)。掘越・安藤・荒牧・丹羽・岩藤・無藤(2008)の調査によると、預かり保育の実施については、国公立では「実施していない」「月1~2回」が多かったです。また、国立大学附属幼稚園では実施されていませんでした。預かり保育の実施の妨げの要因としては、行政からの補助金の有無、保育者の忙しさ、場所の確保の難しさが挙げられていました。
国立大学附属の幼稚園の保護者のニーズの有無を調べている研究はないが、社会的現状を踏まえれば、子育て支援の一環として国立大学附属幼稚園への預かり保育実施の期待は大きいと推測します。本プロジェクトでは、国立大学附属幼稚園での預かり保育を試行し、幼稚園と保育園が連携をする中での「預かり」の在り方をとらえ、検討を行いました。

引用・参考文献

  • 荒牧美佐子・安藤智子・岩藤裕美・金丸智美・丹羽さがの・立石陽子・砂上史子・掘越紀香・無藤隆. (2004). 幼稚園における子育て支援の利用状況:育児不安との関連から. お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター紀要,2,17-26.
  • 荒牧美佐子・安藤智子・丹羽さがの・岩藤裕美・掘越紀香・無藤隆. (2007). 幼稚園における預かり保育の利用者の特徴:育児への負担感との関連を視野に入れて.保育学研究,45(2),69-77.
  • 掘越紀香・安藤智子・荒牧美佐子・丹羽さがの・岩藤裕美・無藤隆. (2008). 子育て支援における幼稚園の役割:預かり保育と未就園児支援に関する園長インタビューから. 大分大学教育福祉科学部研究紀要,30(2),143-155.
  • 文部科学省. (2009). 幼稚園教育要領.
  • 文部科学省. (2013). 平成24年度幼児教育実態調査.
  • 文部科学省. (2015). 平成26年度幼児教育実態調査.
  • 無藤隆(研究代表). (2007). 乳幼児および学童における子育て支援の実態と有効性に関する研究.平成14年度~平成18年度科学研究費補助金(基礎研究(B))研究成果報告書.
  • 清水美紀. (2014). 預かり保育に関する保育者の意識:関与状況と実施状況の違いに着目して. 人間文化創成科学論叢,17,143 -151.

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